なぜがんになるの?がんの原因とは?予防のための3つのこと。

がんは国民の2人に1人が罹患すると言われており、日本の三大疾病の1つ。身近な病気だからこそ、ふだんから予防に努めたいですね。

昔から「病は気から」と言われるように、ストレスはより病気を進行させてしまいます。正しい情報を知ることで冷静に病気を捉え、適切な判断をすることができるようになります。

がんが好む環境があることをご存知ですか?できるだけ今回の記事を参考にして、できることから意識して取り組んでみてくださいね。



がんとは?


三大疾病の一つであるがん

日本人の病気による死因上位3位を三大疾病と呼び、がん・心疾患・脳卒中がこれに当たります。国立がん研究センターによる2018年のデータでは、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.0%女性50.2%。2人に1人がかかる身近な病気です。

がん細胞は、私たちの体を作る細胞が変異したもの。正常な細胞の遺伝子2個から10個程度に傷がつくことで、がん細胞に変わると言われています。

実は、がん細胞は健康な人の体の中でも1日数千個つくられていて、カラダの免疫力により退治されています。免疫力が落ちると、そのがん細胞を退治できなくなってしまいます。

がん細胞が増えると…

周囲の正常な組織に侵入してその組織を壊し、血管やリンパ管を通ってカラダのあちらこちらへ広がり、正常組織が摂取しようとする栄養をどんどん取って体を衰弱させていきます。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください↓↓

「がん」とはどんな病気?基礎知識や治療方法などをわかりやすくまとめました


がんが好む環境とは?

がんは以下の状態を好むと言われています。これに加え、脂肪とたんぱく質だけの環境でも生存可能です。がんを予防するには、できるだけこの環境を作らないようにすることが理想的なんです。

①低温
②低酸素
③酸性環境
④乳酸

がんの発生要因、がんが好む環境、がんのエサについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください↓↓

がんが好む4つの環境と、がんが増えている3つの要因。がん予防のためにできる3つのこととは?




がんを予防するには?


国立がん研究センターによると、日本人が罹患する原因は、男性の約53.3%・女性の約27.8%が生活習慣や感染であると考えられています。がんを予防するには、ふだんから次の3点を意識するといいでしょう。順番に見ていきます。

1.生活習慣を見直す
2.免疫力をあげる
3.ミトコンドリアを活性化させる



1.生活習慣を見直す


がんの発生要因でみた5つの生活習慣とは?

がんの発生要因のうち、多くを占めるのが喫煙(男性約23.6%・女性約4.0%)と感染(男性約18.1%・女性約14.7%)です。これら5つをすべて見直すと、 がんになるリスクは男性で43%、女性で37%低くなるという研究結果があります。

①喫煙
②飲酒
③食物・栄養
④運動
⑤体格


①喫煙

たばこは、肺がん、食道がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、乳がんなどの原因となることが、科学的に明らかになっています。

たばこには、がんの発症率を大幅に上げるニコチン・タール・一酸化炭素のほか、200種類以上の有害物質が含まれているんです。

たばこが原因でガンになる割合は、男性で約29.7%、女性で約5.0%で、喫煙者はがんのリスクが1.5倍も高まると言われています。腺がんである肺がんや乳がんについては、受動喫煙におけるリスクも懸念されています。

体に悪いと知りつつ、禁煙は自力ではなかなか難しい場合も。そういう方には、禁煙外来や禁煙プログラムの利用がおすすめです。


②飲酒

飲酒は、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん、乳がんのリスクを上げると報告されています。特に食道がん、大腸がんと強い関連があります。

女性は、乳がんのリスクが高くなることが示されています。男性よりも体質的に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという報告も。

また交互作用により、喫煙者が飲酒をすると、食道がんやがん全体の発症リスクは特に高くなることがわかっています。

1日あたりの平均アルコール摂取量が、純エタノール量で23g未満の人に比べ、46g以上の場合で40%程度、69g以上で60%程度、がんになるリスクが高くなるそうです。純エタノール量換算で1日あたり約23g程度までにとどめましょう。

純エタノール量換算約23g程度って?

日本酒:1合
ビール大瓶(633ml): 1本
焼酎・泡盛:原液で1合の2/3
ウィスキー・ブランデー:ダブル1杯
ワイン:ボトル1/3程度


③食物・栄養

発がん性があると言われているもの

遺伝子組換え食品や添加物、農薬などを知らず知らずのうちに摂取している現代人。また、一昔前に比べて砂糖や小麦製品、乳製品、植物油などを多量に摂取するようになりました。このような食生活の変化が、少しずつがんになりやすい体質を作っているんです。

肉や魚の焼き焦げや、アスパラギンと炭水化物を多く含むジャガイモなどを高温調理したものは発がん性物質が含まれるため、注意が必要だと言われています。

塩分を摂り過ぎると胃がんのリスクが高くなるというデーターも。熱い飲み物や食べ物は、食道がんの原因になるという報告もあります。

がん細胞のエサになるもの

がん細胞はブトウ糖を発酵させたものをエサとしており、エネルギー源を糖質代謝でのみ生み出すことが分かっています。成長するためには正常細胞の3~8倍のブドウ糖が必要なんです。

