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『手作り納豆』の賞味期限って?アンモニア臭がするけど大丈夫?保存方法もご紹介します!!

最近メディアで、健康に関する特集がたくさん取り上げられています。なかでも「食」は、関心が高いテーマ。カラダの中からきれいにしてくれる発酵食品が、注目されているのもうなずけますね。

発酵食品と聞いて、最初に納豆が浮かぶ方は多いと思います。わが子たちも、離乳食の頃からずっとお世話になってきました。

身近で安価な納豆。いつもスーパーで買っていたのですが、大豆や納豆菌の遺伝子組み換えなどが気になり、原材料にこだわりたくて自分で作るようになりました。

手作りを始めると、色々な疑問が出てきます。その一つが賞味期限について。市販の納豆には賞味期限がありますが、手作りの納豆はどのくらいもつのでしょうか?また、最適な保存方法とは?

今回は、賞味期限と保存方法にフォーカスしていきたいと思います。



納豆は腐っているの?


「納豆は腐っているから、賞味期限を過ぎちゃっても大丈夫じゃない?」という声を聞いたことがあります。果たして、本当にそうなのでしょうか?

「納豆は、腐っているのではなくて発酵食品である」というのが、その答えです。そして、発酵と腐敗って深い関係があるんです。詳しくみていきましょう。


発酵と腐敗の違いって?

「発酵」と「腐敗」には、どのような違いがあるのかご存知ですか?実は…発酵と腐敗は、科学的なメカニズムが同じなんです!!

発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化することをいいます。

腐敗も同じく、物質が微生物のはたらきによって分解されたり変化したりして、「新しい物質」を生成するというメカニズム。

この「新しい物質」が、人間にとって有益なものの場合発酵と呼ばれ、人間にとって有害なものの場合腐敗と呼ばれているんです。

腐敗は、人間に害を与える雑菌が増えたもの。食中毒などを引き起こします。


発酵食品にするメリットとは?

発酵食品にすると、どんなメリットがあるのでしょうか?発酵の過程で

〇消化・吸収がよくなります。
〇栄養価が加わります。
〇うまみが加わります。
〇保存性がよくなります。

発酵の最大のメリットは「消化・吸収がよくなる」こと。微生物があらかじめデンプンやたんぱく質を分解してくれるので、内臓への負担が軽減します。特に、腸内環境を整えることは、健康を保つ上でとても大切です。

発酵と腐敗を分かりやすくまとめると…

発酵と腐敗のメカニズムは同じ。微生物の働きによる食材の変化の結果

・人間にとって有益な物質だと「発酵」
・人間にとって有害な物質だと「腐敗」

つまり、私たち人間の捉え方によって、発酵なのか?腐敗なのか?を決めているということですね。いくつか具体的にみてみましょう。

〇蒸した大豆に、枯草菌を生やして納豆が作られる場合には発酵と呼ばれますが、煮豆を放っておいて枯草菌が生え、ネトやアンモニア臭がしたときは腐敗と呼ばれます。

〇牛乳に乳酸が蓄積して凝固したものは、ある時は発酵と呼ばれますが、ある時は腐敗と呼ばれます。

〇同じ乳酸菌でも、ヨーグルトや味噌が作られる場合は発酵ですが、これが清酒中で増殖する場合は火落ちといって、腐敗を意味します。

「たしかに、たしかに」と、うなずいちゃいますね。

納豆ができるとき、どんなことが起こっているのでしょうか?

納豆菌は増殖するときに大豆のたんぱく質を分解し、吸収しやすくします。その過程でビタミンやナットウキナーゼなどの酵素を作り出し、栄養価を高めるんです。

ちなみに、納豆独特の香りやネバネバは納豆菌がもっているのではなく、発酵過程でできるもの。また、 たんぱく質を分解しておいしさの成分アミノ酸を生成するので、旨味が加わります。

さて、まずは発酵と腐敗の違いをみてきましたが、ここで1つ疑問が。そもそも発酵食品って、腐るんでしょうか?


発酵食品って、腐るのかな?

結論から言うと、本物の発酵食品は、理論上腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。

これを「菌の拮抗作用」と呼びます。身近な食品で例を挙げると

〇発酵食品の一種であるワインは、きちんと管理されていれば、何十年経っても腐りません。むしろ「ヴィンテージ(年代物)」と呼ばれて、非常に高値で取引されています。

〇同じく発酵食品であるお味噌も、「〇年熟成赤味噌」など、高級品として売られていたりします。

でも、市販の発酵食品には賞味期限がありますよね?これはなぜなんでしょう?


