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食品添加物のリン酸塩とは?をわかりやすく。体への影響って?リン酸塩を減らす2つの工夫とは? 

リン酸塩をご存知ですか?リン酸塩は国が承認した食品添加物。市販されている加工品の多くに含まれていますが、カラダに悪影響を及ぼすという話を聞くことが増えてきました。

リンは、カラダにとって必要なミネラルのひとつ。それなのになぜ、リン酸塩が問題視されるのでしょうか?摂取を軽減する方法はないのでしょうか?わかりやすく説明していきましょう。


リン酸塩とは?


リン酸塩って何?

リン酸塩は多原子イオンで、1個のリンと4個の酸素から構成されています。日本では1976年に約20種類が食品添加物として認可され、食品衛生法で定められています。


リン酸塩が使われている食品とは?

リン酸塩はあらゆる食品に添加されています。加工食品のほとんどにリン酸塩が使われていると言っても過言ではありません。主なものをあげましょう。

〇清涼飲料水
〇肉加工品
〇魚介加工品
〇インスタントラーメン
〇菓子パンや調理パン
〇コンビニ弁当
〇スナック類
〇調味料など

肉加工品とは、ハムやベーコン、ソーセージなど。魚介加工品とは、かまぼこやはんぺんなどの練り製品、ツナフレークなど。意外に思えますが、味噌などの調味料にもリン酸塩が含まれているものがあります。


リン酸塩の用途って?

リン酸塩はあらゆる加工食品に含まれていますが、どのような目的で使用されているのでしょうか?市販の食品は、食感や見た目をよくして食費者の購買意欲を高めたり、大量生産や流通の工夫をしたりする必要があります。食品添加物として、主に次のような効果を得るために使用されています。

〇乳化剤として
〇結着剤として
〇PH調整剤として
〇発色剤として

乳化とは、油と水を混ぜ合わせること。通常、油と水は混じり合うことはありません。油と水をつなぎ合わせる役目をするのが乳化剤です。プロセスチーズなどに使われています。

結着剤とは、原材料の水分を保つことで形状を保持したり、食感を良くするために加えられる材料のこと。ソーセージやプリンなどのプリプリした食感の食品は、リン酸塩が使われていることが多いと言われています。

また、増量剤としての役目もあります。一般的なハムやソーセージは、原料の肉に水とリン酸塩を加えて量を増やしているものが多いです。

PH調整剤とは、食品中のPHを調整して保存性を良くしたり、品質を維持したりする材料。コンビニやスーパーで売られているおにぎりやパン、冷凍食品、ジャムなど長期保存の食品に使われています。

発色剤とは、着色料など色素の変色の防止や肉類などの発色を保つための材料。消費者の購買意欲を高めるため、色を鮮やかにして見栄えを良くするものです。



リン酸塩はカラダに悪いの?


リンって何?

リンは人体に必要なミネラルの一つ。カルシウムに次いで多く存在しており、成人体重の約1%を占めていると言われています。

85%
骨や歯に存在

14%
筋肉などの軟組織や細胞膜に存在

1%
細胞外液に存在

体内に存在するリンの85%は、 マグネシウムやカルシウムと結び付いたリン酸塩(リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム)で、骨や歯の構成成分です。


リン酸塩がカラダに与える影響とは?

カラダにとって必要なリン。また、リン酸塩は毒性が低く、摂取したあと体内に吸収されにくいため、食品添加物として広く使われています。このリンがなぜ、健康に被害を及ぼすと言われているのでしょうか?その答えは、過剰摂取すると次のような影響があるからなんです。

①カルシウムの吸収を阻害する
②微量ミネラルを体外に排出してしまう

厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で必須ミネラルとされるもののうち、特に不足しやすいのがカルシウム・カリウム・鉄・亜鉛。リン酸塩の過剰摂取は、そのうちカルシウム、鉄、亜鉛に関わっています。詳しくみていきましょう。

①カルシウムの吸収を阻害する

リン酸塩の過剰摂取は、カルシウムの吸収を阻害します。カルシウムは人のカラダに最も多く含まれるミネラルであり、成人の場合、約1kg分を占めています。その主な働きは、歯や骨の形成。

それ以外にも、ホルモンや神経伝達のはたらきを手助けしたり、血液凝固を促して出血を予防したりする役割があります。緊張・興奮を和らげる効果も。カルシウムが不足すると、骨や歯がもろくなったり、血管が痛んだり、 イライラしたりします。

②微量ミネラルを体外に排出してしまう

リン酸塩は、ミネラルと結合するという性質をもっています。結合したミネラルは体内に吸収されず、体外に排出されてしまうんです。特に、微量ミネラルである銅、鉄、亜鉛のなどは、吸収を阻害されてしまうと簡単に不足してしまうため、注意が必要です。

ミネラルは、代謝に必要な酵素を助ける働きをしている栄養素。食事から取り入れた栄養素の分解や合成がスムーズに行われるようにサポートしているもので、補酵素と呼ばれています。

鉄が不足すると、頭痛・めまい・動悸・息切れ・集中力低下・食欲不振・筋力低下・疲労感などの症状が見られます。亜鉛が不足すると、免疫機能や神経感覚の障害・皮膚炎・慢性下痢・貧血・食欲不振・生殖機能低下・脱毛・嗅覚や聴覚の低下などの症状が現れます。

代謝とは?