また、急激な血糖上昇はがんの増殖を促すと言われています。がん細胞を増やさないようにするには、炭水化物を摂り過ぎないようにすること、血糖値を急激に上昇させるような食べ方をしないことの二点が大切です。

食後血糖値の上昇度を示す指数のことをグリセミックインデックスと言います。グリセミックインデックスの低い食品には玄米や全粒粉があります。

炭水化物を摂り過ぎているな…と感じる方は、白米の代わりに玄米、パンや麺などの小麦粉を使用した食品の代わりに全粒粉パンを選ぶといいでしょう。

体は食べ物で酸性に傾く

がんが好む環境の一つである酸性の状態を作らないようにすることも予防の一つ。血液をはじめとする人間の体液は、常にpH7.4くらいの弱アルカリ性に保たれており、なんらかの理由で酸性に傾くと色々な病気にかかりやすくなるんです。

食品には酸性食品とアルカリ性食品とがあります。アルカリ性の食品をメインにすることで、酸性化した体が弱アルカリ性に戻っていきます。どのような食品が当てはまるのか例を挙げておきますので参考にしてください。

「酸っぱいもの=酸性食品」ではない!!
食品が酸性かアルカリ性かを判定する方法

食品自体を測定するのでなく、「食品を燃やして灰を水に入れ→その水のpHを測定する」。食品が酸性でも、灰はアルカリ性になる場合もあります。

〇酸性食品

白砂糖、食塩、肉類、魚介類、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト・バターなど)、卵、イモ、小麦粉。酒、清涼飲料水、ファストフード、外食・加工食品全般、水道水、食品添加物、人工甘味料、トランス脂肪酸、加工精製された油、糖化している食品(高温加熱調理した食品)

〇アルカリ性食品

大豆製品(味噌・納豆など)、野菜(緑の濃い野菜・トマト・玉ねぎ・生姜・大根・れんこんなど)、果物(キウイ・パイナップル・パパイヤ・みかん・メロン・スイカ・レモンなど)、海藻類、きのこ類、海塩、オリーブオイル
、ごま油、栗、アーモンド、サツマイモ

野菜はできるだけ生のままで!

クタクタになるまで煮た野菜は、アルカリ性から中性に変化します。

食品以外で体を酸性にするもの

処方薬、市販薬、抗生物質、化粧品、ローションクリーム、デオドラント剤、芳香剤など

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④運動

男性では、結腸がん、肝がん、膵がん、女性では胃がんにおいて、身体活動量が高い人ほど、リスクが低下することが分かっています。日ごろから意識して、体を動かすようにしましょう。

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動基準2013」において、18歳から64歳の人の身体活動について「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を、毎日60分行うこと」、それに加えて「息がはずみ、汗をかく程度の運動を毎週60分程度行うこと」を推奨しています。

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⑤体格

これまでの研究から、肥満度の指標であるBMI値が男性は21.0~26.9でがんのリスクが低く、女性は21.0~24.9で死亡のリスクが低いことが示されました。やせすぎも、太り過ぎもリスクが高まるので、適正体重をこころがけましょう。

BMIとは?

Body Mass Index 肥満度を表す指標です。値が高くなるほど、肥満度が高いことを表します。
BMI値=(体重kg)/(身長m)2

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2.免疫力をあげる


最初の「がんとは?」でお話ししたとおり、免疫力が落ちると、体のなかにあるがん細胞を退治できなくなってしまいます。また、がんの発生要因の一つであるウイルスや菌が入ってきたときも、免疫力が落ちているとやっつけることができません。免疫力をあげるポイントは主に次の4点です。

①健康的な食事
(腸内環境を整える)
②良質な睡眠
(自律神経を整える)
③運動・入浴
(代謝・体温を上げる)
④ストレスをためない


①健康的な食事
(腸内環境を整える)

『腸活』という言葉が流行るほど注目されている腸。腸と免疫力との深い関係が、広く知られるようになってきました。その理由として次の2点が挙げられるでしょう。

〇腸には、体の約70%の免疫細胞が集中している
〇腸には、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の約90%が存在している


ストレスにさらされていると、免疫力が低下してしまいます。セロトニンが増えると、精神状態が安定します。逆にセロトニンが不足すると、慢性的ストレスや疲労、意欲低下、うつ症状、不安感やイライラ感の原因となります。

また、腸内環境が整っているかどうかの指標となる便秘。便秘などで腸内環境が悪化すると、悪玉菌が増えて有毒な物質を生み出します。腐敗した腸内ではpHバランスが崩れ、がん細胞が好む酸性に変わってしまうんです。

酸性になった腸内ではビフィズス菌などの善玉菌は育つことができないため、悪循環を引き起こします。腸を整えることは、がんを予防する上で重要です。腸内環境を整える食事としておススメなのは、食物繊維と発酵食品を摂ること。

腸と免疫との関係、腸活の詳しい内容、免疫とはなにか?については、次の記事を参考にしてください↓↓

腸活のススメ!腸を整えて健康に!!腸と免疫力との深い関係とは?

