発酵ってなに?シリーズ④「これって失敗?」見極め方&成功のためのポイントをお伝えします!さらに「手作り発酵食17レシピ」もご紹介!!
健康への関心の高まりとともに、発酵食品が注目されています。手作りするのは難しそうに感じますが、行程自体はシンプルで簡単。ただし、ちょっとしたポイントを抑える必要があります。私は何回も失敗を繰り返してきました。
その経験をふまえながら、気をつけることや工夫していることなどをお伝えしますね。そして、発酵食品を作り始めると悩むのが、「成功か?失敗か?」の見極め。こちらも記事にしますので、ぜひ参考にしてください!!
この記事の目次
- 1.発酵とは?
- 2.成功した状態って?
- 3.失敗した状態って?
- 4.失敗しないためのポイントとは?
- 5.発酵食品の保存方法とは?
- 6.手作り発酵食品「17レシピ」をご紹介します!!
- 7.まとめ
- 8.おわりに
発酵とは?
発酵とは?
まずは『発酵』について簡単に説明しましょう。発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。発酵の過程で得られるメリットは次の通りです。
①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる
①消化・吸収がよくなる
微生物が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。
②うまみが加わる
酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。
③栄養価が加わる
食品は発酵させることで栄養価がアップします。 微生物によって食材のデンプンやたんぱく質等の栄養素が分解されることもメリットのひとつ。栄養をスムーズに取り込むことができます。
④保存性がよくなる
本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!
発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。
成功した状態って?
発酵食品を作っていて、完成しているのかどうか迷うことがありませんか?私も最初はよく分からなかったのですが、経験を重ねることで判断できるようになりました。ここでは乳酸菌と麹菌の発酵について、それぞれどのような状態が成功と言えるのか?をみていきます。
乳酸発酵が成功した状態って?
乳酸発酵が成功すると、保存容器の蓋を開けた際、次のような状態になっています。
〇炭酸の「プシュッ」という音がする
〇甘酸っぱいニオイがする
また、pHをはかるという方法もあります。酸性になっている目安は、pHが3.5以上と言われています。ちなみに、小さな気泡が出始めたら発酵が始まった合図。「菌たちが働いているんだな~」と、嬉しくなります。
麹菌の発酵が成功した状態って?
麹菌の発酵が成功すると、次のような状態になっています。
〇甘みがある
〇旨みが増す
麹菌で発酵させた食品が、砂糖不使用なのにほんのり甘いのは、麹菌が炭水化物を分解してブドウ糖にするから。甘酒が分かりやすいですね。
また、酵素で分解生成されたさまざまな成分は香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。 成功した発酵食品は、元々の食材に比べて風味も旨味もアップしています。
失敗した状態って?
逆に、失敗とはどのようなことを指すのでしょうか?主に次の2点が考えられるでしょう。
①発酵しない
②明らかに違和感を感じる状態である
①発酵しない
乳酸発酵時に保存容器のふたを開けたとき、まったくガスが発生していない場合は、発酵が上手に進んでいない可能性があります。麹菌の発酵の場合は、甘みや旨味が感じられない状態ですと、発酵不足だと考えられます。
②明らかに違和感を感じる状態
次のような違和感を感じたときは、雑菌が混入している可能性が高いので口にせず、廃棄してください。
〇悪臭がする
〇カビが生えている
〇明らかに変な味がする
市販品ではないため、ちゃんと判断できるかどうか不安に思う方もいらっしゃると思います。私の経験からいくと、腐敗している場合にはかなりの悪臭を放ちます。乳酸発酵の場合は甘酸っぱい香りが、麹菌の発酵の場合は甘い香りがするはずなので、臭いということはありえません。
発酵食品は、理論上では腐らない!?
理論上では、発酵食品は腐らないとされています。なぜなら、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。
これを「菌の拮抗作用」と呼びます。ただし、あくまでもきちんと管理したうえでのこと。一般家庭においては、衛生状態などはそれぞれなので注意が必要です。
失敗しないためのポイントとは?
失敗しないためにできることはあるのでしょうか?事前にできる対策についてみていきましょう。
①「発酵しない」を改善するポイント
発酵を上手に進めるには、必要な条件や適した環境があります。次の点に気をつけてみてください。
〇塩の分量を守り、しっかり混ぜる。
〇一日1~2回撹拌する。
〇温度管理に気をつける。
〇塩の分量を守り、しっかり混ぜる
塩は、発酵促進の役割をします。塩分を控えたくなりますが、分量を守りましょう。また、均一にいき渡ることも大切です。塩を加えたら、しっかり混ぜ合わせます。
できれば未精製に近い塩(あら塩)を使いましょう
乳酸菌や酵母の細胞を作るためには、ミネラルが必要です。塩化マグネシウムや塩化カリウムを含んでいる「あら塩」を使うことがのぞましいです。「食塩」は精製されてミネラルが取り除かれています。
〇一日1~2回撹拌する、混ぜ合わせる
撹拌したり混ぜ合わせたりすると、発酵が進みやすくなります。
〇温度管理に気をつける
乳酸菌が最も活発に働く温度は、35~40度。麹菌が発酵を促進するために最適な温度は60度前後と言われています。温度が低すぎると活動が鈍くなり、逆に高すぎると菌が死滅してしまうことがあります。
ご家庭によって室温は様々。季節による寒暖差も大きいです。発酵をスムーズに進めるためには、適温にすることが大切です。
②「明らかに違和感を感じる」を改善するポイント
発酵させる過程で、カビが生じることがあります。また雑菌が混入して乳酸菌や麹菌よりも強く働いてしまうことがあります。
使用する道具や保存する容器などをあらかじめ消毒しておきましょう。私は煮沸消毒や、アルコール度数の高いお酒で拭くなどの方法で行っています。
乳酸発酵をさせるときには爆発にも注意!!
