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石川県の発酵料理は海の幸づくし!? 「熟成×発酵」パワーで、旨味を思う存分味わい尽くす

石川県と言えば、日本海側に位置する冬は寒く、自然豊かな場所です。
新鮮な海産物が獲れる地域で、鮮度の高い魚の旨味を凝縮させた発酵料理も数多くあります。

また、観光名所としても有名で、兼六園や21世紀美術館などは誰もが一度は訪れてみたい場所ですね。

石川県はお醤油やお味噌もそこの独自のモノが作られており、作り方や出来上がりにも特徴があります。お味噌は水分量が多く、お醤油は甘味を感じることが出来ます。水分量が多いことで、その副産物でもろみ醤油を堪能することも出来ます。

また、さまざまな発酵料理もお酒のおつまみとして、地元の人にも愛されています。それでは、石川県の気候風土が作り上げた美味しい発酵料理の数々をお届けしていきましょう♪



1.石川県の気候

石川県は「弁当を忘れても傘を忘れるな」という格言があるように、年間の降水量は全国で4位の高さ、夏は晴天が多いものの冬は降雨量が多く、また『冬季雷(冬の雷)』が発生する日本一雷が起きやすい地域です。
ここの地域では、冬季雷を別名『鰤ぶり起こし』とも呼んでいます。鰤が獲れる初冬の時期に雷が鳴るため、漁師が網を「起こす」、寝ている鰤を「起こす」との意味をかけた方言があります。

石川県は日本海沿岸部の気候で、冬は曇りがちで雪の日が多いが、対馬海流の影響を受けて気温は比較的温和です。湿潤多雨でフェーン現象による蒸し暑い夏も感じられます。また、気候には地域差があり、加賀山岳地帯は気温が低く多雨豪雪、加賀平野は温和な気候、能登半島は日本海の影響を強く受けています。

年間の平均気温
加賀及び能登南部の沿岸部では14℃ほど
白山麓では11℃と地域差があります

・年間降水量と積雪量
2,000~3,000mmにおよぶ多雨多雪の地域です。
積雪も多く加賀山間部は3~4mほどの積雪があります。
平野部でも0.5~1mの積雪があります。


2.石川県のお味噌の特徴

石川県の8割のお味噌が米味噌です。主に、加賀の味噌と能登の味噌の2つがあり、それぞれに特色があります。魚介類を食べる機会が多い金沢では、少量の味噌で魚臭さを消して、すぐに溶けるように工夫されました。

2つの味噌は、古くは寺院で作られていました。
当時、味噌は自宅で作ることが全国的にも一般的でしたが、藩政中頃には味噌を販売するお店もありました。明治以降は味噌作りは自由となりましたが、農家で作られることも多く産業としてはあまりありませんでした。


2-1.能登の味噌

能登味噌は、大豆と炊いた汁と一緒に混ぜているので、水分量が多くなっています。水分が多いのは、かつて溜まり醤油の代用として使用していた地域があったことと、取り扱いが楽だということが由来とされています。また、食べ物が不作となった時期の予備食品として食べられることもあり、塩分濃度が高く、保存期間も3年と長期保存されています。その塩分の高さが魚介類の旨味を引き出すことに最適で、現在も高水分高塩分の味噌が作られています。

能登味噌の特徴
・水分が多く軟らかい
・辛味がある
・塩分濃度が15%ある


2-2.加賀の味噌

加賀味噌は、熟成期間が長いものが多いため、色は赤色。
田舎味噌のイメージで、味噌汁を食べていると粒状の大豆が口に残ります加賀藩主の前田利家が軍用の貯蔵食品として作ったのが始まりで、その味噌を保存していたのが、金沢市にある旧味噌蔵町でした。

魚介の味噌汁がおススメで、味噌が濃厚なので少し薄めにしておくと旨味が引き立ちます。徳川の時代にあって最大の外様大名だった前田候の治政下、「治にいても乱を忘れず、準備おさおさ怠りなく」と、戦時における軍用の貯蔵食品として盛んにつくられたのが加賀みその起源です。軍需品として統制され、長期保存がきくことが重視されていたため、長期間じっくりと熟成させた塩分が高めの辛口のみそになりました。

加賀味噌の特徴
・米こうじが多く使われ甘味が強い
・水分が多く軟らかい
・淡色でやや辛口


味噌の種類

・米味噌
米麹を使い、日本で生産されている約8割が米麹でご家庭で一番よく食べられる味噌です。米味噌は味にクセがなく食べやすく、料理にも合わせやすいです。

・麦味噌
麦みそには、麦の芳ばしい香りと甘さに特徴があります。九州地方、四国・中国地方で食べられている傾向があり、平安時代には温暖な九州地方で稲作が上手く育たず、麦が盛んに育てられていました。

