『発酵トマト』の気になる塩分。発酵食品を作るときに塩を入れる理由って?塩の選び方もご紹介!!
発酵トマトは、文字通りトマトを発酵させたもの。作るときには塩を入れます。
世間一般では、生活習慣病を予防するため、塩分を控えたほうが良いと言われています。それなのになぜ、カラダに良いとされる発酵食品づくりに塩が必要なのでしょうか?
それには、ちゃんと理由があるんです!!今回は、気になる塩分について記事にしました。発酵トマトを作ったり食べたりする時の参考にしてくださいね。
この記事の目次
- 1.『発酵トマト』ってなに?
- 2.発酵トマトに含まれる塩分について
- 3.なぜ塩を入れるの?
- 4.塩の種類って?
- 5.塩の選び方とは?
- 6.まとめ
- 7.おわりに
『発酵トマト』ってなに?
『発酵トマト』をご存知ですか?まずは「よくわからなくて」という方のために、簡単に説明しましょう。
『発酵トマト』ってなに?
発酵トマトは、その名の通りトマトを発酵させたもの。材料はトマトと塩の2つだけ。作り方も次の3ステップ。とてもシンプルです。
〇トマトをカットして
〇分量の塩を入れて混ぜ
〇発酵させるだけ!!
トマトは夏野菜ですが、最近では一年中売られています。気軽に作ることができるので、ホール缶やカットトマトのかわりとして使うのがオススメ。
自分で発酵させるというのはハードルが高そうですが、ポイントをおさえれば簡単です。
詳しい作り方については「万能な発酵液『とぎ汁乳酸菌』の作り方。3つの材料&2ステップで!!」をご覧ください!!
発酵トマトを手作りすることのメリットって?
『発酵トマト』を作るメリットって何でしょう?私は次の3つだと思っています。
①安心&安全である
②発酵させることで、栄養価が高まる
③おいしい!!
市販の商品は、大量生産が必須。また流通上、一定の品質を保持しなければなりません。そのために材料が遺伝子組み換えだったり、添加物が入っていたりするものが多いです。
その点、手作りだと原材料にこだわれるうえ、製造過程が目に見えるので安心していただくことができます。
また、もともと栄養価の高いトマトですが、発酵させることで得られる効果・効能がさらに高まります。
そして何よりもコクや旨味があって、本当においしいんです!!スープやパスタを作ると、家族にも大好評。程よい酸味がクセになりますよ。
缶入りのホールトマトが危険だと言われる理由って?
缶の内側には、腐食や金属が溶け出すのを防ぐためにコーティング加工がされています。コーティング剤に使われているビスフェノールA(BPA)という化学物質が、トマトの酸の影響で溶け、体に有害な影響をもたらすと言われています。
『発酵トマト』の効果・効能って?
発酵トマトの効果・効能には、主に次の8つが挙げられます。これは、トマトの栄養と、発酵させることで得られるものです。
①便秘の予防・改善
②肥満の予防・改善
③アレルギーの予防・改善
④糖尿病の予防・改善
⑤生活習慣病の予防・改善
⑥疲労回復
⑦美肌効果
⑧老化の抑制
発酵トマトに含まれる塩分について
発酵食品である発酵トマトには、多くの効果・効能がありますが、気になるのは塩分。日頃から摂取量を気にされている方は多いですね。
発酵トマトに含まれる塩の量って?
私は発酵トマトを作るとき、トマトの重量に対して1.5%の塩を入れています。わかりやすく言うと、トマト500gに小さじ1.5(7.5g)の塩ということ。
ちなみに、厚生労働省が定めている摂取基準 は次の通りです。
〇男性は7.5g未満(一食あたり2.5g)
〇女性は6.5g未満(一食あたり2.2g)
『塩』ってなあに?
『塩』と言いますが、何かと聞かれると答えに詰まりませんか?
塩とは、塩化ナトリウムを主な成分とし、海水を乾燥させたり、岩塩を採掘したりして生産される物質です。
塩と塩化ナトリウムの違いとは?
〇塩
主成分の塩化ナトリウムの他に、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含む物質。
〇塩化ナトリウム
ナトリウムと塩素が結合してできた化合物。
ナトリウムはミネラルの一種。体液の濃度を一定に保つ、筋肉運動や神経伝達を助けるという大切な働きがあります。
ところが一方で、摂り過ぎると生活習慣病のリスクが高まると言われています。市販の食品でも「塩分控えめ」をうたう商品が多くみられるようになりました。
塩分を摂り過ぎるとどうなるの?