市販の発酵食品に賞味期限がある理由とは?

市販の発酵食品に賞味期限がある理由。それはズバリ、食品を流通させる時に衛生上の問題で殺菌されているからです!!

発酵食品が殺菌されるとどうなるか?雑菌などが死んで食中毒から守られると同時に、発酵菌まで死んでしまうことになります。

すると「菌の拮抗作用」もなくなってしまい、腐敗をもたらす雑菌が侵入した場合、傷みやすい状態になるんです。保存期間や賞味期限を過ぎた場合、食品の見た目や風味に変化が生じます。

例えばヨーグルトの場合は、色が変わっていたり臭いが不快になります。有色のカビの発生が認められる場合もあるんです。



手作り納豆の賞味期限はどのくらい?


発酵食品を作っていると、どんどん疑問が出てきます。賞味期限に関することもそのひとつ。

〇手作りした納豆は、どのくらいもつのかな?
〇腐ることはあるのかな?その見極めは?

『手作り納豆』は、市販の発酵食品と違って殺菌されていないので「菌の拮抗作用」があり、基本的には腐りにくいと言えます。ところが保管状況などはご家庭によって様々なので、腐らないとも限りません。


これって腐っているの?

みなさんが「これって腐っているのかな?」と悩む状態は

〇強烈なアンモニア臭がする。
〇糸の引きが悪くなる。
〇納豆が黒っぽく変色する。
〇白いツブツブがあり、食感がシャリシャリして苦みがある。

こんな感じではないでしょうか?

これらの原因は、再発酵によるものと考えられます。再発酵とは、保存していた納豆が、納豆菌が活性化する条件を満たして再び発酵を始めた状態のこと。

再発酵が始まると、納豆のアンモニア臭がきつくなります。アンモニア臭は再発酵が始まったかどうかの指標になります。

白いツブツブってなに?

チロシンと呼ばれるアミノ酸の結晶が浮き上がっている状態です。白くツブツブとしていて、食べるとシャリシャリとしていて苦味があります。

ところで、再発酵した納豆を食べることはできるのでしょうか?


再発酵した納豆は食べられるの?

再発酵の状態でも、食べることはできます。ただし、アンモニアは悪臭なので、臭いがきついです。白いツブツブのチロシンもシャリシャリとした食感で、苦みもあります。

好みにも寄りますが、再発酵した納豆は決しておいしいとは言えないでしょう。再発酵が始まっても食べることはできますが、おいしくいただくには、できるだけ早めに食べきるほうがよさそうですね。

また、雑菌が繁殖したことでこのような状態になっている可能性もあります。見るからに異変がある、異臭がするなど明らかにおかしい場合は、食べるのをやめておきましょう。

賞味期限と消費期限について

賞味期限と消費期限の違いをご存知でしょうか?農林水産省では次のような見解となっています。

「賞味期限」
袋や容器を未開封の状態で、容器に書かれた保存方法を守って保存しておけば、記入された年月日までは品質が変わらずにおいしく食べられる期限のこと。

「消費期限」
袋や容器を未開封の状態で、書かれている保存方法を守って保存しても、期限を過ぎたら食べない方が体に良い食品のこと。



手作り納豆の保存方法って?


納豆の賞味期限についてみてきましたが、再発酵につながる常温保存はNGということですね。これらをふまえると、手作りした納豆の保存方法は以下の2点が考えられるでしょう。

〇冷蔵で保存する。
〇冷凍で保存する。


〇冷蔵で保存する

手作りした納豆は、冷蔵保存で1週間程度がおいしく食べられる期限だと言われています。納豆菌が再発酵を始める温度はだいたい10℃以上です。

冷蔵保存していた納豆は、食べる20分前に冷蔵庫から出して常温に戻しておきましょう。冷蔵下では納豆菌が休止状態になっているので、常温にして納豆菌を起こしてあげます。

納豆菌が目覚めて働き始め、ビタミンKが増えます。さらに粘りが強くなり、風味が増すので、栄養価が高まり、さらにおいしくいただくことができるんです。


冷凍で保存する

手作りした納豆を冷凍保存することもできます。冷凍の場合、保存期間は一ヶ月程度が目安と言われています。頻繁に作ることが難しい方は、多めに作って冷凍しておくという手もありますね。

