日本の発酵の歴史は縄文時代から!? 日本の調味料を支える国菌の「麹」との関係
日本の発酵の歴史を遡ると縄文時代から始まります。現代のように家電製品がない時代、保存をしておくことで、食べ物が腐敗せず保管することが出来たので、生活にとっては必須だったのではないでしょうか。
時代と共に移り変わる発酵の歴史。
日本が生み出してきた発酵の歴史は、日本の風土や気候にも大きく作用されてきています。
日本独自の発酵もとても多く、日本人の体に合ったものが多く作られてきています。それだけ、日本は発酵大国だったのですね。
旨味が増し、身体の免疫力を上げてくれる発酵食品。
美味しいだけじゃない、深い魅力を持つ発酵についてお届けしていきたいと思います。
この記事の目次
- 1.発酵と日本の歴史
- 2.古くからある日本の発酵食品
- 3.麹菌ってなんだろう?
- 3-1.麹とは?
- 3-2.麹菌とは
- 3-3.日本の発酵は「コウジカビ」が大きい
- 3-4.麹は発酵食品の味の基本となるモノ
- 4.日本で発酵が栄えた理由
- 5.まとめ
- 6.おわりに
1.発酵と日本の歴史
日本の発酵文化は縄文時代から始まったとされています。
時代によって少しずつ発酵の歴史も変化し続けていますね。実際に、時代と共にどのように変化したのか見ていきましょう。
1.縄文時代
日本最古の発酵食品は約4000年前の縄文時代と言われています。
魚から出てきた水を濾す「魚醤」という魚の漬物があり、どんぐりのクッキーやお酒もありました。
2.飛鳥時代
醤油の原型が作られていました。
3.奈良時代の天平年間(729~749年)
木簡に残されていた瓜の塩漬けが文献上は最古の記録とされています。
記録の中で、「未醤」というお醤油になる前の状態のことも記されていました。カビが生えたお米を使ってお酒を造ったという記述も残っています。
4.平安時代(794~1185年ごろ)中期
法令集『延喜式』には、酢漬けや粕漬けなど様々な漬物についての記述があったとされています。灰を使って純粋に麹菌だけを取り出す技術もあったそう。
また、酒、酢、お味噌、お醤油などの調味料が店頭で販売されるようになりました。
京都では穀物、お魚、お肉、野菜の4種から作られるお醤油屋があったともされています。そして、種麹屋も出来ていたようです。
発酵モノを売る商売としては世界でも初だったかも?
5.室町時代
お酒に火入れをして、保存性を高める技術が発達しました。
6.17世紀のオランダで
17世紀に科学者のオランダ人「レーウェンフック」が発酵に微生物が関わっている事を明らかにしました。この方が考案した顕微鏡により、酵母菌やカビが発見され、発酵(腐敗)は微生物が起こす現象ということが明らかにされました。
2.古くからある日本の発酵食品
日本には昔から食される発酵食品がいくつかあります。
周りが海に囲まれている日本ならではの発酵モノをご紹介しましょう。
・くさや
くさやは魚類の干物の1つで、伊豆諸島の特産品としても有名です。臭いに特徴があり「くさや液」と呼ばれる発酵液に浸けられているのが大きな特徴の一つです。この液は、古いものほど旨味が増すと言われています。
・ふなずし
ふなずしとは日本古来の鮓(熟鮓)の代表的なものの一つで、奈良時代に作られたとされています。滋賀県の郷土料理として有名で、材料は飯と塩で作られますが、独特の発酵臭がするのが特徴。飯に浸けた後、酒かすに浸けなおすとニオイが抑えられます。魚のタンパク質がアミノ酸へと分解され旨味が増していきます。
・鰹節
鰹節はとても栄養価の高い食品で、筋肉、骨、血液をつくる上で欠かせないタンパク質やカリウム、ビタミンDなどを豊富に含んでいます。
鰹節には荒節、枯節の2種類があり
・荒節とは鰹を煮詰め、燻したもの
・枯節とは、荒節に鰹節菌を発酵させたもの
3.麹菌ってなんだろう?
日本の発酵文化に欠かせないものと言えば麹菌。
麹菌は、日本の発酵調味料には欠かせなく、お醤油、お味噌などさまざまな用途で使われています。
3-1.麹とは?
