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ひしおを使って発酵させた万能調味料『たまねぎ醤』。気になる温度との関係。温度管理で失敗知らず!カビが生えやすい温度って?加熱しても大丈夫?にもお答えします!!

玉ねぎひしおは、玉ねぎにひしお麹と塩を加えて発酵させたもの。コンソメのような風味があり、わが家では万能調味料として大活躍しています。カラダに良くて、使い勝手がよく、何よりもおいしい!!とても魅力的な食品なんです。

発酵と温度は、切っても切れない関係。発酵食品を手作りするようになると、必ずと言っていいほど温度についての疑問が浮かんできます。

〇発酵しない理由は温度管理にあり?
〇カビと温度との関係って?
〇発酵食品は加熱してもいいの?

今回は、「温度」というキーワードに焦点を当てていきますね。発酵食品を食べたり作ったりする際の参考にしてください!!

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『玉ねぎひしお』って?


『玉ねぎひしお』ってなに?

それでは早速、『玉ねぎひしお』の作り方をご紹介します。材料は玉ねぎとひしお麹と塩の3つだけ。作り方も次の3ステップ。とてもシンプルなんです。

〇玉ねぎをすりおろして
〇ひしお麹と塩を混ぜて
〇発酵させるだけ!!

レシピについては『ひしおを使って発酵させた万能調味料『たまねぎ醤』の作り方。「3つの材料&3ステップ」!簡単レシピをご紹介します!!』をご覧ください。


「ひしお(醤)麹」ってなに?

ひしお麹は、古来中国から伝わったとされ、肉醤、魚醤、草醤、穀醤の4種類に分けられます。
今回使うのは、 穀醤 。大豆と麦に麹菌を合わせて作られたものです。

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こちらがひしお(醤)麹。私はネットで購入しています。


玉ねぎひしおを手作りすることのメリットとは?

『玉ねぎひしお』を作るメリットって何でしょう?私は次の3つだと思っています。

①安心&安全である
②発酵させることで、栄養価が高まる
③おいしい!!

私は、玉ねぎひしおをコンソメ代わりに使っています。以前から食品添加物が気になっていてはいたものの、味を調える代わりのものがみつからなくて。毎回野菜や肉などでスープだしを作るのも大変ですよね。

玉ねぎひしおと出会ってからは、常備しておくようになりました。手作りだと原材料にこだわれるうえ、製造過程が目に見えるので安心していただくことができます。

また、もともと栄養価の高い玉ねぎですが、発酵させることで得られる効果・効能がさらに高まります。そして何よりもコクや旨味があって、本当においしいんです!!最初は「本当にコンソメの代わりになるの?」と思っていたのですが、家族にも好評ですよ。

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発酵とは?


発酵とは?

まずは『発酵』について簡単に説明しましょう。発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。発酵の過程で得られるメリットは次の通りです。

①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる

①消化・吸収がよくなる

微生物が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。

②うまみが加わる

酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。

③栄養価が加わる

食品は発酵させることで栄養価がアップします。 微生物によって食材のデンプンやたんぱく質等の栄養素が分解されることもメリットのひとつ。栄養をスムーズに取り込むことができます。

④保存性がよくなる

本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。

発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!

発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。

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発酵しないのはなぜ?


「レシピ通りに作ったのに、発酵しないんだけど…」という悩みをよく聞きます。玉ねぎひしおの場合、甘みや旨味が感じられない状態ですと、発酵不足だと考えられます。なぜ上手に発酵が進まなかったのでしょうか?これにはちゃんと理由があるんです。

発酵しない理由って?

ひしお麹の麹菌が酵素を生成し、玉ねぎに含まれる有機物を分解することで発酵が進みます。発酵しないということは、麹菌が活発に働いていないから。たいていは、温度管理に原因があることが多いです。麹菌には、活性化する温度、働きが鈍くなる温度、死滅する温度があります。環境によって、増え方が違ってくるんです。

じょうずに発酵させるためのポイントとは?

発酵のメカニズムからみると、じょうずに発酵させるためには温度管理が大切だということが分かりました。麹菌を使って発酵食品を作る場合、50~60度を保って発酵させます。これは糖化させるために最適な温度が60度前後だからです。

一方、麹菌の増殖に適した温度は25~30度。繁殖が止まるのは45度、そして50度前後で死滅します。なんだか矛盾を感じませんか?

50~60度では麹菌そのものは生きていくことができません。『糖化』は、麹菌が発酵の過程で作り出す酵素の働きを利用したものなんです。


酵素の適温は?

