発酵ってなに?シリーズ③食べても大丈夫?発酵食品の「賞味期限」とは?日持ちするためのポイントって?おすすめの手作り発酵食17レシピもご紹介します!!
発酵食品を手作りしていると、疑問に思うのが賞味期限。どのくらい日持ちがするんだろう?と思うことがあります。私も最初の頃はそうでした。
今回は、発酵食品の保存期間や日持ちさせるためのポイント、保存方法、口にして良いかどうかの見極め方などについてお伝えします。最後にふだん私が手作りしている発酵食品17レシピも載せますので、ぜひ作ってみてください!
この記事の目次
発酵とは?
まずは『発酵』について簡単に説明しましょう。発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。発酵の過程で得られるメリットは次の通りです。
①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる
①消化・吸収がよくなる
微生物が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。
②うまみが加わる
酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。
③栄養価が加わる
食品は発酵させることで栄養価がアップします。 微生物によって食材のデンプンやたんぱく質等の栄養素が分解されることもメリットのひとつ。栄養をスムーズに取り込むことができます。
④保存性がよくなる
発酵させることで保存性がよくなります。詳しくは、このあと説明していきますね。
発酵食品の賞味期限って?
市販品には賞味期限が必ず明記されているので、それを目安に食べきればいいのですが、手作りだとそうはいきません。自己判断に委ねられているので、難しく感じることもあります。
発酵食品は腐りにくい?!
理論上では、本物の発酵食品は腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
身近な食品で例を挙げると…
発酵食品の一種であるワインは、きちんと管理されていれば、何十年経っても腐りません。むしろ「ヴィンテージ(年代物)」と呼ばれて、非常に高値で取引されています。味噌も、「〇年熟成赤味噌」など、高級品として売られていたりしますね。
発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!
発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。
市販の発酵食品に賞味期限がある理由って?
それはズバリ、食品を流通させる時に衛生上の問題で殺菌されていることが多いから。発酵食品が殺菌されるとどうなるか?雑菌などが死んで食中毒から守られると同時に、発酵菌まで死んでしまうことになります。
すると「菌の拮抗作用」もなくなってしまい、腐敗をもたらす雑菌が侵入した場合、傷みやすい状態になるんです。保存期間や賞味期限を過ぎた場合、食品の見た目や風味に変化が生じます。
例えばヨーグルトの場合、色が変わっていたり臭いが不快になります。有色のカビの発生が認められる場合もあるんです。
賞味期限と消費期限の違いって?
農林水産省では次のような見解となっています。
「賞味期限」
袋や容器を未開封の状態で、容器に書かれた保存方法を守って保存しておけば、記入された年月日までは品質が変わらずにおいしく食べられる期限のこと。
「消費期限」
袋や容器を未開封の状態で、書かれている保存方法を守って保存しても、期限を過ぎたら食べない方が体に良い食品のこと。
塩や砂糖のチカラ
腐りずらいとされる発酵食品。ところが、保存状態などによって腐敗菌が勝ってしまうことがあります。味噌などの発酵食品において、悩まされるのがカビと腐敗。それを防ぐために活躍するのが「塩」や「砂糖」なんです。
食品に含まれる水には、「結合水」と「自由水」とがあります。微生物が繁殖に利用できるのは自由水だけなので、これを減らせば抗菌力を高めることができます。具体的に、「乾燥させる、塩漬けにする、砂糖漬けにする」という3つの方法があります。
乾燥させるのは、単純に自由水を減らすため。また、食品に塩や砂糖を加えるのは、塩や砂糖を自由水と結びつけて結合水にし、自由水を減らすためです。
結合水と自由水って?
〇結合水:たんぱく質や糖質と強く結合して離れない水
〇自由水:自由に動くことができる水
また、塩あるいは砂糖を加えると、食材に含まれる水分や微生物の水分は、浸透作用によって塩や砂糖の方に流れ出ていきます。その結果、微生物にとって必要な食材の水分量が減り、増殖しずらくなるんです。
こんな場合は、食べるのを控えて!!
先ほど発酵食品は理論的には腐らないとお伝えしましたが、あくまでも正しい方法で保存ができている場合です。以下の状況が当てはまる場合は、残念ながら食べるのをやめて、新しく作り直しましょう。あくまでも自己判断なので、注意が必要です。
①カビが生えてしまった場合。
②明らかに見た目、臭い、味がおかしい場合。
①カビが生えてしまった場合
発酵食品を手作りしていると、一番悩まされるのがカビ。せっかく作ったのに、泣く泣く捨てることになってしまった…という話をよく聞きます。
「カビ」とは、微生物群の一種で、菌類の姿を示す俗称。専門的には「真菌」や「菌類」と呼ばれており、数万種以上が生息しているといわれています。
糸状の細胞を伸ばして広がり、胞子を飛ばして拡散します。そして、カビには有益なものと有害なものとがあります。
有害なものは、感染症やアレルギーを引き起こします。さらにカビが作り出す代謝産物であるカビ毒は、発がん性のものもあると言われているので、口にしないようにしましょう。
一方、有益なものもあります。「カビ」と聞くと、頭ごなしに毒だ!!と悪者扱いしてしまいがちですが、豆板醤の材料である米麹の麹菌もカビの一種。カラダに良いカビには、次の3つが挙げられます。
〇コウジカビ
味噌や醤油、甘酒などをつくる。
〇アオカビ
チーズなどをつくる。抗生物質である「ペニシリン」の材料になる。
〇酵母
パンやビール、ワインをつくる。
②明らかに見た目、臭い、味がおかしい場合
できあがった発酵もやしはおいしいです。変な臭いもしません。基本的に発酵食品は腐らないとされていますが、保存状態はご家庭の環境によって様々。
これこそ自己判断になるのですが、保存している間に次のような状態になったら、雑菌が繁殖して腐敗している可能性が高いです。食べるのをやめておきましょう。
〇強い粘りが出ている。
〇糸を引いている。
〇異臭がする。
〇明らかに変な味がする。
日持ちさせるために気をつけることって?
