体脂肪①体脂肪は2種類あります!皮下脂肪と内臓脂肪の違いとは?体脂肪率の目安&測り方って?
脂肪と聞くと、まずマイナスイメージを持つ方が多いでしょう。ところが脂肪にも、大切な役割があるのです。とはいえ、増えすぎると健康被害につながります。
脂肪と一言でいっても、中性脂肪、体脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪…よく耳にする単語は意外と多くて、その違いを理解している人は少ないかもしれません。
健康やダイエットに大きく関係している脂肪について分かりやすくまとめましたので、健康やダイエットを考える際に、ぜひ参考にしてくださいね。
中性脂肪と体脂肪
中性脂肪とは?
私たちの脳や身体を動かすためのエネルギー源は、食事に含まれる糖質・脂質・タンパク質で、三大栄養素と呼ばれています。三大栄養素をエネルギー(カロリー)として使いきれなかった場合、肝臓で中性脂肪に合成され、体脂肪(皮下脂肪・内臓脂肪)として体内に蓄えられます。
私たちはまず、糖質をエネルギーとして使います。糖質が不足すると、貯蔵されていた中性脂肪が使われます。つまり、中性脂肪には「体内にエネルギーを蓄えておき、必要な時に供給する」という大切な役割があるのです。
その他にも、体温の維持や内臓の保護、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、K、E)や必須脂肪酸の吸収を助けるという働きがあります。
体脂肪は「皮下脂肪と内臓脂肪」の総称
体脂肪とは、皮下脂肪と内臓脂肪の総称です。中性脂肪は、まず皮下脂肪として蓄えられます。皮下脂肪が一定量を超えると、内臓脂肪として蓄えられるのです。それぞれに特徴があるので、順番にみていきましょう。
〇皮下脂肪
皮膚と筋肉との間に蓄えられた脂肪
〇内臓脂肪
内臓周辺に蓄えられた脂肪
皮下脂肪とは?
皮下脂肪って?
皮下脂肪は、 皮膚の下にある皮下組織に蓄えられた脂肪のこと。指でつまむことができ、次のような特徴があります。
〇全身につく
〇特に下半身につきやすい
〇洋ナシ形肥満と呼ばれる
〇外見で脂肪がついていることが分かる
〇女性につきやすい
〇少しずつ蓄積される
〇減らしにくい
皮下脂肪は内臓脂肪に比べてゆっくりと蓄積されていき、減らしにくいという特性があります。女性につきやすいと言われています。
皮下脂肪の2つの役割
皮下脂肪には、次のような役割があります。
〇寒さから体温を維持する
〇クッションとして内臓や骨などを保護する
皮下脂肪がたまり過ぎると…
皮下脂肪は、内臓脂肪に比べると生活習慣病など命に係わる病気につながりにくいと言われていますが、たまり過ぎると、次のような状態を引き起こしやすくなります。
〇肥満体形になる
〇膝や腰などに負担がかかる
〇睡眠時無呼吸症候群へのリスクが高まる
〇月経異常になりやすい
皮下脂肪がつくと見た目に分かりやすいため、体形に影響します。また、皮下脂肪の重みで膝や腰に負担がかかり、関節痛になる方が多いです。首周りについた脂肪が気道を圧迫するため、 睡眠時無呼吸症候群へのリスクも高まります。
肥満になるとレプチンという食欲をコントロールするホルモンの分泌が増え、月経異常になりやすいと言われています。
皮下脂肪の測定方法
皮下脂肪の測定は、皮下脂肪厚測定法(キャリパー法)で行われます。皮下脂肪厚測定器(キャリパー)という測定専用の機器を用い、 腕 (上腕背側部)と背中(肩甲骨下部)の皮下脂肪の厚みを計り、体脂肪を測定する方法。合計値をもとに体脂肪率を算出します。
内臓脂肪とは?
内臓脂肪って?
内臓脂肪は、 内臓周辺に蓄えられた脂肪のこと。皮下脂肪と違って、指でつまむことはできません。
〇胃や腸を覆う膜につく
〇お腹がぽっこりする
〇りんご形肥満と呼ばれる
〇一見太って見えない
〇男性につきやすい
〇短時間で蓄積される
〇減らしやすい
内臓脂肪は、横隔膜の下の空洞「腹腔(ふくくう)」の内部につく脂肪です。腹腔には胃や腸や肝臓などの消化器がおさまっているため、内臓脂肪と呼ばれています。
男性につきやすく、短時間で蓄積されますが、皮下脂肪に比べると落としやすいと言われています。エネルギーとして燃焼しやすいので、運動や減量などの効果が出やすいのです。
内臓脂肪がたまり過ぎると…
内臓脂肪は、皮下脂肪に比べて生活習慣病など命に係わる病気につながりやすいと言われています。内臓脂肪の脂肪細胞は、生理活性物質であるサイトカインを分泌しており、生活習慣病の予防に関与しているからです。
内臓脂肪が過剰に増えるとサイトカインの分泌量が減り、生活習慣病を引き起こしやすくなります。具体的には次のような症状がみられます。
〇高血糖
〇脂質異常
〇高血圧
内臓脂肪が増えすぎると、インスリンが正常に働かなくなって血液中の糖が使われず、血糖値が高くなります。また、血液中の中性脂肪が増えて脂質異常症になったり、血管が収縮することによって高血圧になったりします。
高血糖、脂質異常、高血圧は動脈硬化を引き起こし、糖尿病や脳卒中、心筋梗塞などの心疾患につながるのです。さらに、がんや認知症にも関与していることが分かってきました。
内臓脂肪の測定方法
内臓脂肪は、腹部CTスキャンによって測定します。へその位置の内臓脂肪の断面積をみて、100 cm²以上あると「内臓脂肪型肥満」と診断されます。 100 cm² とは、約3kgの内臓脂肪がついているということ。腹囲でみると、男性85㎝、女性90㎝位です。
体脂肪率とは?
