炊飯器を使って!一日でできる『おからで作る味噌』。効果・効能を大豆と麹のチカラから読み解きます!!
「味噌作りは手間がかかって大変…」と思われている方が多いです。私も10年以上作り続けているのですが、年に一度の大仕事でした。大豆のかわりにおからを使うと、最初からマッシュ状なので手間いらずなんです。しかも炊飯器を使って発酵させるので、完成まで最短で一日。
欲しいときに仕込むことが出来るようになり、より身近になりました。一回に作る量を冷蔵庫に入れておける分だけにしているので、カビに悩ませられることもなくなりノンストレスです。味噌は、日本人にとって発酵食品の代表と言えますね。その効果・効能についてみていきましょう。
この記事の目次
- 1.一日でできる『おからで作る味噌』って?
- 2.味噌の効果・効能って?
- 3.①大豆のチカラ
- 4.②米麹のチカラ
- 5.『味噌』の効果的な摂り方って?
- 7.まとめ
- 8.おわりに
一日でできる『おからで作る味噌』って?
通常は、数ヶ月から一年間熟成させて完成する味噌。どうやって一日でできるのか、不思議ではありませんか?そのヒミツは炊飯器を使って作ること。麹菌の適温に合わせて発酵を促進するから、早く仕上げることができるんです。
一日でできる『おからで作る味噌』。材料は大おからと豆乳、米麹と塩の4つ。作り方は次の3ステップです。
〇おからと豆乳を混ぜ
〇米麹と塩を加えて
〇発酵させるだけ!!
レシピについては『一日でできる『おからで作る味噌』の作り方。簡単!早い!3ステップでできちゃいます!!』をご覧ください。
大豆で作る味噌は、 ①大豆を一晩水に漬けておき、②それをコトコトやわらかくなるまで煮て、③ブレンダーやフードプロセッサ―を使ってペースト状につぶす…という行程を経て作ります。おからで作ると、3つの行程のかわりにおからと豆乳を混ぜるだけ。グッと時短に!!
通常の味噌作りと異なる点は、短期間で発酵させるために米麹の量が多いこと。そのため、よりマイルドな仕上がりとなります。また、発酵時間が短いので出来上がりはさっぱりとした白味噌です。発酵時間を延長することで、熟成味噌に近づけることができます。
味噌の効果・効能って?
発酵食品として代表的な味噌。カラダに良いことは分かるのですが、改めてその理由を聞かれると答えに詰まる方も多いのではないでしょうか?味噌が体に良いと言われるのは、次の2つのチカラによるもの。順番に見ていきたいと思います。
①大豆のチカラ
②米麹のチカラ
①大豆のチカラ
おからって何?
おからは、豆乳を絞ったあとの「残りかす」。かすと言うと聞こえは悪いのですが、豆乳や豆腐に比べて食物繊維が多いんです。味噌づくりにおいて、大豆を使うよりも少し栄養価は落ちますが、それでもカラダに良い成分を含んでいることに間違いありません。
〇豆乳
大豆を茹でてすりつぶし、絞った汁。
〇豆腐
豆乳ににがりを加えて固めたもの。
〇おから
豆乳を搾った後に残ったもの。
栄養価の高い大豆のチカラ
大豆は栄養価の高い食品です。特に注目したいものを挙げますね。
①タンパク質
②サポニン
③レシチン
④イソフラボン
⑤ミネラル
⑥ビタミン
⑦食物繊維
①タンパク質
筋肉や細胞などのカラダを作る大切な栄養素であるにもかかわらず、現代人はタンパク質が不足していると言われています。大豆にはたくさんのタンパク質が含まれており、その割合は約30~40%。
さらに体内で合成することができない必須アミノ酸がバランスよく含まれていて、「畑の肉」と呼ばれています。牛乳や卵などの動物性タンパク質に負けないくらい栄養価が高いからです。
しかも動物性タンパク質と比較して「カロリーが低い」、「消化吸収がよく体内で利用されやすい」という嬉しい特徴があります。
②サポニン
サポニンという名前には「泡のたつもの」という意味があり、大豆を茹でるときに出る白い泡に含まれています。渋みや苦みの成分。
脂質の酸化を抑えたり、脂質の代謝を促したりする働きがあります。血流改善、コレステロール値の低下、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防に効果的です。
③レシチン
脂質の一種。細胞膜の主成分であり、脳や神経組織、肝臓などに多く存在しています。そのうち30%が脳に存在しており、「脳の栄養素」と呼ばれています。
細胞を若々しく保つ、アンチエイジング成分。コレステロールの吸収を抑制し、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞などの予防に役立つと言われています。
④イソフラボン
マメ科の植物に多く含まれるポリフェノールの一種。「植物性のエストロゲン」と呼ばれ、女性ホルモンに似た働きがあます。美しい肌やふくよかな体つきをつくります。
ホルモンバランスを整えて更年期症状の緩和、カルシウムの溶出を防いで骨粗鬆症の予防に効果的です。
⑤ミネラル
特に多く含まれているのがカルシウム。骨を作る大切な成分です。さらに、ホルモンの分泌や筋肉の収縮、神経伝達にも関与しています。
鉄分も豊富で、ほうれん草とほぼ同量。体内の酸素供給に重要な働きをしています。その他、マグネシウム、亜鉛、マンガン、銅などの微量成分が含まれています。
ゆで大豆100gに含まれるカルシウムは70mg。これは、生のまいわし100gと同じ量です。いかに豊富なのかが分かりますね。
⑥ビタミン
大豆にはビタミンB群が豊富に含まれています。なかでもビタミンB2は、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞を再生させる役割があります。
ビタミンEも多く含まれています。特に抗酸化力の強いγ-トコフェロールが豊富。細胞の老化対策に効果に役立ちます。
抗酸化作用ってなに?
