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発酵ってなに?シリーズ⑭「腐敗」と発酵。発酵食品は腐らない?賞味期限があるわけは?「手作り発酵食19レシピ」もご紹介します!!

手作りの発酵食品には賞味期限がありません。「この状態は食べられるの?」と、疑問に思ったことはありませんか?私も最初は、腐っているかどうか迷うことがありました。

実は理論上、発酵食品は腐敗しないと言われています。それなのになぜ、市販の味噌や納豆には賞味期限が表示されているのでしょうか?どのような状態だと食べるのを控えた方が良いのでしょうか?今回は「腐敗」をテーマにみていきましょう。

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発酵とは?


発酵とは?

まずは『発酵』について簡単に説明しましょう。発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。発酵の過程で得られるメリットは次の通りです。

①消化・吸収がよくなる
②栄養価が加わる
③うまみが加わる
④保存性がよくなる

①消化・吸収がよくなる

微生物が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。

②うまみが加わる

酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。

③栄養価が加わる

食品は発酵させることで栄養価がアップします。 微生物によって食材のデンプンやたんぱく質等の栄養素が分解されることもメリットのひとつ。栄養をスムーズに取り込むことができます。

④保存性がよくなる

本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。

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発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!


実は、発酵と腐敗は科学的なメカニズムが同じ!!発酵も腐敗も、物質が微生物のはたらきによって分解されたり変化したりして、「新しい物質」を生成するというメカニズム。

この「新しい物質」が、人間にとって有益なものの場合発酵と呼ばれ、人間にとって有害なものの場合腐敗と呼ばれているんです。

発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。

つまり、私たち人間の捉え方によって、発酵なのか?腐敗なのか?を決めているということですね。いくつか具体的にみてみましょう。

〇蒸した大豆に、枯草菌を生やして納豆が作られる場合には発酵と呼ばれますが、煮豆を放っておいて枯草菌が生え、ネトやアンモニア臭がしたときは腐敗と呼ばれます。
〇牛乳に乳酸が蓄積して凝固したものは、ある時は発酵と呼ばれますが、ある時は腐敗と呼ばれます。
〇同じ乳酸菌でも、ヨーグルトや味噌が作られる場合は発酵ですが、これが清酒中で増殖する場合は火落ちといって、腐敗を意味します。

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発酵食品は腐らない?


本物の発酵食品は理論上腐らないと言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。つまり、保存状態さえよければ相当長い間、日持ちがするということ。

身近な食品で例を挙げると…

発酵食品の一種であるワインは、きちんと管理されていれば、何十年経っても腐りません。むしろ「ヴィンテージ(年代物)」と呼ばれて、非常に高値で取引されています。味噌も、「〇年熟成赤味噌」など、高級品として売られていたりしますね。

ところが作っているときや保存しているとき、使っている途中などで、雑菌が混入してしまうことがあります。この雑菌が人に対して有害な影響を与えた場合、腐敗になってしまうんです。




市販の発酵食品に賞味期限がある理由とは?



市販の発酵食品に賞味期限がある理由。それは「食品を流通させる時に衛生上の問題で殺菌されているから」。発酵食品が殺菌されると雑菌などが死んで食中毒から守られると同時に、発酵菌まで死んでしまうことになります。

つまり「菌の拮抗作用」がなくなってしまい、腐敗をもたらす雑菌が侵入した場合、傷みやすい状態になるんです。保存期間や賞味期限を過ぎた場合、食品の見た目や風味に変化が生じます。

例えば、納豆の場合は糸の引きが悪くなったり、黒っぽくなったりアンモニア臭が強烈になったりします。ヨーグルトの場合は色が変わっていたり臭いが不快になります。

賞味期限と消費期限の違いって?
農林水産省では次のような見解となっています。

「賞味期限」
袋や容器を未開封の状態で、容器に書かれた保存方法を守って保存しておけば、記入された年月日までは品質が変わらずにおいしく食べられる期限のこと。

「消費期限」
袋や容器を未開封の状態で、書かれている保存方法を守って保存しても、期限を過ぎたら食べない方が体に良い食品のこと。

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塩や砂糖のチカラ


塩と砂糖の2つの役割

味噌や乳酸発酵食品、果物の発酵エキスなどを作るとき、塩や砂糖を使います。実は腐敗と密接な関係があるんです。塩や砂糖は、発酵過程において「促進」と「抑制」の2つの役割で、微生物を上手にコントロールしています。

促進
乳酸菌などの発酵に有用な微生物群が、塩を入れることで食品中で優先的に増殖すること。また、砂糖は微生物のエサとなります。
抑制

一言でいうと腐敗防止。 塩や砂糖を入れることで、微生物の生育が抑えられます。


なぜ塩や砂糖を入れると腐りにくくなるの?

