一日で出来る簡単『手作り 味噌』!!塩分の摂り過ぎにはならないの?味噌と塩との関係とは?
味噌作りを始めて10年以上。一日で出来る方法に出会うまでは、一年分を一度に仕込むのは難しくて市販のものと半々で使っていました。
今では欲しいときに欲しい分をサッと作ることができるので、家で使う味噌はすべて手作り。
わが家は味噌汁が大好きで毎日飲んでいるのですが、「塩分の摂り過ぎになってしまうのでは?」という声も聞かれます。
なぜ塩の摂り過ぎは良くないのか?味噌の塩分は本当にカラダに悪いのか?塩の種類と選び方って?など、今回は、塩分に焦点を当てていきたいと思います!!
この記事の目次
- 1.なぜお味噌が一日で出来ちゃうの?
- 2.味噌に含まれる塩分について
- 3.なぜ塩を入れるの?
- 4.塩の種類って?
- 5.塩の選び方とは?
- 6.まとめ
- 7.おわりに
なぜお味噌が一日で出来ちゃうの?
通常は、数ヶ月から一年間熟成させて完成する味噌。どうやって一日でできるのか、不思議ではありませんか?
そのヒミツは、炊飯器を使って作ること。麹菌の適温に合わせて発酵を促進するから、早く仕上げることができるんです。
一日でできる『簡単味噌』。材料は大豆と米麹と塩の3つだけ。作り方も次の3ステップ。
〇大豆を茹でて
〇米麹と塩を加えて
〇発酵させるだけ!!
作り方については『一日で出来る!!簡単『味噌』の作り方』をご覧ください。
通常の味噌作りと異なる点は、短期間で発酵させるため、米麹の量が多いこと。そのため、よりマイルドな仕上がりとなります。
また、発酵時間が短いので出来上がりはさっぱりとした白味噌です。発酵時間を延長することで、熟成味噌に近づけることができます。
私が味噌を手作りする理由とは?
私が味噌を手作りし始めた理由は次の2点から。
①原材料にこだわることが出来る。
②作る過程が目に見える。
市販の味噌は、大量生産のために遺伝子組み換えや農薬などの心配があったので、国産の大豆を買って作りたかったんです。
塩についてもこだわることができます。私が選んだのは、食塩ではなくミネラル分の多い塩。水も水道水ではなく、浄水を使っています。
もちろん、化学調味料や保存料も無添加。安心していただくことができますね。
味噌に含まれる塩分について
発酵食品である味噌には、多くの効果・効能がありますが、気になるのは塩分。日頃から摂取量を気にされている方は多いですね。
味噌に含まれる塩の量って?
日本食品栄養成分表によると、一般的な味噌に含まれる塩分(ナトリウム)は、100gあたり4,900㎎。お椀一杯の味噌汁では、約1.2gです。
ちなみに、厚生労働省が定めている摂取基準 は次の通りです。
〇男性は7.5g未満(一食あたり2.5g)
〇女性は6.5g未満(一食あたり2.2g)
ちなみに手作りの味噌は、味をみながら塩分を調整することができるのも魅力的ですね。
『塩』ってなあに?
『塩』と言いますが、何かと聞かれると答えに詰まりませんか?
塩とは、塩化ナトリウムを主な成分とし、海水を乾燥させたり、岩塩を採掘したりして生産される物質です。
塩と塩化ナトリウムの違いとは?
〇塩
主成分の塩化ナトリウムの他に、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含む物質。
〇塩化ナトリウム
ナトリウムと塩素が結合してできた化合物。
ナトリウムはミネラルの一種。体液の濃度を一定に保つ、筋肉運動や神経伝達を助けるという大切な働きがあります。
ところが一方で、摂り過ぎると生活習慣病のリスクが高まると言われています。市販の食品でも「塩分控えめ」をうたう商品が多くみられるようになりました。
塩分を摂り過ぎるとどうなるの?
「塩分を控えましょう」と推奨されますが、なぜなのでしょうか?塩分を摂り過ぎると次のような症状を引き起こすと言われています。
〇高血圧
〇腎臓病
〇胃がん
〇高血圧
塩分を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度が高くなり、それを下げるために水分を多くためこむようになります。
その結果、血液量が増えて血管がパンパンになり、大量の血液を流すために血管壁に高い圧力が加わります。
高血圧は脳出血や心不全、動脈硬化を引き起こします。動脈硬化は、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞につながります。
〇腎臓病
腎臓は、過剰に摂取した塩分や溜まった老廃物を濾過して、尿をつくる働きをしています。
塩分を摂り過ぎると腎臓に過度の負担がかかり、慢性腎臓病を起こしやすくなります。それが悪化すると腎不全を招き、透析療法が必要になることもあるんです。
〇胃がん
塩分の摂り過ぎは胃の粘膜にダメージを与え、胃炎をひきおこします。胃炎が慢性化すると、発がん性物質の影響を受けるリスクが高まると言われています。
1日10g以上塩分を摂っている人は、胃がんにかかる率が高まるという報告があります。
排泄されないことが問題!!
