日本人はタンパク質不足?タンパク質とは?足りていないとどうなるの?!
三大栄養素の一つであるタンパク質。カラダにとって欠かせない栄養素なのですが、現代人は不足していると言われています。飽食時代であるにも関わらず、カロリーはオーバーしていても隠れ栄養失調が増えているそう。逆に、摂り過ぎても悪影響が出る可能性が。
タンパク質とは何か?なぜタンパク質が必要なのか?どのくらいの量を摂ったらいいの?詳しく見ていきましょう。動物性タンパク質と植物性タンパク質との違いについてもお伝えします。
この記事の目次
タンパク質とは?
タンパク質ってなに?
糖質、脂質と並んで三大栄養素のひとつであるタンパク質。人のカラダは約60兆個の細胞から構成されており、その成分で最も多いのが水(約70%)、次いで多いのがタンパク質(約15%)です。
タンパク質は、20種類のアミノ酸がつながって構成されています。人間の細胞を構成するタンパク質は、アミノ酸の配列や数の違いなどにより、10万種類ほどあると言われているんです。
再合成されるタンパク質
タンパク質は体内で分解と合成を繰り返しており、古くなると排泄され、日々新しく作り替えられます。
摂取されたタンパク質は、胃や小腸などの消化器官で酵素と結合してアミノ酸に分解され、小腸で吸収されて全身の細胞に送られます。細胞に集まったアミノ酸はお互いにつながって、カラダに必要なタンパク質に再合成されるんです。
タンパク質の主な2つの働きって?
タンパク質の主な働きは2つ。
①体をつくる材料
②エネルギー源
タンパク質は、筋肉や肌、皮膚、脳、爪、臓器、髪、血液など「体をつくる原料」です。また、ホルモン調節やエネルギー源という大切な働きもしています。
必須アミノ酸とは?
タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できない9種類を「必須アミノ酸」と呼びます。アミノ酸は1つでも欠けると重大な栄養障害を起こすことがあるため、日々の食事から摂取する必要があります。
残りの11種類は、体内で作り出すことができます。
〇必須アミノ酸 9種類
バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン
〇非必須アミノ酸 11種類
グリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、システイン、アルギニン、プロリン
タンパク質はどのくらい摂ったらいいの?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、タンパク質の一日あたりの摂取推奨量は次の通りです。
男性 65g(18~64歳)
60g(65歳以上)
女性 50g(18歳以上)
体内のタンパク質は分解と合成をくり返し、新しい細胞と古い細胞が入れ替わっています。大人の場合、1日に200~300gのタンパク質が分解されていて、食物として摂らなければならない必要量が上記になります。
アミノ酸スコアって?
アミノ酸スコアの数値は0〜100まであり、100に近い数値であるほど理想的です。必須アミノ酸はそれぞれ必要な摂取量が示されています。「アミノ酸スコア100」というのは、その含有量が一定基準をクリアしている食品だということです。
タンパク質が不足すると?
タンパク質が不足するとカラダを作る材料が足りなくなったり、酵素やホルモンなどカラダを調整する機能が働きずらくなったりして、次のような影響が出てきます。
①免疫力低下
②筋力低下
③髪の毛や肌の調子が悪くなる
④集中力低下
⑤ストレスに敏感になる
⑥老化を早める
タンパク質を摂り過ぎると?
逆に摂り過ぎると次のようなリスクが。タンパク質は不足しても過剰摂取でもダメなんです。適量を知ることが大切ですね。
①カロリーオーバーになる
②腸内環境が乱れる
③肝臓や腎臓に負担がかかる
①カロリーオーバーになる
肉や卵などの動物性タンパク質は摂取する際の効率性は高いのですが、脂質量が多く、カロリーが高いというデメリットがあります。摂取し過ぎるとカロリーオーバーとなり、肥満につながってしまうので注意しましょう。
②腸内環境が乱れる
動物性タンパク質を摂りすぎると、体に吸収されなかったタンパク質が腸内に送られ、悪玉菌のエサになってしまいます。悪玉菌が増えると腸内環境が乱れ、カラダに様々な悪影響を及ぼします。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓↓
③肝臓や腎臓に負担がかかる
摂り過ぎて余ったタンパク質は、分解されて窒素に変換されます。窒素は体内の分解過程で有害なアンモニアに変わるため、体外に排出しなければなりません。
肝臓が無害な尿素に変換し、腎臓が尿に精製して排出します。その量が多くなると、肝臓や腎臓への負担が大きくなり、内臓疲労を起こしてしまうんです。
なぜタンパク質不足なの?