麹菌が作り出す酵素。多くの酵素は60~70度で失活します。活動が止まるとデンプンを分解してくれなくなるので糖ができず、甘くなりません。逆に50度以下でも、酵素の働きは鈍くなってしまいます。

酵素が活発に活動する温度は50~60度。つまり温度が高すぎても低すぎても、NGだということ。「じょうずに発酵してくれなかった…」という方は、この温度調整に失敗したからなんです。

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カビと温度との関係


発酵食品を作っていて悩まされるのがカビ。せっかく作ったのに泣く泣く捨てることになった…という話をよく聞きます。カビが発育する温度は、5~45℃。最も育つのは15~30℃です。

繁殖を抑えるには、この温度を避ければいいということですね。私は、出来上がった玉ねぎひしおを冷蔵保存しています。

冷蔵庫の温度は強弱などのモードにもよりますが、冷蔵室が約0℃~6℃、野菜室が約3℃~9℃、冷凍室が約マイナス22℃~マイナス16℃、瞬冷凍室が約マイナス18℃~マイナス5℃です。

ちなみにカビと言っても、カラダに有害なものと無害のものがあります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

発酵ってなに?シリーズ⑧手作りの発酵食品に「カビ」が生えてしまった!!カビって何?対策は?「手作り発酵食9レシピ」もご紹介します!!

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発酵食品は加熱してもいいの?


生菌と死菌って?

麹を使って発酵食品を作っていると、よくいただくのが「発酵食品を加熱してもいいのかどうか?」という質問。麹菌は、一定の温度以上で死滅すると言われているからです。結論からお伝えすると、麹を使った発酵食品に火を通すことはさほど気にする必要はありません。

ところが、免疫力アップにフォーカスした場合、玉ねぎの「硫化アリル」の効果を得たい場合には、非加熱をおススメします。それは硫化アリルは加熱することで、「プロピルメルカブタン」という別の物質に変化するからなんです。

①麹菌
〇増殖に適した温度 25~30度
〇繁殖が止まる温度 45度
〇死滅する温度   50度前後 

②酵素
〇失活する温度 60~70度、50度以下


「死菌」にも役割があるんです!!

「生きた菌を腸に届けたい」と考える方が多いのですが、麹菌を口から摂取した場合、胃酸で溶けると言われています。そもそも発酵食品が体に良いのは「発酵の過程で有益な成分が生成されていたり、消化しにくい物質が消化されやすくなるから」。生きた菌が腸に届かなくても、ちゃんと効果・効能を得ています。

また、死菌でも生菌の半分くらいの菌数の効果は期待できます。しかもいわゆる「死菌」にも次のような役割があるので、さほど気にする必要はありません。その役割については次の通りです。

〇腸に棲みついている乳酸菌のエサになり、腸内環境のバランスを善玉菌優位にする。
〇血中コレステロール値を下げるはたらは生菌と同じ。
〇免疫を高める効果がある。



まとめ


  • 『玉ねぎひしお』の作り方って?
    〇材料は玉ねぎとひしお麹と塩の3つ。
    〇手順は次の3ステップ。
    ①玉ねぎをペースト状にして
    ②分量のひしお麹と塩を入れて混ぜ
    ③発酵させるだけ!!
  • 発酵とは?
    微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 発酵の過程で
    ①消化・吸収がよくなる
    ②栄養価が加わる
    ③うまみが加わる
    ④保存性がよくなる
  • 発酵しないのはなぜ?
    発酵しないということは、発酵菌が活発に働いていないから。
    たいていは、温度管理に原因があることが多い。
  • じょうずに発酵させるためのポイントとは?
    温度管理に気をつける
    →それぞれの発酵菌が活発に働く温度を保つこと。
  • カビと温度との関係
    5~45℃で発育。最も発生しやすいのは15~30℃。
  • 発酵食品は加熱してもいいの?
    死菌にも役割がある。



おわりに




健康への関心が高まり、発酵食品が注目されています。ところが、市販されている発酵食品は材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いんです。その点手作りだと、材料も製造過程も目に見えるので安心。

元々、カラダに良い玉ねぎ。それを発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめですね。

玉ねぎひしおは旨みが強く、コンソメがわりとして使うことができます。スープやドレッシングの調味料として大活躍。以前からコンソメの添加物や塩分が気になっていたので、わが家の必需品となりました。

「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてくださいね!!





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  1. ao

    こんにちは。はじめまして。aoと申します。
    いつも興味深く拝読してております。
    この記事の、発酵と温度のメカニズム、大変参考になりました。
    とても有益な情報をシェアして頂き、ありがとうございました。

    一つお伺いしたいことがございます。
    玉ねぎ醤をヨーグルトメーカーで作成する場合、温度と時間はどう設定したら宜しいでしょうか。
    私の場合、なんとなく35℃で72hや40℃で48hなどで試してみて、概ね上手く出来ていますが(一度ピリッとした酸味のような刺激が出てしまって多分失敗ということがありました)、記事を拝読いたしまして、改めてヨーグルトメーカーでの温度設定の最適解が知りたくなりました。
    ヨーグルトメーカー使用した発酵トマトケチャップを作成される際は、発酵温度50~60度で発酵時間12時間以上で設定されているようですが、玉ねぎ醤も同様の温度と時間で宜しいかどうか、差し支えなければご教示頂けましたら幸いです。
    お忙しい所大変恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。