体脂肪率とは?
体脂肪率とは、体重に占める体脂肪の割合を%で表したものです。 次の計算式で求めることができます。家庭用の体組成計や体脂肪計で簡単に測定することができます。
体脂肪率%=体脂肪量(kg)÷体重(kg)×100
人間の身体の約2~3割が脂肪でできています。体重50㎏の女性で体脂肪率20%だとすると10㎏、30%だとすると15㎏という計算です。
体脂肪率による肥満の目安って?
体脂肪率による肥満の目安を15歳以上の男女別でみてみましょう。
男性(15歳以上)
〇軽度肥満 20%以上
〇中等度肥満 25%以上
〇重度肥満 30%以上
女性(15歳以上)
〇軽度肥満 30%以上
〇中等度肥満 35%以上
〇重度肥満 40%以上
理想の体脂肪率は?
男女別の理想の体脂肪率は次の通りです。
〇男性 10〜19%
〇女性 20〜29%
男性の方で引き締まった身体を目指したい場合は、15%前後を目安にすると良いでしょう。女性は男性に比べて、もともと脂肪が多く、女性ホルモンの分泌と深い関係があります。
過度なダイエットで極端に脂肪を減らすと、妊娠や出産に悪影響を及ぼす可能性が出てきます。体脂肪が20%以下になると生理が止まるというデーターも。また、特に更年期以降は骨粗しょう症のリスクも高まるため、注意が必要です。
体脂肪を測る際の注意点
体脂肪率は、家庭用の体組成計や体脂肪計で簡単に測定することができますが、できるだけ誤差のない計測のために次の点に注意しましょう。
〇食後2時間以上経ってから測定する
〇毎日同じ時間に測定する
〇同じ機器で測定する
体脂肪率は、体内の水分量によって変わることがあります。食後2時間以上経ってから測定しましょう。水分量は時間帯によっても変動するため、毎日同じ時間に測る方が良いです。
また、体組成計や体脂肪計はメーカーによって誤差が出る可能性があります。同じ機械で計測して記録することをおすすめします。
肥満を防止するポイント
肥満防止のためには、次の2点を考える必要があります。
①脂肪をつきにくくすること
②過剰な脂肪を落とすこと
①脂肪をつきにくくするために
脂肪をつきにくくするためには、なぜ脂肪が過剰についてしまうのか、その原因を知り、それに応じた対策をとることが大切です。考えられる主な原因は次の通り。食生活、運動習慣、睡眠の見直しが必要不可欠です。
〇カロリーオーバー
〇代謝量が低い
〇睡眠不足
②過剰な脂肪を落とすこと
落としたい脂肪が皮下脂肪なのか、内臓脂肪なのかによっても心構えが違ってきます。それぞれの特徴を知って対策を練ることが大切です。
肥満を防止するポイントについては「脂肪② 」にまとめましたので、こちらを参考にしてください。
まとめ
■中性脂肪と体脂肪
三大栄養素をエネルギーとして使いきれなかった場合、肝臓で中性脂肪に合成され、体脂肪(皮下脂肪・内臓脂肪)として体内に蓄えられる
■体脂肪は皮下脂肪、内臓脂肪の総称
■皮下脂肪とは?
〇皮膚と筋肉との間に蓄えられた脂肪
〇全身につく
〇特に下半身につきやすい
〇洋ナシ形肥満と呼ばれる
〇外見で脂肪がついていることが分かる
〇女性につきやすい
〇少しずつ蓄積される
〇減らしにくい
■内臓脂肪とは?
〇内臓周辺に蓄えられた脂肪
〇胃や腸を覆う膜につく
〇お腹がぽっこりする
〇りんご形肥満と呼ばれる
〇一見太って見えない
〇男性につきやすい
〇短時間で蓄積される
〇減らしやすい
〇皮下脂肪厚測定法(キャリパー法)で測定する
■皮下脂肪がたまりすぎると?
〇肥満体形になる
〇膝や腰などに負担がかかる
〇睡眠時無呼吸症候群へのリスクが高まる
〇月経異常になりやすい
〇腹部CTスキャンで測定する
■内臓脂肪がたまりすぎると生活習慣病を引き起こす
〇高血糖
〇脂質異常
〇高血圧
■体脂肪率とは?
体重に占める体脂肪の割合
■体脂肪率による肥満の目安
男性(15歳以上)
〇軽度肥満 20%以上
〇中等度肥満 25%以上
〇重度肥満 30%以上
女性(15歳以上)
〇軽度肥満 30%以上
〇中等度肥満 35%以上
〇重度肥満 40%以上
■理想の体脂肪率は?
〇男性 10〜19%
〇女性 20〜29%
■体脂肪率を測るときの注意点
〇食後2時間以上経ってから測定する
〇毎日同じ時間に測定する
〇同じ機器で測定する
おわりに
健康やダイエットに大きく関係している脂肪。中性脂肪、体脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪の違いについてみてきましたが、いかがでしたか?
脂肪にも役割があること、また、皮下脂肪と内臓脂肪はそれぞれに特徴があることなどが、お分かりいただけたのではないでしょうか?具体的に肥満を防止する方法については、別記事にまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
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