簡単!手作り発酵食品レシピ『豆乳塩麴』気になる温度との関係。温度管理で失敗知らず!カビが生えやすい温度って?加熱しても大丈夫?にもお答えします!!
健康への意識が高まり、発酵食品が注目されています。私のまわりでも「味噌や塩麴を手作りしたい!」という声が聞かれるようになりました。今回ご紹介するのは、豆乳塩麴。通常は水で仕込むのですが、そのかわりに豆乳を使います。よりまろやかでクリーミーに仕上がるんです。
豆乳の栄養価を得られるのも嬉しいですね。発酵食品を作るのはハードルが高そうに見えますが、シンプルで簡単。ぜひ作ってみてください!!
ところで、発酵と温度は切っても切れない関係。発酵食品を手作りするようになると、必ずと言っていいほど温度についての疑問が浮かんできます。
〇発酵しない理由は温度管理にあり?
〇カビと温度との関係って?
〇発酵食品は加熱してもいいの?
今回は、「温度」というキーワードに焦点を当てていきますね。発酵食品を食べたり作ったりする際の参考にしてください!!
この記事の目次
- 1.『豆乳塩麴』とは?
- 2.発酵とは?
- 3.発酵しないのはなぜ?
- 4.カビと温度との関係
- 5.発酵食品は加熱してもいいの?
- 6.まとめ
- 7.おわりに
『豆乳塩麴』とは?
『豆乳塩麴』ってなに?
今回ご紹介するのは、豆乳塩麴。通常は水で仕込む塩麴ですが、そのかわりに豆乳を使います。よりまろやかでクリーミーに仕上がるんです。作り方はとても簡単。次の3ステップでできます。
〇塩切米麹を作り
〇豆乳を加えて
〇発酵させるだけ!!
レシピについては簡単&手作り!発酵食品!『豆乳塩麴』レシピ。作り方は3ステップ!!をご覧ください。
豆乳塩麴の使い方って?
豆乳塩麴がカラダに良いのは分かったけれど、実際にどのように使ったらいいのか分からない…という声を聞きます。私は以下の方法で日常使いしています。
①肉を漬けておく
②魚を漬けておく
③塩の代わりに使う
④ドレッシングや手作りマヨネーズに
お肉を豆乳塩麴に漬けておくと、酵素が肉のタンパク質を分解してくれるので、調理したときに柔らかくジューシーに仕上がります。魚の漬け込みは、臭みがとれるのでオススメです。
豆乳塩麴はマイルドなので、ふつうの塩麴よりもドレッシングやマヨネーズを作るのに向いているんです。クリーミーでおいしいですよ。私がいつも作っている卵を使わない『発酵マヨネーズ』のレシピを以下にご紹介しましょう。
豆乳塩麴を使った『発酵マヨネーズ』
レシピ
【材料】
〇豆乳塩麴 大さじ1
〇豆乳(無調整のもの) 大さじ2
〇酢 大さじ2
〇甘酒 大さじ4
〇油 200CC
【作り方】
〇豆乳塩麴、豆乳、酢、甘酒を容器に入れて混ぜる
〇ミキサーで撹拌しながら、油を少しずつ加える
〇クリーム状に乳化したら完成
豆乳塩麴の効果・効能とは?
豆乳塩麴の主な効果・効能は次の通りです。
①ダイエット効果
②美容効果
③免疫力アップ効果
④コレステロール値の改善効果
豆乳は、必須アミノ酸の大豆タンパク質をはじめ、ビタミンB群やビタミンEなどのビタミン類、カリウムやカルシウムなどのミネラル、脂肪酸ポリフェノールの一種である大豆イソフラボン、サポニンやレシチン、オリゴ糖など多くの栄養素を含んでいます。
また、麹菌は代謝の過程でビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、イノシトールなどのビタミン類を生成します。
さらに、発酵食品の人気が高まっている理由が整腸作用。腸内環境が整うと、次の6つの効果が期待できます。
①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和
発酵とは?
発酵とは?
まずは『発酵』について簡単に説明しましょう。発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。発酵の過程で得られるメリットは次の通りです。
①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる
①消化・吸収がよくなる
微生物が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。
②うまみが加わる
酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。
③栄養価が加わる
食品は発酵させることで栄養価がアップします。 微生物によって食材のデンプンやたんぱく質等の栄養素が分解されることもメリットのひとつ。栄養をスムーズに取り込むことができます。
④保存性がよくなる
本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!
発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。
発酵しないのはなぜ?
「レシピ通りに作ったのに、発酵しないんだけど…」という悩みをよく聞きます。豆乳塩麴の場合は塩気が強く、甘みやまろやかさ、旨味が感じられない状態ですと、発酵不足だと考えられます。なぜ上手に発酵が進まなかったのでしょうか?これにはちゃんと理由があるんです。
発酵しない理由って?
麹菌が酵素を生成し、材料に含まれる有機物を分解することで発酵が進みます。発酵しないということは、麹菌が活発に働いていないから。たいていは、温度管理に原因があることが多いです。麹菌には、活性化する温度、働きが鈍くなる温度、死滅する温度があります。環境によって、増え方が違ってくるんです。
じょうずに発酵させるためのポイントとは?