食べ物で取り入れた栄養素を分解し、吸収された栄養素をカラダのそれぞれの働きに必要な物質やエネルギーに合成すること。


リンの摂取基準量とは?

厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日のリンの目安量を次のようにしています。

〇成人男性で1000mg/日
〇成人女性で800mg/日

国民健康・栄養調査(2015年)によると、リン摂取量は成人男性で平均1063mg、成人女性で925mgと、目安量を上回っています。

ちなみに、耐容上限量を18歳以上の成人男女ともに3,000mgと設定しています。この値以上だと、過剰摂取による健康への影響が生じる可能性があると言われています。


このような人は注意が必要です!

健康な人の場合、過剰に摂取したリンは尿として排出されます。ところが腎機能に障害がある場合、血液中のリン濃度が高くなるため、注意が必要です。これは、尿へのリンの排出量が減るため。

また、副甲状腺機能の低下により副甲状腺ホルモンの分泌が少なかったり、成長ホルモンの分泌が過度に活発化したり、ビタミンDが必要以上に増えたりすると、リン濃度は増加します。


リン酸塩が表記されていないことも…


リン酸塩と表記されないのはなぜ?

健康に気を遣う方の中には、市販の食品を購入する際にパッケージにある「食品成分表」をチェックする方もいらっしゃると思います。「リン酸塩」と表記されているものもありますが、実は書かれていない場合もあるんです。その理由は

①一括名による表記が認められているから
②キャリーオーバー制度のため
③ばら売りの場合


①一括名による表記が認められているから

食品表示に「リン酸塩」と表記がなくても、一括表示としてPH調整剤、乳化剤、膨張剤、酸味料と書かれている場合があります。


②キャリーオーバー制度のため

キャリーオーバー制度とは、リン酸塩が入った材料を使って食品を作った場合、出来上がった商品の食品表示に「リン酸塩」と書かなくても良いという制度。

例えばかまぼこを作る際に、リン酸塩を添加したすり身を使っていても、かまぼこの原材料表示に「リン酸塩」と書く必要はないということなんです。


③ばら売りの場合

店頭でバラ売りする食品については、表示義務がありません。例えば、コンビニおでんの練り物などが当てはまります。


リン酸塩を減らす2つのコツ


①食材を選ぶ
②調理方法を工夫する

①食材を選ぶ

現代社会において、食品添加物を完全に避けることは不可能に近いでしょう。一方で、これだけ巷にリン酸塩があふれているというとは、できるだけ摂らないように意識するだけでも全然違ってくるということ。

メーカーによってはリン酸塩が含まれていない商品が売られています。少々お値段は高くなりますが、病院に通う診療代やサプリメントと比べればそんなに高価ではありません。

また、外食やレトルト、インスタント食品、スーパーやコンビニのお弁当などにかわって自炊する…食事は毎日の積み重ねなので、毎回家で作らなくても余裕のある時に。手の込んだ料理でなくても、ごはんを炊いたり、野菜や肉、魚などを買って火を通して味をつけるだけで十分です。


②調理方法を工夫する

調理方法に工夫することで、少しでもリン酸塩を減らすことができます。その方法は

〇下茹でする
〇ゆで汁を捨てる

例えばハムやベーコンなどの加工肉、かまぼこやちくわなどの練り製品を下茹ですると、表面の添加物や塩分を減らすことができますし、インスタントラーメンであれば、カップ焼きそばのように湯切りをしてから再度お湯を注ぐという方法があります。



まとめ


  • リン酸塩とは?
    〇多原子イオンで、1個のリンと 4個の酸素から構成されている
    〇国から認可された食品添加物のひとつ
  • リン酸塩が含まれている食品って?
    ほとんどの加工食品に含まれている
  • リン酸塩の用途は?
    〇乳化剤として
    〇結着剤として
    〇PH調整剤として
    〇発色剤として
  • リンは人体に必要なミネラルのひとつ
  • リン酸塩がカラダに悪いと言われる2つの理由とは?
    ①カルシウムの吸収を阻害する
    ②微量ミネラルを体外に排出してしまう
  • リン酸塩の摂取基準は?
    〇成人男性で1000mg/日
    〇成人女性で800mg/日
  • リン酸塩の耐容上限量は?
    〇成人男女で3000㎎/日
  • 食品表記にリン酸塩がない場合も
    ①一括名による表記が認められているから
    ②キャリーオーバー制度のため
    ③ばら売りの場合
  • リン酸塩を減らすコツとは?
    ①食材を選ぶ
    ②調理方法を工夫する



おわりに


食品添加物のひとつに、「リン酸塩」があります。リン自体はカラダにとって必要なミネラルなのですが、過剰に摂取すると、健康に被害を及ぼす可能性があると懸念されています。リン酸塩は市販されている多くの食品に含まれています。ところが、成分表に表記されていないことも。

日本は添加物大国ともいわれ、食品添加物を全く摂取せずに生活することは不可能と言っても過言ではありません。逆を返すと、日々の積み重ねであるからこそ、ちょっと意識するだけで大きく変わってくるということなんです。

今回は、リン酸塩について分かりやすくまとめました。リン酸塩を減らす2つのコツについても書きましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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