・豆味噌
豆麹を使ったお味噌で、東海地方で多く生産されて、愛知県岡崎の八丁味噌は全国的にも有名です。豆味噌は、発酵期間が長く1~3年と言われています。味はコクが深く、深みのある味で、うま味成分であるアミノ酸も含まれています。


3.石川県のお醤油の特徴

石川県のお醤油は、自然豊かな地域で育まれた澄んだ空気がお醤油の発酵を促してくれます。五大醬油の名産地の一つの大野町はたくさんのお醤油の醸造場です。


3-1.五大醤油の名産地の一つ大野町

金沢市大野町は約400年前から醤油の町として繁栄をし、醤油を醸造するのに最適な町と言われています。「ヤマト醬油」や「直源醤油」など22社の醤油メーカーが集まる醤油の産地として有名で、最盛期には60軒以上の醤油醸造業者がありました。白山水系の水が豊富にあり、湿潤な気候が醤油の発酵を促して、澄んだ大気、良質な伏流水が醤油の名産として知られるようになりました。


3-2.五大醤油の名産地

かつて呼ばれていた五大醤油の名産地
・野田 銚子(共に千葉県)
・龍野(兵庫県)
・小豆島(香川県)
・大野(石川県金沢市)


3-3.石川県の醤油の歴史

大野町での醤油の誕生のきっかけになったのは、百万石大名の前田家です。
前田家三代目藩主が商人である直江屋伊兵衛に命を奉じて、紀州から醸造技術を学び、醤油醸造が始められたと伝えられています。
後に、前田家は参勤交代を利用して東海道五十三次の宿場に大野醤油を宣伝したと言われています。当時は、醤油を製造する技術は京都や大阪などの特権的なもので、上方で製造した醤油が全国に配られました。その中で、高度な醤油作りをいち早く大野に取り入れられたのです。


3-4.大野醤油の味は?

野醤油の味は色はあまり濃くなく、比較的淡い甘みのある醤油が中心です。味にコクがあり、色や香りなど素材そのものを引き立たせるお醤油です。関東の辛口とは異なり、関西の淡口醤油よりです。


4.石川県の発酵料理

海産物が豊かな石川県は、鮮度の高い魚介の旨味をギュッと閉じ込めた発酵料理が数多くありあす。
そんな旨味たっぷりの石川県の発酵料理についてお届けしましょう。


4-1.こんか漬け

・こんか漬けの名前の由来
金沢では魚のぬか漬けのことを「こんか漬け」と言います。金沢の方言で「ぬか」という意味を持つ「こんか」漬けは、「米ぬか」が訛って「こぬか」から「こんか」に変化したそうです。また、金沢では「こんか漬け」と言われていますが、隣県の福井では「へしこ」と呼ばれています。

・どのように「こんか漬け」が作られるようになったのか
石川県は、江戸時代に加賀百万石と言われた土地で、毎年たくさんの美味しいお米が収穫出来たために、その副産物である米ぬかで「こんか漬け」が作られるようになりました。また、魚介類をたくさん収穫できる土地柄だったので、まだ冷蔵、冷凍技術がない時代に魚を保存する方法として作られるようになりました。とても栄養価の高い常備菜として愛されてきました。

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参照:「こんか漬け」の検索結果 – Yahoo!検索(画像)

・こんか漬けの作り方
①前日に収穫された鮮度のあるサバを約10日間塩漬けにしていきます。
(鮮度の高い状態で1枚ずつ丁寧に塩漬けにすることで、素材本来の旨味を閉じ込めていきます)
②その後、米ぬか、麹、いしるなどと一緒に木桶にしっかりと押し込んで漬けていきます。
③鯖にまんべんなく味が染み込んでいくように、丁寧にぬかを塗り込んでいきます。春に漬け込んで、冬の間発酵させていきます。

・食べ方
焼いたり、あぶったりいろいろな方法で食べることが出来ます。


4-2.なれ寿司

なれ寿司は保存食として作られた発酵食品です。
世界的に見ても珍しいですが、タイやラオスなどの東南アジアでは同様のものがあるようです。主に魚介類と米飯、塩を材料とした乳酸発酵させた食品です。

今、作られている寿司は酢飯がほとんどですが、なれずしは乳酸発酵させて酸味を感じることが出来るので、本来の鮨(鮓)とされています。アミノ酸などの旨味成分が増して、さらに美味しさを引き立ててくれます。

冷蔵保存をすることが出来なかった昔の日本で、たんぱく源を年中摂ることが出来るように「なれ寿司」が保存食として作られるようになりました。弥生時代の頃から作られたと言われていて、独特の風味と香りがあるのが特徴的です。
お祝いの席でもふるまわれていたそうです。

