海に囲まれた富山県の発酵食は絶品揃い!?美味しい発酵料理4選!!

富山県と言えば、海に囲まれた自然豊かな土地柄です。
海産物が多く獲れるため、魚介を使った発酵料理も多く、またお味噌もお魚に合うような水分がしっかりと含まれた柔らかいものが特徴的です。

塩や麹を使ったものは、発酵料理は長期保存もきくので生活には欠かせないものになります。

発酵料理は古くから作られるものが多く、将軍に献上したことが始まりとされそれが市民に広く広まっていったとされています。また、将軍家に献上されるものは身分の高いものしか食べられることが出来ない食材もありましたが、市民に食べられていたものは、手に入りやすいものを使われていたそうです。また、それも市民に広がっていった要因の一つとなってます。

地域によって作られる発酵食品は、その土地柄が出ます。
その土地独特の旨味が凝縮された発酵料理をご紹介していきましょう♪



1.富山県の気候

富山県は降水量が多く、夏場は高温多湿で、冬は寒さが厳しく日照時間が短いです。日照時間は5~10月は東京よりも富山が長く、11~4月は少なくなっています。
富山は、5~8月にかけては北北東の風が吹きます。
この風のことを「あいの風」と呼び、日本海沿岸から吹く穏やかな風です。夏場は高温多湿でとても暑いですが、風があることで暑さも和らぎます。


2.富山県の味噌の特徴

富山の味噌の特徴は、水分が多い塩分が高い麹が多い2,3年かけてじっくりと長期熟成させていきます。
熟成が進むにつれて「みそだまり」がにじみ出てきます。水分が多く柔らかいお味噌なので、醤油の代用品として使われることもあります。
特に、富山の味噌は水分量が多いので、「みそだまり」がたっぷりと取れるのが大きいです。

伝統的な富山味噌は、お味噌の量が少なくてもしっかりと出汁の味を引き立てる味わいです。また、お米が豊富でくず米ではなく白米をそのまま使っているため麹の割合が多いです、そのため白い麹が味噌汁の中に浮かんでいます。また、富山県は魚の汁ものが多いのが特徴的で、魚の身が崩れないようにするため水分が多めの柔らかい味噌汁が作られるようになりました。お味噌は溶けやすくあっさりしています。

ルーツは?

佐渡の水分量と塩分が多いお味噌のルーツは、佐渡金山のゴールドラッシュと海上交易が関係していると言われています。越後、能登、越中の農民たちは金が発掘されたことで、佐渡へと渡っていきました。これらの人々の移動により食文化に影響が与えられたと言われています。


3.富山の醤油の特徴

富山県の醤油は甘く、北陸地方全体も甘味の強い醤油が好まれています。あまい醤油は刺身や煮物などにも使われますが、食べてみると意外と合うそうです。また、醤油に甘味があるので、富山県は砂糖の消費量がすくなく、また料理にみりんや砂糖が少量で済みます。

また、隣県の石川、福井県でも同じように消費が少ないです。
関西では、醤油は薄口、濃い口、たまりの3種類のお醤油をそれぞれの料理に合わせて使われますが、関東は普通の醤油を使われることがほとんどです。富山ではお寿司などを食べる時も、甘みの強いお醤油を使うことが多いです。また、一般的に使われるお醤油は「混合醤油」と言われるアミノ酸液を加える製法のもので、特に海近辺の地域では甘い傾向が強いです。漁が盛んな富山では漁師が海の潮風にさらされて甘味を欲し、また山林での仕事では大量に汗をかくためこちらでも塩分を欲する傾向にあります。


4.富山の発酵料理

富山県海に囲まれた自然豊かな土地柄です。
海産物も多く獲れ、さまざまは発酵料理が生み出されました。


4-1.かぶら寿司

かぶら寿司とは、麹を使った発酵料理で富山県や石川県に伝わる発酵料理です。
塩漬けにしたカブを輪切りにして切れ目に塩漬けにした鰤を挟み、米麹に1週間ほど漬けて発酵させて完成となります。寿司という名前ですが、魚を塩と米飯で乳酸発酵させた馴れずしのひとつです。ハレの日のご馳走としてお正月などで各家庭で作られます。富山県では特にサバやサケが使われます。


かぶら寿司の歴史

かぶら寿司の発祥は江戸時代と言われています。魚屋や八百屋が年末に、得意先の通い帳の入れ替えとご挨拶のために「かぶらずし」を手土産にしたこと、またある話では、「鰤、本米、俵」とも言われた高級魚の鰤を隠れて食べるためにかぶらに包んだのが始まりともされています。元々鰤は武士などの身分の高い人だけしか食べれないものでした。そんな中々食べることのできない鰤を食べたいという思いから「かぶら寿司」が生まれたと言われています。

一般の人々は大根に鰊を挟んだ「大根寿司」を食べていたそうです。ブリは能登地方を代表する食材の一つ。脂ののった寒ブリは刺身にしても煮ても焼いても美味しく食べられる。江戸時代、とれたての「御用ブリ」は、城下に出まわる前にまず藩主へ献上された。

日本海で獲れた脂の乗った寒ブリと加賀特産の青かぶらを使用し、冬の寒い時期に漬け込みます。少し苦味のある青かぶらのしっかりした食感と脂の乗ったブリの旨味、そして麹の甘味、酸味が加わってとても美味しいです。