共立女子大学家政学部の研究によると、食塩の摂取で血圧が上がるのは、腎臓からのナトリウム排泄量が少ないことが原因だと分かったそうです。
塩分の摂り過ぎに気をつける一方で、カラダのデトックス機能を高め、しっかり排出することも大切だということですね。
カリウムのチカラ
味噌にはカリウムが含まれています。カリウムには、ナトリウムと同時に摂取することで塩分を体外に排出しやすくするという働きがあります。また、血圧を下げる効果もあるんです。
手作り味噌は市販品と違ってカリウムなどミネラル成分の多い塩にこだわることもできます。
発酵のチカラ
詳しい理由は解明されていないのですが、発酵食品にはデトックス効果があるとも言われています。以下に興味深い研究結果を載せておきます。
味噌は血圧上昇を防ぐ?!
共立女子大学の協力を得て行った、血圧が自然にあがるラットで試験を実施した結果では、味噌摂取では同じ食塩量を含む食塩水摂取と比べて、血圧上昇を抑制することがわかりました。
https://www.marukome.co.jp/rd/result03/
その後、16gの味噌を用いたみそ汁を1日2杯ずつ、3カ月飲んでもらう「長期ヒト介入試験」を実施。その結果、一般的なだし入り味噌では血圧を上昇させることはありませんでした。つまり、「1日32gまでの味噌摂取は、血圧を上げることはない」という結論を導き出すことができたのです。
発酵食品である味噌汁の実験
1日に1~3杯の味噌汁を飲む人の血圧の平均値は、ほとんど変化がなかった。むしろ腎臓からのナトリウム排泄が促され、30%の減塩効果があるという結果が導き出された。
参考資料:『高血圧なら味噌汁を飲みなさい』上原誉志夫
味噌は血圧を下げ、脳卒中を防ぐ?!(国立がん研究センターのHPより)
発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連
https://epi.ncc.go.jp/jphc/825/8437.html
今回の研究では、45−74歳の男女約9万人の方々を、約15年間追跡した調査結果にもとづいて、大豆食品、発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連を調べました。
男女ともに発酵性大豆食品の摂取量が多いほど、死亡全体のリスクの低下がみられました。本研究の結果から、発酵性大豆食品の摂取量が多いと死亡のリスクが低くなる可能性が示唆されました。
研究チームは、発表資料の中で次のように推測しています。
「大豆イソフラボンには血管の壁が動脈硬化によって厚くなるのを防ぎ、血圧を下げる作用がありますが、そのままでは吸収されにくい状態でした。発酵することによって分解が進み、吸収されやすくなると考えられます。また、大豆発酵食品にポリアミンという細胞の増殖や分化を助ける成分が多く含まれ、これが降圧作用に影響を与えている可能性もあります」
なぜ塩を入れるの?
味噌を作る際に、なぜ塩を入れるのでしょうか?それには次の理由があるんです。
①腐敗しにくくするため
②発酵を促すため
理由① 腐敗しにくくするため
理論上、本物の発酵食品は腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
ところが、保存状態などによって腐敗菌が勝ってしまい、カビが生えたり、腐敗したりします。発酵食品を作っていて悩まされるのがカビと腐敗。それを防ぐために活躍するのが塩なんです。
食品に含まれる水には、「結合水」と「自由水」とがあります。微生物が繁殖に利用できるのは自由水だけなので、これを減らせば抗菌力を高めることができます。
具体的に、「乾燥させる、塩漬けにする、砂糖漬けにする」という3つの方法があります。
乾燥させるのは、単純に自由水を減らすため。また、食品に塩や砂糖を加えるのは、塩や砂糖を自由水と結びつけて結合水にし、自由水を減らすためです。
結合水と自由水って?
〇結合水:たんぱく質や糖質と強く結合して離れない水
〇自由水:自由に動くことができる水
また、塩あるいは砂糖を加えると、食材に含まれる水分や微生物の水分は、浸透作用によって塩や砂糖の方に流れ出ていきます。その結果、微生物にとって必要な食材の水分量が減り、増殖しずらくなるんです。
②発酵を促すため
塩は、発酵促進剤だと言われています。乳酸菌や酵母は塩に強いため、塩分を加えると雑菌の繁殖が抑えられ、それらを選択的に増やすことができます。
味噌ができるまで(麹菌、乳酸菌、酵母の働き)
麹菌が作り出す酵素は、大豆のタンパク質や米のデンプンを分解して、ブドウ糖、ペプチド、アミノ酸に変えていきます。
乳酸菌がブドウ糖をエサにどんどん増殖し、乳酸をつくり出します。乳酸によってpHが下がり、酵母にとって生育しやすい環境になります。
酵母がブドウ糖やアミノ酸をアルコールや有機酸に変えながら、ゆっくりと時間をかけて味噌特有の風味を醸していきます。
塩の種類って?