ただし、保存期間が長引くほど納豆本来の風味や食感は落ちてしまいます。なるべく早く食べきるようにしましょう。

市販の納豆は、買ってきたパックのまま保存ができます。冷凍焼けや臭い移りが心配な場合は、パックのままラップに包んだり、密閉袋に入れて冷凍すると良いでしょう。

納豆菌は冷凍下でも死滅することはなく休眠状態になり、解凍すれば、再度発酵を始めます。冷凍保存しておいた納豆を解凍する際は、 食べる前の日くらいから冷蔵庫に移し、低温で自然解凍しましょう。

解凍のために電子レンジを使ったり、長い間常温に置くと品質が悪くなってしまいます。


〇雑菌が入らないように…

拮抗作用のある手作り納豆ですが、雑菌が入らないようにすることも大切です。使用する器具を熱湯消毒しておく、牛乳パックから取り出すときは清潔なスプーンを使用するなど、配慮するようにしましょう。


〇納豆菌が休眠するってどういうこと?

実は、納豆菌には2種類のカタチがあるんです!!

納豆菌の大きさは数ミクロン(1/1000㎜=1μm)。納豆の糸を光学顕微鏡で観察すると、次の2タイプが混在していることが確認できます。

①細長い楕円の形をした栄養細胞
②粒状の胞子

②の胞子は、「芽胞(がほう)」と呼ばれています。栄養細胞と胞子は、環境によってカタチを変えているだけで、実は同じ納豆菌です。

引用:納豆菌を見てみよう(2) : Web247 (livedoor.jp)

①活動時には栄養細胞のカタチに!!

納豆菌が活性化して、大豆を分解しているときに働くのが栄養細胞。どんどん分裂・増殖して数珠つなぎになり、発酵を進めます。

②休眠時には胞子のカタチに!!

環境が生息不可能な状態になると、栄養細胞は殻に閉じこもるように胞子の姿へ変化します。

胞子になった納豆菌は、乾燥にも熱にも非常に強く、プラスマイナス100℃の環境にも耐え、何千年も生き残ることができると言われています。

つまり、冷蔵庫や冷凍庫で保存しているときは芽胞になって休眠し、常温に戻すと栄養細胞になって再び活動を始めるということなんですね。



まとめ


  • 納豆は腐っているの?
    腐っているのではなく、発酵している!!
  • 発酵と腐敗の違いって?
    発酵と腐敗は、科学的なメカニズムは同じ。
    微生物の働きによる食材の変化の結果
    ・人間にとって有益な物質だと「発酵」。
    ・人間にとって有害な物質だと「腐敗」。
  • 発酵食品って、腐るのかな?
    菌の拮抗作用」により、本物の発酵食品は、理論上腐らないと言われている。
  • 市販の発酵食品に賞味期限がある理由とは?
    食品を流通させる時に衛生上の問題で殺菌されているから
  • 再発酵すると次の状態になるが、食べることはできる。ただし、おいしくないので再発酵する前に食べきることがおススメ。

    〇強烈なアンモニア臭がする。
    〇糸の引きが悪くなる。
    〇納豆が黒っぽく変色する。
    〇白いツブツブがあり、食感がシャリシャリして苦みがある。
  • 手作り納豆の保存方法って?
    〇冷蔵
    ・10度以下で約一週間。
    ・食べる20分前に冷蔵庫から出して常温に戻しておく。
    〇冷凍
    ・冷凍庫で約一か月間。
    ・食べる前の日くらいから冷蔵庫に移し、低温で自然解凍する。



おわりに


理論的には腐らないとされている発酵食品。発酵と腐敗の違い、市販の納豆に賞味期限がある理由などをお伝えしてきましたが、いかがでしたか?

納豆菌は常温保存ですと、再発酵によりアンモニア臭がしたりシロチンが発生するなど、風味が落ちてしまいます。食べられないことはありませんが、おいしくいただくには早めに食べきることをオススメします。

手作り納豆は、コツさえつかめば、とても簡単。材料や製法が目に見えるので、とても安心して食べることができます。

『手作り納豆』の作り方は「『手作り納豆』レシピ。作り方はかんたん。2つの材料&2ステップでできちゃいます!!」にまとめました。ぜひ手作りしてみてくださいね。

納豆がカラダに良いとされる理由を「『手作り納豆』の効果を詳しく解説!!さらに注目!!市販の納豆との違いって?」にまとめましたので、こちらもお読みください!!

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