• HOME
  • ブログ
  • 味噌 , 発酵食品
  • 酸味が出ることがあるお味噌。一日で出来る簡単『手作り 味噌』は「酸っぱい!!」を防ぎやすいんです!!

酸味が出ることがあるお味噌。一日で出来る簡単『手作り 味噌』は「酸っぱい!!」を防ぎやすいんです!!

発酵食品人気が高まり、味噌を手作りする方が増えています。私は10年ほど前から作っているのですが、たくさんの失敗を繰り返してきました。

そのひとつが「酸味」。なぜか味噌が酸っぱくなってしまったんです。はじめはまったく原因が分からず…。

発酵のメカニズムを知ることで、対処方法を理解することができました。また、一日で作る方法と出会ってから、ほぼ失敗知らずになりました。

今回は酸味の原因と対処方法を、「発酵とはなにか?」という観点からお伝えします。発酵食品を作る上で参考になると思うので、ぜひお読みくださいね!!

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 22404512_s.jpg



なぜお味噌が一日で出来ちゃうの?


通常は、数ヶ月から一年間熟成させて完成する味噌。どうやって一日でできるのか、不思議ではありませんか?

そのヒミツは、炊飯器やヨーグルトメーカーを使って作ること。麹菌の適温に合わせて発酵を促進するから、早く仕上げることができるんです。

一日でできる『簡単味噌』。材料は大豆と米麹と塩の3つだけ。作り方も次の3ステップ。

〇大豆を茹でて
〇米麹と塩を加えて
〇発酵させるだけ!!

作り方については『一日で出来る!!簡単『味噌』の作り方』をご覧ください。

通常の味噌作りと異なる点は、短期間で発酵させるため、米麹の量が多いこと。そのため、よりマイルドな仕上がりとなります。

また、発酵時間が短いので出来上がりはさっぱりとした白味噌です。発酵時間を延長することで、熟成味噌に近づけることができます。


私が味噌を手作りする理由とは?

私が味噌を手作りし始めた理由は次の2点から。

①原材料にこだわることが出来る。
②作る過程が目に見える。

市販の味噌は、大量生産のために遺伝子組み換えや農薬などの心配があったので、国産の大豆を買って作りたかったんです。

塩についてもこだわることができます。私が選んだのは、食塩ではなくミネラル分の多い塩。水も水道水ではなく、浄水を使っています。

もちろん、化学調味料や保存料も無添加。安心していただくことができますね。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_20211009_072724.jpg



発酵のメカニズムとは?


味噌が酸っぱくなる理由についてお話するには、発酵のメカニズムを知ることが必要です。簡単に説明していきます。


発酵とは?

微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。

酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させ、旨みが加わります。

発酵によって得られるメリットって?

①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。


味噌ができるまで(麹菌、乳酸菌、酵母の働き)

味噌の発酵は、大きく分けると三段階。それぞれの過程で麹菌、麹菌が生み出す酵素、乳酸菌、酵母菌が関係しています。

〇麹菌と麹菌が生み出す酵素
麹菌が作り出す酵素は、大豆のタンパク質や米のデンプンを分解して、ブドウ糖、ペプチド、アミノ酸に変えていきます。

〇乳酸菌
乳酸菌がブドウ糖をエサにどんどん増殖し、乳酸をつくり出します。乳酸によってpHが下がり、酵母にとって生育しやすい環境になります。

〇酵母菌
酵母菌がブドウ糖やアミノ酸をアルコールや有機酸に変えながら、ゆっくりと時間をかけて味噌特有の風味を醸していきます。

麹菌はなぜ酵素を生成するの?

麹菌は、デンプンやタンパク質をそのままの状態で利用することができません。吸収するためには、いったん分解する必要があります。そのために酵素を体外に分泌するんです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_20211008_122137.jpg



味噌が酸っぱくなる理由って?


味噌が酸っぱくなった理由とは?

