活性酸素をわかりやすく①活性酸素とは?酸化ストレスの7つの原因と2つの抗酸化作用って?
活性酸素が健康被害や老化の進行の原因とされ、注目されています。そもそも、活性酸素とは何なのでしょうか?活性酸素が発生すると、なぜ健康を害したり老化が進んだりするのでしょうか?
私たち動物が生命維持に欠かせない呼吸。酸素を吸って生きている限り、活性酸素の発生や、活性酸素による酸化は避けることはできません。
健康なカラダを維持するためには、正しい知識をもって、予防・対策をしていく必要があります。活性酸素についてわかりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
- 1.酸素が活性酸素に変化します
- 2.活性酸素の役割とは?
- 3.活性酸素が増えすぎると?
- 4.酸化ストレスの原因って?
- 5.抗酸化能力とは?
- 6.活性酸素の増加を予防するには?
- 7.活性酸素の測定
- 8.まとめ
- 9.おわりに
酸素が活性酸素に変化します
酸素が活性酸素に変化する
大気中には、約20%の酸素が含まれています。私たちはこの酸素を使って呼吸をすることにより、生命を維持しています。体内に取りこまれた酸素のうち、数%が「活性酸素」に変化するんです。活性酸素とは、反応性の高い酸素。言い換えると、ほかの物質を酸化させる力が非常に強い酸素のことです。
通常、活性酸素は酸素に電気的な刺激や紫外線などを加えると発生します。私たちのカラダの中で活性酸素に変性するのは、なぜでしょうか?
体内には、たんぱく質や脂質、核酸など多くの物質が存在しています。その中には酸素と化学反応を起こすものがある、というのがその理由です。
代表的な活性酸素の種類
体内で生成される活性酸素のうち、代表的な種類は次の通り。特に毒性が強いのは、ヒドロキシラジカルだと言われています。
〇スーパーオキシド
〇一重項酸素
〇ヒドロキシラジカル
酸化とは?
酸化とは一般的に「電子を失う化学反応、あるいは物質が水素を奪われるなどの化学反応」と定義されています。活性酸素が体内に生じた状態を「からだの酸化」と呼びます。
例 鉄が酸化して錆びるメカニズム
鉄の電子が酸素に移動することにより酸化鉄となった状態。
活性酸素の役割とは?
悪者にされがちな活性酸素ですが、実は、必要な役割もあるんです。
①細胞間の伝達物質として働く
②免疫機能として働く
③感染防御として働く
④排卵、受精、細胞の分化・アポトーシスなどに関わる
活性酸素が増えすぎると?
細胞を傷つけてしまいます
カラダにとって大切な役割がある活性酸素ですが、増えすぎると悪影響を及ぼします。なぜなら、活性酸素が増えすぎると細胞を傷つけてしまうから。
細胞の外側にある細胞膜は不飽和脂肪酸で作られているのですが、活性酸素と結びつくと過酸化脂質に変化します。過酸化脂質になると、栄養の取り入れと老廃物の排出がスムーズにできなくなります。これは、細胞が錆びた状態。鉄が酸化して錆びているのと同じような感じです。
また、活性酸素は細胞の核を損傷させたり、死滅させたりします。人のカラダは約60兆個の細胞でできているため、病気=細胞の異常と捉えることができるでしょう。活性酸素が諸悪の根源だと言われる所以です。
活性酸素の増えすぎで起こる症状とは?
