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腎臓の働きとは?腎臓が悪くなるとどうなるの?腎臓病の予防のための4つのポイントって?

腎臓がカラダのどの辺りにあって、どのような働きをしているかを即答できる人は意外に少ないんです。腎臓の主たる役割は、血液をろ過し、不要物を尿として体外に排出すること。

腎臓の不調は気づきにくく、分かった頃には深刻な状態になっていることも。 慢性腎不全になると腎臓の機能が徐々に失われ、失われた腎機能が回復する見込みはほとんどありません。 症状が進むと、透析が必要になってきます。

だからこそ、早期発見と予防が大切なんです。ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。



腎臓とは?


腎臓はどこにあるの?

腎臓は、腰より上の背中側に2つあります。背骨を挟んで右と左に1つずつあって、形はソラマメに似ています。大きさは直径10㎝×幅5㎝くらいで、人の握りこぶし程度。大人の腎臓1つあたりの重さは、約120g~150gです。


腎臓の構造って?

腎臓には、ネフロンと呼ばれる尿をつくる組織があります。左右それぞれの腎臓に約100万個ずつ存在しています。ネフロンは糸球体尿細管の2つがセットになっています。

①糸球体
〇毛細血管が球場に絡まった塊
〇尿をつくる

②尿細管
〇糸球体につながる管
〇作った尿から栄養を再吸収する



腎臓の働きって?


腎臓の主な働きは、次の通りです。順番にみていきましょう。

①老廃物を排出する
②血圧をコントロールする
③赤血球を作る 
④体液量やイオンバランスを調整する
⑤骨を丈夫にする

①老廃物を排出する

腎臓の代表的な働きは尿をつくり、老廃物や余分な塩分を体外に排出すること。心臓から送り出された1/4の血液が次の経路で腎臓に流れ込み、 糸球体でろ過されます。

心臓→大動脈→腎動脈→腎臓( 糸球体 )

このろ過液を原尿といい、1日に約150ℓ作り出されます。原尿には栄養やミネラル、水分など「体に必要な物質」と「不要な老廃物」とが含まれています。

体に必要な物質は、尿細管を通る間に再度吸収されて血液中に戻ります。不要な老廃物は尿中に出されて尿管から膀胱へいき、排尿されます。


②血圧をコントロールする

腎臓は、塩分と水分の排出量をコントロールすることによって血圧を調整しています。

血圧が高いとき
〇塩分と水分の排出量を増加させ、血圧を下げる

血圧が低いとき
〇塩分と水分の排出量を減少させ、血圧を上げる
〇血圧を維持するホルモンを分泌して 血圧を上げる


③赤血球を作る 

赤血球は、腎臓から出るエリスロポエチンという造血ホルモンが骨髄にある細胞を刺激してつくられます。腎臓の働きが悪くなるとエリスロポエチンが出にくくなって生成される血液量が減り、貧血につながってしまうんです。


④体液量やイオンバランスを調整する

腎臓は、尿を多くしたり少なくしたりして、体の中の水分量を一定に保っています。必要なミネラルを体内に取り込む働きもあります。

また、 血液中の電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど)の濃度や量を調整しています。電解質のバランスが良いと、血液のPHを弱アルカリ性に保つことができます。

人の体は何性?

健康な人の体液のPH値は7.0~7.4で、弱アルカリ性に保たれています。このバランスが崩れると体調不良につながります。


⑤骨を丈夫にする

カルシウムは、骨の健康にとって欠かせない栄養素。腎臓は、そのカルシウムを体内に吸収させるために必要な活性型ビタミンDを作っています。



腎機能が低下すると起こる症状


腎臓が悪くなると、主に次のような症状がみられます。

①手足のむくみ
②尿の変化
③倦怠感
④貧血
⑤骨がもろくなる

①手足のむくみ

腎臓が弱ると体内の水分や塩分をしっかり排泄できなくなり、体内に余分な水分や塩分がたまってしまいます。水分が血管の外にしみ出し、間質液が増えた状態がむくみです。

指輪や靴がきつくなったと感じたら、むくんでいる可能性が。気になる箇所を指で強めに押さえ、10秒カウントしたあと放してみてください。指跡が消えなかったら要注意です。

むくみは腎臓以外の原因も

例えば心臓や甲状腺の働きが低下した場合や、足の静脈瘤やリンパの流れが悪い場合などでもみられます。そのため、むくみの原因を解明し、原因に応じて対処することが大切となります。


②尿の変化

腎臓は尿をつくる臓器なので、機能が低下すると尿に変化が現れます。おしっこの色がいつもと違ったり、泡立っていると感じたら、意識的に観察してください。それが続くようなら医療機関で検査を受けましょう。

健常成人の尿量はおおよそ1.0 L~1.5 L/日 。腎臓の機能が落ちると、尿量が減ったり増えたりします。

①乏尿
1日の尿量が400mL以下になること

②無尿
1日の尿量が100mL以下になること

③多尿
1日の尿量が2500mL以上となること
〇夜間尿
〇頻尿

腎臓の機能が低下すると尿の濃縮力が低下して多尿となり、夜間頻尿になります。摂取したナトリウムを日中に排泄しきれず、夜間に血圧を高くしてナトリウムを排泄しようとすることで夜間多尿になることも。さらに腎機能低下が進行すると尿量が低下します。

頻尿とは?

