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教えて!!『手作り納豆』の保存方法とその理由。納豆菌の特徴&発酵のメカニズムから紐解きます!!

納豆を手作りできることをご存知ですか?カラダに良いと話題の発酵食品を、ご自宅で作るという方が増えています。

ところが納豆は、どこのスーパーでも売っているうえ安価なので、わざわざ自分で作るという方は少ないのではないでしょうか?

私も市販の納豆を買っていたのですが、流通のために殺菌されているというお話や、大豆や納豆菌が大量生産のために遺伝子組み換えをされているというお話を聞いてから、手作りするようになりました。

原材料にこだわることができ、製造過程も目に見えるので、安心して食べることができます。

発酵食品を自分で作るのはハードルが高いかな?と思っていましたが、コツさえつかめば意外と簡単。慣れると楽しいです。

今回は、発酵のメカニズムと納豆菌の特徴をふまえながら、手作りした納豆の保存方法について見ていきたいと思います。



『手作り納豆』の作り方


まずは、『手作り納豆』の作り方を簡単にご紹介しましょう。材料は乾燥大豆と市販の納豆の2つ。そして手順も

①大豆をやわらかく煮て
②納豆菌を加えて発酵させるだけ

2ステップでできちゃいます。


【材料】

〇大豆 200g
〇市販の納豆 1/4パック

【準備するもの】

〇鍋もしくは圧力鍋
〇ざる
〇ヨーグルトメーカー
〇牛乳パック
〇長い柄のスプーンまたはへら

【作り方】

①大豆を鍋に入れ、たっぷりの水に一晩つけておきます。

思ったよりも水を吸うので、豆の3~4倍量が目安です。

②①の水を捨て、新たに浸るくらいの水を入れて大豆を煮ます。指でつまんでつぶせる固さであればOKです。

③煮えた大豆をざるにあげます。熱いうちに牛乳パックにうつし、市販の納豆を加えてよく混ぜます。

牛乳パックはあらかじめ注ぎ口をはさみでカットし、熱湯消毒しておきます。

④牛乳パックの口をあけた状態でふきんをかぶせ、ヨーグルトメーカーにセットして、カバーをします。

⑤温度と時間を設定してスタートボタンを押します(45度で24時間)。

⑥出来上がったらスプーンでまぜ、牛乳パックの口を閉じて冷蔵庫で保管します。2~3日寝かしたあとが食べごろです。

詳しい作り方は「『手作り納豆』レシピ。作り方はかんたん。2つの材料&2ステップでできちゃいます!!」をご覧ください。

写真付きで説明しています。失敗しないためのポイントもまとめてありますので、ぜひ参考にしてくださいね。

ヨーグルトメーカーをお持ちでない方はこちら。「『手作り納豆』は炊飯器でも作れます!!でも一工夫が必要なんです!!」


『手作り納豆』の保存方法って?


出来上がった手作り納豆はどのように保存したらいいのでしょうか?保存方法は次の2つ。

①冷蔵で保存する。
②冷凍で保存する。

納豆は、常温保存には不向きです。冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存します。そして納豆の効果・効能をより得るためには、食べる前に常温に戻す方が良いのです。

それにはちゃんとワケがあります。発酵のメカニズムや納豆菌の特性を知るとその理由が分かるので、詳しくみていきますね。


冷蔵保存か冷凍保存にしましょう

①冷蔵で保存する

手作りした納豆は、冷蔵保存で1週間程度がおいしく食べられる期限だと言われています。

②冷凍で保存する

手作りした納豆を冷凍保存することもできます。冷凍の場合、保存期間は一ヶ月程度が目安と言われています。頻繁に作ることが難しい方は、多めに作って冷凍しておくという手もありますね。

ただし、保存期間が長引くほど納豆本来の風味や食感は落ちてしまいます。なるべく早く食べきるようにしましょう。

市販の納豆は、買ってきたパックのまま保存ができます。冷凍焼けや臭い移りが心配な場合は、パックのままラップに包んだり、密閉袋に入れて冷凍すると良いでしょう。

なぜ、納豆は冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存するのでしょうか?常温保存だと、どうなるのでしょうか?


