『ひきわり納豆』を手作りしませんか?ふつうの納豆と作り方が少し違うんです!!

わが家では、遺伝子組み換えや添加物などが気になって、納豆を手作りするようになりました。

ふつうの大豆を使って納豆を作っていたのですが、これまで市販の小粒納豆を食べていた家族から、「豆が大きすぎる…」という意見が。

考えたすえ、ひきわり納豆にすることにしました。ところが、出来あがった納豆をたたいてひきわりにするのは毎回だと手間がかかるし、洗い物も大変。

そこで、出来あがった納豆を細かくするのではなく、作る過程でひきわりにしてみることにしたんです。

最初は残念ながら失敗。大豆を細かくするタイミングを間違えてしまいました。試行錯誤を重ねた結果、ようやく成功に至ったんです!!手順は簡単ですが、意外と難しい納豆づくり。

〇ひきわり納豆はどの段階で細かくしたらいいの?
〇失敗しないひきわり納豆の作り方って?

私の失敗をふまえながら、ひきわり納豆の作り方をご紹介します。



『ひきわり納豆』の作り方って?


ひきわり納豆の材料は、乾燥大豆と市販の納豆の2つ。これは、ふつうの納豆を手作りする場合と同じです。問題は、どの段階で大豆を細かくするのか?

答えは、「一晩大豆を水につけて吸水させたあと。豆を煮る前に細かくする」が正解です!!

私が失敗したのは、大豆を軟らかく煮たあとで、ブレンダーを使って粉砕しようとしたから。

その結果、大豆のマッシュになってしまいました…(急きょ、米麹と一緒に混ぜて発酵させ、お味噌にしました)。

ちなみに、吸水させる前の固い大豆をブレンダーにかけても、空回りするだけでうまくいきません。水を吸って程よい固さになったところで、ミキサーにかけます。

そして、次の疑問。大豆を煮る前に細かくするとして、その細かい大豆にどうやって火を通したらいいのか?

答えは、「細かくした大豆を蒸す」が正解です!!煮るのではなく、蒸すんです。ちなみに大豆は、煮るよりも蒸した方がおいしくなるそうですよ。

それでは、ひきわり納豆の作り方をご紹介しましょう。一言でいうと、次の4ステップでできちゃいます。

①大豆を一晩水に漬けて吸水させる。
②フードプロセッサーで細かくする。
③細かくした大豆を蒸す。
④納豆菌を加えて発酵させる。

【材料】

〇大豆 200g
〇市販の納豆 1/4パック

【準備するもの】

〇蒸し器もしくは圧力鍋。ふつうの鍋でも可。
〇フードプロセッサー
〇さらし布
〇ヨーグルトメーカー
〇牛乳パック
〇長い柄のスプーンまたはへら

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【作り方】

①大豆を鍋に入れ、たっぷりの水に一晩つけておきます。

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大豆が、水を吸って大きくふくらんでいます。

〇思ったよりも水を吸うので、つけておく水は豆の3~4倍量が目安です。
〇写真は、一晩水を吸ってふくらんだ大豆。

②①をザルにあけて水分を切り、フードプロセッサーで細かくします。

大豆をフードプロセッサーに入れて…
「あらびき」モードでかるく「荒きざみ」にします。

〇ブレンダーや通常のモードだと細かくなりすぎてしまうので、フードプロセッサーの「あらびき」で粉砕しました。

③細かくした大豆を蒸します。

電子レンジ用の蒸し器に水を張ってすのこを敷き、その上にさらしを広げます。
細かくした大豆をさらしでくるんだ様子です。
ふたをして電子レンジにかけ、蒸します。

〇普通の納豆を作るときは大豆を「煮る」のですが、ひきわり納豆のときは「蒸し」ます。
〇写真は、電子レンジ用の圧力鍋。さらし布でくるんで蒸しています。
〇蒸し器をつかっても、圧力鍋を使ってもOKです。お手持ちの調理器具で適当な固さに蒸してください。

④蒸した大豆をさらし布から外し、市販の納豆を加えてよく混ぜます。

蒸しあがった様子です。
市販の納豆(パックの1/4量)を入れて、よく混ぜます。

〇市販の納豆は、冷蔵庫で冷やされて休眠していることが多いです。納豆菌は一定の温度以上で活性化するので、発酵を促進するためには、蒸した大豆が熱いうちに混ぜるのがポイントです。
〇納豆菌が全体にいき渡るように、しっかりと混ぜてください。

⑤熱いうちに牛乳パックにうつします。牛乳パックの口をあけた状態でキッチンペーパーをかぶせて輪ゴムでとめます。ヨーグルトメーカーにセットして、カバーをします。温度と時間を設定してスタートボタンを押します(45度で24時間)。

