サツマイモで作る砂糖不使用の『発酵あんこ』。6つの失敗例と対策をご紹介します!!

健康に気を使う方が増え、砂糖を控えたいという声がよく聞かれます。発酵あんこはノンシュガーのあんこ。メディアでも取り上げられて、注目を浴びました。

テレビの特集ではあずきを使っていましたが、今回紹介するのはサツマイモで作る「芋あん」。あずきよりも手軽に作れます。また、クセがなく甘みが強いというのが特徴です。

サツマイモは栄養価の高い野菜。『発酵サツマイモあんこ』は、砂糖不使用だということに加えて整腸作用に有効だとされる発酵食品でもあり、いいことずくめのスーパーフードなんです。

市販はされていないので、自分で作ります。材料も手順もとてもシンプルなのですが、発酵食品を手作りするのに、初めはちょっとしたポイントをおさえる必要があります。

実は私も何度か失敗して、試行錯誤を重ねてきました。そんな経験をふまえながら

〇成功した状態って?
〇なぜ失敗したか?
〇どうすればおいしく作ることができるのか?

これら3点について、お伝えしていきますね。


『発酵サツマイモあんこ』ってなに?


『発酵サツマイモあんこ』ってなに?

発酵サツマイモあんこは、ふかしたサツマイモに米麹を加えて発酵させたノンシュガーのあんこ。材料はサツマイモと米麹と水の3つ。作り方も次の3ステップ。とてもシンプルなんです。

〇サツマイモをふかして
〇米麹と水を加えて
〇発酵させるだけ!!

市販のあんこはお砂糖たっぷり。それに比べて砂糖不使用なのは嬉しいですね。発酵食品を手作りすると聞くとハードルが高そうですが、ポイントをおさえれば簡単にできますよ。

詳しい作り方については「砂糖不使用!!サツマイモを使った『発酵あんこ』の作り方。早い&簡単&らくちん♪洗いものは必要最低限!!炊飯器だけでできるんです」をご覧ください。

炊飯器を使ったレシピをご紹介しているので、参考にしてくださいね。


砂糖不使用の『発酵サツマイモあんこ』が甘くなるメカニズムって?

『発酵サツマイモあんこ』が砂糖不使用なのに甘いのは、麹菌がサツマイモに含まれるでんぷんを分解して糖にするから。甘酒と同じメカニズムです。

『発酵』とは?

微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。


『発酵サツマイモあんこ』の効果・効能って?

発酵サツマイモあんこの効果・効能には、主に次の11個が挙げられます。こんなにたくさんの「カラダに良いコト」があるなんて、嬉しくなりますね。

これらは、材料であるサツマイモに含まれる栄養素と、発酵のチカラから得られるものです。

①美肌効果
②整腸作用
③デトックス作用
④脳のエネルギー源を作る
⑤むくみ解消
⑥抗酸化作用
⑦血糖値の上昇をコントロールする
⑧生活習慣病の予防
⑨便秘改善
⑩免疫力の向上
⑪ストレス緩和



『発酵サツマイモあんこ』が成功した状態とは?


発酵食品を作っていて、どの状態が完成なのか、判断しかねるときがありませんか?発酵サツマイモあんこが成功した状態とは

サツマイモ本来の甘みよりも、さらに甘みが増していること

発酵サツマイモあんこは、サツマイモに含まれるデンプンを麹菌がブドウ糖に分解することで甘くなります。これは甘酒と同じ原理。つまり、甘くなければ発酵がうまく進まなかったということなんです。

『発酵』とは?

微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。

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『発酵サツマイモあんこ』が失敗した状態とは?


一般的に言われる「失敗」って?

逆に、失敗とはどのようなことを指すのでしょうか?考えられるのは次の5つ。

①甘くない
②えぐみがある
③水っぽい、もしくはパサパサしている
④酸っぱい
⑤アルコール臭がする
⑥カビが生えている

作り方はシンプルなのですが、意外と失敗も多んです。でも、ポイントをおさえることで上手に作ることができますので、説明していきますね。

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失敗① 発酵サツマイモあんこが甘くない


発酵サツマイモあんこが甘くない理由とは?

できあがった発酵サツマイモあんこが甘くないのは、発酵がうまくいかなかったことが原因です。言い換えると、発酵菌が作る酵素がちゃんと働くことができなかったから。

発酵サツマイモあんこは、麹菌が生成するアミラーゼという酵素が、デンプンを糖に分解することで砂糖をつかっていないのに甘くなります。ではなぜ、酵素はじょうずに働かなかったのでしょうか?


発酵には適した温度があります!!