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②良質な睡眠
(自律神経を整える)

免疫は、日中の活動中に高まり、夜になると低下します。 副交感神経と交感神経の切り替えがスムーズにいくことで、免疫のはたらきが整います。

決まった時刻に起きて食事を摂り、しっかりとからだを動かし、夜は十分眠ること。「活動」と「休養」という一定のリズムを保つことが大切なんです。

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③運動・入浴
(代謝・体温を上げる)

体温が1℃下がると、免疫力は30~40%低下すると言われています。適度な運動は体温を上げるとともに、ストレス発散にもなります。

現代社会では仕事がデスクワーク化し、座っている時間や体を動かす時間が増え、慢性的な運動不足になっている人も少なくありません。パソコンやスマホの普及によって休みの日でも座りっぱなしで、家の中に閉じこもる機会も増えています。

これに加え、日頃から入浴せずシャワーだけで済ませる人も多く、必然的に体温が低下、代謝不全になってしまっているのことががん増加の原因と言われているんです。

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④ストレスをためない

腸の活動をコントロールしている自律神経。腸の蠕動運動は、交感神経が優位な時は停滞し、副交感神経が優位な時は活発化します。自律神経のバランスが乱れると腸の動きも乱れます。

自律神経のバランスが崩れる大きな原因は色々ありますが、特に影響を及ぼすのがストレスと生活習慣の乱れだと言われています。

ストレスは交感神経を優位にします。強いストレスにさらされ続けると、副交感神経への切り替わりがうまくいかなくなり、常に緊張状態になってしまうんです。

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3.ミトコンドリアを活性化させる


ミトコンドリアとがんとの関係が注目され始めています。生物の授業でミトコンドリアという名前を聞いたことはあっても、詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか?


ミトコンドリアとは?

ミトコンドリアは、細胞内に存在する細胞内小器官です。私たちは、赤血球以外の細胞全てにミトコンドリアを有しています。ヒトの細胞の数は約37兆個。細胞1個につき約100~2000個ほどのミトコンドリアが存在すると考えられています。

「エネルギー生産工場」と呼ばれているミトコンドリアはアデノシン3リン酸(ATP)を合成し、体内で消費するエネルギーの約95%を生み出しています。


がんとミトコンドリアの関係って?

ミトコンドリアとがんとの関係は、次の2つだと言われています。

①ミトコンドリアの機能が低下すると、その周辺の細胞組織のがん化を促進する
②ミトコンドリアは、がん細胞を消滅させる働きがある

ミトコンドリアにはエネルギーを生産すると同時に、カラダの不調を引き起こす活性酸素を発生させるという特徴もあります。

がんを引き起こす原因の一つである活性酸素。その9割はミトコンドリアから発生し、活性酸素を除去する酵素を生み出すのもまた、ミトコンドリアです。

ミトコンドリアの質が悪いと、発生する活性酸素の量が、消去される活性酸素の量を上回ってしまいます。つまり、新しく質の良いミトコンドリアを増やすことが大切なんです。


ミトコンドリアを増やすには?

ミトコンドリアを増やすには、次の2点が有効だと言われています。

①カラダに軽く負荷がかかる運動をする
②カロリー制限をする
③寒いところで寒さを感じる

ミトコンドリアは「エネルギーが足りなくなってきたぞ!」と感じた時に増えるという性質を持っています。運動やカロリー制限、寒さに身を置くことで、「増えなくちゃ!!」というスイッチが入るんです。ただし、極端な激しい運動やカロリー制限などは逆効果となりますので、ご注意ください。



まとめ


  • がんとは?
    三大疾病(がん・心疾患・脳卒中 )のうちのひとつ
  • がんと診断される確率は?
    男性65.0%、女性50.2%
  • がんの二大発生要因
    ①生活習慣
    ②感染
  • がんが好む4つの環境
    ①低温
    ②低酸素(がんは酸素を必要としない)
    ③酸性環境
    ④乳酸
  • がんのエサは?
  • がんが増えている3つの要因
    ①低体温と代謝不全
    ②食物・衛生の面による内臓へのダメージ
    ③ストレス、環境の変化、被曝等
  • がんを予防するためにできる3つのこと
    ①生活習慣を見直
    ②免疫力をあげる
    ③ミトコンドリアを活性化させる



おわりに


「がん」と聞いて、死をイメージする方が多いのではないでしょうか?2人に1人がかかる病気だと言われるほど身近な病気なのですが、正しい知識をご存知の方は意外と少ないのです。

「病は気から」と言われるように、免疫力を落とさないためには、必要以上に恐怖や不安にかられることなく、できるだけ心を落ち着けて病気と向き合うことが理想です。できるだけ分かりやすくがんについてお伝えしました。ぜひ参考にしてくださいね。

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