『手作り納豆』アンモニア臭がするんだけど大丈夫?ニオイの原因&保存方法、アンモニア臭を軽減する食べ方をご紹介します!!
誰もが知っている発酵食品と言えば、納豆。身近で安価なので、健康のために日々の食卓に取り入れている方は多いと思います。
わが家も、毎日のように納豆を食べています。以前はスーパーで買っていたのですが、原材料の大豆や納豆菌が大量生産のために遺伝子組み換えをしていたり、流通のために殺菌されている…ということを知ってから、手作りするようになりました。
自分で作ると、原材料にこだわることができたり、製造過程が目にみえるので、安心していただくことができます。
ただ、発酵食品を作り始めると「これって大丈夫なのかな?」と判断に迷うことがあります。今回のタイトルにある「アンモニア臭」もそのひとつ。
〇アンモニア臭がするのはなぜ?
〇アンモニア臭がしても食べられるの?
〇手作り納豆の保存方法って?
〇アンモニア臭を軽減する食べ方ってあるのかな?
これらの疑問について、詳しく見ていきますね!!
この記事の目次
アンモニア臭がするのはなぜ?
『納豆』は、やわらかく煮た大豆に納豆菌を混ぜて、発酵させたもの。手作り納豆も同じステップで作ります。発酵の過程で糸を引くようになり、独特のニオイを発するようになるんです。
ニオイの捉え方は人それぞれ。「臭い」と感じる人もいれば、「おいしそう」と感じる人も。また、できたての納豆をアンモニア臭いと感じる方もいれば、常温で保存していたらアンモニア臭がしてきた…という方もいるでしょう。
アンモニア臭がする状態というのは、納豆が腐ってしまったということなのでしょうか?アンモニア臭がする原因とは何なのでしょうか?紐解いていきますね。
アンモニア臭の原因って?
納豆のアンモニア臭の原因は、再発酵によるものと考えられます。再発酵とは、保存していた納豆が、納豆菌が活性化する条件を満たして再び発酵を始めた状態のこと。
再発酵が始まると、納豆のアンモニア臭がきつくなります。この状態は、再発酵が始まったかどうかの指標になるんです。
発酵とは?
「カラダに良い」「美肌に効く」と、最近話題の発酵食品。メディアで取り上げられることも多くなりました。ところが「発酵とはどういうこと?」と聞かれて、即座に答えられる方は少ないのではないでしょうか?
発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化することをいいます。
発酵食品にすると、どんなメリットがあるのでしょうか?発酵の過程で
〇消化・吸収がよくなります。
〇栄養価が加わります。
〇うまみが加わります。
〇保存性がよくなります。
発酵の最大のメリットは「消化・吸収がよくなる」こと。微生物があらかじめデンプンやたんぱく質を分解してくれるので、内臓への負担が軽減します。特に、腸内環境を整えることは、健康を保つ上でとても大切です。
納豆ができるとき、どんなことが起こっているのでしょうか?
納豆菌は増殖するときに大豆のたんぱく質を分解し、吸収しやすくします。その過程でビタミンやナットウキナーゼなどの酵素を作り出し、栄養価を高めるんです。
また、 たんぱく質を分解しておいしさの成分アミノ酸を生成するので、旨味が加わります。
ちなみに、納豆独特の香りやネバネバは納豆菌がもっているのではなく、発酵過程でできるもの。そしてアンモニアの発生は、発酵が進むと起こります。
アンモニア臭がする納豆は食べられるの?
できあがった納豆は、保存しているときも納豆菌が働きます。温度などの条件が揃うと、再発酵が始まるんです。そして再発酵が進むと、アンモニア臭がどんどん強くなります。
再発酵が進んでも、納豆を食べることはできるのでしょうか?答えは「YES」。一見腐ったように感じますが、あくまでも発酵が進んでいる状態なので食べることは可能。
ただし、アンモニアは悪臭なので、臭いがきついです。また、再発酵した納豆はアンモニア臭がするだけでなく、次のような状態になります。
〇糸の引きが悪くなる。
〇納豆が黒っぽく変色する。
〇白いツブツブがあり、食感がシャリシャリして苦みがある。
白いツブツブってなに?