「塩分を控えましょう」と推奨されますが、なぜなのでしょうか?塩分を摂り過ぎると次のような症状を引き起こすと言われています。
〇高血圧
〇腎臓病
〇胃がん
〇高血圧
塩分を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度が高くなり、それを下げるために水分を多くためこむようになります。
その結果、血液量が増えて血管がパンパンになり、大量の血液を流すために血管壁に高い圧力が加わります。
高血圧は脳出血や心不全、動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞につながります。
〇腎臓病
腎臓は、過剰に摂取した塩分や溜まった老廃物を濾過して、尿をつくる働きをしています。
塩分を摂り過ぎると腎臓に過度の負担がかかり、慢性腎臓病を起こしやすくなります。それが悪化すると腎不全を招き、透析療法が必要になることもあるんです。
〇胃がん
塩分の摂り過ぎは胃の粘膜にダメージを与え、胃炎をひきおこします。胃炎が慢性化すると、発がん性物質の影響を受けるリスクが高まると言われています。
1日10g以上塩分を摂っている人は、胃がんにかかる率が高まるという報告があります。
排泄されないことが問題!!
共立女子大学家政学部の研究によると、食塩の摂取で血圧が上がるのは、腎臓からのナトリウム排泄量が少ないことが原因だと分かったそうです。
塩分の摂り過ぎに気をつける一方で、カラダのデトックス機能を高め、しっかり排出することも大切だということですね。
カリウムのチカラ
トマトにはカリウムが含まれています。カリウムには、ナトリウムと同時に摂取することで塩分を体外に排出しやすくするという働きがあります。また、血圧を下げる効果もあるんです。
発酵トマトは手作りなので、市販品と違ってカリウムなどミネラル成分の多い塩にこだわることもできます。
発酵のチカラ
まだ詳しい理由は解明されていないのですが、発酵食品にはデトックス効果があるとも言われています。
発酵食品である味噌汁の実験
1日に1~3杯の味噌汁を飲む人の血圧の平均値は、ほとんど変化がなかった。むしろ腎臓からのナトリウム排泄が促され、30%の減塩効果があるという結果が導き出された。
なぜ塩を入れるの?
発酵トマトを作る際に、なぜ塩を入れるのでしょうか?それには次の理由があるんです。
①腐敗しにくくするため
②発酵を促すため
理由① 腐敗しにくくするため
理論上、本物の発酵食品は腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
ところが、保存状態などによって腐敗菌が勝ってしまい、カビが生えたり、腐敗したりします。発酵食品を作っていて悩まされるのがカビと腐敗。それを防ぐために活躍するのが塩なんです。
食品に含まれる水には、「結合水」と「自由水」とがあります。微生物が繁殖に利用できるのは自由水だけなので、これを減らせば抗菌力を高めることができます。
具体的に、「乾燥させる、塩漬けにする、砂糖漬けにする」という3つの方法があります。
乾燥させるのは、単純に自由水を減らすため。また、食品に塩や砂糖を加えるのは、塩や砂糖を自由水と結びつけて結合水にし、自由水を減らすためです。
結合水と自由水って?
〇結合水:たんぱく質や糖質と強く結合して離れない水
〇自由水:自由に動くことができる水
また、塩あるいは砂糖を加えると、食材に含まれる水分や微生物の水分は、浸透作用によって塩や砂糖の方に流れ出ていきます。その結果、微生物にとって必要な食材の水分量が減り、増殖しずらくなるんです。
②発酵を促すため
塩は、発酵促進剤だと言われています。乳酸菌は塩に強いため、塩分を加えると雑菌の繁殖が抑えられ、乳酸菌を選択的に増やすことができます。
トマトには、もともと乳酸菌が付着しています。塩を加えると、浸透圧によってトマトに含まれるブドウ糖や果糖などが浸出します。浸み出した糖を栄養分にして乳酸菌が増え、発酵が進むというメカニズムなんです。
塩の種類って?
