辛味発酵調味料「かんずり」の保存方法は?発酵のチカラと保存性との関係性についてお届けします♪
新潟県の「かんずり」は、世界でもあまり見られない辛味発酵調味料の一つです。雪深い新潟で作られるかんずりは、雪の上に唐辛子をさらすところから始まります。一面の白い雪にちりばめられた唐辛子と雪のコントラストは圧巻です。
栄養価が高く、血流を良くして美肌にも効果があり、食べると整腸作用も感じられる美味しい発酵調味料。また、旨味がギュッと詰まった冬の鍋には欠かせないものとなっています。
そんな「かんずり」は、こうじが入った発酵調味料なので長期保存が可能です。唐辛子もまた保存性が高く、味に変化を付けたいときには少し付け加えると旨味が増し、また食欲増進の効果も期待出来ます。
少し口に含むだけで身体がポカポカ温かくなり、寒い時期にはうれしいですね。
それでは、一度食べたらもう一度食べたくなってしまう「かんずり」の保存方法と賞味期限についてお届けしましょう。
この記事の目次
- 1.かんずりって何だろう?
- 2.本格的かんずりの作り方
- 3.自宅で簡単かんずりの作り方
- 4.かんずりの効果効能
- 5.かんずりの保存方法
- 6.粉の唐辛子の保存方法
- 7.発酵のチカラと保存性
- 7-1.食品を保存する方法の中の一つ発酵のチカラ
- 7-2.発酵と保存性の関係
- 8.発酵と腐敗
- 9.まとめ
- 10.おわりに
1.かんずりって何だろう?
世界的にみても珍しい、新潟県妙高市で作られている唐辛子を発酵させた辛味調味料です。一年で一番寒い時期に仕込まれることから「寒造里」とも書かれます。
まず始めに、塩漬けにした唐辛子を雪の上に一度さらして天日干しにする「寒ざらし」を行います。寒ざらしは、3~4日ほど天気の良い日に行います。雪に置いておくことで、唐辛子のアクが抜けて甘味と旨味が増すのです。
その後、唐辛子を雪の中にさらした後にすり潰して、米糀と柚子、塩を混ぜ合わせて約3年間発酵熟成させます。妙高市は長野県に隣接していて、特別豪雪地帯とされるほど厳しい寒さの地域、冷え切った身体を温めるために食べていたと言われています。「西の柚子胡椒、東のかんずり」と言われているのだそう。
かんずりについての詳しい内容はこちらです♪
新潟県の辛味調味料「かんずり」の魅力に魅せられて♪旨味がギュッと詰まった美味しさの秘訣は?
2.本格的かんずりの作り方
かんずりは、3年の歳月をかけてゆっくりじっくり熟成・発酵させて作っていきます。一つ一つ手間暇かけて作られたかんずりは、辛みがある中にもまろやかさを感じる美味しさです。
では、どのように作られているのか実際に見ていきましょう。
1年目(唐辛子作り~かんずりの仕込み)
①唐辛子作り(4月頃)
唐辛子の栽培はまだ雪が残る地面を掘り返して、前の年に出来た唐辛子の種から作っていきます。
②塩づけ(8~11月)
実った唐辛子の収穫をして、天然の海水塩で塩漬けにしていきます。
③雪さらし(大寒の頃)
雪の上に唐辛子をまいていく、雪さらしという作業を行います。3~4日ほど経つと、強いアクを雪が吸い取り、塩が抜けていき、辛味がやわらかくなるため、まろやかな味わいに変化していきます。この作業は、3月頃まで繰り返し行っていきます。
④元仕込み
雪さらし後は、唐辛子に塩こうじ、ゆずを混ぜ合わせて3年かけてじっくりと熟成発酵させていきます。雪さらしの作業と同じように3月頃まで行っていきます。
2年目(ゆっくり熟成)
①手返し(6~7月頃)
手返しという唐辛子を漬けた樽に空気を入れて発酵を促していきます。平均して発酵していくよう促すために、置き場所も変えていきます。
②寒ざらし(11~12月頃)
置き場所の変更をしながら、年に一度は手返しされた唐辛子の樽は、11~12月頃に外に出します。これを「寒ざらし」と言い、唐辛子が引き締まり、まろやかな味わいへと変わっていきます。寒ざらしが終わると、封入されて出来上がりとなります。
3.自宅で簡単かんずりの作り方
自宅で簡単に作れるかんずりは、混ぜて置いておくだけ♪
一週間経つと旨味がギュッと詰まった美味しいかんずりが完成します。
冬のお鍋にぜひどうぞ。
かんずりの材料
唐辛子 150g
塩糀 150g
柚子 小1
作り方
①塩こうじを作っておきます。
・塩こうじの作り方
米糀 200g
塩 70g
水 250ml
全ての材料を混ぜて、10日ほど置いておきます。(1日1回混ぜます)
②柚子をすりおろす
③唐辛子、塩こうじ、ゆずを混ぜ合わせます
④一週間ほどで完成
4.かんずりの効果効能
かんずりに含まれる唐辛子にはカプサイシンが含まれていて幸せ物質であるアドレナリンの活性化を促してくれるため、幸福感を感じやすくなります。そして、基礎代謝がアップして脂肪燃焼や代謝の促進、身体や胃腸を温める効果もあるため腹痛などの予防にも効果的です。食欲を増進させる効果も期待できるので、夏バテにはとても最適です。
5.かんずりの保存方法
かんずりは、発酵食品なので保存が効きやすいです。開封後は、冷蔵庫に入れて保存をしていきます。
保存方法
開封前は直射日光を避けて常温保存出来ます。開封後は冷蔵庫に入れて保存をします、発酵食品なので日持ちがよいです。
賞味期限
開封後1年間(商品の種類によっては、保存期間が変わってきます。ラベルの裏の表示を見て確認しましょう。)
〇消費期限と賞味期限ってなんだろう?