チロシンと呼ばれるアミノ酸の結晶が浮き上がっている状態です。白くツブツブとしていて、食べるとシャリシャリとしていて苦味があります。
再発酵が進んだ納豆は、アンモニア臭があったり、チロシンによる苦みやシャリシャリとした食感があったりして、決しておいしいとは言えないでしょう。
なかにはその状態が好みだという方もいらっしゃるようですが、一般的においしくいただくには、できるだけ早めに食べきるほうがよさそうですね。
また、雑菌が繁殖したことでこのような状態になっている可能性もあります。見るからに異変がある、異臭がするなど明らかにおかしい場合は、食べるのをやめておきましょう。
発酵食品は腐るの?
納豆のアンモニア臭の原因は、再発酵によるものでした。では、発酵食品って腐るのでしょうか?
結論から言うと、本物の発酵食品は、理論上腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。
これを「菌の拮抗作用」と呼びます。身近な食品で例を挙げると
〇発酵食品の一種であるワインは、きちんと管理されていれば、何十年経っても腐りません。むしろ「ヴィンテージ(年代物)」と呼ばれて、非常に高値で取引されています。
〇同じく発酵食品であるお味噌も、「〇年熟成赤味噌」など、高級品として売られていたりします。
市販の発酵食品に賞味期限がある理由って?
それはズバリ、食品を流通させる時に衛生上の問題で殺菌されているからです!!発酵食品が殺菌されるとどうなるか?雑菌などが死んで食中毒から守られると同時に、発酵菌まで死んでしまうことになります。
すると「菌の拮抗作用」もなくなってしまい、腐敗をもたらす雑菌が侵入した場合、傷みやすい状態になるんです。
保存期間や賞味期限を過ぎた場合、食品の見た目や風味に変化が生じます。例えばヨーグルトの場合は、色が変わっていたり臭いが不快になります。有色のカビの発生が認められる場合もあるんです。
「発酵」と「腐敗」の違いとは?
実は、発酵と腐敗は科学的なメカニズムが同じなんです!!発酵も腐敗も、物質が微生物のはたらきによって分解されたり変化したりして、「新しい物質」を生成するというメカニズム。
この「新しい物質」が、人間にとって有益なものの場合発酵と呼ばれ、人間にとって有害なものの場合腐敗と呼ばれているんです。
『手作り納豆』の保存方法って?
「保存していた納豆からアンモニア臭がするのはなぜ?」という疑問について、その原因についてみてきました。
再発酵につながる常温保存はNGということですね。これらをふまえると、手作りした納豆の保存方法は以下の2点が考えられるでしょう。
〇冷蔵で保存する。
〇冷凍で保存する。
〇冷蔵で保存する
手作りした納豆は、冷蔵保存で1週間程度がおいしく食べられる期限だと言われています。納豆菌が再発酵を始める温度はだいたい10℃以上です。
冷蔵保存していた納豆は、食べる20分前に冷蔵庫から出して常温に戻しておきましょう。冷蔵下では納豆菌が休止状態になっているので、常温にして納豆菌を起こしてあげます。
納豆菌が目覚めて働き始め、ビタミンKが増えます。さらに粘りが強くなり、風味が増すので、栄養価が高まり、さらにおいしくいただくことができるんです。
冷凍で保存する
手作りした納豆を冷凍保存することもできます。冷凍の場合、保存期間は一ヶ月程度が目安と言われています。頻繁に作ることが難しい方は、多めに作って冷凍しておくという手もありますね。
ただし、保存期間が長引くほど納豆本来の風味や食感は落ちてしまいます。なるべく早く食べきるようにしましょう。
市販の納豆は、買ってきたパックのまま保存ができます。冷凍焼けや臭い移りが心配な場合は、パックのままラップに包んだり、密閉袋に入れて冷凍すると良いでしょう。
納豆菌は冷凍下でも死滅することはなく休眠状態になり、解凍すれば、再度発酵を始めます。冷凍保存しておいた納豆を解凍する際は、 食べる前の日くらいから冷蔵庫に移し、低温で自然解凍しましょう。
解凍のために電子レンジを使ったり、長い間常温に置くと品質が悪くなってしまいます。
〇雑菌が入らないように…
拮抗作用のある手作り納豆ですが、雑菌が入らないようにすることも大切です。使用する器具を熱湯消毒しておく、牛乳パックから取り出すときは清潔なスプーンを使用するなど、配慮するようにしましょう。
〇納豆菌が休眠するってどういうこと?
