レンネットを使わない『手作りチーズ』とカビとの関係とは?有害?無害?カビについて詳しくみていきましょう!!
『レンネットを使わないチーズ』の作り方をご存知ですか?チーズを自作する場合、レンネットを使って牛乳を固める方法が主流です。ところが身近なスーパーには売られていないため、ネット注文して入手する方がほとんど。
「もっと手軽に作りたい!」と試行錯誤した結果、乳酸菌で牛乳を凝固させる方法にたどり着きました。とてもおいしいうえに作る過程も楽しいので、今回の記事を参考にしてぜひ試してみてくださいね。
発酵食品を手作りし始めると、悩まされるのがカビ。せっかく作った発酵食品を泣く泣く捨てた…という話もよく聞きます。
〇そもそもカビってなに?
〇どのように対策したらいいの?
〇なぜチーズのカビはカラダに害がないの?
ひと口にカビと言っても、実はカラダに良いものと悪いものとがあるんです!!今回は「カビ」をテーマにお伝えします。
この記事の目次
- 1.『レンネットを使わない手作りチーズ』とは?
- 2.カビってなに?
- 3.カビが発育する5つの条件とは?
- 4.チーズのカビはなぜ無害なの?
- 5.発酵食品を作る際のカビ対策って?
- 6.まとめ
- 7.おわりに
『レンネットを使わない手作りチーズ』とは?
『レンネットを使わない手作りチーズ』ってなに?
それでは早速、『レンネットを使わないチーズ』の作り方をご紹介します。材料は牛乳と種になるチーズ、塩の3つだけ。作り方も次の3ステップ。とてもシンプルなんです。
〇牛乳と種チーズでヨーグルトを作り
〇水切りをして
〇熟成させるだけ!!
レシピについては「レンネットを使わない『手作りチーズ』の作り方!乳酸菌で発酵させるレシピをご紹介します!!」をご覧ください。
チーズを手作りすることのメリットとは?
①安心&安全である
チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられることをご存知ですか?ナチュラルチーズは、乳をレンネットなどの酵素や菌などを使って、なんらかの方法で凝固させて熟成させたもの。プロセスチーズは、このナチュラルチーズを加工して作ったものです。
私たちがふだんスーパーなどで購入して食べているチーズは、主にプロセスチーズ。加工の過程で乳化剤や安定剤などの食品添加物が使われることがほとんどなんです。ナチュラルチーズのなかにも、安定剤などが含まれているものがあります。
手作りしたチーズは、材料や製造方法も目に見えるので流通品よりも安心していただくことができます。使う素材にこだわることが出来る点も大きなメリットです。
②得られる効果・効能が高まる
牛乳の栄養価にプラスして、発酵させることによって得られる効果・効能が高まります。発酵の過程で増える栄養素や酵素のチカラが加わるからなんです。
プロセスチーズに生きた乳酸菌は存在しない?
プロセスチーズは加工の際に加熱を行うため、乳酸菌は死滅してしまいます。
③保存性がよくなる
本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
④おいしい!
そして、何よりもコクや旨味があって本当においしいんです!!発酵の過程でアミノ酸のひとつであるグルタミン酸が増し、うまみ成分が加わることがその理由です。
発酵とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
発酵の過程で
①消化・吸収がよくなります。
②栄養価が加わります。
③うまみが加わります。
④保存性がよくなります。
カビってなに?
発酵食品を作っていると、カビに悩まされることがあります。発酵過程でカビが生えてしまい、泣く泣く廃棄した…という方も多いですね。
そもそもカビって、いったい何なのでしょうか?人のカラダにどのような影響を及ぼすのでしょうか?実は奥が深いんです!!
「カビ」ってなに?
「カビ」は、微生物群の一種で菌類の姿を示す俗称。専門的には「真菌」や「菌類」と呼ばれており、数万種以上が生息しているといわれています。糸状の細胞を伸ばして広がり、胞子を飛ばして拡散します。
カラダに良いカビと悪いカビがあるんです!!
例えば、お味噌や醤油、甘酒などの発酵食品づくりに欠かせない米麹。麹菌はカビの一種です。カラダに無害で有益なカビには、以下のものがあります。
〇コウジカビ
味噌や醤油、甘酒などをつくる。
〇アオカビ
チーズなどをつくる。抗生物質である「ペニシリン」の材料になる。
〇酵母
パンやビール、ワインをつくる。
ところが一方で、カラダに悪影響を及ぼすカビがあります。人体への影響としては、次の2種類が挙げられます。
①カビそのものによる感染症。
②カビによるアレルギー反応。
③カビ毒による影響。
①カビそのものによる感染症例
〇真菌性肺炎
〇白癬菌(はくせんきん)による皮膚真菌症=水虫
〇食道炎
〇胃腸炎
〇髄膜炎など
②カビによるアレルギー例
〇喘息
〇アトピー
〇アレルギー性鼻炎など
③カビ毒による影響
カビ毒とは、カビが作り出す代謝産物のうち、人や動物に対して有害な作用を示す化学物質の総称。病気を引き起こしたり、発がん性のカビ毒もあるんです。
カビが生えた発酵食品は捨てるしかないの?
