約70%が油のマヨネーズ。手作り『発酵マヨネーズ』で、できるだけヘルシーに!!油についても詳しく解説しています
マヨネーズって、食べていて罪悪感がありませんか?カロリーの高さ、油の多さや種類、添加物などが気になって…。でもついつい、おいしくて使い過ぎちゃうんですよね。
そこで、カラダに良い効果がある発酵食品でマヨネーズを作れないかな?と考えたんです。いざ自分で手作りをしてみると、やっぱりその油の量に驚きました。
マヨネーズに占める割合はなんと、全体の約70%!!ほぼ油でできているんです。
〇油はカラダに悪いの?
〇油を摂るとどうなるの?
〇できるだけカラダに良いマヨネーズを食べたい!!
今回は、油に注目していきます。
この記事の目次
『発酵マヨネーズ』って?
発酵マヨネーズは、マヨネーズや材料を発酵させて作るのではなく、発酵食品である甘酒や塩麴、そしてお酢を使って作ります。
私は以下の2パターンの発酵マヨネーズを作って、そのときの気分によって使い分けています。
①甘酒と豆乳を使ったバージョン
②塩麴と卵を使ったバージョン
①と②の2つのバージョン。風味が違うのですが、どちらもおいしいですよ!!それでは、それぞれの材料をみてみましょう。
バージョン①
甘酒と豆乳を使った『発酵マヨネーズ』の材料って?
【材料】
〇甘酒 大さじ4(手作りのもの)
〇豆乳 大さじ2(無調整のもの)
〇お酢 大さじ2(私は純米酢を使っています)
〇お塩 小さじ1
〇こめ油 200㏄
バージョン②
塩麴と卵を使った『発酵マヨネーズ』の材料
【材料】
〇塩麴 小さじ1(手作りのもの)
〇鶏卵 1個
〇お酢 大さじ1(私は純米酢を使っています)
〇こめ油 200㏄
マヨネーズに使われる油の量。市販のものに比べると少なめにしていますが、それでもやっぱり「多いなぁ…」と感じませんか?
実は、私がはじめて『発酵マヨネーズ』を作ったとき、失敗したんです。その理由は「油の量が足りなかったから」。
カラダに悪い気がして少なめに減らしたら、なかなかモッタリとしなくて…。油の量を少しずつ増やしたら、ようやくマヨネーズの固さになりました。
このときに、「マヨネーズを作るためには、どうしても一定量の油が必要なんだな」って思いました。
少しでもカラダに良いマヨネーズを作るにはどうしたらいいでしょうか?そのために、まずは油の特性についてお伝えしましょう。
『発酵マヨネーズ』の作り方については「『発酵マヨネーズ』の作り方。甘酒バージョン&塩麹バージョン。2種類の味をご紹介します!!」をご覧ください。
油はカラダに悪いの?
答え①―油の種類によるんです!!
さて、「油はカラダに悪いから、摂らないようにしている」という方がいらっしゃいます。ところが、油もカラダをつくったり動かしたりするために必要な栄養素の一つ。
ちゃんと知識を得て、じょうずに付き合うことが大切です。油はカラダに悪いのか?という問いのひとつ目の答えは「油の種類による」ということ。
〇油もカラダに必要な栄養素なんです!!
〇油は大きく分けて2種類あります!!
〇控えるべき油と、摂り入れるべき油があります!!
順番にみていきましょう。
油もカラダに必要な栄養素なんです!!
人間が生きていくために必要な3大栄養素は「炭水化物、タンパク質、脂質(油)」。そのひとつである脂質には、次のような大切な役割があります。
〇人間が活動するためのエネルギー源です。
〇細胞膜や血液、ホルモンをつくる材料となります。
〇脂溶性ビタミンの体内への吸収を促します。
油は大きく分けて2種類あります!!
