気になるトランス脂肪酸。手作りの『発酵マヨネーズ』で、できるだけカラダに優しく&おいしくいただきましょう!!
「マヨネーズはおいしいけれど、なんとなくカラダに悪い気がして…」という声をよく聞きます。油だったり、カロリーだったり、添加物だったり。そのなかでも気になるのが『トランス脂肪酸』。
トランス脂肪酸がカラダに与える影響については、メディアなどで話題になりました。それより前は、コレステロール値が高いバターのかわりとして、植物性油を使ったマーガリンが推奨されていたんです。
ところが、トランス脂肪酸が与える健康被害について知られるようになって、トランス脂肪酸を多く含むマーガリンを食べ控えている方が増えました。
マヨネーズは約70%が油で作られています。その多くが植物性油。マーガリン同様、トランス脂肪酸を多く含んだ食品です。
私は、少しでもカラダに良いマヨネーズを使いたくて、『発酵マヨネーズ』を手作りするようになりました。
〇トランス脂肪酸ってなに?
〇トランス脂肪酸がカラダに与える影響とは?
〇できるだけカラダに優しいマヨネーズを食べたい!!
〇『発酵マヨネーズ』って?
「できるだけカラダに優しいマヨネーズを食べたい!!」と思いませんか?今回は、『トランス脂肪酸』に注目して書いていきます。
この記事の目次
『トランス脂肪酸』について知ろう!!
トランス脂肪酸がカラダに悪いことは知っていても、詳しく説明できる人は少ないのではないでしょうか?
〇トランス脂肪酸ってなに?
〇トランス脂肪酸は何に含まれているの?
〇トランス脂肪酸摂取量の目標値や規制ってあるの?
〇トランス脂肪酸を摂るとどうなるの?
まずは、トランス脂肪酸について知るところからスタートしましょう。
トランス脂肪酸ってなに?
トランス脂肪酸とは、一言でいうと不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含む植物油脂(主にオメガ6)に水素を添加し、飽和脂肪酸に変える過程で生成されるもの。
耳慣れない言葉が多くて、難しいですね。順番に説明していきます。まず、油の主成分である脂質は大きく次の2つに分けられます。
①飽和脂肪酸
常温で固まる「脂」(肉やバター、ラードなど)
②不飽和脂肪酸
常温で液体の「脂」(植物油や魚など)
ご家庭で料理に使われている植物性油は、『②不飽和脂肪酸』です。不飽和脂肪酸はさらに次のように分類されています。
〇多価不飽和脂肪酸
体内で作ることができません。
【オメガ3系】(えごま油、亜麻仁油など)
【オメガ6系】(紅花油、コーン油、ごま油など)
〇一価不飽和脂肪酸
体内で作ることができます。
【オメガ9系】(菜種油、こめ油、オリーブ油など)
【オメガ3系】【オメガ6系】【オメガ9系】の順にみていきましょう。
【オメガ3系】(α-リノレン酸、DHA、EPA)
・血液をサラサラにするので、血栓予防、動脈硬化の改善、高血圧の予防に効果的です。
・コレステロール値を下げる効果があります。
・えごま油、亜麻仁油など
【オメガ6系】(リノール酸)
・細胞膜の形成、細胞を固くする、止血するなどの効果があります。
・現代人は摂り過ぎだと言われています。
・紅花油、コーン油、ごま油、グレープシードオイルなど
【オメガ9系】(オレイン酸)
・美容、心臓病・動脈硬化の予防、コレステロールの低下に効果があります。
・菜種油、こめ油、オリーブ油など
『トランス脂肪酸』とは、「不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含む植物油脂(主にオメガ6)に水素を添加し、飽和脂肪酸に変える過程で生成されるもの」でしたね。
なぜ植物油脂を、わざわざ水素を添加して飽和脂肪酸に変える必要があるのでしょうか?分かりやすく例を挙げます。
トランス脂肪酸の代名詞のようになったマーガリンは、製品の80%以上が植物性油脂です。本来、植物性油は常温だとサラサラの液体。
これではパンに塗ることができません。使いやすい固形の状態にする必要があります。
しかも、植物性油脂は分子構造が不安定な液体で、とても劣化しやすいんです。そのままでは、すぐに酸化したり劣化したりして長期保存には向きません。
そこで水素を加えて加工し、賞味期限が長くて、保管に便利な固形のマーガリンを作ったということなんです。
トランス脂肪酸は何に含まれているの?
トランス脂肪酸を使った代表的な油脂に、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、食用調合油、マヨネーズなどがあります。
これらはスナック菓子、クッキーやチョコレート、ラクトアイス、パン、カップ麺、カレールー、インスタント食品などあらゆる加工食品の原材料に含まれています。
また、ファーストフードのポテトやドーナツなどにも使われています。
トランス脂肪酸摂取量の目標値や規制ってあるの?
WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えることを、健康増進のための目標基準としています。これは、1日当たり約2gに相当します。
アメリカなどでは規制が進んでいますが、今のところ日本では、トランス脂肪酸の使用についての決まりはありません。
つまり商品表示について、トランス脂肪酸の含有量を明記してもしなくても、どちらでもOKだということなんです。消費者自身の意識が問われますね。
100gあたりに含まれるトランス脂肪酸の量を挙げますので、参考にしてください(厚生労働省が調査・公表している主な食品です)。
1位 ショートニング 13.574g
2位 マーガリン 8.057g
3位 ファットスプレッド 5.499g
4位 パイ 4.752g
5位 クリーム(乳脂、植物油) 3.017g
6位 バター 1.951g
7位 クッキー 1.916g
8位 スナック菓子(コーン系) 1.715g
9位 植物油(ナタネ油など) 1.359g
10位 マヨネーズ 1.237g
11位 イーストドーナツ 0.673g
12位 スナック菓子(ポテト系) 0.308g
13位 菓子パン 0.204g
14位 食パン 0.163g
15位 即席中華麺 0.128g
トランス脂肪酸を摂るとどうなるの?
『トランス脂肪酸』は、主に人工的に作り出されたものなので、人間の消化器系では排出や代謝がされにくく、カラダに蓄積します。
トランス脂肪酸を多く摂取すると、悪玉コレステロール(LDL)を増加させるだけでなく、善玉コレステロール(HDL)を減少させてしまうんです。そうすると、動脈硬化(冠動脈疾患)や心疾患のリスクを高めます。
また、脳の細胞膜の働きを悪化させ、認知症の発症リスクを高めるともいわれています。
トランス脂肪酸は、一旦体に入ってしまうとなかなか排出されず、血管に溜まっていく物質です。つまり、デトックスが難しいということ。できるだけ摂取しないように心がけることが大切なんです。
『トランス脂肪酸』は、牛肉、羊肉、牛乳、乳製品などの天然の食品中にも含まれていますが、反芻動物の胃で生成される乳製品や肉などに含まれるトランス脂肪酸は、冠動脈疾患との関連性は低いものと考えられています。
できるだけカラダに優しいマヨネーズを食べたい!!
『発酵マヨネーズ』を手作りすることのメリットは、材料にこだわることができるということです。自分で作るのですから、使う材料も製造過程も目に見えるので安心ですね。私なりのこだわりは以下の3点です。
〇油にこだわる。
〇油の量を減らす。
〇発酵食品を使う。
油にこだわる
私が使う油を選ぶときに気をつけていることは
・トランス脂肪酸の含有量が少ないかどうか。
・オメガ6系の油を控える。
という2点。トランス脂肪酸の健康被害がメディアで取り上げられてから、含有量が少ない商品が開発され、市場に出回るようになりました。
これをチェックして、できるだけトランス脂肪酸が含まれていない商品を選ぶようにしています。
また、現代人が摂り過ぎだとされているオメガ6系の油を控えるようにしています。いろいろ悩んだ末、少しでもカラダに優しいマヨネーズために私が選んだ油が『こめ油』。
最初は、オメガ3系の亜麻仁油かえごま油を使おうと思ったのですが、価格が高いことと、酸化しやすいという理由であきらめました。
次にトランス脂肪酸が含まれておらず、酸化しにくいうえ、栄養価も高いエキストラバージンオリーブオイルを使うことを考えました。
ところが油の分解物が含まれているため乳化しずらく、マヨネーズを分離させる原因になることがあるため、こちらも断念。
トランス脂肪酸を含まないエキストラバージンオイルは低温搾取(コールドプレス)製法のものです。高温処理しているものは、トランス脂肪酸を含んでいます。
私がこめ油を選んだ理由は、次の3つのポイントから。
・栄養価が高いこと。
・酸化しずらいこと。
・香りなどのクセが少ないこと。
こめ油は米ぬかからできているので、抗酸化作用のあるビタミンEが含まれています。また、油の食物繊維ともいわれ、コレステロールの低下に役立つ成分『食物ステロール』の量が他の油よりも多いんです。
さらに、不飽和脂肪酸の中でも酸化しやすいリノレン酸の含量が少ないため、酸化に強いという特徴があります。
クセがなく、他の材料の風味をジャマしないことも、私がこめ油を選んだ理由のひとつ。
ただし、こめ油にもトランス脂肪酸は含まれています。不純物を除去したり脱臭したりするために高温で加熱するのですが、このときにトランス脂肪酸が生成されるからなんです。
こめ油に含まれるトランス脂肪酸は約1%と言われています。こめ油はコレステロールを低下させる働きがあるので、少しはリスクを減らせると思いますが、できるだけトランス脂肪酸の含有量が少ない商品を使うことをオススメします。
油の量を減らす
手作りすることのメリットの一つが、原材料を自分で調整できること。私は、油の量を控えめにしています。
ただし油の量が少な過ぎると、乳化がうまくいきません。ゆるめのマヨネーズになる可能性が高いです。固さにもそれぞれ好みがあると思うので、ご自身のお好みの量を探ってみてくださいね。
〇乳化(エマルション)とは?