食品に含まれる水には、「結合水」「自由水」とがあります。微生物が繁殖に利用できるのは自由水だけなので、これを減らせば抗菌力を高めることができます。具体的に、「乾燥させる、塩漬けにする、砂糖漬けにする」という3つの方法があります。

乾燥させるのは、単純に自由水を減らすため。また、食品に塩や砂糖を加えるのは、塩や砂糖を自由水と結びつけて結合水にし、自由水を減らすためです。

結合水と自由水って?

〇結合水:たんぱく質や糖質と強く結合して離れない水
〇自由水:自由に動くことができる水

また、塩あるいは砂糖を加えると、食材に含まれる水分や微生物の水分は、浸透作用によって塩や砂糖の方に流れ出ていきます。その結果、微生物にとって必要な食材の水分量が減り、増殖しずらくなるんです。



こんな場合は、食べるのを控えて!!


こんな場合は、食べるのをやめましょう!!

先ほど発酵食品は理論的には腐らないとお伝えしましたが、あくまでも正しい方法で保存ができている場合です。以下の状況が当てはまる場合は、残念ながら食べるのをやめて、新しく作り直しましょう。

①カビが生えてしまった場合。
②明らかに見た目、臭い、味がおかしい場合。


①カビが生えてしまった場合

発酵食品を手作りしていると、一番悩まされるのがカビ。せっかく作ったのに、泣く泣く捨てることになってしまった…という話をよく聞きます。

カビ」とは、微生物群の一種で、菌類の姿を示す俗称。専門的には「真菌」や「菌類」と呼ばれており、数万種以上が生息しているといわれています。

糸状の細胞を伸ばして広がり、胞子を飛ばして拡散します。そして、カビには有益なものと有害なものとがあります。

有害なものは、感染症やアレルギーを引き起こします。さらにカビが作り出す代謝産物であるカビ毒は、発がん性のものもあると言われているので、口にしないようにしましょう。

一方、有益なものもあります。「カビ」と聞くと、頭ごなしに毒だ!!と悪者扱いしてしまいがちですが、豆板醤の材料である米麹の麹菌もカビの一種。カラダに良いカビには、次の3つが挙げられます。

〇コウジカビ
味噌や醤油、甘酒などをつくる。
〇アオカビ
チーズなどをつくる。抗生物質である「ペニシリン」の材料になる。
〇酵母
パンやビール、ワインをつくる。


②明らかに見た目、臭い、味がおかしい場合

できあがった発酵食品はおいしいです。変な臭いもしません。基本的に発酵食品は腐らないとされていますが、保存状態はご家庭の環境によって様々。

これこそ自己判断になるのですが、保存している間に次のような状態になったら、雑菌が繁殖して腐敗している可能性が高いです。食べるのをやめておきましょう。

〇強い粘りが出ている。
〇糸を引いている。
〇異臭がする。
〇明らかに変な味がする。

できあがった発酵食品を長期保存していたら、すっぱくなったという経験はありませんか?まずは腐敗を疑うと思いますが、その答えは「発酵の過程で、乳酸菌や酢酸菌が優位に働いたから」。乳酸菌はヨーグルトを作る菌として、酢酸菌はお酢を作る菌として有名です。どちらも酸味が強い食品なので、分かりやすいですね。




日持ちさせるために気をつけることって?