抗酸化作用とは、活性酸素を抑制する働きのこと。活性酸素は、呼吸によって取り込んだ酸素の一部が変化したものです。
活性酸素は、細胞を酸化させます。カラダが酸化すると、カラダや血管の老化、シミやシワなどの肌トラブル、生活習慣病やがんなどにつながりやすくなります。
酸化の例としては、釘が酸化して茶色く錆びたり、リンゴが酸化して茶色く変色して腐る現象が分かりやすいです。
⑦食物繊維
大豆100gあたりの食物繊維は17.1g。ごぼうが5.7gなので、同じ量で比べると、豊富に含まれていることが分かります。水溶性食物繊維が主です。
食物繊維には次の2種類があり、それぞれに違った特徴があります。
〇水溶性食物繊維
→水に溶ける
・糖質の吸収を抑える。
・コレステロールを低下させる。
〇不溶性食物繊維
→水に溶けにくい
・おなかの調子を整える。
②米麹のチカラ
味噌は、米麹を使って発酵させます。米麹といえば、発酵食品を作るときに大活躍する菌。でも、その栄養素や働きなどを詳しくご存知の方は意外に少ないのではないでしょうか?また、発酵食品はカラダに良い作用をもたらすと言われていますが、その理由についても、みていきましょう。
米麹の栄養素って?
味噌の材料である米麹は、「蒸したお米に麹菌を種付けし、繁殖させて発酵したもの」。豊富な栄養素を含んでいます。
①豊富なビタミンB群
②たくさんの酵素
③食物繊維
④オリゴ糖
麹菌は「ニホンコウジカビ」という菌(カビの一種)。日本特有のもので、国菌に指定されています。
①豊富なビタミンB群
麹菌は代謝の過程でビタミン類を生成します。なかでもビタミンB群が豊富。血行と代謝をアップしてくれるので、美肌効果を期待できます。その他の詳しい効果も挙げておきますね。
・疲労回復効果:
ビタミンB1
・成長を促進する効果:
ビタミンB2、ビタミンB6
・粘膜や皮膚を健康に保つ効果:
ナイアシン
・エネルギーを生成する効果 :
パントテン酸
・女性の健康を保つ効果:
葉酸
・血糖値を下げる効果:
ビオチン
②たくさんの酵素
麹菌は、発酵の過程でアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼなど30種類以上の酵素を生成します。酵素には食物に含まれる栄養素を分解して、消化・吸収を助ける役割があります。
③オリゴ糖&食物繊維
麹の酵素はオリゴ糖を生み出します。米麹に含まれている食物繊維とともに、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。
発酵ってなに?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
発酵によって得られるメリットは、以下のとおりです。
①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。
麹菌が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなるというメリットが。発酵食品に整腸作用があると言われる理由の一つです。
腸内環境を整えることで得られる6つの効果・効能
発酵食品は腸内環境を整えてくれます。腸には栄養素の消化吸収機能に加え、免疫機能があります。「腸活」が流行っている理由として、次の6つの効果・効能が期待できます。
①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和
①便秘解消
発酵菌は腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増えにくい環境に整えます。また、腸のぜん動運動を促し、排便回数や排便量などを改善します。
②肌荒れ&ニキビ改善
肌荒れやニキビは、悪玉菌が産生する有害物質が原因。発酵菌は悪玉菌を減らし、腸の内容物が腐敗するのを防ぎます。
③免疫力の向上
発酵菌は、免疫細胞の一種である「NK細胞」や「マクロファージ」を活性化させます。免疫力が上がると、風邪やインフルエンザ、発がんリスクの低減などが期待されます。
④アレルギー改善
アレルギー症状は、液性免疫(Th2)が暴走すると起こります。Th2は悪玉菌が増えると優位になるため、発酵菌で腸内環境を整えることが大切です。
⑤ダイエット効果
悪玉菌が増えると、腐敗物が血液に溶け出して血行を悪化させ、消化吸収の機能を妨げます。発酵菌は腸内環境を整え、基礎代謝を上げます。