油や水分のように、本来混ざり合わないものが均一に混ざり合う状態のこと。
〇乳化剤とは?
乳化した状態を保つために加える、「水と油を結び付けておく材料」のこと。
発酵食品を使う
さらに腸内環境を整えてくれると話題の発酵食品を使うことで、よりカラダに良いマヨネーズを作ることができます。
発酵の最大のメリットは「消化・吸収がよくなる」こと。微生物があらかじめデンプンやたんぱく質を分解してくれるので、内臓への負担が軽減します。特に、腸内環境を整えることは、健康を保つ上で大きな意味があります。
腸内環境を整えることで、免疫力がアップします。カラダの自浄作用を高めることは、とても大切ですね。
手作りの『発酵マヨネーズ』では、発酵食品であるお酢や甘酒、塩麴を使って作ります。
お酢は、優秀な発酵食品です。また、甘酒や塩麴をつくる麹菌。麹菌が発酵過程で生成するリパーゼという酵素は、脂質を分解し、消化を促す働きがあります。
〇発酵とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化することをいいます。
〇発酵食品にすると、次のようなメリットがあります!!
・消化・吸収がよくなります。
・栄養価が加わります。
・うまみが加わります。
・保存性がよくなります。
『発酵マヨネーズ』を作ってみましょう!!
発酵マヨネーズは、マヨネーズや材料を発酵させて作るのではなく、発酵食品である甘酒や塩麴、そしてお酢を使って作ります。
私は以下の2パターンの発酵マヨネーズを作って、そのときの気分によって使い分けています。
①甘酒と豆乳を使ったバージョン
②塩麴と卵を使ったバージョン
①と②の2つのバージョン。風味が違うのですが、どちらもおいしいですよ!!
油の量は目安です。油の量を少なくすると、出来上がりの『発酵マヨネーズ』はゆるめに出来上がります。お好みで調整してください。
『発酵マヨネーズ』の作り方については「『発酵マヨネーズ』の作り方。甘酒バージョン&塩麹バージョン。2種類の味をご紹介します!!」をご覧ください。
まとめ
- 『トランス脂肪酸』について知ろう
①トランス脂肪酸ってなに?
不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含む植物油脂(主にオメガ6)に水素を添加し、飽和脂肪酸に変える過程で生成されるもの。不純物を除去したり脱臭したりするための高温処理の際にも生成される。
②トランス脂肪酸は何に含まれているの?
マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、食用調合油、マヨネーズなど。あらゆる加工食品の原材料に含まれている。ファーストフード店でも使われている。
③トランス脂肪酸摂取量の目標値や規制ってあるの?
WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取を1日当たり約2gに抑えることを推奨している。日本では、トランス脂肪酸の使用についての決まりはない。
③トランス脂肪酸を多く摂るとどうなるの?
悪玉コレステロール(LDL)を増加させるだけでなく、善玉コレステロール(HDL)を減少させてしまい、動脈硬化(冠動脈疾患)や心疾患のリスクを高める。また、脳の細胞膜の働きを悪化させ、認知症の発症リスクを高める。
トランス脂肪酸は、一旦体に入ってしまうとなかなか排出されず、血管に溜まっていくので注意する。 - できるだけカラダに良いマヨネーズを食べたい!!
〇油にこだわる。
〇油の量を減らす。
〇発酵食品を使う。
おわりに
マヨネーズは約70%が油で作られています。その多くが植物性油。マーガリン同様、トランス脂肪酸を多く含んだ食品です。
私は、少しでもカラダに良いマヨネーズを使いたくて、『発酵マヨネーズ』を手作りするようになりました。
市販のマヨネーズに比べて、手作りの『発酵マヨネーズ』は原材料にこだわることができたり、使う量を調整したりすることができます。また、製造過程がみえるので安心ですね。
さらに、カラダにやさしい発酵食品を使っているので、魅力倍増なんです!!ぜひ、今回の記事を参考にして『発酵マヨネーズ』を作ってみてください。
すでに作られているという方は、油やその配合量を変えて色々と試されると楽しいですね。少しでもカラダに良いマヨネーズができあがりますように。
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