牛乳パックにうつした様子。
ヨーグルトメーカーに牛乳パックをセットした様子です。

〇牛乳パックはあらかじめ注ぎ口をはさみでカットし、熱湯消毒しておきます。
〇納豆菌は好気性なので、通気ができるようにします。牛乳パックの口を開けたままキッチンペーパーをかけて、輪ゴムでとめます。
〇写真は、ヨーグルトメーカーの外ふたをかぶせた様子。空気が入るように少しずらしています。この状態で発酵させます。

⑥出来上がったらスプーンでまぜ、牛乳パックの口を閉じて冷蔵庫で保管します。2~3日寝かしたあとが食べごろです。

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この状態で冷蔵庫で保存しています。

〇写真のように、牛乳パックの口をクリップでとめて、冷蔵庫に入れています。
〇冷蔵庫で寝かせて、2~3日後が食べごろです。



『ひきわり納豆』を作るときの工夫と注意点とは?


発酵食品を作っていると、「これで合っているのかな?」と心配になることがありませんか?

私の体験をふまえて、工夫や注意点などのポイントをいくつかお話ししますので、ぜひ参考にしてください。

納豆を自作するときに、以下のことに気をつけています。一つずつ説明していきましょう。

〇発酵の容器として牛乳パックを使う。
〇大豆の蒸加減が重要。
〇発酵には空気が必要。
〇発酵の温度と時間について。
〇できあがったら冷蔵庫でねかす。
〇他の発酵食品との関係。


〇発酵の容器として牛乳パックを使う

納豆は、独特の香りや糸をひく粘りによって、後片付けが大変。そこで、牛乳パックを使うとそのまま捨てることができるので、とても便利なんです。

牛乳パックはあらかじめ注ぎ口をはさみでカットし、消毒をしておきます。


〇大豆の蒸し加減が重要

はじめてふつうの納豆を手作りしたとき、出来上がりの納豆が固くなってしまいました。その原因は、大豆が固ゆでだったこと。

ふわふわの納豆にするには、大豆をやわらかく煮る必要があったんです。一方、ひきわり納豆はやわらかすぎても美味しくないので、適当な蒸し加減にすることが大切。

私も色々と試行錯誤しながら、ようやく納得できる固さを見つけることができました。


〇納豆菌の発酵には空気が必要

納豆菌を発酵させるには、適量の空気が必要です。大豆と納豆を入れた牛乳パックは、口を閉じずにふきんをかけてヨーグルトメーカーにセットしました。こうすることで、納豆菌が空気にふれるようにしているんですね。

空気が必要なことについて、参考になる研究結果がありましたので載せておきます。

内容積約22.5lのデシケーターに煮豆充填PSP容器 を入れ発酵させた場合の発酵後の納豆の状態とデシケー タ内の酸素濃度は表1のようであった。

【 表1 デシケータによる発酵結果】

①煮豆重量 (g)  ②酸素濃度 (%) ③納豆の性状 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
①113  ②12.2  ③問題なし
①354  ②  4.5  ③ 問題なし
①506  ②  1.8  ③やや糸に透明感。煮豆様の甘い香
①994  ②  0.4  ③糸ごく弱く切れやすい。素豆はない。

この結果から納豆として認められる程度の発酵をするためには、煮豆100gあたり5~6l程度の空気が必要であることがわかった。また、発酵後の酸素濃度が2%を下回る と品質に影響が出るようである。

http://www.itic.pref.ibaraki.jp/periodical/reseach/28/N28P088.pdf


〇発酵の温度と時間

発酵菌によって、それぞれの発酵に適した温度と発酵時間があります。発酵菌の特徴を知ることは発酵食品を作るうえでとても大切です。

温度は低く過ぎても高過ぎても、菌を活性化することができません。納豆菌が最も活発に活動するのは40度。この温度を保つと、じょうずに発酵させることができます。

炊飯器の保温機能を使って作ったとき、誤ってふたを閉めて発酵させたところ、糸を引いてくれませんでした。炊飯器の保温モードは6~70度。温度が高すぎたんですね。

ヨーグルトメーカーの機種にもよりますが、私は少し高めの45度に設定しています。

発酵とは?

発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化することをいいます。発酵の最大のメリットは「消化・吸収がよくなる」こと。微生物があらかじめデンプンやたんぱく質を分解してくれるので、内臓への負担が軽減します。特に、腸内環境を整えることは、健康を保つ上でとても大切です。

発酵食品にすることのメリットは?

