砂糖不使用!!栗で作る『発酵あんこ』。酸っぱいのはなぜ?!防ぐにはどうしたらいいの?

砂糖不使用の『発酵あんこ』がメディアで取り上げられ、話題になりました。通常はあずきを使うのですが、秋の味覚である栗で作れないかと思い、試してみたんです。

甘みがあってコクがある栗。個人的にはあずきよりも好みの味に仕上がり、大満足でした。

そんな発酵栗あんこ。本来は甘くておいしいのですが、酸っぱくなってしまうことがあります。せっかく作ったのに、残念ですよね。今回は、その理由と対処方法を発酵のメカニズムから紐解いていきましょう。

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『発酵栗あんこ』ってなに?


『発酵栗あんこ』を知らないという方も多いと思います。まずは簡単に説明しましょう。


『発酵栗あんこ』ってなに?

発酵栗あんこは、栗に米麹を加えて発酵させたノンシュガーのあんこ。材料は、この2つだけ。作り方も次の2ステップ。とてもシンプルなんです。

〇茹でた栗に米麹と水か煮汁を加え
〇発酵させるだけ!!

市販のあんこはお砂糖たっぷり。それに比べて発酵栗あんこは砂糖不使用なのが嬉しいですね。発酵食品を手作りすると聞くとハードルが高そうですが、ポイントをおさえれば簡単にできますよ。

詳しい作り方については「砂糖不使用!!ノンシュガーの『発酵栗あんこ』。材料は栗と米麹だけ!!作り方をご紹介します」をご覧ください。

炊飯器を使ったレシピをご紹介しているので、参考にしてくださいね。


『発酵栗あんこ』の効果・効能って?

発酵栗あんこの効果・効能には、主に次の11個が挙げられます。こんなにたくさんの「カラダに良いコト」があるなんて、嬉しくなりますね。

これらは、材料である栗に含まれる栄養素と、発酵のチカラから得られるものです。

①免疫力アップ
②むくみ防止
③血中コレステロール値を下げる
④便秘改善
⑤疲労回復
⑥美肌・美白効果
⑦老化防止
⑧がん予防
⑨アレルギーの緩和
⑩高血圧や動脈硬化の予防
⑪貧血防止

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発酵のメカニズムって?


発酵栗あんこが酸っぱくなった理由を理解するためには、発酵のメカニズムを知ることが必要です。簡単に説明しますね。

発酵ってなに?

発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。

発酵によって得られるメリットって?

①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。


砂糖不使用の『発酵栗あんこ』が甘くなるメカニズムとは?

『発酵栗あんこ』が砂糖不使用なのに甘いのは、米麹に含まれる麹菌が栗に含まれるでんぷんを分解して糖にするから。甘酒と同じメカニズムです。


発酵には種類があります

発酵を促す微生物は大きく分けると次の3つです。

①カビ
②酵母
③細菌

①カビ

「カビ」は微生物群の一種で、菌類の姿を示す俗称。専門的には「真菌」や「菌類」と呼ばれており、数万種以上が生息しているといわれています。糸状の細胞を伸ばして広がり、胞子を飛ばして拡散します。

カビは、カラダに良いものと悪いものがあります。発酵栗あんこで使っている麹菌もカビの一種なんです。

代表的なカラダに有益なカビって?

〇コウジカビ
味噌や醤油、甘酒などをつくる。
〇アオカビ
チーズなどをつくる。抗生物質である「ペニシリン」の材料になる。

②酵母

酵母は、植物や樹液、野菜や果物の表面、空気中など、自然界のあらゆるものに生息している微生物。食べ物に含まれる糖をアルコールと炭酸ガスに分解する働きをもっています。

③細菌

細菌は単細胞の微生物で、カビ菌、酵母と比べて最も小さな微生物。細胞分裂を繰り返して増えます。発酵に関わる代表的な細菌には、つぎのものが挙げられます。

〇乳酸菌 
糖類を分解して乳酸を主に生成します。

〇酢酸菌
アルコールを酢酸に変えます。

〇納豆菌 
増殖するときに大豆のたんぱく質を分解し、吸収しやすくします。その過程でビタミンやナットウキナーゼなどの酵素を作り出し、栄養価を高めます。


温度と深いつながりがある微生物たち

発酵食品を作っていると、微生物たちの働きは環境の影響をたくさん受けていることに気がつきます。その中でも特に重要なのが温度。温度管理によって、じょうずに仕上がるかどうかが決まります。

なぜなら、微生物たちには「適温」があるから。それぞれに、活発に働く温度、活動を休止する温度、死滅してしまう温度があるんです。発酵栗あんこが酸っぱくなってしまった原因に大きく関わっています。



なぜ『発酵栗あんこ』は酸っぱくなってしまったの?