発酵のメカニズムからみると、じょうずに発酵させるためには温度管理が大切だということが分かりました。麹菌を使って発酵食品を作る場合、50~60度を保って発酵させます。これは糖化させるために最適な温度が60度前後だからです。
一方、麹菌の増殖に適した温度は25~30度。繁殖が止まるのは45度、そして50度前後で死滅します。なんだか矛盾を感じませんか?
50~60度では麹菌そのものは生きていくことができません。『糖化』は、麹菌が発酵の過程で作り出す酵素の働きを利用したものなんです。
酵素の適温は?
麹菌が作り出す酵素。多くの酵素は60~70度で失活します。活動が止まるとデンプンを分解してくれなくなるので糖ができず、甘くなりません。逆に50度以下でも、酵素の働きは鈍くなってしまいます。
酵素が活発に活動する温度は50~60度。つまり温度が高すぎても低すぎても、NGだということ。「じょうずに発酵してくれなかった…」という方は、この温度調整に失敗したからなんです。
先ほどご紹介したレシピではヨーグルトメーカーを使用しているので、発酵している間は一定温度を保っています。そのため、ほぼ失敗することはありません。常温で発酵させる場合は、この温度管理によって発酵がうまく進まないことがあります。
カビと温度との関係
発酵食品を作っていて悩まされるのがカビ。せっかく作ったのに泣く泣く捨てることになった…という話をよく聞きます。カビが発育する温度は、5~45℃。最も育つのは15~30℃です。
繁殖を抑えるには、この温度を避ければいいということですね。私は、出来上がった豆乳塩麴を冷蔵保存しています。
冷蔵庫の温度は強弱などのモードにもよりますが、冷蔵室が約0℃~6℃、野菜室が約3℃~9℃、冷凍室が約マイナス22℃~マイナス16℃、瞬冷凍室が約マイナス18℃~マイナス5℃です。
ちなみにカビと言っても、カラダに有害なものと無害のものがあります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
発酵ってなに?シリーズ⑧手作りの発酵食品に「カビ」が生えてしまった!!カビって何?対策は?「手作り発酵食9レシピ」もご紹介します!!
発酵食品は加熱してもいいの?
生菌と死菌って?
麹を使って発酵食品を作っていると、よくいただくのが「発酵食品を加熱してもいいのかどうか?」という質問。麹菌は、一定の温度以上で死滅すると言われているからです。結論からお伝えすると、麹を使った発酵食品に火を通すことはさほど気にする必要はありません。
①麹菌
〇増殖に適した温度 25~30度
〇繁殖が止まる温度 45度
〇死滅する温度 50度前後
②酵素
〇失活する温度 60~70度、50度以下
「死菌」にも役割があるんです!!
「生きた菌を腸に届けたい」と考える方が多いのですが、麹菌を口から摂取した場合、胃酸で溶けると言われています。そもそも発酵食品が体に良いのは「発酵の過程で有益な成分が生成されていたり、消化しにくい物質が消化されやすくなるから」。生きた菌が腸に届かなくても、ちゃんと効果・効能を得ています。
また、死菌でも生菌の半分くらいの菌数の効果は期待できます。しかもいわゆる「死菌」にも次のような役割があるので、さほど気にする必要はありません。その役割については次の通りです。
〇腸に棲みついている乳酸菌のエサになり、腸内環境のバランスを善玉菌優位にする。
〇血中コレステロール値を下げるはたらは生菌と同じ。
〇免疫を高める効果がある。
まとめ
- 発酵とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 発酵の過程で
①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる - 発酵しないのはなぜ?
発酵しないということは、発酵菌が活発に働いていないから。
たいていは、温度管理に原因があることが多い。 - じょうずに発酵させるためのポイントとは?
温度管理に気をつける
→それぞれの発酵菌が活発に働く温度を保つこと。 - カビと温度との関係
5~45℃で発育。最も発生しやすいのは15~30℃。 - 発酵食品は加熱してもいいの?
死菌にも役割がある。
おわりに
健康に対する意識が高まるなか、注目されているのが発酵食品。メディアや書店で「発酵」という文字を目にすることが多くなり、意識的に日々の食事に摂り入れるご家庭が増えています。
なかでも塩麴は、とり入れやすい調味料。スーパーでも見かけますし、簡単に作ることもできます。私は塩の代わりに日常使いしています。お肉を漬けておくと味がしみ込むだけでなく、酵素のチカラでとても柔らかくなるんです。
さて、今回は水の代わりに豆乳を使って発酵させる「豆乳塩麴」をご紹介しました。一般的な塩麴よりもクリーミーで、チーズのような風味になります。
タンパク質やイソフラボンなど、大豆の栄養素が加わることも魅力的。発酵食品を手作りするのは一見ハードルが高そうですが、ポイントさえおさえれば簡単です。ぜひ作ってみてくださいね!
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