常温保存だとどうなるの?

できあがった納豆は、保存しているときも納豆菌が働いています。温度などの条件が揃うと、再発酵が始まるんです。納豆菌がもっとも活性化するのは約40度。その条件に近ければ近いほど、再発酵はどんどん進みます。

再発酵が進むと、以下のような変化がみられます。

〇アンモニア臭がする。
〇糸の引きが悪くなる。
〇納豆が黒っぽく変色する。
〇白いツブツブがあり、食感がシャリシャリして苦みがある。

これらの状態は、まるで「腐っている」かのようですね。このように再発酵が進んでも、納豆を食べることはできるのでしょうか?

答えは「YES」。一見腐ったように感じますが、あくまでも発酵が進んでいる状態なので食べることは可能です。

白いツブツブってなに?

チロシンと呼ばれるアミノ酸の結晶が浮き上がっている状態です。白くツブツブとしていて、食べるとシャリシャリとしていて苦味があります。

ただ、再発酵が進んだ納豆を食べることはできますが、アンモニア臭があったり、チロシンによる苦みやシャリシャリとした食感があったりして、決しておいしいとは言えません。

なかにはその状態が好みだという方もいらっしゃるようですが、一般的においしくいただくには、できるだけ早めに食べきるほうがよさそうです。


〇発酵とは?

微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化することをいいます。

〇発酵食品にすると、次のようなメリットがあります!!

・消化・吸収がよくなります。
・栄養価が加わります。
・うまみが加わります。
・保存性がよくなります。

〇納豆ができるとき、どんなことが起こっているのでしょうか?

納豆菌は増殖するときに大豆のたんぱく質を分解し、吸収しやすくします。その過程でビタミンやナットウキナーゼなどの酵素を作り出し、栄養価を高めるんです。

また、 たんぱく質を分解しておいしさの成分アミノ酸を生成するので、旨味が加わります。

ちなみに、納豆独特の香りやネバネバは納豆菌がもっているのではなく、発酵過程でできるもの。そしてアンモニアの発生は、発酵が進むと起こります。



冷蔵や冷凍保存にする理由とは?


常温保存では再発酵が進んでしまい、風味が損なわれるということが分かりました。冷蔵保存や冷凍保存にする理由は、一言でいうとこの再発酵をさせないため。

冷蔵や冷凍中の納豆は、なぜ再発酵が始まらないのでしょう?その理由は、一定の温度以下になると、納豆菌が休眠するからなんです。詳しくみていきます。


納豆菌が休眠するってどういうこと?

実は、納豆菌には2種類のカタチがあるんです!!

納豆菌の大きさは数ミクロン(1/1000㎜=1μm)。納豆の糸を光学顕微鏡で観察すると、次の2タイプが混在していることが確認できます。

①細長い楕円の形をした栄養細胞
②粒状の胞子

②の胞子は、「芽胞(がほう)」と呼ばれています。栄養細胞と胞子は、環境によってカタチを変えているだけで、実は同じ納豆菌です。

引用:納豆菌を見てみよう(2) : Web247 (livedoor.jp)

①活動時には栄養細胞のカタチに!!

納豆菌が活性化して、大豆を分解しているときに働くのが栄養細胞。どんどん分裂・増殖して数珠つなぎになり、発酵を進めます。

②休眠時には胞子のカタチに!!

環境が生息不可能な状態になると、栄養細胞は殻に閉じこもるように胞子の姿へ変化します。

胞子になった納豆菌は、乾燥にも熱にも非常に強く、プラスマイナス100℃の環境にも耐え、何千年も生き残ることができると言われています。

つまり、冷蔵庫や冷凍庫で保存しているときは芽胞になって休眠し、常温に戻すと栄養細胞になって再び活動を始めるということなんですね。


食べる前に常温に戻しましょう

納豆の効果をより得るためには、食べる前に常温に戻したほうが良いという話を聞いたことはありませんか?なぜ常温に戻す必要があるのでしょうか?これも、納豆菌の特性が関係しているんです。

