人が消費するエネルギーの95%を生み出すミトコンドリア。ミトコンドリアを増やす3つの方法とは?
最近、健康とミトコンドリアとの関係が注目されていることをご存知ですか?生物の授業で一度は聞いたことがあるミトコンドリア。詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか?
ミトコンドリアって何?どんな働きをしているの?そして、カラダにとってどのような影響を及ぼすのでしょうか?ミトコンドリアについてみていきたいと思います。
この記事の目次
- 1.ミトコンドリアとは?
- 2.ミトコンドリアと活性酸素
- 3.ミトコンドリアが不足する理由とは
- 4.ミトコンドリアを増やすには
- 5.活性化する栄養素を補給する
- 6.まとめ
- 7.おわりに
ミトコンドリアとは?
ミトコンドリアって何?
ミトコンドリアは、細胞内に存在する細胞内小器官です。私たちは、赤血球以外の細胞全てにミトコンドリアを有しています。
ヒトの細胞の数は約37兆個。細胞1個につき約100~2000個ほどのミトコンドリアが存在すると考えられています。その総重量は、体重の10%を占めるとも。膨大な数ですね。
ミトコンドリアの数が多い細胞って?
肝臓、腎臓、筋肉、脳など、エネルギーを必要とする細胞ほど多くのミトコンドリアが存在し、細胞質の約40パーセントを占めています。
ミトコンドリアの働きとは?
「エネルギー生産工場」と呼ばれているミトコンドリアは、酸素と三大栄養素を使ってアデノシン3リン酸(ATP)を合成し、体内で消費するエネルギーの約95%を生み出しています。
つまり、生きるために必要なエネルギーのほとんどをミトコンドリアが生み出してくれているということ。車を走らせるためにガソリンが必要なのと同じように、ミトコンドリアが働いてくれるおかげで私たちは健康的に動くことができるというわけなんです。
ミトコンドリアと活性酸素
活性酸素を発生させるミトコンドリア
ミトコンドリアにはエネルギーを生産すると同時に、カラダの不調を引き起こす活性酸素を発生させるという特徴もあります。酸素を使って栄養物を燃やし、エネルギーを生産しているからです。
様々な不調を引き起こす原因の一つである活性酸素。その9割はミトコンドリアから発生し、活性酸素を除去する酵素を生み出すのもまた、ミトコンドリアなんですね。
大切なのは質の良いミトコンドリアを増やすこと
古くなったミトコンドリアはアポトーシスによって排除され、新しいミトコンドリアが生産されます。大量の活性酸素を発生させるのは、古くなったミトコンドリア。新しいミトコンドリアは、活性酸素の産生量が少ないんです。
老朽したミトコンドリアは、利用した酸素のうち約5%を活性酸素にしてしまいます。一方、新しく産生されたミトコンドリアは約1%を活性酸素にします。
ミトコンドリアの質が悪いと、「発生する活性酸素の量」が「消去される活性酸素の量」を上回ってしまいます。
アポトーシスとネクローシス
アポトーシス
構成している組織を良い状態に保つために細胞が自ら自然死すること。生物の形成過程、ウイルスに感染した細胞の処理、がん化した細胞を排除するなど、管理・調節された細胞死。
ネクローシス
血行不良や外傷など、外から与えられた何かしらの障害が原因で細胞が死ぬこと。
ミトコンドリアが不足する3つの理由
ミトコンドリアの質が低下したり減少したりする原因としては、主に次のような点が挙げられます。一つずつみていきましょう。
①加齢
②有害物質
③血行不良
①加齢
30代以降、ミトコンドリアは減り始めます。ミトコンドリア内の活性酸素を消去する酵素の量を測定する研究において、加齢とともに酵素が減少することが明らかになりました。酵素が減少すると活性酸素が増え、ミトコンドリアの質は低下します。
また、ミトコンドリアが多く存在するのは筋肉ですが、筋力は加齢とともに衰えます。若い人に比べて筋肉量が減ったり、筋繊維の張力が低下したりして、ミトコンドリアの減少につながるのです。
②有害物質
ストレス、汚染物質、人工的な化学物質、有害金属、添加物、酸化した食品、喫煙などから発生する活性酸素。これらがミトコンドリアが減る要因になっていると指摘されています。
小麦製品やジャンクフード、お菓子や甘い飲み物などを過剰摂取することにより腸内環境が悪くなり、 真菌の一種であるカンジダ菌が増殖することがあります。 カンジダ菌が出す毒素は、ミトコンドリアの機能を低下させます。
そして、特に悪影響を及ぼすのが喫煙。タバコの煙に含まれるシアン化水素は、ミトコンドリアの活動を止めてしまう作用があります。生活習慣が大きく関係していることが分かります。
③血行不良
ミトコンドリアは、三大栄養素と大量の酸素を使ってエネルギーを生み出します。栄養と酸素をミトコンドリアに届けるのが血液。血の巡りが悪くなるとそれらが円滑に届かなくなったり、老廃物が溜まったりします。
また、ミトコンドリアは深部体温が37度を下回ると機能が低下すると言われているのですが、血流が悪いと低体温となってしまいます。
血行不良について、詳しくはこちらの記事をごらんください↓↓
血行不良は万病のもと!!血管年齢が高く、ドロドロの血だとリスク大!!血流を改善するポイントとは?