活性酸素が増えすぎ、体内が酸化することで起こる症状や疾患には次のようなものがあります。
①老化
②生活習慣病
③脳神経疾患
④その他
①老化
老化というと美容面を想像しますが、それだけではありません。肌だけでなく、脳や血管、骨や筋肉も老化が進んでしまいます。
②生活習慣病
カラダの酸化が進むと、次のような生活習慣病につながるので注意しましょう。
〇がん
〇心疾患
〇脳血管疾患
〇動脈硬化症
〇糖尿病
〇高血圧症
〇脂質異常症
〇肝炎
〇すい炎
〇腎不全
〇胃潰瘍
〇関節リウマチ
〇アトピー性皮膚炎
〇歯周病
など
がんは、正常細胞のDNAが損傷して突然変異することでがん化します。正常細胞のDNAを傷つけるものの一つが活性酸素だと言われています。また、各臓器は活性酸素によってダメージを受け、炎症を起こすことがあります。
活性酸素が増え過ぎると、DNAやたんぱく質、脂質、糖質が酸化されます。動脈硬化の方の血管は、酸化した脂質が蓄積して血管の内腔が狭くなって、血液が流れにくくなっています。糖尿病の方は、酸化した糖とたんぱく質が結合して、糖化たんぱく質が増えていることがわかっています。
③脳神経疾患
カラダの酸化は、次のような脳神経疾患も引き起こします。
〇パーキンソン病
〇アルツハイマー型痴呆症
など
パーキンソン病やアルツハイマー型の痴呆症の方は、活性酸素によって酸化したたんぱく質などが蓄積していると言われています。
④その他
〇白内障
酸化ストレスの原因って?
酸化ストレスとは?
活性酸素の産生が抗酸化防御機構を上回った状態を酸化ストレスといいます。酸化ストレスが老化や健康被害の原因です。
酸化ストレスの要因とは?
酸化ストレスの主な要因は、次の通り。
〇生活習慣の乱れ
・食生活
・運動
・睡眠
〇ストレス
〇薬剤
〇タバコ
〇過剰なアルコール摂取
〇紫外線、放射線
〇大気汚染
〇生活習慣の乱れ(食生活・運動・睡眠)
スナック菓子やインスタントラーメンなどの加工食品、揚げ物などは酸化されやすい脂肪を多く含んでいるため、注意が必要。食品添加物も酸化を促進させます。
活性酸素を増やさないために適度な運動が効果的。ところが過度な運動は酸素摂取量が多くなるため、逆に活性酸素を産生させると言われています。
睡眠不足や睡眠リズムの乱れなど、睡眠の質が悪いと、活性酸素が増加します。
〇ストレス
ストレスを受けると血管が収縮して血流が悪くなるため、酸素の循環が滞って活性酸素が発生しやすくなります。また、ストレス時に分泌される抗ストレスホルモンのコルチゾールは、 特に毒性が強いヒドロキシラジカルという活性酸素に変化します。
〇タバコ
タバコの煙は大量の活性酸素を発生させるうえ、抗酸化物質であるビタミンCを破壊します。
〇過剰なアルコール摂取
アルコールが肝臓で分解される過程で、活性酸素を発生させてしまいます。
〇紫外線、放射線
紫外線を浴びると皮膚細胞に大量の活性酸素が発生して、シミやシワの原因に。放射線を浴びた場合も、活性酸素が生じます。
〇大気汚染
ディーゼルエンジンの排気ガス、排煙やダイオキシンなどの大気汚染は、活性酸素の増加につながります。
抗酸化能力とは?
酸化防御機構が備わっています!
呼吸をするたびに生み出される活性酸素。必要な役割をもっていますが、増えすぎると老化や健康被害につながることがお分かりいただけたと思います。私たちには、活性酸素からカラダを守るための「抗酸化防御機構」が備わっています。
酸化防御機構って?
酸化防衛機構は、次のような方法で活性酸素から私たちを守ってくれています。
①活性酸素を除去する
②活性酸素の発生を抑制する
③受けたダメージの修復・再生を促す
酸化防衛機構は2種類
酸化を抑えることを抗酸化と言い、活性酸素から体を守ることを抗酸化作用と言います。酸化防衛機構には次の2種類があり、活性酸素の多くはこの2つで消去されます。
①抗酸化酵素
②抗酸化物質
①抗酸化酵素
抗酸化酵素は体内で合成され、過剰に発生した活性酸素を分解・除去してくれます。ただし、加齢とともに減少すると言われています。主なものは次の通り。
〇スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)
〇カタラーゼ
〇グルタチオンペルオキシダーゼ
など
抗酸化酵素は、細胞内の活性酸素をおよそ10万分の1に減らしてくれますが、特に毒性が強いヒドロキシラジカルという活性酸素へと変化すると、これを解毒することのできる酵素はないと言われています。
②抗酸化物質
抗酸化物質とは、活性酸素の発生や酸化力を抑制したり、活性酸素そのものを取り除く物質のこと。体外から食事などで摂取します。
抗酸化酵素は加齢と共に減少してしまうので、抗酸化物質を食事から補給しましょう。主なものは次の通りです。
〇ビタミンA
〇ビタミンC
〇ビタミンE
〇ポリフェノール
など
活性酸素の増加を予防するには?
