簡単!手作り発酵食品レシピ『豆乳塩麴』。麹の特性を知って、失敗しらずに!!
健康への意識が高まり、発酵食品が注目されています。私のまわりでも「味噌や塩麴を手作りしたい!」という声が聞かれるようになりました。数々の発酵食品を生み出し、日本の発酵文化を支えている麹。その特性を知れば、失敗が減ったり、応用をきかすこともできるんです。
今回ご紹介するのは、豆乳塩麴。通常は水で仕込むのですが、そのかわりに豆乳を使います。よりまろやかでクリーミーな仕上がりに。豆乳の栄養価を得られるのも嬉しいですね。
発酵食品を作るのはハードルが高そうに見えますが、シンプルで簡単。ぜひ作ってみてください!!
この記事の目次
- 1.『豆乳塩麴』とは?
- 2.麹ってなに?
- 3.麹が作り出す発酵食品とは?
- 4.麹と温度との関係について
- 5.発酵食品を効果的にとり入れるには?
- 6.まとめ
- 7.おわりに
『豆乳塩麴』とは?
『豆乳塩麴』ってなに?
今回ご紹介するのは、豆乳塩麴。通常は水で仕込む塩麴ですが、そのかわりに豆乳を使います。よりまろやかでクリーミーに仕上がるんです。作り方はとても簡単。次の3ステップでできます。
〇塩切米麹を作り
〇豆乳を加えて
〇発酵させるだけ!!
レシピについては簡単&手作り!発酵食品!『豆乳塩麴』レシピ。作り方は3ステップ!!をご覧ください。
麹ってなに?
『豆乳塩麴』は米麹を使って発酵させます。味噌や甘酒など、伝統的な発酵食品にも使われている麹菌。その働きなどについて、詳しく見ていきましょう。
麹ってなに?
麹とは、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を繁殖させたもの。米麹は、蒸したお米に麹菌を種付けして作られています。麹菌は「ニホンコウジカビ」という菌(カビの一種)。日本特有のもので、国菌に指定されています。
麹菌の役割って?
発酵食品を作る上で欠かせない麹菌。その働きは以下の通りです。
①酵素を生成する。
②酵母や乳酸菌に必要な栄養源を供給する。
①酵素を生成する
麹菌は、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼなど30種類以上の酵素を生成します。酵素には食物に含まれる栄養素を分解して、消化・吸収を助ける役割があります。
〇アミラーゼ
デンプンをブドウ糖に分解する
〇プロテアーゼ
タンパク質をアミノ酸に分解する
麹菌はなぜ酵素を生成するの?
麹菌は、デンプンやタンパク質をそのままの状態で利用することができません。吸収するためには、いったん分解する必要があります。そのために酵素を体外に分泌するんです。
酵素の特徴とは?
酵素のほとんどはタンパク質でできています。ヒトの体内には、約5,000種類もの酵素があると言われています。
なぜなら、酵素はそれぞれある特定の反応しか触媒することができないからです。デンプンを分解する酵素は、タンパク質や脂質を分解することができません。
②酵母や乳酸菌に必要な栄養源を供給する
麹菌は代謝の過程で、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、イノシトールなどのビタミン類を生成します。また、麹の酵素はオリゴ糖を生み出します。
麹が作り出す発酵食品とは?
発酵ってなに?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
発酵によって得られるメリットって?
①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。
①消化・吸収がよくなる
麹菌が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。
②うまみが加わる
酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。
③栄養価が加わる
先ほども書きましたが、麹菌は代謝の過程でビタミン類を生成します。また、麹の酵素はオリゴ糖を生み出します。特に豊富に含まれるビタミンB群は、血行と代謝をアップさせてくれます。また、オリゴ糖は腸内細菌である善玉菌のエサとなって繁殖を助けます。
ビタミンB群の効果
〇疲労回復効果
ビタミンB1
〇成長を促進する効果
ビタミンB2、ビタミンB6
〇粘膜や皮膚を健康に保つ効果
ナイアシン
〇エネルギーを生成する効果
パントテン酸
〇女性の健康を保つ効果
葉酸
〇血糖値を下げる効果
ビオチン
④保存性がよくなる
本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!