スーパーで売られている塩。パッケージの表記をみても、ちんぷんかんぷんではありませんか?原材料や製造工程の違いをみても、とても複雑なんです。
塩を選ぶときのポイントは、パッケージに記載されている「成分」をみて、選ぶことがベストです。
塩の種類は大きく分けて2つ
塩は、作る方法によって次の2種類に分けられます。
①海水塩
②岩塩
①海水塩
海水塩とは、「海水の水分を取り除くことで作られた塩」。精製塩、天然塩、再生加工塩があります。
〇精製塩
スーパーやコンビニで見かけることが多い塩。原材料は海水ですが、ミネラルを取り除き、機械を使って結晶化するため、精製塩と呼ばれます。
ミネラルを含まず、塩化ナトリウムのみなので、栄養価は他の塩と比べると一番低い塩です。安い値段で売られているのも特徴です。
〇天然塩
海水を原料にし、太陽や風などの自然の力を利用して海水を蒸発させ、釜で煮詰めて結晶化させた塩です。
精製塩と異なり、ミネラルが豊富であることが特徴。主なミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ヨウ素などです。
〇再生加工塩
天日塩(塩田に引き込んだ海水を太陽や風などの自然の力で蒸発させてつくる)に、人工的ににがりを加え、釜で結晶化させた塩です。
ミネラルが豊富なにがりを加えることで、ただ塩辛いだけではなく深みのある味になります。
②岩塩
岩塩は、もともとは海の水。大昔に地殻変動で陸地に閉じ込められた海水が結晶化し、その上に土砂が堆積して作られたと考えられています。
ミネラルは豊富ですが、不純物が混入していることもあります。ちなみに日本では、岩塩はみつかっていません。
塩の選び方とは?
発酵食品を手作りするメリットの一つが、原材料にこだわることが出来る点。私は塩も、できるだけカラダに良いものを使っています。
では実際に、どのような基準で選べばいいのでしょうか?結論から言うと、塩を買うときは、パッケージに記載されている情報をみます。
市販の塩は、原材料、原産地、製造方法、栄養成分等の細かな情報が記載されています。商品名やキャッチコピーよりも、成分表などを参考にすることがおススメです。
塩の主成分は塩化ナトリウム。その他、マグネシウムやカルシウム、カリウムなどのミネラルが含まれています。このミネラル量をチェックするといいでしょう。
なお、パッケージの表示が適切に行われていると承認されている商品には、公正マークが記載されています。公正マークの有無も、その商品の信頼度をはかる上で一定の目安になりそうですね。
ちなみに私は「塩田に深層海水を入れ、天日で乾燥させて、さらに一年間熟成発酵させた塩」を、専門店から購入して使っています。通常の食塩が塩化ナトリウム99%以上なのに比べ、この塩は80%。残りの20%がミネラル成分なんです。
まとめ
- 『発酵トマト』ってなに?
その名の通りトマトを発酵させたもの。 - 『発酵トマト』の作り方って?
〇材料は、トマトと塩のみ。
〇手順は次の3ステップ。
①トマトをカットして
②分量の塩を入れて混ぜ
③発酵させるだけ!! - 『発酵トマト』を手作りするメリットって?
①安心&安全である
②発酵させることで、栄養価が高まる
③おいしい!! - 『発酵トマト』の効果・効能って?
①便秘の予防・改善
②肥満の予防・改善
③アレルギーの予防・改善
④糖尿病の予防・改善
⑤生活習慣病の予防・改善
⑥疲労回復
⑦美肌効果
⑧老化の抑制 - 『発酵トマト』の塩分量は?
トマトの重量に対して15%の塩。 - ナトリウムの摂取基準 は?
・男性は7.5g未満(一食あたり2.5g)
・女性は6.5g未満(一食あたり2.2g) - 塩とは?
塩化ナトリウムを主な成分とし、海水を乾燥させたり、岩塩を採掘したりして生産される物質。 - 塩分を摂り過ぎると?
高血圧、腎臓病、胃がんのリスクが高まる。 - 塩分が排泄されないことが問題!!
カリウムを摂る、腎臓の機能を低下させないなど、デトックス機能を高めることが大切。 - 塩の種類は大きく2つ。
①海水塩
②岩塩
①海水塩はさらに3種類に分類されている。
精製塩、天然塩、再生加工塩 - 塩の選び方とは?
〇塩を買うときは、パッケージに記載されている情報をみて、ミネラル含有量が高いものを選ぶ。
〇公正マーク(パッケージの表示が適切に行われているという承認の証)の有無も確認する。
おわりに
発酵食品がカラダに良いことは知っていますが、気になるのは塩分量。発酵トマトを作るときは、トマトの重量の約15%の塩を入れているからです。
今回の記事では、そんな心配にお答えしました。情報を知っているのと知らないのとでは大きな違いがあります。気になる方は、お食事の塩分量をトータルで調整したり、選ぶ塩にこだわったりするなど、ぜひ参考にしてくださいね。
わが家では、今年も家庭菜園でたくさんのミニトマトがとれました。食べきれない分は、発酵トマトに。
発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。
私は冷蔵庫で保存している発酵トマトを、ホールトマトやカットトマトのかわりに使っています。市販のトマト缶は、「缶から溶け出した化学物質がカラダに良くない」と聞きました。
また、材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いです。その点手作りの発酵トマトは、材料も製造過程も目に見えるので安心。
「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、作り方自体は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、ぜひチャレンジしてみてください!!
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