4-2.富山黒茶(バタバタ茶)

バタバタ茶は、1977年までは福井県若狭町、1991年までは富山県小杉町で作られていました。
その後、バタバタ茶の文化を継承しようと、30年前に朝日町商工会が村おこし事業として朝日町で作られるようになりました。富山県朝日町で作られる「バタバタ茶」は、お祝い事や仏事の時に振る舞われるお茶です。茶の茶会は先祖の命日に催される「お講」の時に行われ、そこでは、出産祝い、入学祝いなども含まれてお茶会をする習慣があります。このバタバタ茶は、摘み取ったお茶の葉を一番暑い時期に約一ヶ月程かけて発酵させて作られます。紅茶や烏龍茶は葉に含まれる酵素の働きで発酵して作られるのに対して、バタバタ茶は自然界にある菌のチカラで乳酸発酵をして作られるお茶です。中国のプーアル茶も同じような発酵茶で、後発酵茶と言われています。

はじめに、いろりに茶釜をかけて、黒茶と呼ばれるお茶の葉を入れて1時間ほど煮だします。その後、お茶に塩を少々入れて、茶筅で泡立てて飲みます、この時茶筅を忙しく動かすことからバタバタ茶と言われるようになりました。バタバタを続けていくと、大きかった泡がだんだんと細かい泡へと変わって白くふっくらと茶碗に盛り上がり完成です。

バタバタ茶は室町時代に真宗本願寺第八世蓮如上人が越中布教の時に、すでに飲まれていた黒茶を説法の時に供茶・酒飯茶として利用されていたとしています。



4-3.ます寿司

富山県の郷土料理の一つとしてます寿司があります。円形の木製のわっぱを容器にして、笹の葉を敷いて酢飯を詰めていきます。その後、お酢で味付けをしたサクラマスの切り身を酢飯の上に並べていきます。最後に笹の葉でくるんでフタをしてしっかりと押して作ります。

ます寿司の歴史

江戸時代半ばに富山藩主の前田利興が富山藩主の料理人、吉村新八から「鮎寿司」を献上されたところ、とても美味しくいただいたところからの始まりで、その鮎寿司を時の将軍徳川吉宗に献上し賞賛を受けたことが始まりと言われています。その後は、神通川で獲れるサクラマスを使用して「鱒寿司」が作られるようになり、それが富山藩への献上品となったとされています。

吉村新八の「鮎寿司」のレシピ

①鮎を20日ほど塩漬けしておく
②お酒で洗って塩出ししてから米飯と塩で12日間ほど漬け込んでおく
③提供する前日に取り出して新しいご飯に塩と酒で味付けをして鮎と一緒に出す


4-4.黒作り

イカの黒作りとは、塩を使って魚介を発酵させたイカの塩辛にイカ墨を混ぜたものです。スルメイカの身を細かく切り、イカスミ、肝臓を混ぜ合わせ熟成させたもので、塩辛の一つとされています。イカ墨には、昔から防腐効果や薬効があるとされていて、リゾチームという癌にも効果のある成分が含まれており、また免疫細胞を活性化させるため、老化防止の効果も期待できます。

イカ墨にはグルタミン酸やアミノ酸などうま味成分が豊富に含まれて、それにより深いコクを生み出しており、一般的な塩辛よりも濃厚な味わいを感じます。
なまこの腸を塩漬けにした「このわた」
フグの卵巣を塩や糠、いしりを使って発酵させた「ふぐの粕漬け」などもあります。

由来はさまざまに言われていますが、加賀藩主が参勤交代の時に将軍家に献上したことを記した文書から江戸時代にはすでに定着していたと推測できます。
また、北全船の船員が保存食として食べていたものが北陸に広がっていきました。

海洋深層水入り ほたるいか黒作り あいば食品

参照:https://search.yahoo.co.jp/image/


5.まとめ

  • 富山県の気候
    富山県は降水量が多く、夏場は高温多湿で、冬は寒さが厳しく日照時間が短いです。
  • 富山県の味噌
    富山の味噌の特徴は、水分が多い塩分が高い麹が多い2,3年かけてじっくりと長期熟成させていきます。
  • 富山県の醤油の特徴
    富山県の醤油は甘く、北陸地方全体も甘味の強い醤油が好まれています。
  • 富山県の発酵料理
    かぶら寿司
    かぶら寿司とは、麹を使った発酵料理で富山県や石川県に伝わる発酵料理です。
    富山黒茶(バタバタ茶)
    バタバタ茶の文化を継承しようと、30年前に朝日町商工会が村おこし事業として朝日町で作られるようになりました。
    ・ます寿司
    富山県の郷土料理の一つとしてます寿司があります。円形の木製のわっぱを容器にして、笹の葉を敷いて酢飯を詰めていきます。
    黒作り
    イカの黒作りとは、塩を使って魚介を発酵させたイカの塩辛にイカ墨を混ぜたものです。


6.おわりに

富山県の発酵料理についていかがでしたでしょうか?
海産物が豊かな富山では、さまざまな発酵料理が作られています。冬の寒い時期には長期保存が可能な発酵料理がとても重宝され、生活には欠かせない食べ物の一つになります。
自宅でも、簡単に作れる発酵料理があるので、ぜひ一度お試し下さい♪
富山の旨味が凝縮された発酵料理を、ぜひご自宅でも。

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