飽食の時代と言われる現代。どうしてタンパク質不足だと言われるのでしょうか?通常の食事量であれば、基本的に不足することはないと言われています。ところが、次に挙げる2点が理由でタンパク質が足りなくなることがあるんです。
①食事量の低下
②タンパク質の消耗
①食事量の低下
食事量が低下する理由は2つあります。
①ダイエットによるもの
②加齢によるもの
〇ダイエットによるもの
過度なダイエットによって食事量を極端に減らしたり、特定の食べ物だけを摂取して栄養が偏ったり、逆に特定の栄養を摂らなかったりすると、タンパク質不足になることがあります。
〇加齢によるもの
高齢者になると食が細くなって食事量が減少したり、歯が弱って嚙む力が衰えたり、肉や魚などを食べる量が減ったりして十分なタンパク質を摂れなくなりがちです。
咀嚼や嚥下が困難な方は、柔らかめに調理したりとろみをつけたりするなど、食べやすい硬さに加工するといいでしょう。食べ物から補給できない場合は、プロテインやサプリメントなどから補うという手もあります。
加齢により、消化・吸収が十分に行われていないケースも考えられます。高齢者がタンパク質不足になると、体の機能が低下し、転倒や骨折を起こしやすくなります。十分に注意しましょう。
食生活の変化によりパンやインスタント食品などのジャンクフードなどで食事を済ませる方が増えており、十分な栄養が摂れていないケースも
②タンパク質の消耗
ストレスにさらされたり激しい運動をしたりするとカラダのタンパク質が消耗しやく、食事による摂取のみではタンパク質が不足することがあります。
動物性タンパク質と植物性タンパク質との違いって?
肉、魚、卵、乳製品などの「動物性タンパク質」と、大豆などの「植物性タンパク質」とがあります。大きな違いは次の2点です。
①必須アミノ酸のバランス
②必須アミノ酸の体内吸収率
①必須アミノ酸のバランス
動物性タンパク質は、必須アミノ酸のバランスや含有量が豊富で「アミノ酸スコア」が100のものが多いです。植物性タンパク質には、不足している必須アミノ酸があります。
②必須アミノ酸の体内吸収率
体内での吸収率は、動物性タンパク質が97%、植物性タンパク質は84%。消化・吸収について、動物性タンパク質は速く、植物性タンパク質はゆっくりなんです。
動物性タンパク質のデメリット
このように見てくると、動物性タンパク質だけを摂っていれば良いのではないか?と思いがちですが、デメリットもあります。それは、カロリーと脂質量が高いこと。
とり肉は豚肉や牛肉に比べると低カロリー&低脂質ですが、それでも植物性タンパク質と合わせてバランスよく摂ることをオススメします。
植物性タンパク質のメリット
〇カロリーや脂質量が低い
〇水溶性ビタミンやナトリウムやカリウムを含んでいるものが多く、代謝を促してくれる
タンパク質の効果・効能とは?
