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発酵ってなに?シリーズ⑤「発酵しない」のはなぜ?失敗しないためのポイントとは?「手作り発酵食17レシピ」もご紹介します!!

発酵食品を手作りしていると、たくさんの失敗を経験します。その多くは「発酵しない」状態。最初の頃は、成功しているかどうかの見極めも分からなくて…。ここで諦めてしまう方も多いです。

発酵食品を作ることは決して難しくないんですが、ちょっとしたコツが必要。今回は私の経験をふまえながら、「発酵しないんだけど」というお悩みにお応えしますね。

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発酵とは?


発酵とは?

まずは『発酵』について簡単に説明しましょう。発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。発酵の過程で得られるメリットは次の通りです。

①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる

①消化・吸収がよくなる

微生物が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。

②うまみが加わる

酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。

③栄養価が加わる

食品は発酵させることで栄養価がアップします。 微生物によって食材のデンプンやたんぱく質等の栄養素が分解されることもメリットのひとつ。栄養をスムーズに取り込むことができます。

④保存性がよくなる

本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。

発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!

発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。

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発酵しているかどうかの見極め方って?


発酵食品を作っていて、完成しているのかどうか迷うことがありませんか?私も最初はよく分からなかったのですが、経験を重ねることで判断できるようになりました。ここでは乳酸菌と麹菌の発酵について、それぞれどのような状態が成功と言えるのか?をみていきます。


乳酸発酵が成功した状態って?

乳酸発酵が成功すると、保存容器の蓋を開けた際、次のような状態になっています。

〇炭酸の「プシュッ」という音がする
〇甘酸っぱいニオイがする

また、pHをはかるという方法もあります。酸性になっている目安は、pHが3.5以上と言われています。ちなみに、小さな気泡が出始めたら発酵が始まった合図。「菌たちが働いているんだな~」と、嬉しくなります。

発酵の過程で、炭酸ガスが発生します。ふたを開けたとたんに、容器内に充満したガスで中身があふれたり、飛び散ることがあります。条件がそろうと、想像以上の勢いで爆発することも。初めて開けるときは、様子をみながら緩めましょう。

また、一日一回ガス抜きをするといいです。炭酸飲料と同じように、ふたを開ける前に容器を振ったり、揺すったりすることはやめてください。

ふたを開けたときに腐敗臭がしたら、雑菌が繁殖している可能性が高いです。もったいないのですが、また新しく作り直してください。

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麹菌の発酵が成功した状態って?

麹菌の発酵が成功すると、次のような状態になっています。

〇甘みがある
〇旨みが増す

麹菌で発酵させた食品が、砂糖不使用なのにほんのり甘いのは、麹菌が炭水化物を分解してブドウ糖にするから。甘酒が分かりやすいですね。

また、酵素で分解生成されたさまざまな成分は香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。 成功した発酵食品は、元々の食材に比べて風味も旨味もアップしています。

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発酵しないのはなぜ?


「レシピ通りに作ったのに、発酵しないんだけど…」という悩みをよく聞きます。乳酸発酵時に保存容器のふたを開けたとき、まったくガスが発生していない場合は、発酵が上手に進んでいない可能性があります。

麹菌の発酵の場合は、甘みや旨味が感じられない状態ですと、発酵不足だと考えられます。なぜ上手に発酵が進まなかったのでしょうか?これにはちゃんと理由があるんです。


発酵のメカニズム

乳酸発酵の場合をみてみましょう。野菜には、もともと乳酸菌が付着しています。塩を加えると、浸透圧によって野菜に含まれる有機物が浸出します。浸み出した有機物を栄養分にして乳酸菌が増え、発酵が進むというメカニズムなんです。


発酵しない理由って?

発酵発酵の場合、「乳酸菌が有機物を栄養分にして増えることで発酵が進む」ということが分かりました。発酵しないということは、乳酸菌が活発に働いていないから。たいていは、温度管理に原因があることが多いです。

乳酸菌には、活性化する温度、働きが鈍くなる温度、死滅する温度があります。環境によって、増え方が違ってくるんです。これは、麹菌や納豆菌、酢酸菌、酵母などについても同様のことが言えます。

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じょうずに発酵させるためのポイントとは?