味噌はなぜ酸っぱくなってしまったのでしょうか?まずは腐敗を疑うと思いますが、その答えは「発酵の過程で、乳酸菌や酢酸菌が優位に働いたから」

乳酸菌はヨーグルトを作る菌として、酢酸菌はお酢を作る菌として有名です。どちらも酸味が強い食品ですね。

腐ったわけではないので、食べることはできます。ただし、臭かったり糸を引いたりなど明らかに違和感がある場合は、絶対に口にしないでください。

理論上では、本物の発酵食品は腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。


環境によって味が変わる発酵食品

私は最初、味噌は麹菌のみが働いてできるものだと思っていました。ところが発酵について深く知るうちに、そうでないことが分かりました。

先ほども書きましたが、味噌が出来るまでには、麹菌や麹菌が生成する酵素、酵母菌などが関わっています。

環境によって優位に働く菌や発酵具合が変わるので、同じ方法で作ったとしても毎回風味や旨味に変化が生じるんです。

「発酵」と「腐敗」の違いとは?

実は、発酵と腐敗は科学的なメカニズムが同じ!!発酵も腐敗も、物質が微生物のはたらきによって分解されたり変化したりして、「新しい物質」を生成するというメカニズム。

この「新しい物質」が、人間にとって有益なものの場合発酵と呼ばれ、人間にとって有害なものの場合腐敗と呼ばれているんです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_20211009_072534-1.jpg



酸っぱくなった味噌はどうすればいいの?


酸っぱくなった味噌の対処方法って?

酸っぱくなってしまった味噌は、お世辞にもおいしいとは言い難いです。対処方法はあるのでしょうか?

残念ながら完全に酸っぱくなってしまった場合、酸味を消すことは出来ません。少々酸味を感じるくらいであれば、塩を足して数日おいて様子をみてください。


酸っぱくなった味噌は再利用できるの?

酸味がある味噌の再利用としては、魚や肉などの味噌漬けや酢味噌、手作りドレッシングとして使うことができます。また、新しい味噌と合わせてみると酸味が緩和される場合も。

ただしこればかりは個人の好き嫌いにもよるので、これらの方法を試してみて「やっぱり苦手だわ…」と思われたら、残念ながら処分するしかありません。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_20211009_072724.jpg



酸っぱくなるのを防ぐには?


酸っぱくならないようにする3つの方法

味噌が酸っぱくなってしまった原因は、乳酸菌や酢酸菌が優位に働いてしまったこと。防止策としては、これらの繁殖をおさえればいいということですね。そのためには次の方法が有効だと言われています。

①米麹の量を減らさない
②塩の量を減らさない
③過発酵をとめる

「②塩の量を減らさない」について。減塩のために塩の分量を減らす方がいらっしゃいますが、酸っぱくなりやすいので注意が必要です。

味噌の塩分は、思っているよりも気にしなくていいってホント?!

「一日で出来る簡単『手作り 味噌』!!塩分の摂り過ぎにはならないの?味噌と塩との関係とは?」をぜひお読みください。

特に効果を発揮するのが「③過発酵をとめる」こと。分かりやすいのがキムチ。日にちが経つうちに、酸っぱくなった経験はありませんか?

発酵が進み、乳酸菌が増殖したことが原因です。お味噌も同様。熟成期間が長くなればなるほど、保存状態や環境によって乳酸菌や酢酸菌が増殖したり活動が活発化する可能性が高くなります。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_20211008_113817.jpg


過発酵を防ぐには?

発酵の進度を遅くするためには、冷蔵か冷凍保存しましょう。発酵菌は温度に大きな影響を受けます。

それぞれに、活発に働く温度、活動が鈍くなる温度、死滅してしまう温度などがあるんです。

味噌づくりに関わっている麹菌、酵素、乳酸菌、酵母。一般的に言われている温度との関係は、次の通りです。

冷蔵庫の温度は、強弱などのモードにもよりますが、冷蔵室が約0℃~6℃、野菜室が約3℃~9℃、冷凍室が約マイナス22℃~マイナス16℃、瞬冷凍室が約マイナス18℃~マイナス5℃です。

①麹菌
〇増殖に適した温度 25~30度
〇繁殖が止まる温度 45度
〇死滅する温度   50度前後 

②酵素
〇失活する温度 60~70度、50度以下

③乳酸菌
〇最も活発に働く温度 20~45度
〇徐々に死滅する温度 50℃以上
〇死滅する温度    70℃

乳酸菌とひと口に言っても、実はたくさんの種類があります。その性質や形はさまざま。種類によって活性化する温度にも差があるんです。

〇高温性 40~45度
〇中温性 30~35度
〇低温性 10度

④酵母菌
〇最も活発に働く温度 35~38度
〇活動が低下する温度 10度以下
〇死滅する温度    55度以上

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: e0f505c86c779fc1123da2a8080fcb32-1.jpg


一日で出来る『簡単味噌』は酸っぱくなりにくい?!