活性酸素を減らしたり、予防したりするには、どうしたらいいのでしょうか?
〇食生活を見直す
〇抗酸化物質を積極的に摂る
〇適度な運動習慣
〇過度なストレスを避ける
〇紫外線や放射線を避ける
〇禁煙をする
〇アルコールを飲み過ぎない
活性酸素の増加を予防する方法については、こちらの記事にまとめましたので、ぜひ参考にしてください↓↓
活性酸素の測定
目には見えない活性酸素。活性酸素がご自身のカラダに与えているストレスと、そのストレスに対する抵抗力を知りたいと思いませんか?実は医療機関で測定することができるんです。次の2通りの方法があります。
①血液検査
②尿検査
血液検査では、酸化ストレスと抗酸化力を知ることができます。活性酸素によってダメージを受けた脂質、タンパク質、アミノ酸、核酸などが変化したヒドロペルオキシドの値を測定します。
尿検査では、尿中の8-OHdGを測ります。 8-OHdGは、遺伝子が活性酸素の攻撃を受けると排出される物質です。その物質を測定することにより、活性酸素によって遺伝子がどの程度ダメージを受けているかが分かります。
まとめ
- 体内に取りこまれた酸素のうち、数%が「活性酸素」に変化する
- 活性酸素の種類
〇スーパーオキシド
〇一重項酸素
〇ヒドロキシラジカル - 特に毒性が高いのはヒドロキシラジカル
- 酸化とは?
電子を失う化学反応、あるいは物質が水素を奪われるなどの化学反応 - 活性酸素の役割とは?
①細胞間の伝達物質として働く
②免疫機能として働く
③感染防御として働く
④排卵、受精、細胞の分化・アポトーシスなどに関わる - 性酸素が増えすぎると細胞を傷つけてしまう
- 活性酸素が増えすぎると起こる症状とは?
①老化
②生活習慣病
③脳神経疾患
④その他 - 酸化ストレスとは?
活性酸素の産生が抗酸化防御機構を上回った状態 - 酸化ストレスの原因とは?
〇生活習慣の乱れ
・食生活
・運動
・睡眠
〇ストレス
〇薬剤
〇タバコ
〇過剰なアルコール摂取
〇紫外線、放射線
〇大気汚染 - 酸化防衛機構とは?
①活性酸素を除去する
②活性酸素の発生を抑制する
③受けたダメージの修復・再生を促す - 二種類の酸化防衛機構
①抗酸化酵素
②抗酸化物質 - 抗酸化酵素
〇スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)
〇カタラーゼ
〇グルタチオンペルオキシダーゼなど - 抗酸化物質
〇ビタミンA
〇ビタミンC
〇ビタミンE
〇ポリフェノールなど - 酸化酵素の増加を予防するには?
〇食生活を見直す
〇抗酸化物質を積極的に摂る
〇適度な運動習慣
〇過度なストレスを避ける
〇紫外線や放射線を避ける
〇禁煙をする
〇アルコールを飲み過ぎない - 活性酸素の測定ができる
〇血液検査
〇尿検査
おわりに
健康や美容に大きな影響を与えるカラダの酸化。カラダの酸化とは、活性酸素が過剰に増えた状態です。活性酸素は、生きて呼吸をしている限り産出され続けるため、いかに活性酸素が増えすぎるのを防止するかが、私たちのカラダを守るうえで必要不可欠なんです。活性酸素とはなにか、カラダが酸化するとどうなるのか、その原因とは?
活性酸素や酸化について、できるだけ分かりやすくまとめました。大切なカラダを守るために、今回の記事を参考にしてくださいね。
この記事へのコメントはありません。