1日8〜10回以上、夜間2回以上トイレに起きる状態を頻尿といいます。次の2パターンがあります。
〇多尿
尿量が増える(1日2L以上)
〇狭い意味での頻尿
回数が増える(尿量は増えない)


③倦怠感

慢性腎臓病になっても、自覚症状がほとんどありません。腎臓の働きが相当低下してから症状があらわれることが多いんです。病状が進行した状態でよくみられる症状の一つが倦怠感やだるさ。次のようなときに起こります。

〇腎不全によって尿毒症物質が蓄積したとき
〇腎不全によって貧血が進行したとき
〇体液が過剰になって心不全が悪化したとき
〇電解質異常など


④貧血

腎臓の働きの項でもお伝えしましたが、腎臓は赤血球をつくる働きを促進するホルモン「エリスロポエチン」を分泌しています。腎臓の働きが悪くなると分泌量が減るため、赤血球が十分に生産されなくなり、腎性貧血を起こすのです。

腎性貧血の可能性
慢性腎臓病で、特にヘモグロビン濃度が11.0 g/dL 未満の方は注意が必要です。


⑤骨がもろくなる

腎臓は、ビタミンDを活性化します。 ビタミンD は、カルシウムの吸収促進、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する働きがあります。

腎機能が低下すると血液中の活性型ビタミンDが減少するため、カルシウムの吸収が悪くなり、骨軟化症や骨粗鬆症などの原因になります。

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腎臓病と腎不全


慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)は1つの病気を表す病名でなく、腎機能が慢性的に低下している状態を指す総称。以下の症状のどちらか、または両方が3ヵ月以上にわたって確認されるとCKDと診断されます。

〇たんぱく尿などの尿異常
〇 腎臓の働きが健康な人の60%以下になる

腎臓の働きは、糸球体ろ過量(GFR)の数値で判断します。 糸球体ろ過量とは、糸球体の老廃物を尿へ排泄する能力のこと。GFRが60 mL/分/1.73㎡ 未満の状態が3カ月以上続くと慢性腎臓病(CKD) です。

糸球体ろ過量(GFR)の数値について
・健康な人は100mL/分/1.73㎡前後
・値が低いほど腎臓の働きが悪い


慢性腎不全って?

腎臓病が進行して腎臓の働きが弱くなると、 腎臓の働きが正常の30%未満まで低下した腎不全といわれる状態になります。腎不全には次の2パターンがあります。

〇 急性腎不全
数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する
〇 慢性腎不全
数か月から数十年の長い年月をかけて徐々に病気が進行する

急性腎不全は早急に原因を突き止めて適切な治療を行うことで、約30%の患者さんが腎臓の機能が回復すると言われています。約60%は慢性腎不全へと移行、残りの約10%は透析治療や腎移植が必要となるというデータがあります。

慢性腎不全は初期には自覚症状がほとんどなく、 腎臓の働きが相当低下してから症状があらわれることが多いため発見が遅れがちです。しかも、失われた腎機能が回復する見込みはほとんどありません。


検査の方法は?

腎臓病かどうかは、次の2通りの方法で調べます。

〇尿検査
〇血液検査

腎臓病になると、検査によってタンパク尿や血尿が認められます。



人工透析と腎臓移植


腎不全が末期になると、人工透析か腎臓移植が必要となります。


増加する透析患者数

腎臓のかわりに、体内に蓄積した余分な水分や塩分、老廃物を取り除いて血液を浄化する治療法です。次の2つの方法があります。

〇血液透析
〇腹膜透析

〇血液透析

体内の血液をいったん外に出し、ダイアライザーと呼ばれる血液透析器を通過させて 、カラダに溜まった老廃物や余分な水分を取り除き、 きれいになった血液を再び体内に戻す方法。日本では9割以上が血液透析を選択しています。

一般的に1回4時間、週3回ペースでの通院、腕の動脈と静脈をつなぎ合わせるシャント作製の手術が必要になります。

〇腹膜透析

お腹の中に透析液を一定時間入れ、血液中の老廃物や不要な水分を透析液に移行させたあと、体外に排出することで血液を浄化する方法。カテーテルと呼ばれる管を腹部に挿入する手術が必要です。