引用:https://www.angfa.jp/karada-aging/practice/shokuji15/
油の主成分である脂質は、大きく次の2つに分けられます。
①飽和脂肪酸
:常温で固まる「脂」(肉やバター、ラードなど)
②不飽和脂肪酸
:常温で液体の「脂」(植物油や魚など)
①飽和脂肪酸について
さらに飽和脂肪酸は、 結合する炭素の長さによって次の3つに分類されます。
〇短鎖脂肪酸 :バターなど
〇中鎖脂肪酸 :ココナツオイルなど
〇長鎖脂肪酸 :ラードや牛脂など
短鎖脂肪酸は腸内環境を整え、体によい効果をもたらすとして最近注目されています。他の脂肪酸と違い、ビフィズス菌などの腸内細菌がオリゴ糖や食物繊維を発酵して、短鎖脂肪酸を作ります。
②不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は、 次のように分類されます。
〇多価不飽和脂肪酸
:体内で作ることができません
【オメガ3系】(えごま油、亜麻仁油など)
【オメガ6系】(紅花油、コーン油、ごま油など)
〇一価不飽和脂肪酸
:体内で作ることができます
【オメガ9系】(菜種油、こめ油、オリーブ油など)
【オメガ3系】(α-リノレン酸、DHA、EPA)
・血液をサラサラにするので、血栓予防、動脈硬化の改善、高血圧の予防に効果的です。
・コレステロール値を下げる効果があります。
・えごま油、亜麻仁油など
【オメガ6系】(リノール酸)
・細胞膜の形成、細胞を固くする、止血するなどの効果があります。
・現代人は摂り過ぎだと言われています。
・紅花油、コーン油、ごま油、グレープシードオイルなど
【オメガ9系】(オレイン酸)
・美容、心臓病・動脈硬化の予防、コレステロールの低下に効果があります。
・菜種油、こめ油、オリーブ油など
サラダ油ってなに?
植物油は、精製度によって、半精製油、精製油、サラダ油に分けられます。サラダ油は特に精製度が高く、サラダなど冷たいものに使っても濁ったり固まったりせず、生食に向いています。
JASが決めたサラダ油の原料の規格は、アブラ菜(なたね)、綿実、大豆、ごま、紅花、ひまわり、とうもろこし、米(米糠)、落花生です。オリーブオイルは規格に入っていません。
原料名によって、なたねサラダ油(キャノーラ油)、コーンサラダ油などと呼ばれています。なたね&大豆など、二種類以上の油を混ぜ合わせて作るサラダ油は、調合サラダ油となります。
ゴマ油やオリーブ油など、あえてその風味を残しているものは、半精製油にあたります。
控えるべき油と、摂り入れるべき油があります!!
〇『トランス脂肪酸』は控えましょう!!
〇オメガ6系の油は控えめにしましょう!!
〇オメガ3系の油を摂りましょう!!
〇『トランス脂肪酸』は控えましょう!!
先進国の多くは注意喚起や表示義務・規制がありますが、日本ではまだ基準値がないトランス脂肪酸。カラダに良くないと報道されて、話題になりました。
トランス脂肪酸という言葉は知っていても、それがどういうものなのかをご存知ない方も多いのではないでしょうか?
トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含む植物油脂(主にオメガ6)に水素を添加し、飽和脂肪酸に変えたもの。
トランス脂肪酸を使った代表的な油脂に、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、食用調合油、マヨネーズがあります。
これらはスナック菓子、クッキーやチョコレート、ラクトアイス、パン、カップ麺、カレールー、インスタント食品などあらゆる加工食品や、ファーストフードのポテトなどにも使われています。
トランス脂肪酸を多く摂取すると、悪玉コレステロール(LDL)を増加させ、善玉コレステロール(HDL)が減少して、動脈硬化(冠動脈疾患)のリスクを高めると言われており、注意が必要です。
〇オメガ6系の油は控えめにしましょう!!
現代人はオメガ6を摂り過ぎる傾向にあります。オメガ3とオメガ6の摂取比率は「1:4」が良いと言われているので、オメガ6を控えるくらいがちょうどよいでしょう。
〇オメガ3系の油を摂りましょう!!
『オメガ3脂肪酸』は、次の3つの成分に分けられます。
・魚介由来のDHA
・魚介由来のEPA
・植物由来のαリノレン酸(亜麻仁油、えごま油など)
DHA・EPAは、血中の悪玉コレステロールを除去し、高血圧や生活習慣病を予防する効果があります。
DHAは脳内の神経伝達を担うシナプス・精神の安定を担うセロトニンの材料になり、認知症予防や精神安定の効果があります。
αリノレン酸は、体内に入ることによってDHAやEPAに変化する性質があります。体内で作ることができないので、食事やサプリメントから摂取する必要があります。
油はカラダに悪いの?