発酵には、活動が進む温度と、遅くなったり止まってしまったりする温度とがあります。米麹の場合、麹菌が作り出す酵素が活発に活動する温度は50~60度

多くの酵素は60~70度で失活します。活動が止まるとデンプンを分解してくれなくなるので糖ができず、甘くなりません。逆に50度以下でも、その働きは鈍くなります。

つまり温度が高すぎても低すぎても、NGだということですね。これを押さえておかないと、発酵がうまくいかず、甘さが足りなくなるんです。

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失敗② えぐみがある


サツマイモの皮やその周辺、「あく」には、えぐみや苦みがあります。ところがこれらには、栄養も含まれているんです。どちらを優先すべきか悩ましいところ。

えぐみをなくすには次の2通りの方法がありますが、それぞれにデメリットも。詳しく説明しますので、それらをふまえた上で判断されるといいでしょう。

〇あく抜きをする。
〇皮をむく。


あく抜きの方法は?

サツマイモのあく抜きの方法は次の通りです。

①サツマイモを5~15分くらい水につける。
②水の色が濁ってきたら水を新しくする。
2~3回繰り返す。


あく抜きをするメリットとデメリットって?

サツマイモのあく抜きをするメリットは次の通り。

〇変色を防止すること。
〇えぐみや苦みがとれること。
〇調味料が浸透しやすくなること。

サツマイモのあく抜きをするデメリットは次の通り。

〇栄養価が下がること。

サツマイモのあくは、ヤラピン、クロロゲン酸、タンニンなどの成分。ヤラピンは整腸作用が、クロロゲン酸とタンニンはポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。

水にさらすことで、それらの成分が流れ出してしまいます。メリットとデメリットを知ったうえで、あく抜きをするかどうか決めると良いですね。

「あく」って何?

植物が昆虫などから自分の身を守るためのもの。人にとって有害なものと無害のものとがあります。サツマイモのあくに害はありません。


皮をむくメリットとデメリットって?

サツマイモの皮むきをするメリットは次の通り。

〇食感がよくなる。
〇苦みやえぐみが緩和する。

サツマイモの皮むきをするデメリットは次の通り。

〇栄養価が下がること。

わが家の子どもたちが小さいときは、皮の食感が苦手だったのでむいていました。

先ほどでてきたサツマイモのアクの成分であるクロロゲン酸は、皮の周辺部分に多く存在しています。苦みやえぐみを取りたい場合は、皮を厚めにむきます。

サツマイモの苦味成分が多く含まれている部分って?
〇サツマイモの端っこ。
〇黒色の斑点や塊がついているところ。
〇皮の部分。



失敗③ 水っぽい、もしくはパサパサしている


発酵サツマイモあんこの出来上がりがベタベタしていたり、逆にパサパサしていたりということがあります。これは水分調整がうまくいっていないことが原因。

私は発酵をスタートする時点では水分を控えめにしています。途中で撹拌する際に味見をして、乾燥していたら水分を適宜足すようにしています。

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失敗④ 酸っぱい


発酵サツマイモあんこがなぜか酸っぱくなってしまったという経験があります。腐ったのかな?と思いましたが、乳酸菌のしわざだったんです。詳しくみていきましょう。


乳酸菌の特徴って?

乳酸菌は、糖を分解して乳酸を生成します。酸味が生じるのが特徴です。乳酸発酵と言えば、ヨーグルト。酸っぱい食品ですね。


発酵サツマイモあんこが酸っぱくなった理由って?

発酵栗あんこには、微量ながら乳酸菌が含まれています。麹菌に比べて低温に強いため、冷蔵庫のなかで長期間保管していると優位に働いてしまうんです。

つまり、休んでいる麹菌にかわって乳酸菌が働いて発酵を進め、結果として酸味が増す…ということなんですね。


乳酸菌の働きをストップさせるには?

乳酸菌の働きを止めるには、冷凍庫に入れましょう。私はチャック付きの保存用袋に入れて冷凍しています。

うすめに広げて入れておくと、欲しい分だけパキパキ折って使うことができるので、オススメです!!食べるときは自然解凍で。

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写真はあずきの発酵あんこです。



失敗⑤ アルコール臭がする


アルコール臭がする理由って?

これは、過発酵が原因です。発酵の過程には段階があって、麹菌が生成する酵素がサツマイモのでんぷんを糖に分解します。

そのまま発酵が進むと、酵母が糖をアルコールに変化させるというのがその理由です。


過発酵をストップさせるには?

常温だとどんどん発酵が進むので、冷蔵庫に入れましょう。長めに保存したい場合は、冷凍がオススメです。


失敗⑥ カビが生えている


「カビ」ってなに?

「カビ」は、微生物群の一種で菌類の姿を示す俗称。専門的には「真菌」や「菌類」と呼ばれており、数万種以上が生息しているといわれています。糸状の細胞を伸ばして広がり、胞子を飛ばして拡散します。


カラダに良いカビと悪いカビがあるんです!!