発酵の過程でガスが発生します。放っておくと爆発して保存容器が破損してしまったり、ふたを開けたときに中身が飛び散る可能性があります。ガラス容器が破損すると危険です。くれぐれも注意してくださいね。爆発を予防する方法としては
〇保存容器の八分目までにする。
〇こまめにガス抜きをする。
完全にふたを開けるとあふれることがあるので、少しだけ緩めてガス抜きをします。プシュっと音がしたらOKです!!
発酵食品の保存方法は?
発酵食品は常温でも保存可能ですが、私は発酵が完了した後、基本的に冷蔵庫に移しています。冷凍が可能なものは、冷凍保存する場合も。その理由は、以下の3点です。
ちなみに冷蔵庫は0℃~10℃、冷凍庫は-12℃以下に温度設定するよう、JIS規格で制定されています。
①カビの発生を防ぐ
②酸化を防ぐ
③過発酵を防ぐ
①カビの発生を防ぐ
カビが生えやすい環境とは、温度が20℃~35℃くらい、湿度が80%と言われています。 冷蔵保存は、常温に比べるとカビが繁殖しずらいんです。
②酸化を防ぐ
食品の風味を損ねてしまうので、保存するときのポイントは、できるだけ酸化させないようにすること。酸化の原因は、熱、光、酸素、食品中に含まれる金属イオンや光増感物質などが挙げられます。
酸化を防ぐには、これらの条件を少しでもなくしてあげることが必要です。そこで私は、できるだけ容器を密閉して、冷暗所である冷蔵庫にいれることにしました。
酸化とは何かをご存知ですか?「皮をむいたリンゴをそのままの状態でおいておくと、茶色く変色してしまう」という例がよく知られていますね。詳しくは、以下を参考にしてください。
酸化とは、対象とする物質が電子を失う化学反応のこと。具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応などである。
食物を室温で放っておくと徐々に色や味が変わってくるのも、酸化が原因のことが多い。このため、食品には種々の酸化防止剤が用いられる。またパッケージも空気を通さないように工夫され、場合によっては脱酸素剤を入れておくこともある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B8%E5%8C%96
ウィキペディアより
③過発酵を防ぐ
発酵が進み過ぎると、風味が落ちてしまいます。発酵菌には最も活発に働く温度があり、一般的には低温になるとその働きが弱まります。冷蔵庫に入れることで過発酵を防ぐことができるんです。
ただ、冷蔵保存と言っても発酵は徐々に進みます。発酵すればするほど酸味が増すので、酸っぱさが気になるようであれば、早めに食べきる方が良いでしょう。
手作り発酵食品「17レシピ」をご紹介します!!
最後に、私がふだん作っている発酵食品「17レシピ」を以下に貼っておきます。日々の食卓にとり入れることができるよう、できるだけ簡単に&シンプルに作る工夫をしていますので、ぜひトライしてみてくださいね。
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まとめ
- 発酵とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 発酵の過程で
①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる - 乳酸発酵食品が成功した状態って?
〇炭酸の「プシュッ」という音がする
〇甘酸っぱいニオイがする
〇pHが3.5以上で酸性になっている - 麹菌の発酵食品が成功した状態って?
〇甘みがある
〇旨みが増す - 発酵食品が失敗した状態って?
①発酵しない。
②明らかに違和感を感じる状態である。 - 失敗しないためのポイントとは?
①「発酵しない」を改善するためのポイント
〇塩の分量を守り、しっかり混ぜ合わせる。
〇一日1~2回撹拌する。
〇温度管理に気をつける。
②「明らかに違和感を感じる」を改善するポイント
〇使用する道具や保存する容器などをあらかじめ消毒しておく - 出来上がった発酵食品は冷蔵か冷凍保存がオススメ
①カビの発生を防ぐ
②酸化を防ぐ
③過発酵を防ぐ
おわりに
今回は、発酵食品を手作りする際の「失敗」がキーワードでしたが、いかがでしたか?「ちゃんとできているのかな?」と心配になることも多いと思います。そんな疑問について、私の経験をふまえてお伝えさせていただきました。参考にしてくださいね。
健康への関心が高まり、発酵食品が注目されています。ところが、市販されている発酵食品は材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いんです。その点手作りだと、材料も製造過程も目に見えるので安心。塩にこだわることも可能です。
元々、カラダに良い食材たち。それを発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめですね。
「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてください!!
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