ミトコンドリアを増やすには?
ミトコンドリアは危機感を感じると増える?!
ミトコンドリアは、エネルギーが不足してくると危機感を感じ、エネルギー(ATP)を作るために増殖しようとします。ミトコンドリアを増やすにはこの特性を利用して、あえてエネルギー不足の状況を作るんです。具体的には次の方法があります。
①運動をする
②空腹の時間を作る
③寒さを感じる
①運動をする
ミトコンドリアの約8割は骨格筋に存在しています。筋肉は、赤い筋肉(赤筋・遅筋)と白い筋肉(白筋・速筋)との2種類に分類されます。ミトコンドリアは白筋には少なく、赤筋(遅筋)に多く含まれています。
〇赤筋(遅筋)
・収縮速度が遅く、長い間収縮し続けることができる
・長時間で持続的な運動に適している
・有酸素運動
・疲労しにくい
・細かく繊細な動きができる
〇白筋
・収縮速度は速く、瞬間的に大きな力を出すことができる
・無酸素運動
・疲労しやすい
つまり、有酸素運動がミトコンドリアを増やすということ。30分以上のジョギングやサーキットトレーニングなど、酸素を使う運動を意識してみましょう。
また、赤筋は背中に多いので背筋を伸ばして背中の筋肉に力を入れ、 1分間キープする姿勢を日常的に取り入れるのも効果的です。
激しすぎる運動は、細胞を傷つける活性酸素を大量に発生させてミトコンドリアを損傷させてしまうので注意してください。
②空腹の時間を作る
栄養が十分にある状態では、オートファジーはあまり働きません。食べ過ぎは避けましょう。6カ月間カロリーを25%減らした食事を続けると、筋肉中のミトコンドリアが増えるという報告もあります。
ミトコンドリアのATP産生量は、日中は高く、夜は低くなります。就寝前に栄養を摂り過ぎるとATPの需要を超えてしまい、活性酸素を増やしてしまいます。
また、早食いはミトコンドリアの負担となります。よく噛んでゆっくり食事を摂るようにしましょう。
オートファジーとは?
細胞が自らの一部を分解する自食作用のこと。ミトコンドリアのオートファジーはマイトファジーと呼ばれています。損傷したミトコンドリアはマイトファジーにより除去されます。
③寒さを感じる
寒さを感じると、体温を上げるためにエネルギーが必要だと判断してミトコンドリアの活性を促します。短時間でも寒さという刺激を与えると、ミトコンドリアは体が冷えていると感じて活発に動き出します。
活性化する栄養素を補給する
ミトコンドリアを活性化させるもう一つの方法が、栄養を取り入れることです。次に挙げる栄養素が有効です。意識して摂ってみてください。
タンパク質
ミネラル(鉄、亜鉛、マグネシウム)
ビタミンB群
タウリン
オレアノール酸
コエンザイムQ10
まとめ
- ミトコンドリアとは?
細胞内に存在する細胞内小器官
細胞1個につき約100~2000個ほどのミトコンドリアが存在する - ミトコンドリアの働きとは?
- 酸素と三大栄養素を使ってアデノシン3リン酸(ATP)を合成し、体内で消費するエネルギーの約95%を生み出している
- ミトコンドリアは活性酸素を発生させるという特徴がある
- ミトコンドリアが不足する3つの理由
①加齢
②有害物質
③血行不良 - ミトコンドリアを増やすには?
あえてエネルギー不足の状況を作る - 具体的には?
①運動をする
②空腹の時間を作る
③寒さを感じる - ミトコンドリアが活性化する栄養とは?
タンパク質
ミネラル(鉄、亜鉛、マグネシウム)
ビタミンB群
タウリン
オレアノール酸
コエンザイムQ10
おわりに
最近注目されている『ミトコンドリア』。体内で消費するエネルギーのほとんどがこのミトコンドリアから生み出されています。パワーの源は、実はミトコンドリアだったんです。
ミトコンドリアは三大栄養素と大量の酸素を使ってエネルギーを産出しますが、そのときに活性酸素も作り出します。様々な不調のもととなる活性酸素。
新しく元気なミトコンドリアからは活性酸素は発生しにくいのですが、老朽化したミトコンドリアは大量の活性酸素を発生させます。
今回は、ミトコンドリアについて分かりやすく説明するとともに、ミトコンドリアを増やし、活性化するための方法についてお伝えしました。健やかな毎日のために、ぜひ参考にしてくださいね。
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