スーパーで売られている塩。パッケージの表記をみても、ちんぷんかんぷんではありませんか?原材料や製造工程の違いをみても、とても複雑なんです。
塩を選ぶときのポイントは、パッケージに記載されている「成分」をみて、選ぶことがベストです。
塩の種類は大きく分けて2つ
塩は、作る方法によって次の2種類に分けられます。
①海水塩
②岩塩
①海水塩
海水塩とは、「海水の水分を取り除くことで作られた塩」。精製塩、天然塩、再生加工塩があります。
〇精製塩
スーパーやコンビニで見かけることが多い塩。原材料は海水ですが、ミネラルを取り除き、機械を使って結晶化するため、精製塩と呼ばれます。
ミネラルを含まず、塩化ナトリウムのみなので、栄養価は他の塩と比べると一番低い塩です。安い値段で売られているのも特徴です。
〇天然塩
海水を原料にし、太陽や風などの自然の力を利用して海水を蒸発させ、釜で煮詰めて結晶化させた塩です。
精製塩と異なり、ミネラルが豊富であることが特徴。主なミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ヨウ素などです。
〇再生加工塩
天日塩(塩田に引き込んだ海水を太陽や風などの自然の力で蒸発させてつくる)に、人工的ににがりを加え、釜で結晶化させた塩です。
ミネラルが豊富なにがりを加えることで、ただ塩辛いだけではなく深みのある味になります。
②岩塩
岩塩は、もともとは海の水。大昔に地殻変動で陸地に閉じ込められた海水が結晶化し、その上に土砂が堆積して作られたと考えられています。
ミネラルは豊富ですが、不純物が混入していることもあります。ちなみに日本では、岩塩はみつかっていません。
塩の選び方とは?
発酵食品を手作りするメリットの一つが、原材料にこだわることが出来る点。私は塩も、できるだけカラダに良いものを使っています。
では実際に、どのような基準で選べばいいのでしょうか?結論から言うと、塩を買うときは、パッケージに記載されている情報をみます。
市販の塩は、原材料、原産地、製造方法、栄養成分等の細かな情報が記載されています。商品名やキャッチコピーよりも、成分表などを参考にすることがおススメです。
塩の主成分は塩化ナトリウム。その他、マグネシウムやカルシウム、カリウムなどのミネラルが含まれています。このミネラル量をチェックするといいでしょう。
なお、パッケージの表示が適切に行われていると承認されている商品には、公正マークが記載されています。公正マークの有無も、その商品の信頼度をはかる上で一定の目安になりそうですね。
ちなみに私は「塩田に深層海水を入れ、天日で乾燥させて、さらに一年間熟成発酵させた塩」を、専門店から購入して使っています。通常の食塩が塩化ナトリウム99%以上なのに比べ、この塩は80%。残りの20%がミネラル成分なんです。
まとめ
- 味噌の塩分量は?
一般的な味噌に含まれる塩分(ナトリウム)は、100gあたり4,900㎎。お椀一杯の味噌汁では、約1.2g。 - ナトリウムの摂取基準 は?
・男性は7.5g未満(一食あたり2.5g)
・女性は6.5g未満(一食あたり2.2g) - 塩とは?
塩化ナトリウムを主な成分とし、海水を乾燥させたり、岩塩を採掘したりして生産される物質。 - 塩分を摂り過ぎると?
高血圧、腎臓病、胃がんのリスクが高まる。 - 塩分が排泄されないことが問題!!
カリウムを摂る、腎臓の機能を低下させないなど、デトックス機能を高めることが大切。 - 味噌にするメリット
味噌は血圧を下げ、脳卒中を防ぐ?!
(国立がん研究センターのHPより) - 味噌に塩を入れる理由とは?
①腐敗しにくくするため
②発酵を促すため - 塩の種類は大きく2つ。
①海水塩
②岩塩
①海水塩はさらに3種類に分類されている。
精製塩、天然塩、再生加工塩 - 塩の選び方とは?
〇塩を買うときは、パッケージに記載されている情報をみて、ミネラル含有量が高いものを選ぶ。
〇公正マーク(パッケージの表示が適切に行われているという承認の証)の有無も確認する。
おわりに
一般的に「塩分の摂り過ぎに注意しましょう」と言われ、味噌についても同様の見方があります。味噌と塩の気になる関係についてお伝えしましたが、いかがでしたか?様々な研究により、分かってきたことがありましたね。
私は10年以上自家製味噌を作っています。以前は1年に一度、寒い季節にまとめて作っていました。
ところが、一年分をまかなうだけの量を一度に作ることが出来ず…市販の味噌と半々で食べていたんです。
一日でできる『簡単味噌』にたどり着いてからは、欲しいときに欲しい分だけ作ることが出来るので、一気に悩み解決!!
保存しておくスペースも取らないし、カビに悩まされることもありません。熟成具合も、保温時間によって調整することができます。
まろやかでさっぱりした白味噌が好みであれば、発酵時間を短めに。深みのある熟成された味噌が良ければ、味見をしながら保温時間を延長します。
手作りの味噌は、塩の量も調整することができるので、最初は分量の通りに作ってみて、次回から自分好みの味を探してみるのも楽しいです。
使う大豆、米麹、水や塩にこだわることができるのも手作りならでは。材料や作る過程が目に見えるので安心していただくことができます。ぜひ手前味噌を作ってみてくださいね!!
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