発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。
腸内環境を整えることで得られる6つの効果・効能
発酵食品は腸内環境を整えてくれます。腸には栄養素の消化吸収機能に加え、免疫機能があります。「腸活」が流行っている理由として、次の6つの効果・効能が期待できます。
①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和
①便秘解消
発酵菌は腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増えにくい環境に整えます。また、腸のぜん動運動を促し、排便回数や排便量などを改善します。
②肌荒れ&ニキビ改善
肌荒れやニキビは、悪玉菌が産生する有害物質が原因。発酵菌は悪玉菌を減らし、腸の内容物が腐敗するのを防ぎます。
③免疫力の向上
発酵菌は、免疫細胞の一種である「NK細胞」や「マクロファージ」を活性化させます。免疫力が上がると、風邪やインフルエンザ、発がんリスクの低減などが期待されます。
④アレルギー改善
アレルギー症状は、液性免疫(Th2)が暴走すると起こります。Th2は悪玉菌が増えると優位になるため、発酵菌で腸内環境を整えることが大切です。
⑤ダイエット効果
悪玉菌が増えると、腐敗物が血液に溶け出して血行を悪化させ、消化吸収の機能を妨げます。腸内環境を整え、基礎代謝を上げます。
⑥ストレス緩和
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の約90%が腸に存在しています。セロトニンが増えると、精神状態が安定します。逆に不足すると、慢性的ストレスや疲労、意欲低下、うつ症状、不安感やイライラ感の原因となります。
麹と温度との関係について
麹菌が活性化したり、死滅したりする温度があります。麹菌が生成する酵素にも、作用するのに最適な温度があります。麹を使って発酵食品を作っていると、よくいただく質問が温度に関するもの。その疑問にお答えしますね。
生菌と死菌って?
「発酵食品を加熱してもいいのかどうか?」。結論からお伝えすると、麹は一定の温度以上で死滅しますが、火を通すことはさほど気にする必要はありません。
①麹菌
〇増殖に適した温度 25~30度
〇繁殖が止まる温度 45度
〇死滅する温度 50度前後
②酵素
〇失活する温度 60~70度、50度以下
「死菌」にも役割があるんです!!
「生きた菌を腸に届けたい」と考える方が多いのですが、麹菌を口から摂取した場合、胃酸で溶けると言われています。そもそも発酵食品が体に良いのは「発酵の過程で有益な成分が生成されていたり、消化しにくい物質が消化されやすくなるから」。生きた菌が腸に届かなくても、ちゃんと効果・効能を得ています。
また、死菌でも生菌の半分くらいの菌数の効果は期待できます。しかもいわゆる「死菌」にも次のような役割があるので、さほど気にする必要はありません。その役割については次の通りです。
〇腸に棲みついている乳酸菌のエサになり、腸内環境のバランスを善玉菌優位にする。
〇血中コレステロール値を下げるはたらは生菌と同じ。
〇免疫を高める効果がある。
発酵食品を効果的にとり入れるには?
カラダに良い作用をもたらす発酵食品。その効果・効能を最大限に受け取るためのポイントは2つ。
①適量を長く続けること
②他の発酵食品と組み合わせて摂ること
①適量を長く続けましょう
発酵食品がカラダに良いとはいえ、一度に多くの量を摂り過ぎることは禁物です。成分によっては摂り過ぎることで、逆にカラダに害を及ぼすことさえあるんです。
発酵食品は薬ではないので、即効性があるというよりは、長く続けることで体質が改善されていきます。まずは一ヶ月。焦らず長い目で摂り続けましょう。
④ほかの発酵食品と組み合わせて摂りましょう
発酵食品は、数種類のものを組み合わせて食べるとさらに効果が得られると言われています。ヨーグルトや納豆、味噌など、色々な発酵食品を日々の食卓に取り入れるといいでしょう。
まとめ
- 麹とは?
米、麦、大豆などの穀物に麹菌を繁殖させたもの。 - 麹の役割って?
①酵素を生成する。
②酵母や乳酸菌に必要な栄養源を供給する。 - 発酵ってなに?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 - 発酵によって得られるメリットって?
①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。 - 腸内環境を整えることで得られる効果・効能
①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和 - 麹と温度との関係について
〇麹菌が生成する酵素が活発に活動する温度は50~60度。じょうずに発酵を進めるには、この温度を保つことが必要。
〇一定の温度で麹菌は死滅する。死菌にも役割があるため、発酵食品を加熱することについて、さほど気にする必要はない。 - 効果を高める発酵食品の摂り方って?
①適量を長く続けること
②他の発酵食品と組み合わせて摂ること
おわりに
健康に対する意識が高まるなか、注目されているのが発酵食品。メディアや書店で「発酵」という文字を目にすることが多くなり、意識的に日々の食事に摂り入れるご家庭が増えています。
なかでも塩麴は、とり入れやすい調味料。スーパーでも見かけますし、簡単に作ることもできます。私は塩の代わりに日常使いしています。お肉を漬けておくと味がしみ込むだけでなく、酵素のチカラでとても柔らかくなるんです。
さて、今回は水の代わりに豆乳を使って発酵させる「豆乳塩麴」をご紹介しました。一般的な塩麴よりもクリーミーで、チーズのような風味になります。
タンパク質やイソフラボンなど、大豆の栄養素が加わることも魅力的。発酵食品を手作りするのは一見ハードルが高そうですが、ポイントさえおさえれば簡単です。ぜひ作ってみてくださいね!
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