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発酵ってなに?シリーズ⑧手作りの発酵食品に「カビ」が生えてしまった!!カビって何?対策は?「手作り発酵食9レシピ」もご紹介します!!

発酵食品を手作りし始めると、悩まされるのがカビ。せっかく作った発酵食品を泣く泣く捨てた…という話もよく聞きます。

〇そもそもカビってなに?
〇どのように対策したらいいの?

ひと口にカビと言っても、実はカラダに良いものと悪いものとがあるんです!!今回は「カビ」をテーマにお伝えします。

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発酵とは?


発酵とは?

まずは『発酵』について簡単に説明しましょう。発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。発酵の過程で得られるメリットは次の通りです。

①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる

①消化・吸収がよくなる

微生物が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。

②うまみが加わる

酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。

③栄養価が加わる

食品は発酵させることで栄養価がアップします。 微生物によって食材のデンプンやたんぱく質等の栄養素が分解されることもメリットのひとつ。栄養をスムーズに取り込むことができます。

④保存性がよくなる

本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。

発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!

発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。

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カビってなに?


発酵食品を作っていると、カビに悩まされることがあります。発酵過程でカビが生えてしまい、泣く泣く廃棄した…という方も多いですね。

そもそもカビって、いったい何なのでしょうか?人のカラダにどのような影響を及ぼすのでしょうか?実は奥が深いんです!!


「カビ」ってなに?

「カビ」は、微生物群の一種で菌類の姿を示す俗称。専門的には「真菌」や「菌類」と呼ばれており、数万種以上が生息しているといわれています。糸状の細胞を伸ばして広がり、胞子を飛ばして拡散します。


カラダに良いカビと悪いカビがあるんです!!

例えば、お味噌や醤油、甘酒などの発酵食品づくりに欠かせない米麹。麹菌はカビの一種です。カラダに無害で有益なカビには、以下のものがあります。

〇コウジカビ
味噌や醤油、甘酒などをつくる。

〇アオカビ
チーズなどをつくる。抗生物質である「ペニシリン」の材料になる。

〇酵母
パンやビール、ワインをつくる。

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ところが一方で、カラダに悪影響を及ぼすカビがあります。人体への影響としては、次の2種類が挙げられます。

①カビそのものによる感染症。
②カビによるアレルギー反応。
③カビ毒による影響。

①カビそのものによる感染症例

〇真菌性肺炎
〇白癬菌(はくせんきん)による皮膚真菌症=水虫
〇食道炎
〇胃腸炎
〇髄膜炎など

②カビによるアレルギー例

〇喘息
〇アトピー
〇アレルギー性鼻炎など

③カビ毒による影響

カビ毒とは、カビが作り出す代謝産物のうち、人や動物に対して有害な作用を示す化学物質の総称。病気を引き起こしたり、発がん性のカビ毒もあるんです。


カビが生えた発酵食品は捨てるしかないの?

カビが生えた発酵食品は捨てるしかないのでしょうか?カビの種類や状態によっては、部分を取り除けば食べることができます。ただし、その方法には注意点があります。

例えば白カビが生えた味噌。カビは菌糸をはる生物なので目に見えない部分に根を張っていることが多いです。私はカビと一緒に1㎝くらい深く取り除くようにしています。

取り除いたあとは味噌を平たい状態に戻し、アルコールをスプレーしておきましょう。塩を振りかけておくことも有効です。ただし、状態があまりにもひどいときは口にせず、残念ですが廃棄しましょう。



カビが発育する5つの条件とは?


菌の繁殖を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか?カビは発育するのに適した条件があります。つまり、その条件を避ければいいということですね。順番にみていきましょう。


カビが発育する5つの条件

カビが発育するための5つの条件は、次の通りです。

①酸素
②温度
③水分
④水素イオン濃度
⑤栄養分


条件① 酸素

カビは、酸素のあるところでのみ生育します。これを好気性といいます。市販の食品に入っている脱酸素剤は、湿気るのを防ぐだけでなく、防カビの役目もあるんです。


条件② 温度

カビは、5~45℃で発育します。冷蔵庫でも少しずつ増殖するのですが、最も育つのは15~30℃。繁殖を抑えるには、この温度を避ければいいということですね。


条件③ 水分

食品に含まれる水には、「結合水」「自由水」があります。微生物が繁殖に利用できるのは自由水だけなので、これを減らせば抗菌力を高めることができます。

そのためには「乾燥させる、塩漬けにする、砂糖漬けにする」という3つの方法があります。

乾燥させるのは、単純に自由水を減らすため。また、食品に塩や砂糖を加えるのは、塩や砂糖を自由水と結びつけて結合水にし、自由水を減らすためです。

結合水と自由水って?

〇結合水:たんぱく質や糖質と強く結合して離れない水
〇自由水:自由に動くことができる水


条件④ 水素イオン濃度

カビが発育するのは、pH 3~9。特に、pH 4~6の範囲が最も適した濃度で、弱酸性を好みます。


条件⑤ 栄養分

カビの栄養分は、私たちが口にする食品、皮脂やフケ、ダニの死骸やフンなどのハウスダスト、木材や植物性繊維、石鹸など多岐にわたります。



一日で出来る『発酵食品』はカビ知らず?