カビが生えた発酵食品は捨てるしかないのでしょうか?カビの種類や状態によっては、部分を取り除けば食べることができます。ただし、その方法には注意点があります。
カビは菌糸をはる生物なので目に見えない部分に根を張っていることが多いです。私はカビと一緒に1㎝くらい深く取り除くようにしています。
取り除いたあとはアルコールをスプレーしておきましょう。塩を振りかけておくことも有効です。ただし、状態があまりにもひどいときは口にせず、残念ですが廃棄しましょう。
カビが発育する5つの条件とは?
菌の繁殖を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか?カビは発育するのに適した条件があります。つまり、その条件を避ければいいということですね。順番にみていきましょう。
カビが発育する5つの条件
カビが発育するための5つの条件は、次の通りです。
①酸素
②温度
③水分
④水素イオン濃度
⑤栄養分
条件① 酸素
カビは、酸素のあるところでのみ生育します。これを好気性といいます。市販の食品に入っている脱酸素剤は、湿気るのを防ぐだけでなく、防カビの役目もあるんです。
条件② 温度
カビは、5~45℃で発育します。冷蔵庫でも少しずつ増殖するのですが、最も育つのは15~30℃。繁殖を抑えるには、この温度を避ければいいということですね。
条件③ 水分
食品に含まれる水には、「結合水」と「自由水」があります。微生物が繁殖に利用できるのは自由水だけなので、これを減らせば抗菌力を高めることができます。
そのためには「乾燥させる、塩漬けにする、砂糖漬けにする」という3つの方法があります。
乾燥させるのは、単純に自由水を減らすため。また、食品に塩や砂糖を加えるのは、塩や砂糖を自由水と結びつけて結合水にし、自由水を減らすためです。
結合水と自由水って?
〇結合水:たんぱく質や糖質と強く結合して離れない水
〇自由水:自由に動くことができる水
条件④ 水素イオン濃度
カビが発育するのは、pH 3~9。特に、pH 4~6の範囲が最も適した濃度で、弱酸性を好みます。
条件⑤ 栄養分
カビの栄養分は、私たちが口にする食品、皮脂やフケ、ダニの死骸やフンなどのハウスダスト、木材や植物性繊維、石鹸など多岐にわたります。
チーズのカビはなぜ無害なの?
カマンベールは白カビ、ブルーチーズは青カビですが、分類的にはどちらもアオカビ属(ペニシリウム属)。実は青カビには有毒成分が含まれています。それなのになぜ無害なのかというと、チーズがその成分を無毒化してくれているからなんです!!
青カビの有毒成分は、タンパク質がある環境では不安定になり、分解されます。さらに低温下の熟成環境やチーズに含まれているアンモニウムによっても、分解が促進されると言われています。これが人体に影響を与えない理由です。
チーズとカビの関係って?
青カビは酵素を分泌し、乳に含まれるタンパク質や脂肪を分解しながら繁殖を続けます。その際に、タンパク質を分解する酵素は旨み成分であるアミノ酸を作り出します。また、脂肪が脂肪酸に分解されることでも、チーズ独特の香りや味わいをもたらしています。
後で生えたカビには注意!!
青カビにはもともと有毒成分が含まれていると書きました。チーズが製造される過程で無毒化されているだけなので、後で生えたカビには注意が必要。特に黒色や赤色など、元々のカビとは明らかに違うものは有毒な可能性が高いです。
冷蔵庫で保存しましょう!!
カビの繁殖を防ぐため、冷蔵庫で保存しましょう。カビが生えやすい環境とは、温度が20℃~35℃くらい、湿度が80%と言われています。 ちなみに冷蔵庫は0℃~10℃、冷凍庫は-12℃以下に温度設定するよう、JIS規格で制定されています。
まとめ
- 『レンネットを使わないチーズ』の作り方って?
〇材料は牛乳と種チーズと塩の3つ。
〇手順は次の3ステップ。
①牛乳と種チーズと塩でヨーグルトを作り
②水切りをして
③熟成させるだけ!! - カビってなに?
〇「カビ」は、微生物群の一種で菌類の姿を示す俗称。
〇カラダに有益なカビと有害なカビがある!! - カラダに有益なカビは…
〇味噌や醤油、甘酒などをつくるコウジカビ。
〇チーズなどをつくったり、抗生物質である「ペニシリン」の材料になるアオカビ。
〇パンやビール、ワインをつくる酵母。 - 有害なカビがカラダに与える影響とは?
①カビそのものによる感染症
②カビによるアレルギー反応
③カビ毒による影響 - カビが発育する5つの条件とは?
①酸素
②温度
③水分
④水素イオン濃度
⑤栄養分 - チーズのカビはなぜ無害なの?
製造過程において、青カビの有毒性を無害化するから
ただし、あとで生えたカビには注意すること!!
おわりに
健康への関心が高まり、発酵食品が注目されています。ところが、市販されている発酵食品は材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いんです。その点手作りだと、材料も製造過程も目に見えるので安心。
発酵させることで得られるメリットは大きいです!!もともとの食材の栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。安価で手軽に手に入るというのも魅力的。 まさに良いことづくめですね。
「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてくださいね!!
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