大がかりな装置を必要としないので、自宅や職場で透析が行うことができます。毎日時間をかけてゆっくり透析を行うため、からだへの負担が少ないのも特徴。一般的に治療が行える期間は5~8年程度と言われています。次の2つの方法があります。

〇CAPD
1日に4回程度、透析液バックの交換を行う方法
〇APD
夜寝ている間に透析液を自動的に交換する方法


腎臓移植

腎臓の1つを移植するのが腎臓移植です。2つある腎臓のうち1つを取っても、もう片方の腎臓の働きが正常であれば日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。 腎臓移植には次の2つの方法があります。

〇生体腎移植
親、子、兄弟などの親族、または配偶者から腎臓の提供を受ける
〇献腎移植
亡くなった方から腎臓の提供を受ける



腎臓病のリスクの高い人って?

次の項目に当てはまる人は、腎臓病のリスクが高いと言えます。高齢者や生活習慣が乱れている方は要注意です。

〇高齢の方
〇高血圧
〇糖尿病
〇肥満
〇脂質異常
〇喫煙
〇アルコールの摂り過ぎ
〇運動不足
〇ストレス

適正基準とは?

〇血圧 
130/80mmHg以下 
〇血糖
HbA1c値6.9%未満
〇脂質管理
LDLコレステロール値120mg/dl未満
〇尿酸
血清尿酸値2.1以上7.0mg/dl未満
〇肥満
BMI25未満



腎臓のために気をつけたい生活習慣



腎臓病の予防のためには、以下の4点に注意しましょう。順番に見ていきます。

①食生活に留意する
②適度な運動をする
③水分を摂り、トイレを我慢しない
④ストレスをためない


①食生活で留意すること

〇塩分を摂り過ぎない
〇タンパク質を摂り過ぎない
〇脂肪を摂り過ぎない
〇野菜を摂る

腎臓は、血液をろ過して老廃物を取り除く働きをしています。腎臓の機能が低下した状態で塩分やたんぱく質、カリウム、リンを摂りすぎると負担がかかってしまいます。

1日あたりの塩分摂取基準量は?

〇男性 
8g未満
〇女性
7g未満
〇慢性腎臓病や高血圧の人 
6g未満


②適度な運動をする

有酸素運動や筋肉トレーニングが推奨されています。疲労を感じるような激しい運動よりも、ウォーキングのような適度な運動が血液の循環を改善します。

〇有酸素運動
1日20分から60分行う
「ややきつい」と感じられる強度で
週3日~5日行う

〇筋力トレーニング
週2日から3日行う


③水分を摂り、トイレを我慢しない

排尿を我慢すると、腎臓に負担がかかります。水分をしっかり摂ってトイレに行くようにしましょう。


④ストレスをためない

ストレスや疲労は血圧を上昇させます。できるだけストレスを発散すること、リラックスできる方法をみつけることを心がけましょう。



まとめ


  • 腎臓は
    腰より上の背中側に2つ
    大きさは人の握りこぶし程度
  • ネフロンとは?
    尿をつくる組織
    糸球体と尿細管の2つがセット
  • 腎臓の5つの働き
    ①老廃物を排出する
    ②血圧をコントロールする
    ③赤血球を作る 
    ④体液量やイオンバランスを調整する
    ⑤骨を丈夫にする
  • 腎臓が悪くなると現れる症状
    ①手足のむくみ
    ②尿の変化
    ③倦怠感
    ④貧血
    ⑤骨がもろくなる
  • 慢性腎臓病(CKD) とは?
    〇たんぱく尿などの尿異常
    〇 腎臓の働きが健康な人の60%以下になる
  • 慢性腎不全とは?
    〇 急性腎不全
    数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する
    〇 慢性腎不全
    数か月から数十年の長い年月をかけて徐々に病気が進行する
  • 検査方法は2種類
    〇尿検査
    〇血液検査
  • 人工透析とは
    〇体内に蓄積した余分な水分や塩分、老廃物を取り除いて血液を浄化する治療法
    〇血液透析と腹膜透析とがある
  • 腎臓のために気をつけたい生活習慣
    ①食生活に留意する
    ②適度な運動をする
    ③水分を摂り、トイレを我慢しない
    ④ストレスをためない



おわりに


各臓器の役割や大切さを分かってはいても、それぞれについて詳しく説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか?

腎臓病は、初期では自覚症状がほとんどありません。気づいたときには重篤な状態になっていることが多いんです。早期発見のため、予防のためには知識をもっていることと日々の積み重ねが大切。

今回の記事を参考にして、意識してみてくださいね。




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