発酵食品を日持ちさせるには、ちょっとした配慮が必要です。気をつけるポイントは以下の通りです。順番にみていきましょう。
①使う道具をあらかじめ消毒する。
②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く。
③出来上がりを数回に分けて食べる場合は、清潔な道具を使う。
工夫① 使う道具をあらかじめ消毒する
発酵させる過程で、カビが生じることがあります。なるべくカビが発生しないように、使用する道具や保存する容器などをあらかじめ消毒しておきましょう。私は煮沸消毒や、アルコール度数の高いお酒で拭くなどの方法で行っています。
工夫② 保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く
カビが生えないように、最後に保存容器の口をアルコールで拭きましょう。私は、純度の高い焼酎をキッチンペーパーに含ませてサッとなでるように拭き取っています。ホワイトリカーを使う時もあります。
容器のふたや口あたりの汚れは、雑菌の繁殖を招きます。使い終わったときに汚れていたら、こまめにキレイにすると保存性が高まります。
工夫③ 出来上がりを数回に分けて食べる場合は、清潔な道具を使う
出来あがった発酵食品を取り分けて食べる場合、使う菜箸やスプーンなどから雑菌が入ることがあります。必ず清潔なものを使いましょう。
発酵食品は常温保存?冷蔵保存?
発酵食品は常温でも保存可能ですが、私は発酵が完了した後、基本的に冷蔵庫に移しています。冷凍が可能なものは、冷凍保存する場合も。その理由は、以下の3点です。
ちなみに冷蔵庫は0℃~10℃、冷凍庫は-12℃以下に温度設定するよう、JIS規格で制定されています。
①カビの発生を防ぐ
②酸化を防ぐ
③過発酵を防ぐ
①カビの発生を防ぐ
カビが生えやすい環境とは、温度が20℃~35℃くらい、湿度が80%と言われています。 冷蔵保存は、常温に比べるとカビが繁殖しずらいんです。
②酸化を防ぐ
食品の風味を損ねてしまうので、保存するときのポイントは、できるだけ酸化させないようにすること。酸化の原因は、熱、光、酸素、食品中に含まれる金属イオンや光増感物質などが挙げられます。
酸化を防ぐには、これらの条件を少しでもなくしてあげることが必要です。そこで私は、できるだけ容器を密閉して、冷暗所である冷蔵庫にいれることにしました。
酸化とは何かをご存知ですか?「皮をむいたリンゴをそのままの状態でおいておくと、茶色く変色してしまう」という例がよく知られていますね。詳しくは、以下を参考にしてください。
酸化とは、対象とする物質が電子を失う化学反応のこと。具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応などである。
食物を室温で放っておくと徐々に色や味が変わってくるのも、酸化が原因のことが多い。このため、食品には種々の酸化防止剤が用いられる。またパッケージも空気を通さないように工夫され、場合によっては脱酸素剤を入れておくこともある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B8%E5%8C%96
ウィキペディアより
③過発酵を防ぐ
発酵が進み過ぎると、風味が落ちてしまいます。発酵菌には最も活発に働く温度があり、一般的には低温になるとその働きが弱まります。冷蔵庫に入れることで過発酵を防ぐことができるんです。
ただ、冷蔵保存と言っても発酵は徐々に進みます。発酵すればするほど酸味が増すので、酸っぱさが気になるようであれば、早めに食べきる方が良いでしょう。麹菌、酵素、乳酸菌、酵母。一般的に言われている温度との関係は、次の通りです。
麹菌
〇増殖に適した温度 25~30度
〇繁殖が止まる温度 45度
〇死滅する温度 50度前後
酵素
〇失活する温度 60~70度、50度以下
乳酸菌
〇最も活発に働く温度 20~45度
〇徐々に死滅する温度 50℃以上
〇死滅する温度 70℃
乳酸菌とひと口に言っても、実はたくさんの種類があります。その性質や形はさまざま。種類によって活性化する温度にも差があるんです。
〇高温性 40~45度
〇中温性 30~35度
〇低温性 10度
酵母菌
〇最も活発に働く温度 35~38度
〇活動が低下する温度 10度以下
〇死滅する温度 55度以上
手作り発酵食品「17レシピ」をご紹介します!!
最後に、私がふだん作っている発酵食品「17レシピ」を以下に貼っておきます。日々の食卓にとり入れることができるよう、できるだけ簡単に&シンプルに作る工夫をしていますので、ぜひトライしてみてくださいね。
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まとめ
- 発酵とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 発酵の過程で
①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる - こんな場合は、食べるのを控えましょう!!
①カビが生えてしまった場合。
②明らかに見た目、臭い、味がおかしい場合。 - 発酵と腐敗の違いって?
微生物の働きによる食材の変化の結果
〇人間にとって有益な物質だと「発酵」
〇人間にとって有害な物質だと「腐敗」 - 日持ちさせるために気をつけることって?
①使う道具をあらかじめ消毒する。
②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く。
③出来上がりを数回に分けて食べる場合は、清潔な道具を使う。 - 出来上がった発酵食品の保存方法とは?
冷蔵か冷凍保存がオススメ
おわりに
今回は、「賞味期限」をテーマにお伝えしましたが、いかがでしたか?健康への関心が高まり、発酵食品が注目されています。ところが、市販されている発酵食品は材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いんです。その点手作りだと、材料も製造過程も目に見えるので安心。塩にこだわることも可能です。
元々、カラダに良い食材たち。それを発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめですね。
「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてください!!
「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてください!!
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