例えば、発酵サツマイモあんこで使っている麹菌もカビの一種。カラダに無害で有益なカビには、以下のものがあります。

〇コウジカビ
味噌や醤油、甘酒などをつくる。

〇アオカビ
チーズなどをつくる。抗生物質である「ペニシリン」の材料になる。

〇酵母
パンやビール、ワインをつくる。

ところが一方で、カラダに悪影響を及ぼすカビがあります。人体への影響としては、次の2種類が挙げられます。

①カビそのものによる感染症。
②カビによるアレルギー反応。
③カビ毒による影響。


カビが発育する5つの条件とは?

カビが発育するための5つの条件は、次の通りです。

①酸素
②温度
③水分
④水素イオン濃度
⑤栄養分


カビ対策として

実際のカビ対策としては、どのような工夫があるのでしょうか?

①使う道具をあらかじめ消毒する。
②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く。
③出来上がったら冷蔵庫か冷凍庫で保管する。
④ヨーグルトメーカーで発酵させる。

①使う道具をあらかじめ消毒する
私は煮沸消毒や、アルコール度数の高いお酒で拭くなどの方法で行っています。

②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く
最後に保存容器の口をアルコールで拭きましょう。私は、純度の高い焼酎をキッチンペーパーに含ませてサッとなでるように拭き取っています。ホワイトリカーを使う時もあります。

③出来上がったら冷蔵庫か冷凍庫で保管する
カビが最も育つのは15~30℃。冷蔵庫の温度は、強弱などのモードにもよりますが、冷蔵室が約0℃~6℃、野菜室が約3℃~9℃です。常温に比べるとカビが繁殖しずらいんです。

④炊飯器やヨーグルトメーカーで発酵させる
常温下では発酵に時間がかかるため、カビが発生するリスクが高まります。炊飯器やヨーグルトメーカーを使うと時間短縮になるため、その分可能性を減らすことができます。

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食べるのを控えたほうが良い状態とは?


手作りの発酵サツマイモあんこは、市販品と違って賞味期限が明記されていません。次のような場合は残念ながら食べるのをやめて、新しく作り直しましょう。あくまでも自己判断なので注意が必要です。

①カビが生えてしまった場合。
②明らかに見た目、臭い、味がおかしい場合。

できあがった発酵サツマイモあんこはおいしいです。変な臭いもしません。基本的に発酵食品は腐らないとされていますが、保存状態はご家庭の環境によって様々。

自己判断になるのですが、保存している間に次のような状態になったら、雑菌が繁殖して腐敗している可能性が高いです。食べるのをやめておきましょう。

〇水分が出て分離している。
〇強い粘りが出ている。
〇糸を引いている。
〇異臭がする。
〇明らかに変な味がする。



まとめ


  • 『発酵サツマイモあんこ』ってなに?
    ふかしたサツマイモに米麹を加えて発酵させたノンシュガーのあんこ。サツマイモのデンプンを麹菌が分解してブドウ糖に変えることで甘くなる。
  • 『発酵サツマイモあんこ』の作り方って?
    〇材料は栗と米麹と水の3つ。
    〇手順は次の3ステップ。
    ①サツマイモをふかして
    ②水と米麹を加えて混ぜ
    ③発酵させるだけ!!
  • 『発酵サツマイモあんこ』が成功した状態って?
    サツマイモ本来の甘みよりも、さらに甘みが増していること。
  • 『発酵サツマイモあんこ』が失敗した状態って?
    ①甘くない
    ②えぐみがある
    ③水っぽい、もしくはパサパサしている
    ④酸っぱい
    ⑤アルコール臭がする
    ⑥カビが生えている
  • 失敗しないコツは?
    ①温度管理に気をつける
    ②あく抜きをする
    ③水分調整をする
    ④冷凍保存する
    ⑤カビ対策をする
    〇使う道具をあらかじめ消毒する
    〇保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く
    〇出来上がったら冷蔵庫か冷凍庫で保管する
    〇炊飯器かヨーグルトメーカーで発酵させる



おわりに


わが家の畑で、サツマイモがたくさん獲れました。甘みがあってホクホクしたサツマイモを食べていた時に、「これで発酵あんこを作ったらおいしそう!!」と閃いたんです。

いつも作っている発酵あんこ。サツマイモバージョンは、大正解でした!!あずきよりもクセがなくて食べやすいうえ、甘さも十分。とてもおいしいんです。

炭水化物が多いサツマイモですが、低GI値食品なんです。そしてお砂糖を使っていないから、ヘルシーなのも嬉しいポイント。

サツマイモは、もともととても栄養価の高い食品。それをさらに発酵させることで得られるメリットは大きいです!!

栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめ。

「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば誰でも作ることができます。ぜひ、今回の記事を参考にして、チャレンジしてくださいね!!

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