カビが生えるのは、環境的に上記の5つの条件が揃ったときです。常温で発酵させた場合、ちょうどカビが繁殖しやすい15~30℃で数日置くことになります。

私は味噌や発酵トマトケチャップなどを作るとき、炊飯器かヨーグルトメーカーを使って発酵させます。50~60度で長くても24時間。ほぼ一日で出来るんです。こうして作った発酵食品が「カビ知らず」だという理由。それは、

①カビが発生しずらい温度だということ
②カビが発生する間がないくらい短時間で出来あがるから

という2点です。炊飯器とヨーグルトメーカーについてまとめた記事はこちらから↓↓

『発酵ってなに?シリーズ⑦早い&簡単&らくちん!「炊飯器」で発酵食品を作りましょう!!米麹を使った「手作り発酵食9レシピ」もご紹介します!!』

『発酵ってなに?シリーズ⑥「ヨーグルトメーカー」とは?発酵食品作りが簡単になる&失敗しにくくなる理由って?ヨーグルトメーカーの機能や「手作り発酵食17レシピ」もご紹介します!!』

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発酵食品を作る際のカビ対策って?


炊飯器やヨーグルトメーカーで作る方法では、発酵期間中はほぼカビとは無縁なのですが、保存している間に発生してしまうことがあります。防止対策としては、次の3点が効果的です。

①使う道具を消毒する。
②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く。
③出来上がったら冷蔵庫で保管する。


工夫① 使う道具をあらかじめ消毒する

なるべくカビが発生しないように、使用する道具や保存する容器などをあらかじめ消毒しておきましょう。

私は煮沸消毒や、アルコール度数の高いお酒で拭くなどの方法で行っています。


工夫② 保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く

カビが生えないように、保存容器の口をアルコールで拭きましょう。私は、純度の高い焼酎をキッチンペーパーに含ませてサッとなでるように拭き取っています。ホワイトリカーを使う時もあります。


工夫③ 出来上がったら冷蔵庫で保管する

カビが最も育つのは15~30℃。冷蔵庫の温度は、強弱などのモードにもよりますが、冷蔵室が約0℃~6℃、野菜室が約3℃~9℃です。常温に比べるとカビが繁殖しずらいんです。

冷蔵保存の場合、約一週間と言われています。個人的には、もう少し大丈夫だと感じます。一週間以上経過した場合は、試しに少しだけ食べてみて、違和感を感じるようならやめておきましょう。



一日で出来る発酵食品「9レシピ」をご紹介します!!


最後に、私がふだん作っている米麹を使った発酵食品「9レシピ」を以下に貼っておきます。日々の食卓にとり入れることができるよう、できるだけ簡単に&シンプルに作る工夫をしていますので、ぜひトライしてみてくださいね。

簡単手作り!麹を使った発酵食品レシピ3選!!「発酵あんこ」3バージョンをご紹介します

簡単手作り!麹を使った発酵調味料レシピ4選~発酵ケチャップ、発酵マヨネーズ、自家製豆板醤、酢麹をご紹介します!!

簡単手作り!麹を使った発酵レシピ2選~一日でできる味噌「大豆バージョン」と「おからバージョン」をご紹介します!



まとめ


  • 発酵とは?
    微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 発酵の過程で
    ①消化・吸収がよくなる
    ②栄養価が加わる
    ③うまみが加わる
    ④保存性がよくなる
  • カビってなに?
    〇「カビ」は、微生物群の一種で菌類の姿を示す俗称。
    〇カラダに有益なカビと有害なカビがある!!
  • カラダに有益なカビは…
    味噌や醤油、甘酒などをつくるコウジカビ。
    〇チーズなどをつくったり、抗生物質である「ペニシリン」の材料になるアオカビ。
    〇パンやビール、ワインをつくる酵母。
  • 有害なカビがカラダに与える影響とは?
    ①カビそのものによる感染症
    ②カビによるアレルギー反応
    ③カビ毒による影響
  • カビが発育する5つの条件とは?
    ①酸素
    ②温度
    ③水分
    ④水素イオン濃度
    ⑤栄養分
  • 一日で出来る発酵が「カビ知らず」だという理由とは?
    ①発酵のための設定温度がカビが発生しずらい50~60度だということ。
    ②カビが発生する間がないくらい短時間で出来あがること。
  • 発酵食品を作る際のカビ対策とは?
    ①使う道具をあらかじめ消毒する。
    ②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く。
    ③出来上がったら、冷蔵庫で保管する。



おわりに


今回は、発酵食品を手作りする際に悩まされる「カビ」について詳しくみてきましたが、いかがでしたか?カビの特性や予防策など、ぜひ参考になさってください。

健康への関心が高まり、発酵食品が注目されています。ところが、市販されている発酵食品は材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いんです。その点手作りだと、材料も製造過程も目に見えるので安心。使用する材料にこだわることも可能です。

元々、カラダに良い食材たち。それを発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめですね。

「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてください!!



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