発酵栗あんこは、なぜ酸っぱくなってしまったのでしょうか?「腐ったのかな?」と思いましたが、乳酸菌のしわざだったんです。詳しくみていきましょう。


乳酸菌の特徴って?

乳酸菌は、糖を分解して乳酸を生成します。酸味が生じるのが特徴です。乳酸発酵と言えば、ヨーグルト。酸っぱい食品ですね。


発酵栗あんこが酸っぱくなった理由って?

発酵栗あんこの材料は、栗と米麹。発酵に関わっているのは、麹菌ですよね。それなのに「なぜ乳酸菌?」と思いませんか?実は発酵栗あんこには、微量ながら乳酸菌が含まれています。

私は、出来あがった発酵栗あんこを冷蔵保存しています。常温保存だと、過発酵になって風味が落ちてしまうのと、カビが発生する可能性が高いからです。

乳酸菌は麹菌に比べて低温に強いため、冷蔵庫のなかで長期間保管していると優位に働いてしまうんです。

つまり、低い温度で休んでいる麹菌にかわって乳酸菌が働いて発酵を進め、結果として酸味が増す…ということなんですね。

発酵のメカニズムでお話しした「微生物と温度との関係」が大きく影響しています。

乳酸菌にもたくさんの種類があります

乳酸菌の名称は、「属・種・株」の順に表記されており、その特徴ごとに26属、381種、50亜種に分けられています。その種類は多種多様で、正式に認められている種類は250種以上。 それ以外にも数千種類あるといわれ、その性質や形はさまざまです。



『発酵栗あんこ』を酸っぱくさせないためには?


乳酸菌の働きをストップさせる

一般的に、乳酸菌が活発に増える至適温度は20~45℃と言われています。乳酸菌の種類は多種多様で、かなり広い温度帯で生育が可能です。

種類によって生育する温度が違います!!

〇高温性乳酸菌
約45℃で生育する
〇中温性乳酸菌
約25 ~ 37℃で生育する
〇低温性乳酸菌
10℃以下でも生育する。

ちなみに麴菌は、一番繁殖しやすい温度帯は30~35℃。これより低いと、酵素の働きが鈍くなり、繁殖は進みません。


冷凍保存しましょう!!

発酵栗あんこを酸っぱくさせないための解決策。それはズバリ、冷凍庫で保存すること!!

発酵栗あんこを長めに保存する場合は、冷凍庫に入れましょう。私はチャック付きの保存用袋に入れて冷凍しています。

うすめに広げて入れておくと、欲しい分だけパキパキ折って使うことができるので、オススメです!!食べるときは自然解凍がベスト。

冷蔵庫の各部屋の温度って?

〇冷蔵室  約0℃~6℃
〇野菜室  約3℃~9℃
〇冷凍室  約-22℃~-16℃
〇瞬冷凍室 約-18℃~-5℃

※各メーカーによって若干の差がありますので、お手元の取扱説明書でご確認ください。

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まとめ

  • 『発酵栗あんこ』ってなに?
    茹でた栗に米麹を加えて発酵させたノンシュガーのあんこ。栗のデンプンを麹菌が分解してブドウ糖に変えることで甘くなる。
  • 『発酵栗あんこ』の作り方って?
    〇材料は栗と米麹の2つ。
    〇手順は次の3ステップ。
    ①茹でた栗に米麹と水か煮汁を加え
    ②発酵させるだけ!!
  • なぜ『発酵栗あんこ』は酸っぱくなってしまったの?
    発酵栗あんこに微量ながら含まれている乳酸菌は、麹菌に比べて低温に強いため、冷蔵庫のなかで長期間保管している間に優位に働いてしまったから。
  • 『発酵栗あんこ』を酸っぱくさせないためには?
    長期保存になるならば、冷凍庫で保存する。



おわりに

実家から毎年送られてくる大量の栗。ありがたいのですが、いつも使い切れなくて。

いつもあずきを使って発酵あんこを作っているのですが、あずきの代わりに栗でもできないかと試してみたところ、大正解でした!!

クセがなくて食べやすいうえ、優しい甘さ。とてもおいしいんです。お砂糖を使っていないから、ヘルシーなのも嬉しいポイント。

栗は、もともととても栄養価の高い食品。それをさらに発酵させることで得られるメリットは大きいです!!

栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめ。

そんな発酵栗あんこ。作り方はシンプルなのですが、意外と失敗することも多いんです。酸っぱくなってしまったというのもその一つ。

「なぜ酸っぱくなってしまったのか?」「酸っぱくさせないためには?」この2点について、発酵のメカニズムから詳しくみてきましたが、参考になりましたでしょうか?

私の体験が、みなさんの成功につながりますように。発酵栗あんこには健康維持に欠かせない栄養素もいっぱい詰まっているので、ぜひ手作りしてみてくださいね!!

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