答え②―摂り過ぎはNGです!!
油がカラダに悪いとされる2つ目の理由。それは、現代人が油を摂り過ぎているということ。油を摂り過ぎるとどうなるのでしょうか?答えはシンプルです。
〇肥満になります!!
〇病気になります!!
脂質は、摂り過ぎると脂肪として体内に蓄積されます。さらに血中の悪玉コレステロールが増えて血管の内側に付着し、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の原因となります。
血管壁にコレステロールがたまって血管が狭くなると、血液の流れが悪くなって、詰まったり破れやすくなる『動脈硬化』を招き、脳出血、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などのリスクが高まります。
脂質の摂取量について、以下を参考にしてください。
年齢や性別にもよりますが、成人で1日に必要なエネルギーの20~30%ほどを、脂質からとるのがよいといわれています。これは1日2,000kcal必要な人では脂質はおよそ55gになります。
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要より
(脂1g=9calとして)
ここで注意が必要なのは、炒め物や揚げ物などで使う「目に見える油」の他に、「目に見えない油」があるということ。
先ほどトランス脂肪酸のところでもお話ししましたが、ふだん口にしている食べ物からも、知らず知らずのうちに油を摂っているんです。
肉、チーズなどの乳製品、大豆製品、パン、チョコレート、スナック菓子、ラクトアイス、マヨネーズ、ドレッシングなどが挙げられます
摂取量は、これらのトータル量で考えなければなりません。私たちはふだんから、自分が考えているよりも多くの油を摂っていることを自覚しましょう。
カラダに必要とされる『オメガ3系』であっても、摂り過ぎには注意!!
オメガ3脂肪酸の1日に必要な量は
〇女性【18歳以上】 1.62~1.99g/日
(妊婦1.48g/日、授乳婦1.81g/日)
〇男性【18歳以上】 1.92~2.23g/日
(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」より)
つまり、1日あたりの摂取目安量は「小さじ約1杯」ということです。
油はカラダに悪いの?
答え③―油は酸化します!!
そして、油がカラダに悪いとされる三つ目の理由。それは油が酸化するということ。『酸化』という言葉を聞いたことがあると思います。
分かりやすい例としては、皮をむいたリンゴは、時間の経過とともに茶色くなります。あれが『酸化』した状態です。
〇酸化ってなに?
〇酸化するとどうなるの?
〇酸化しにくい油って?
順番にみていきましょう。
酸化ってなに?
空気中の酸素と油が反応して起こる変化を油の酸化と言い、「光、高温、空気」などにより促進されます。油が酸化すると過酸化物質が発生するので、酸化した油を摂取すると、体内に活性酸素が発生するんです。
酸化するとどうなるの?
酸化した油は、においや味の劣化、栄養価の低下、健康不良などをまねきます。実際に気分が悪くなったり、むかむかと胸やけを感じる方がいます。酸化が進むと、嘔吐、下痢、腹痛等食中毒類似の症状が出ることも。
分解する肝臓への負担になり、血管にもダメージを与えるため、動脈硬化といった深刻な病気のリスクも高くなるんです。
酸化しにくい油って?
酸化されにくい油の指標は
〇オレイン酸を多く含んでいること。
〇抗酸化物質が多く含まれていること。
油の組成の違いから、酸化しにくい油としてよく知られているものにオリーブオイルがあります。
抗酸化作用をもつ成分を含む、ごま油やこめ油(米ぬか油)も酸化しにくい油です。
逆に酸化しやすいのは、リノール酸が多く、ビタミンEも多くない油。例を挙げると、紅花油やひまわり油(サンフラワー油)などいわゆるサラダ油です。
なお、カラダに必要とされる【オメガ3系】の亜麻仁油やえごま油も、酸化しやすい油なんです。
できるだけカラダに良いマヨネーズを食べたい!!
油について見てきましたが、いかがでしたか?マヨネーズの原材料の70%を占めるのが油。市販のマヨネーズは、オメガ6系の食物油が主に使われています。さらに、トランス脂肪酸も…。
カラダの健康を考えたら、考えてしまいますね。その点、『発酵マヨネーズ』を手作りすると、使う材料にこだわることができるんです!!