冷蔵保存していた納豆は、食べる20分前に冷蔵庫から出して常温に戻しておきましょう。冷蔵下では納豆菌が休止状態になっているので、常温にして納豆菌を起こしてあげます。

納豆菌が目覚めて働き始めると、ビタミンKが増えます。さらに粘りが強くなり、風味が増すので、栄養価が高まり、よりおいしくいただくことができるんです。

納豆菌は冷凍下でも死滅することはなく休眠状態になり、解凍すれば、再度発酵を始めます。冷凍保存しておいた納豆を解凍する際は、 食べる前の日くらいから冷蔵庫に移し、低温で自然解凍しましょう。

そして、冷蔵保存同様、食べる20分ほど前に常温に戻しておきます。

解凍のために電子レンジを使ったり、長い間常温に置くと品質が悪くなってしまいます。


発酵食品は腐るの?

納豆のアンモニア臭の原因は、再発酵によるものでした。では、発酵食品って腐るのでしょうか?

結論から言うと、本物の発酵食品は、理論上腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。

これを「菌の拮抗作用」と呼びます。身近な食品で例を挙げると

〇発酵食品の一種であるワインは、きちんと管理されていれば、何十年経っても腐りません。むしろ「ヴィンテージ(年代物)」と呼ばれて、非常に高値で取引されています。

〇同じく発酵食品であるお味噌も、「〇年熟成赤味噌」など、高級品として売られていたりします。

ただし、雑菌が繁殖したことで再発酵と同じような状態になっている可能性もあります。見るからに異変がある、異臭がするなど明らかにおかしい場合は、食べるのをやめておきましょう。

市販の発酵食品に賞味期限がある理由って?

それはズバリ、食品を流通させる時に衛生上の問題で殺菌されているからです!!発酵食品が殺菌されるとどうなるか?雑菌などが死んで食中毒から守られると同時に、発酵菌まで死んでしまうことになります。

すると「菌の拮抗作用」もなくなってしまい、腐敗をもたらす雑菌が侵入した場合、傷みやすい状態になるんです。

保存期間や賞味期限を過ぎた場合、食品の見た目や風味に変化が生じます。例えばヨーグルトの場合は、色が変わっていたり臭いが不快になります。有色のカビの発生が認められる場合もあるんです。

「発酵」と「腐敗」の違いとは?

実は、発酵と腐敗は科学的なメカニズムが同じなんです!!発酵も腐敗も、物質が微生物のはたらきによって分解されたり変化したりして、「新しい物質」を生成するというメカニズム。

この「新しい物質」が、人間にとって有益なものの場合発酵と呼ばれ、人間にとって有害なものの場合腐敗と呼ばれているんです。



まとめ


  • 『手作り納豆』の保存方法って?

    〇冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存する。
    ・冷蔵保存で1週間程度。
    ・冷凍保存で1か月程度。

    〇常温保存は再発酵が進んでしまう。
    再発酵が進むと…
    ・アンモニア臭がする。
    ・糸の引きが悪くなる。
    ・納豆が黒っぽく変色する。
    ・白いツブツブがあり、食感がシャリシャリして苦みが出る。

    〇冷蔵や冷凍中の納豆は、なぜ再発酵が始まらないの?
    一定の温度以下になると、納豆菌が休眠するから。
  • 納豆の効果をより得るためには、食べる20分ほど前に常温に戻す。
    休止状態になっている納豆菌を、常温にして起こすため。



おわりに


手作り納豆の保存方法は、冷蔵か冷凍。常温保存はNGです。その理由を、発酵のメカニズム、納豆菌の特徴から詳しくみてきました。

おいしくいただくには、再発酵が進むのをおさえつつ、より高い効果を得るには、食べる20分前に常温に戻す…というのがポイントですね。

手作り納豆は、コツさえつかめば、とても簡単。材料や製法が目に見えるので、とても安心して食べることができます。ぜひ手作りしてみてください。

納豆がカラダに良いとされる理由を「『手作り納豆』の効果を詳しく解説!!さらに注目!!市販の納豆との違いって?」にまとめましたので、お読みくださいね!!

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