カビの一種です。
毒性はなく、人にとって有益に働いてくれます。
麹菌とは人にとって有益に働いてくれる「発酵微生物」で東洋にのみ存在する有用微生物なのです。
麹とは、蒸したお米に麹菌を繁殖させて発酵したものです。発酵とは微生物の働きによって有機物が分解され、他の物質に変化することです。
微生物である麹菌→有機物のお米が分解→別の物質の麹に変化
この過程を発酵と呼びます。
・麹と糀の違い
「麹」は全てのコウジのことを言います。
「糀」は米コウジのみに使います。
「麹」は全ての麹に使うことができるので、米麹、麦麹、豆麹と組み合わせて使うことができます。「糀」は米コウジのみなので、一文字で「米コウジ」という意味になります。
3-2.麹菌とは
麹菌とはお米から麹に変わる時に、100種類以上の酵素を作り出しています。麹から発酵食品を作る時に働いているのは、麹菌ではなく、麹菌が生み出した酵素です。
その中でも麹菌に使われている代表的な酵素を2種類お伝えします。
・たんぱく質を分解するプロテアーゼ
・でんぷん質を分解するアミラーゼ
この2つの酵素によって素材の旨みと甘みが引き出されます。
3-3.日本の発酵は「コウジカビ」が大きい
日本には漬物だけでも3000種類以上あり、ここまで豊かな発酵文化を生み出した理由を一つあげるとしたらコウジカビのおかげが大きい。
日本では「コウジカビ」を使っていることが多く、国菌に指定されています。醤油、味噌、酒、鰹節などがそれに当たります。室町時代には、良質な麹の製造方法も考案されていました。
米にコウジカビが繁殖すると「花が咲いたようにみえる」ことから「糀」という字が生まれたのです。
3-4.麹は発酵食品の味の基本となるモノ
北の地域では黄麹で日本酒が造られ、南の地域では黒麴で焼酎や泡盛が造られることが多いです。
黒麹にはクエン酸を生成する働きがあり、酸性に傾くことで雑菌が入りにくい特徴があります。地域ごとに気温、湿度の違いもありその場所の気候に適した麹を使うようになったと考えられています。
発酵食品の特徴
・うま味が増す
・栄養価が高くなる
・保存が利く
・自然食品
4.日本で発酵が栄えた理由
日本は島国で海に囲まれた食料の恵みに溢れた国です。
島国である日本でなぜ発酵が栄えたのでしょう、環境が作り出す場と発酵の繋がりを見ていきましょう。
4-1.海に囲まれている
海に囲まれている日本は魚や塩が豊富に取れる場所。
塩は食品の保存も利くので発酵にとって大切な食材の1つです。
4-2.温暖湿潤な気候
日本は四季があり、温暖湿潤な気候です。一年を通して暖かく、湿気が多いので有用なカビが生えやすいのです。ヨーロッパなどの乾燥した地域では、チーズなどを除いては発酵食品が作られるということはほとんどないそうです。
中国やアジア諸国では
中国やアジア諸国で使われる麹は、クモノスカビや毛カビなどで、米や麦などを原料として蒸さずに粉にした穀物に水を少し加え練って固め置いておきます。様々な種類の微生物が繁殖し、「餅麹」が出来上がります。
5.まとめ
- 発酵と日本の歴史
日本の発酵文化は縄文時代から始まったとされています。時代によって少しずつ発酵も変化してきています。
・縄文時代
魚から出てきた水を濾す「魚醤」という魚の漬物があった。
・飛鳥時代
醤油の原型が作られていた。
・奈良時代の天平年間
木簡に残されていた瓜の塩漬けが文献上は最古の記録。
・平安時代中期
酒、酢、お味噌、お醤油などの調味料が店頭で販売されるようになりました。
・室町時代
お酒に火入れをして、保存性を高める技術が発達した。
・17世紀のオランダで
17世紀に科学的にオランダの「レーウェンフック」が発酵に微生物が関わっている事を明らかにしました。 - 古くからある日本の発酵食品
日本の発酵は、海に近いため海産物がとても多い。
・くさや
くさやは、魚類の干物の1つで、伊豆諸島の特産品としても有名です。
・ふなずし
ふなずしとは日本古来の鮓(熟鮓)の代表的なものの一つで、奈良時代に作られたとされています。
・鰹節
鰹節はとても栄養価の高い食品で、筋肉、骨、血液をつくる上で欠かせないタンパク質やカリウム、ビタミンDなどを豊富に含んでいます。 - 麹菌ってなに?
麹菌は、日本の発酵調味料には欠かせなく、お醤油、お味噌などさまざまに使うことが出来ます。
・「麹とは?」
人にとって有益に働いてくれるカビの一種。
・麹菌とは
2つの酵素によって素材の旨みと甘みが引き出されます。
・日本の発酵は「コウジカビ」が大きい
日本では「コウジカビ」を使っていることが多く、国菌に指定されている。醤油、味噌、酒、鰹節などがそれに当たる。
・麹は発酵食品の味の基本となるモノ
北の地域では黄麹で日本酒が造られる南の地域では黒麴で焼酎や泡盛が造られることが多くなってきます。 - 日本で発酵が栄えた理由
日本は島国、周りが海に囲まれているため、食べ物も豊富にあり、発酵文化も栄えるようになってきた。
・海に囲まれている
海に囲まれている日本は魚や塩が豊富に取れる場所。
・温暖湿潤な気候
日本は四季があり、温暖湿潤な気候です。一年を通して暖かく、湿気が多いので有用なカビが生えやすいのです。
6.おわりに
発酵と日本の歴史、いかがでしたでしょうか?
日本は発酵の歴史が深く日本独自の菌は、日常的に使用する発酵調味料にも多く使われています。
また、麹は日本の「国菌」とされいろんな役割を果たしてくれています。
美味しさが増し、身体にもいい発酵食品、いろいろ試してみてください♪
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