⑥ストレス緩和
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の約90%が腸に存在しています。セロトニンが増えると、精神状態が安定します。逆に不足すると、慢性的ストレスや疲労、意欲低下、うつ症状、不安感やイライラ感の原因となります。
国立がん研究センターのHPに、興味深い研究結果が紹介されていたので、載せておきます。
発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連
https://epi.ncc.go.jp/jphc/825/8437.html
今回の研究では、45−74歳の男女約9万人の方々を、約15年間追跡した調査結果にもとづいて、大豆食品、発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連を調べました。
男女ともに発酵性大豆食品の摂取量が多いほど、死亡全体のリスクの低下がみられました。本研究の結果から、発酵性大豆食品の摂取量が多いと死亡のリスクが低くなる可能性が示唆されました。
『味噌』の効果的な摂り方って?
カラダに良い作用をもたらすお味噌。その効果・効能を最大限に受け取るためのポイントは2つ。
①適量を長く続けること
②他の発酵食品と組み合わせて摂ること
①適量を長く続けましょう
発酵食品がカラダに良いとはいえ、一度に多くの量を摂り過ぎることは禁物です。成分によっては摂り過ぎることで、逆にカラダに害を及ぼすことさえあるんです。
お味噌は薬ではないので、即効性があるというよりは、長く続けることで体質が改善されていきます。まずは一ヶ月。焦らず長い目で摂り続けましょう。
④ほかの発酵食品と組み合わせて摂りましょう
発酵食品は、数種類のものを組み合わせて食べるとさらに効果が得られると言われています。ヨーグルトや納豆など、色々な発酵食品を日々の食卓に取り入れるといいでしょう。
まとめ
- 『味噌』の効果・効能は大豆のチカラと米麹のチカラによるもの。
- 大豆に含まれる注目したい栄養素って?
①タンパク質
②サポニン
③レシチン
④イソフラボン
⑤ミネラル
⑥ビタミン
⑦食物繊維 - 米麹のチカラって?
①糖質の吸収を抑制する効果
②便秘を改善する効果
③免疫力を高める効果
④疲労回復効果 - 米麹の栄養素とは?
①豊富なビタミンB群
②たくさんの酵素
③食物繊維
④オリゴ糖 - 腸内環境を整えることで得られる効果・効能
①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和 - 『味噌』の効果・効能を高める摂り方とは?
①適量を長く続けること
②他の発酵食品と組み合わせて摂ること
おわりに
おからでお味噌が作れるということをご存知でしたか?通常だと、①大豆を一晩水に漬けておき、②それをコトコトやわらかくなるまで煮て、③ブレンダーやフードプロセッサ―を使ってペースト状につぶす…という行程を経て作ります。おからで作ると、3つの工程のかわりにおからと豆乳を混ぜるだけ。グッと時短ができるんです。
しかも、炊飯器を使って発酵させるので、24時間~36時間ほどで発酵完了。驚くほどあっという間に完成します。私は10年以上自家製味噌を作っています。以前は1年に一度、寒い季節にまとめて作っていました。ところが、一年分をまかなうだけの量を一度に作ることが出来ず…市販の味噌と半々で食べていたんです。
これらの方法にたどり着いてからは、欲しいときに欲しい分だけ作ることが出来るので、一気に悩み解決!!保存しておくスペースも取らないし、カビに悩まされることもありません。熟成具合も、保温時間によって調整することができます。
まろやかでさっぱりした白味噌が好みであれば、発酵時間を短めに。深みのある熟成された味噌が良ければ、味見をしながら保温時間を延長します。
手作りの味噌は、塩の量も調整することができるので、最初は分量の通りに作ってみて、次回から自分好みの味を探してみるのも楽しいです。
使うおから、豆乳、米麹、水や塩にこだわることができるのも手作りならでは。材料や作る過程が目に見えるので安心していただくことができますね。ぜひ手前味噌を作ってみてくださいね!!
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