こだわり① 油にこだわって作る!!
まずは、油。少しでもカラダに良いマヨネーズために私が選んだ油が『こめ油』です。
最初はオメガ3系の亜麻仁油かえごま油を使おうと思ったのですが、価格が高いことと、酸化しやすいという理由でやめました。
次に酸化しにくいうえ、栄養価も高いエキストラバージンオリーブオイルを使うことを考えました。ところが油の分解物が含まれているため乳化しずらく、マヨネーズを分離させる原因になることがあるのでやめました。
私がこめ油を選んだ理由は
・栄養価が高いこと。
・酸化しずらいこと。
・香りなどのクセが少ないこと。
こめ油は米ぬかからできているので、抗酸化作用のあるビタミンEが含まれています。また、油の食物繊維ともいわれ、コレステロールの低下に役立つ成分『食物ステロール』の量が他の油よりも多いんです。
さらに、不飽和脂肪酸の中でも酸化しやすいリノレン酸の含量が少ないため、酸化に強いという特徴があります。
クセがなく、他の材料の風味をジャマしないことも、私がこめ油を選んだ理由のひとつです。
こだわり② 発酵食品を使って作る!!
さらに腸内環境を整えてくれると話題の発酵食品を使うことで、よりカラダに良いマヨネーズを作ることができます。
そもそもお酢は、優秀な発酵食品です。さらに甘酒や塩麴を使いました。甘酒や塩麴をつくる麹菌。麹菌が発酵過程で生成するリパーゼという酵素は、脂質を分解し、消化を促す働きがあります。
〇発酵とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化することをいいます。
〇発酵食品にすると、次のようなメリットがあります!!
・消化・吸収がよくなります。
・栄養価が加わります。
・うまみが加わります。
・保存性がよくなります。
発酵の最大のメリットは「消化・吸収がよくなる」こと。微生物があらかじめデンプンやたんぱく質を分解してくれるので、内臓への負担が軽減します。特に、腸内環境を整えることは、健康を保つ上でとても大切です。
まとめ
- 油はカラダに悪いの?
答え①―油の種類によるんです!!
〇油もカラダに必要な栄養素。
脂質には、エネルギー源やカラダをつくる役割がある。
〇油は大きく分けて2種類ある。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸はさらに以下のように分けられる。
・多価不飽和脂肪酸:体内で作ることができない
【オメガ3系】(えごま油、亜麻仁油など)
【オメガ6系】(紅花油、コーン油、ごま油など)
・一価不飽和脂肪酸:体内で作ることができる
【オメガ9系】(菜種油、こめ油、オリーブ油など)
〇控えるべき油と、摂り入れるべき油がある。
・『トランス脂肪酸』は控えましょう!!
・オメガ6系の油は控えめにしましょう!!
・オメガ3系の油を摂りましょう!! - 油はカラダに悪いの?
答え②―摂り過ぎはNG
〇肥満になる!!
〇病気になる!! - 油はカラダに悪いの?
答え③―油は酸化します!!
〇酸化しにくい油は
・オリーブ油
・ごま油
・こめ油(米ぬか油)
〇酸化しやすい油は
・サラダ油
・亜麻仁油
・えごま油 - 少しでもカラダに良いマヨネーズを食べたい!!
〇油にこだわって作る。
〇発酵食品を使って作る。
おわりに
マヨネーズの約70%を占めるのが油。その油について詳しく見てきましたが、いかがでしたか?一般的にカラダに悪いとされていますが、三大栄養素の一つとして、カラダにとって必要だということが分かりました。
ただ、その種類と摂り過ぎには注意しなければなりません。市販のマヨネーズに比べ、手作りの『発酵マヨネーズ』は、原材料にこだわることができたり、使う量を調整したりすることができます。また、製造過程がみえるので安心ですね。
ぜひ、今回の記事を参考にして『発酵マヨネーズ』を作ってみてください!!すでに作られているという方は、油やその配合量を変えて色々と試されると楽しいですね。
少しでもカラダに良いマヨネーズができあがりますように。
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