〇うまみが加わります。
〇保存性がよくなります。
〇栄養価が加わります。
〇消化・吸収がよくなります。

発酵の最大のメリットは「消化・吸収がよくなる」こと。微生物があらかじめデンプンやたんぱく質を分解してくれるので、内臓への負担が軽減します。特に、腸内環境を整えることは、健康を保つ上でとても大切です。


〇できあがったら冷蔵庫でねかす

冷蔵庫で2~3日ねかせることで納豆菌酵素が働き、ダイズタンパクからアミノ酸が生成されて熟成され、風味が増します。

市販の納豆に賞味期限があるのはなぜ?

本物の発酵食品は理論上腐らないといわれています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところに腐敗菌が入るこむ余地がないからです。

これを「菌の拮抗作用」と呼びます。にもかかわらず、市販されている発酵商品にはなぜ賞味期限があるのでしょうか?

その理由は、食品を流通させる時に衛生上の問題で殺菌されているから。殺菌することで雑菌などが死んで食中毒から守られると同時に、発酵菌も死んでしまいます。

発酵菌が死滅すると「菌の拮抗作用」がなくなってしまうので、雑菌が侵入した場合に腐敗菌が優位になり、傷みやすい状態になります。だから、市販の商品には賞味期限が設定されているんです。


〇他の発酵食品との関係

納豆菌は、ほかの発酵菌にくらべて生命力がとても強く、高温でも低温でも死滅しにくいと言われています。また、その繁殖力も驚異的なんです。

納豆菌は、麹菌や乳酸菌、イースト菌の繁殖を妨げてしまう可能性があることから、日本酒の蔵元さんなどは、醸造中は納豆を控えるようにしているのだとか。

私も納豆を作ったあとは、念入りにヨーグルトメーカーを消毒して、次に作る発酵食品が納豆菌の干渉を受けないように注意しています。

また、納豆と同時に発酵食品をつくることも控えています。

発酵と腐敗の違いって?

実は、発酵と腐敗は科学的なメカニズムは同じなんです!!どちらも、物質が微生物のはたらきによって分解されたり変化したりすること。

微生物の働きによる食材の変化の結果
〇人間にとって有益な物質だと「発酵」
〇人間にとって有害な物質だと「腐敗」
と呼ばれています。

蒸した大豆に枯草菌を生やして納豆が作られる場合には発酵とよばれますが、煮豆を放っておいて枯草菌が生え、ネトやアンモニア臭がしたときは腐敗と呼ばれます。

手作り納豆の保存期間や保存方法については、「教えて!!『手作り納豆』の保存方法とその理由。納豆菌の特徴&発酵のメカニズムから紐解きます!!」に詳しくまとめてあります。

ぜひ参考にしてくださいね。



まとめ

  • 手作り納豆の作り方

    〇材料は、乾燥大豆と市販の納豆の2つ。
    〇手順は、簡単に言うと4ステップ。
    ①大豆を一晩水に漬けて吸水させる。
    ②フードプロセッサーで細かくする。
    ③細かくした大豆を蒸す。
    ④納豆菌を加えて発酵させる。
    手作り納豆を作るときの工夫と注意点

    納豆を自作するときに、気をつけているポイントは、次の6点。

    〇発酵の容器として牛乳パックを使う。
    〇大豆の蒸加減が重要。
    〇発酵には空気が必要。
    〇発酵の温度と時間について。
    〇できあがったら冷蔵庫でねかす。
    〇他の発酵食品との関係。
  • 発酵と腐敗の違いとは?

    発酵と腐敗は科学的なメカニズムは同じ。物質が微生物のはたらきによって分解されたり変化したりすること。微生物の働きによる食材の変化の結果で呼ばれ方が変わる。

    〇人間にとって有益な物質だと「発酵」。
    〇人間にとって有害な物質だと「腐敗」。
  • 市販の納豆に賞味期限があるのはなぜ?

    本物の発酵食品は、菌の拮抗作用により理論上腐らないといわれている。しかし 、市販されている発酵商品は衛生上の問題で殺菌され、発酵菌が死んでいるため、腐敗菌に負けてしまうから。



おわりに


ふだん食べている納豆。スーパーで売られている商品を買ってもいいのですが、自分で作ると材料や作る手順が目にみえるので、安心ですね。

しかも市販のものと違って殺菌をしていないため、発酵菌が活発に活動しているのも魅力的です。味もまろやかでおいしいので、ぜひ作ってみてくださいね!!

発酵食品を作るのは一見難しそうですが、発酵菌の特徴をおさえると失敗なく作ることができます。そのためには、いくつかのポイントを抑えることが大切です。

また、ひきわり納豆の作り方はふつうの納豆とは少し方法が違うので、今回の記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。

納豆がカラダに良いとされる理由を「『手作り納豆』の効果を詳しく解説!!さらに注目!!市販の納豆との違いって?」にまとめましたので、お読みくださいね!!

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