・消費期限とは?
食品が包装されている状態で、腐敗、変色、品質的に安全が保たれている状態が認められる期限を示しています。
過ぎたものは食べないようにします。
・賞味期限とは?
賞味期限とは食品を包装してある状態で、製造者が安全性や味、風味などの品質を保証する期間のことを指します。衛生面よりも品質が重要なので、長期保存できる加工食品に記載するようにしています。
6.粉の唐辛子の保存方法
唐辛子は光に弱い性質があり、冷暗所での保存が基本となります。
温度が高い場所で保存をすると、辛み成分が減少して劣化が進んでいきます。温度が低いと風味が持続するので、冷蔵庫保存が好ましいです。
涼しい場所で保存をすることで、唐辛子の美味しさを長持ちさせることが出来ます。火や湿気の多いキッチンや食卓の近くでの保存は控えるようにしておくことがポイントです。
長期保存の場合は冷凍庫保存も出来ます。
7.発酵のチカラと保存性
塩漬け、麹漬け、乾燥させたりと食べ物の保存にはさまざまな方法があります。食べ物を発酵させることで、保存性が高まり、長ければ5~10年と持つものもあります。
7-1.食品を保存する方法の中の一つ発酵のチカラ
まだ、電化製品がなかった時代に、食べ物をどのように保存するかということを考えてきた歴史がありました。その一つとして「発酵」という手段が取られてきました。麹が含まれていることで発酵が進み、5~10年先まで置いておくことも出来ます。また、その他に野菜を干して乾物にしたり、燻して燻製にしたり、塩や砂糖に漬け込んで保存していました。そうすることで、腐敗菌の繁殖を抑えていたのです。
7-2.発酵と保存性の関係
発酵食品は「発酵と塩」を多く使いますが、善玉な微生物がある一定以上に繁殖すると人にとって悪玉となる腐敗菌が抑制されて保存性を高めてくれます。発酵菌は菌を死滅させるのではなく、菌と共存させて保存性を高め、旨味を引き上げてくれる存在なのです。
8.発酵と腐敗
発酵も腐敗も微生物の働きは同じモノ、いずれも食品が置かれた環境や食べ物の成分に適した微生物が増殖していきます。自然界にとってはどちらも有益なものなのです。
8-1.発酵とは
発酵は糖類が分類されて、微生物の働きによって乳酸や酢酸、アルコール成分へと変化していくものです。身体にとってのメリットは、栄養が身体に吸収されやすい、食べ物にうま味が増す、発酵の過程でビタミンなどが生成されるので栄養価が増すなどがあります。
人にとって有効に働いてくれるものを発酵と言います。
8-2.腐敗とは
お魚やお肉のようにたんぱく質やアミノ酸が含まれた食品が分解されて、アンモニアや腐敗臭がしたもので、カビのニオイを感じて食べれないモノのことを言います。
牛乳を放置しておくと、雑菌などの腐敗菌が入ってきて腐った状態となります。この状態を腐敗と言います。
人にとって有害となってしまうものを腐敗と言います。
9.まとめ
- かんずりって何だろう?
世界的にみても新潟県妙高市で作られている唐辛子を発酵させた辛味調味料です。 - 自宅で簡単かんずりの作り方
かんずりは3年の年月をかけて作られます。新潟県の気候を生かしたかんずり作りは、辛み成分が入った唐辛子をまろやかに味わい深くさせてくれます。 - かんずりの保存方法
かんずりは、発酵食品なので保存が効きやすいです。開封後は、冷蔵庫に入れて保存をしていきます。 - 粉の唐辛子の保存方法
唐辛子は光に弱い性質があり、冷暗所での保存が基本となります。 - 発酵のチカラと保存性
塩漬け、麹漬け、乾燥させたりと食べ物の保存にはさまざまな方法があります。食べ物を発酵させることで、保存性が高まり、長ければ5~10年と持つものもあります。 - 発酵と腐敗について
発酵も腐敗も微生物の働きは同じモノ、いずれも食品が置かれた環境や食べ物の成分に適した微生物が増殖していきます。自然界にとってはどちらも有益なものなのです。
10.おわりに
辛味発酵調味料の「かんずり」いかがでしたでしょうか?
旨味成分がギュッと詰まったかんずりは、栄養価も高く、身体の免疫力をアップしてくれるうれしい存在です。
調味料と言えばどのくらいまで保存が効くのか、保存方法について分からず困ってしまうこともありますね。
特に発酵ものの調味料、味噌などは10年経っても食べることが出来るものもあります。発酵のチカラは偉大ですね!
この記事へのコメントはありません。