私の経験でいくと、一日で作る方法と出会ってからは、味噌が酸っぱくなったことはありません。その理由は次の2点。

①長時間常温で発酵させる必要がないから。
②麹の量が多いから。

①長時間常温で発酵させる必要がないから

通常の味噌は常温で長期間発酵させるため、発酵具合を調整することが難しいです。環境によって、気づいたら過発酵になっていた…ということも多々あります。

その点、味噌を一日で作る場合は炊飯器かヨーグルトメーカーを使って発酵させます。50~60度で長くても24時間。そのあと冷蔵保存するので、過発酵になることはありません。

一年に一度、まとめて味噌を作っていた時はスペース的に冷蔵庫に入り切らず…。一日で出来る味噌は欲しいときに欲しい量を作ることが出来るので、冷蔵保存しやすいというのもメリットの一つだと思っています。

②麹の量が多いから

最初に紹介した通り短期間で発酵させるため、通常の味噌よりも米麹を多く使用しています。これも酸っぱくなりにくい理由の一つですね。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_20210917_102108.jpg



まとめ


  • なぜ一日でお味噌ができるの?
    炊飯器やヨーグルトメーカーを使って作るから。麹菌の適温に合わせて発酵を促進するため、早く仕上げることができる。
  • 一日で出来る『簡単味噌』の作り方って?
    〇材料は大豆と米麹、塩の3つ。
    〇手順は次の3ステップ。
    ①大豆を茹でて
    ②米麹と塩を混ぜて加え
    ③発酵させるだけ!!
  • 味噌が酸っぱくなる理由って?
    発酵の過程で、乳酸菌や酢酸菌が優位に働いたから。
  • 酸っぱくなった味噌はどうすればいいの?
    〇完全に酸っぱくなってしまった場合、酸味を消すことは出来ない。
    〇少々酸味を感じるくらいであれば、塩を足して数日おいて様子をみる。
  • 酸っぱくなった味噌は再利用できるの?
    〇魚や肉などの味噌漬けや酢味噌、手作りドレッシングとして使う。
    〇新しい味噌と合わせてみると酸味が緩和される場合も。
  • 酸っぱくならないようにする3つの方法
    ①米麹の量を減らさない
    ②塩の量を減らさない
    ③過発酵をとめる
  • 過発酵を防ぐには?
    冷蔵か冷凍保存する。



おわりに


今回は、味噌が酸っぱくなってしまう原因と対処方法などについて、発酵のメカニズムから詳しく見てきましたが、いかがでしたか?

私は10年以上自家製味噌を作っています。以前は1年に一度、寒い季節にまとめて作っていました。

ところが、一年分をまかなうだけの量を一度に作ることが出来ず…市販の味噌と半々で食べていたんです。

一日でできる『簡単味噌』にたどり着いてからは、欲しいときに欲しい分だけ作ることが出来るので、一気に悩み解決!!

保存しておくスペースも取らないし、酸味やカビに悩まされることもありません。熟成具合も、保温時間によって調整することができます。

まろやかでさっぱりした白味噌が好みであれば、発酵時間を短めに。深みのある熟成された味噌が良ければ、味見をしながら保温時間を延長します。

手作りの味噌は、塩の量も調整することができるので、最初は分量の通りに作ってみて、次回から自分好みの味を探してみるのも楽しいです。

使う大豆、米麹、水や塩にこだわることができるのも手作りならでは。材料や作る過程が目に見えるので安心していただくことができます。ぜひ手前味噌を作ってみてくださいね!!

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。