実は、納豆菌には2種類のカタチがあるんです!!
納豆菌の大きさは数ミクロン(1/1000㎜=1μm)。納豆の糸を光学顕微鏡で観察すると、次の2タイプが混在していることが確認できます。
①細長い楕円の形をした栄養細胞
②粒状の胞子
②の胞子は、「芽胞(がほう)」と呼ばれています。栄養細胞と胞子は、環境によってカタチを変えているだけで、実は同じ納豆菌です。
引用:納豆菌を見てみよう(2) : Web247 (livedoor.jp)
①活動時には栄養細胞のカタチに!!
納豆菌が活性化して、大豆を分解しているときに働くのが栄養細胞。どんどん分裂・増殖して数珠つなぎになり、発酵を進めます。
②休眠時には胞子のカタチに!!
環境が生息不可能な状態になると、栄養細胞は殻に閉じこもるように胞子の姿へ変化します。
胞子になった納豆菌は、乾燥にも熱にも非常に強く、プラスマイナス100℃の環境にも耐え、何千年も生き残ることができると言われています。
つまり、冷蔵庫や冷凍庫で保存しているときは芽胞になって休眠し、常温に戻すと栄養細胞になって再び活動を始めるということなんですね。
アンモニア臭を軽減する食べ方って?
出来たての納豆のアンモニア臭が気になる場合は、冷蔵庫で2~3日ねかせることで、そのニオイがとぶことが多いです。その他、アンモニア臭を軽減する食べ方をいくつか挙げておきますね。
〇からしには「アリルカラシ油」という成分があり、アンモニアと化学反応してアンモニア臭を消す作用があります。
〇わさびを混ぜます。
〇お酢を混ぜます。酢の物にしても。
〇キムチや野沢菜を混ぜます。同じ発酵食品である漬物を混ぜるとニオイが軽減するんです。
〇ポン酢しょうゆをかけます。
〇ごま油やオリーブオイルを混ぜます。揚げ物にしても。
まとめ
- アンモニア臭がするのはなぜ?
納豆のアンモニア臭の原因は、再発酵によるもの。再発酵とは、保存していた納豆が、納豆菌が活性化する条件を満たして再び発酵を始めた状態のこと。 - 発酵とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
納豆独特の香りやネバネバは納豆菌がもっているのではなく、発酵過程でできる。アンモニアの発生は、発酵が進むと起こる。 - アンモニア臭がする納豆は食べられるの?
一見腐ったように感じるが、あくまでも発酵が進んでいる状態なので食べることは可能。ただしおいしくないので、再発酵が進む前に食べきることがおススメ。 - 手作り納豆の保存方法って?
〇冷蔵
・10度以下で約一週間。
・食べる20分前に冷蔵庫から出して常温に戻しておく。
〇冷凍
・冷凍庫で約一か月間。
・食べる前の日くらいから冷蔵庫に移し、低温で自然解凍する。 - アンモニア臭を軽減する食べ方って?
〇からしを混ぜる。
〇わさびを混ぜる。
〇お酢を混ぜる。
〇キムチや野沢菜を混ぜる。
〇ポン酢しょうゆをかける。
〇ごま油やオリーブ油をかける。
〇揚げ物にする。
おわりに
納豆菌は常温保存ですと、再発酵によりアンモニア臭がしたりシロチンが発生するなど、風味が落ちてしまいます。食べられないことはありませんが、おいしくいただくには早めに食べきることをオススメします。
手作り納豆は、コツさえつかめば、とても簡単。材料や製法が目に見えるので、とても安心して食べることができます。
『手作り納豆』の作り方は「『手作り納豆』レシピ。作り方はかんたん。2つの材料&2ステップでできちゃいます!!」にまとめました。ぜひ手作りしてみてくださいね。
納豆がカラダに良いとされる理由を「『手作り納豆』の効果を詳しく解説!!さらに注目!!市販の納豆との違いって?」にまとめましたので、こちらもお読みください!!
この記事へのコメントはありません。