・なれ寿司の作り方
①魚を塩で覆われるくらいしっかりとまぶしていきます。
②ジップロックで保存をして、2週間ほど保存をしていきます。
③魚を1日しっかり塩抜きをしておく
④塩抜きした魚をペーパータオルでしっかりと水分を吸収する。魚一枚につき、ご飯1合ほどを魚に乗せて形作っていきます。
⑤それをアセの葉っぱでくるくると巻いていきます。
⑥桶に入れて、常温で4日ほど発酵させていきます。

・食べ方
そのまま食べたり、醤油をつけて食べたり、その時の気分に合わせて食べることができます。    


4-3.このわた

このわたは、うに、からすみと並んで3大珍味の一つに数えられます。
なまこの内臓の塩辛で、寒中に製した、腸の長いものが良品であると言われています。いりこ(干しなまこ)の副産物を利用して作られています。
尾張徳川家が徳川将軍家に献上したことで知られています。
このわたは、古くから能登半島・伊勢湾・三河湾が産地とされてきましたが、最近では、瀬戸内海などでも製造されているそうです。
語源は、こ(なまこ)のわた(腸、内臓)という意味です。

・このわたの作り方
作られる際に使われるナマコの種類は「アカナマコ」と言われる身体が赤っぽいものです。
①ナマコの体内をキレイにするために、海に設置されている生け簀で二日ほど置いておきます。
②ナマコの腹部を小刀で5~6cmほど切り開いて逆さにして腸を取り出します。
③内臓を海水でよく洗い、しっかりと水を切って、20~30%の食塩を加えて2、3日貯蔵して桶や樽などに詰めていきます。
④1週間ほど経ったものが美味しく、それ以上に時間が経っていくと黒みを帯びて味も落ちていきます。

・食べ方
食べやすい大きさに切り分けてそのままお酒の肴にしたり、熱燗の中に入れた「このわた酒」も美味。その他に、このわたをまな板の上で包丁で叩いて、薄味のおつゆに注いだ「このわた汁」は、このわたの味の良さを引き出す料理と言われています。


5.まとめ

  • 石川県の気候
    石川県は「弁当を忘れても傘を忘れるな」という格言があるように、年間の降水量は全国で4位の高さ、夏は晴天が多いものの冬は降雨量が多く、また『冬季雷(冬の雷)』が発生する日本一の雷が起きやすい地域です。
  • 石川県のお味噌の特徴
    石川県の8割のお味噌が米味噌です。主に、加賀の味噌と能登の味噌の2つがあり、それぞれに特色があります。
    ・能登の味噌
    能登味噌は、軟らかく辛みもあり塩分濃度が15%と高めなのが特徴的です。
    ・加賀の味噌
    加賀味噌は、米こうじを多く使った甘味が強く濃厚なお味噌で、水分が多くて軟らかく、淡色で味はやや辛口です。
  • 石川県の醤油の特徴
    金沢市大野町は約400年前から醤油の町として繁栄をし、醤油を醸造するのに最適な町と言われています。
    五大醤油の名産地の一つ大野町
    「ヤマト醬油」や「直源醤油」など22社の醤油メーカーが集まる醤油の産地として有名で、最盛期には60軒以上の醤油醸造業者がありました。
    石川県の醤油の歴史
    前田家三代目藩主が商人である直江屋伊兵衛に命を奉じて、紀州から醸造技術を学び、醤油醸造が始められたと伝えられています。
    大野醤油の味は?
    大野醤油の味は色はあまり濃くなく、比較的淡い甘みのある醤油が中心です。
  • 石川県の発酵料理
    石川県の発酵料理には魚介を使ったものが多く、塩漬けやぬか漬けにして発酵させています。
    こんか漬け
    こんか漬けの名前の由来
    金沢では魚のぬか漬けのことを「こんか漬け」と言います。
    ・どのように「こんか漬け」が作られるようになったのか
    毎年たくさんの美味しいお米が収穫出来たために、その副産物である米ぬかで「こんか漬け」が作られるようになりました。
    なれ寿司
    なれ寿司は保存食として作られた発酵食品です。世界的に見ても珍しいですが、タイやラオスなどの東南アジアでは同様のものがあるようです。
    このわた
    このわたは、うに、からすみと並んで3大珍味の一つに数えられます。なまこの内臓の塩辛で、寒中に製した、腸の長いものが良品であると言われています


6.おわりに

石川県の発酵料理いかがでしたでしょうか?
海産物の鮮度を大切に水揚げされて間もない魚介類をすぐに塩漬けにして発酵熟成させていく、うま味がギュッと詰まった美味しい発酵料理です。
お酒のお供にもおススメで、発酵の旨味と魚介の旨味が合わさったついつい箸が止まらなく一品です。
石川県は、日本でも発酵王国の一つで、お味噌やお醤油にもこだわりを感じられます。また、そこの土地独自の気候や環境が、そこでしか作ることが出来ない発酵料理を生み出しているのでしょうね。
ぜひ、石川県で親しまれている発酵料理の数々をお楽しみください♪

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