発酵食品を日持ちさせるには、ちょっとした配慮が必要です。気をつけるポイントは以下の通りです。順番にみていきましょう。

①使う道具をあらかじめ消毒する。
②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く。
③冷蔵庫で保存する。
④出来上がりを数回に分けて食べる場合は、清潔な道具を使う。


工夫① 使う道具をあらかじめ消毒する

発酵させる過程で雑菌が混入したり、カビが生じることがあります。これらを防ぐために、使用する道具や保存する容器などをあらかじめ消毒しておきましょう。私は煮沸消毒や、アルコール度数の高いお酒で拭くなどの方法で行っています。


工夫② 保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く

雑菌が混入したりカビが生えたりしないように、最後に保存容器の口をアルコールで拭きましょう。私は、純度の高い焼酎をキッチンペーパーに含ませてサッとなでるように拭き取っています。ホワイトリカーを使う時もあります。

容器のふたや口あたりの汚れは、雑菌の繁殖を招きます。使い終わったときに汚れていたら、こまめにキレイにすると保存性が高まります。


工夫③ 冷蔵庫で保存する

カビの繁殖や腐敗を防ぐため、冷蔵庫で保存しましょう。カビが生えやすい環境とは、温度が20℃~35℃くらい、湿度が80%と言われています。 ちなみに冷蔵庫は0℃~10℃、冷凍庫は-12℃以下に温度設定するよう、JIS規格で制定されています。


工夫④ 出来上がりを数回に分けて食べる場合は、清潔な道具を使う

出来あがった発酵食品を取り分けて食べる場合、使う菜箸やスプーンなどから雑菌が入ることがあります。必ず清潔なものを使いましょう。



手作り発酵レシピ19選


最後に、私がふだん作っている発酵食品「19 レシピ」を以下に貼っておきます。日々の食卓にとり入れることができるよう、できるだけ簡単に&シンプルに作る工夫をしていますので、ぜひトライしてみてくださいね。


麹を使った9レシピ

お砂糖不使用!!あずきを使った『発酵あんこ』の作り方~3つの材料&2ステップでできちゃいます

砂糖不使用!!栗を使った『発酵あんこ』。材料は栗と米麹だけ!!作り方をご紹介します

砂糖不使用!!サツマイモを使った『発酵あんこ』の作り方。早い&簡単&らくちん♪洗いものは必要最低限!!炊飯器だけでできるんです

『発酵トマトケチャップ』の作り方。意外と簡単!3ステップでできちゃいます!!

『発酵マヨネーズ』の作り方。甘酒バージョン&塩麹バージョン。2種類の味をご紹介します!!

発酵食品を手作り!!3ステップでできちゃう『自家製豆板醤』の作り方

2つの材料&2ステップ!!砂糖不使用の甘酢『酢麹』の作り方

一日で出来る!!簡単『手作り 味噌』の作り方

炊飯器を使って!一日でできる『おからで作る味噌』の作り方。簡単!早い!3ステップでできちゃいます!!



まとめ


  • 発酵とは?
    微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。 発酵の過程で
    ①消化・吸収がよくなる
    ②栄養価が加わる
    ③うまみが加わる
    ④保存性がよくなる
  • 発酵と腐敗の違いって?
    微生物の働きによる食材の変化の結果
    〇人間にとって有益な物質だと「発酵」
    〇人間にとって有害な物質だと「腐敗」
  • 発酵食品は腐らない?
    菌の拮抗作用により、本物の発酵食品は理論的に腐らないと言われる。
  • 市販品に賞味期限がある理由とは?
    流通上、衛生的に殺菌されているから。
  • こんな場合は、食べるのを控えましょう!!
    ①カビが生えてしまった場合。
    ②明らかに見た目、臭い、味がおかしい場合。
  • 日持ちさせるために気をつけることって?
    ①使う道具をあらかじめ消毒する。
    ②保存容器に詰め終わったら、入れ物の口をアルコールで拭く。
    ③冷蔵庫で保存する。
    ④出来上がりを数回に分けて食べる場合は、清潔な道具を使う。



おわりに


今回は、「腐敗」がキーワードでしたが、いかがでしたか?発酵食品を食べたり作ったりするときの参考になれば嬉しいです!!

健康への関心が高まり、発酵食品が注目されています。ところが、市販されている発酵食品は材料が遺伝子組み換えだったり、添加物や保存料が入っていたりしているものが多いんです。その点手作りだと、材料も製造過程も目に見えるので安心。

元々、カラダに良い食材たち。それを発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめですね。

「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば作り方は至って簡単。ぜひ、今回の記事を参考にして、作ってみてください!!





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