タンパク質の働きから得られる効果・効能は次の通りです。
①ダイエット効果
②美容効果
③免疫力アップ効果
④精神安定効果
①ダイエット効果
タンパク質は糖質や脂質よりも脂肪になりにくいうえに、筋肉量を増やして基礎代謝を上げ、脂肪が燃焼しやすいカラダにしてくれます。ただし、タンパク質を一回の食事でまとめて摂るのは逆効果。分解しきれずに脂肪として蓄積されてしまうので注意しましょう。
②美容効果
とり肉に多く含まれるタンパク質は、肌、髪、爪などをつくる栄養素。肌のハリや弾力を保つコラーゲンもタンパク質の一種です。 コラーゲンは、皮膚の真皮の約70%を構成しています。
③免疫力アップ
免疫細胞である白血球の主成分はタンパク質です。また、免疫は「体温が1度下がると30%落ち、1度上がると5~6倍になる」と言われていますが、体温の約40%を産出している筋肉の主成分もまた、タンパク質なんです。
④精神安定効果
トリプトファンは、必須アミノ酸の一種。とり肉のタンパク質に多く含まれており、「しあわせホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料です。セロトニンは自律神経のバランスを整えたり、精神状態を安定させたりする作用があります。また、夜になると睡眠を促すメラトニンに変化し、不眠を改善する効果が期待できます。
三大神経伝達物質とは?
・ノルアドレナリン
神経を興奮させる脳内ホルモン
・ドーパミン
快感を増幅させる脳内ホルモン
・セロトニン
ドーパミン・ノルアドレナリンを制御し、精神を安定させる脳内ホルモン
タンパク質の摂り方って?
タンパク質は、以下の方法で摂取することができます。
①タンパク質を多く含む食事を摂る
②プロテインやサプリメントを利用する
③タンパク質の吸収率を上げる栄養素を一緒に摂る
タンパク質の効率のよい摂り方には、いくつかのポイントがあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください↓↓
実はタンパク質不足?とり方にはコツがあるんです!!効果的なタンパク質の摂取方法についてみていきましょう
こちらの記事も参考にしてください↓↓
タンパク質が不足するとどうなるの?タンパク質の効果・効能って?ダイエットや筋トレなど、目的に応じた摂り方とは?
まとめ
- タンパク質とは?
〇糖質、脂質と並んで三大栄養素のひとつ
〇20種類のアミノ酸がつながって構成されている
〇タンパク質は体内で分解と合成を繰り返している
〇必須アミノ酸と非必須アミノ酸とがある
〇動物性タンパク質と植物性タンパク質があり、以下の違いがある
・必須アミノ酸のバランス
・必須アミノ酸の体内吸収率 - タンパク質の役割とは?
①カラダを作る材料
②エネルギー源 - タンパク質の摂取基準量
〇男性 65g(18~64歳)60g(65歳以上)
〇女性 50g(18歳以上) - タンパク質が不足すると?
①免疫力低下
②筋力低下
③髪の毛や肌の調子が悪くなる
④集中力低下
⑤ストレスに敏感になる
⑥老化を早める - タンパク質が不足する2つの原因は?
①食事量の低下
〇ダイエットによるもの
〇加齢によるもの
②タンパク質の消耗 - タンパク質の摂り方は?
①タンパク質を多く含む食事を摂る
②プロテインやサプリメントを利用する
③タンパク質の吸収率を上げる栄養素を一緒に摂る - タンパク質を摂り過ぎると?
①カロリーオーバーになる
②腸内環境が乱れる
③肝臓や腎臓に負担がかかる - タンパク質の効果・効能
①ダイエット効果
②美容効果
③免疫力アップ効果
④精神安定効果
おわりに
タンパク質の働きについてみてきましたが、いかがでしたか?三大栄養素の一つであり、カラダを構成するタンパク質。現代人は不足しがちだと言われています。
かといって、摂り過ぎると弊害も。必要な摂取量は年齢や状況によって違うので、自分にとっての必要量を把握し、ちゃんと補えているのか意識するようにしましょう。
摂取方法は2つ。タンパク質を多く含む食品を摂ること、不足分をプロテインやサプリメントで補うこと。せっかく摂ったタンパク質が消化・吸収されないと意味がないので、吸収率を高める栄養素もしっかり摂ることが大切です。
タンパク質が不足するとカラダの機能低下につながるので、これを機に見直してみてくださいね。
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