以上のことから、じょうずに発酵させるためには温度管理が大切だということが分かりました。もう少し詳しくみていきましょう。その他にもいくつかポイントがありますのでお伝えしますね。


温度管理に気をつける

乳酸菌を例にとってみていきます。一般的に乳酸菌が最も活発に働く温度は、20~45度。つまり、冬場で気温が低いときには発酵が進みづらくなり、夏場で気温が高いときには過発酵になる可能性が高いということです。

気温が低くて発酵が進まないときには、20~45度を保たなければなりません。逆に夏場は、エアコンが効いていない暑い部屋だと、発酵が進み過ぎてしまったり、カビが生えたりする可能性が。

ご家庭によって室温は様々。季節による寒暖差も大きいです。じょうずに発酵させるには、一定の温度を保つ工夫をしましょう。ちなみに、乳酸菌は50℃以上で徐々に死滅、70℃では1分もたたないうちに死滅すると言われています。

麹菌、酵素、乳酸菌、酵母。一般的に言われている温度との関係は、次の通りなので、参考にしてくださいね。

①麹菌
〇増殖に適した温度 25~30度
〇繁殖が止まる温度 45度
〇死滅する温度   50度前後 

②酵素
〇失活する温度 60~70度、50度以下

③乳酸菌
〇最も活発に働く温度 20~45度
〇徐々に死滅する温度 50℃以上
〇死滅する温度    70℃

乳酸菌とひと口に言っても、実はたくさんの種類があります。その性質や形はさまざま。種類によって活性化する温度にも差があるんです。

〇高温性 40~45度
〇中温性 30~35度
〇低温性 10度

④酵母菌
〇最も活発に働く温度 35~38度
〇活動が低下する温度 10度以下
〇死滅する温度    55度以上


温度管理に便利なヨーグルトメーカー

ヨーグルトメーカーは、材料を混ぜ合わせて、発酵させる過程で使います。つねに一定の状態に保って、理想的な発酵食品に仕上げてくれます。適した温度と時間をセットして、スイッチを押すだけ。オートで仕上げてくれるから、らくちんです!!

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温度管理以外のポイントって?

発酵をよりスムーズに進めるためには、温度管理以外にもポイントがあります。それが「塩」。塩は、発酵促進剤だと言われています。乳酸菌は塩に強いため、塩分を加えると雑菌の繁殖が抑えられ、乳酸菌を選択的に増やすことができます。

また、塩を加えることで野菜に含まれている有機物が浸透圧によって浸出し、乳酸菌がそれをエサにして増えることで発酵が進みます。塩が足りなかったり、よく混ざっていないと発酵がうまく進まないことがあるので注意しましょう。

オススメは未精製の塩!!

乳酸菌や酵母の細胞を作るためには、ミネラルが必要です。ナトリウムやマグネシウム、カリウムなどを含んでいる「海塩」を使うことがのぞましいです。「食塩」は精製されてミネラルが取り除かれています。

詳しく知りたい方は『発酵ってなに?シリーズ①「塩」 塩を入れる理由って?塩の選び方もご紹介します!!』を参考にしてください。

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手作り発酵食品「17レシピ」をご紹介します!!


最後に、私がふだん作っている発酵食品「17レシピ」を以下に貼っておきます。日々の食卓にとり入れることができるよう、できるだけ簡単に&シンプルに作る工夫をしていますので、ぜひトライしてみてくださいね。

簡単手作り!麹を使った発酵食品レシピ3選!!「発酵あんこ」3バージョンをご紹介します

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簡単手作り!砂糖も塩も使わない発酵レシピ2選~「松葉サイダー」「発酵ショウガ」をご紹介します!!



まとめ


  • 発酵とは?
    微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 発酵の過程で
    ①消化・吸収がよくなる
    ②栄養価が加わる
    ③うまみが加わる
    ④保存性がよくなる
  • 乳酸発酵食品が成功した状態って?
    〇炭酸の「プシュッ」という音がする
    〇甘酸っぱいニオイがする
    〇pHが3.5以上で酸性になっている
  • 麹菌の発酵食品が成功した状態って?
    〇甘みがある
    〇旨みが増す
  • 発酵しないのはなぜ?
    発酵しないということは、発酵菌が活発に働いていないから。
    たいていは、温度管理に原因があることが多い。
  • じょうずに発酵させるためのポイントとは?
    ①温度管理に気をつける
    →それぞれの発酵菌が活発に働く温度を保つこと。
    ②塩に気をつける
    →分量を守り、よく混ぜ合わせること。



おわりに


今回は、発酵食品を手作りする際の「発酵しない」がキーワードでしたが、いかがでしたか?「ちゃんとできているのかな?」と心配になることも多いと思います。そんな疑問について、私の経験をふまえてお伝えさせていただきました。参考にしてくださいね。

健康への関心が高まり、発酵食品が注目されています。ところが、市販されている発酵食品は材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いんです。その点手作りだと、材料も製造過程も目に見えるので安心。塩にこだわることも可能です。

元々、カラダに良い食材たち。それを発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめですね。

「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてください!!




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