更年期とは?①更年期障害ってどんな症状?女性ホルモン「エストロゲン」が減るとどうなるの?
女性であれば、誰もが気になる更年期。母親や有名人の話を聞いて、「いつか自分も…」と思われている方は多いのではないでしょうか?
更年期障害という言葉は有名ですが、詳細をご存知の方は意外と少ない気がします。なぜ起こるのか?どのような症状があるのか?更年期障害でも重い人と軽い人がいるのはなぜなのか?
男性にも更年期はありますが、今回は女性に特化してまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
- 1.更年期とは?
- 2.更年期障害って?
- 3.更年期障害の症状とは?
- 4.更年期以降に高まるリスク
- 5.更年期障害の治療とは?
- 6.まとめ
- 7.おわりに
更年期とは?
更年期って?
閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間。言い換えると、閉経前後5年の期間を指します。一般的に50歳前後で閉経を迎える方が多いです。
女性の4つのライフステージ
①思春期(10~18歳頃)
初潮の時期
②性成熟期(18~45歳頃)
月経がある期間
③更年期(45~55歳頃)
閉経の時期
④老年期(55歳頃~)
閉経後
閉経の診断とは?
月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。血液検査で血液中のエストラジオールと卵胞刺激ホルモンのバランスをみて診断することもあります。
卵胞刺激ホルモン が上昇し、その後エストラジオールが低下して閉経に至ります。 基準となる数値は次の通りです。
〇FSH(卵胞刺激ホルモン)値
40mIU/mL 以上
〇E2(エストラジオール )値
20pg/mL以下
※ 20〜40歳では10mIU/ml以下
〇卵胞刺激ホルモンとは?
卵巣を刺激してエストロゲンおよびプロゲステロンを分泌させるホルモンのこと
〇エストラジオールとは?
卵巣のホルモンのこと
閉経が近くなると…
個人差がありますが、以下のような状態になる方が多いです。全く兆候がないまま、突然閉経を迎える方もいます。
〇生理の周期が短くなる
〇生理の周期が長くなる
〇だらだらと出血が続く
〇経血量が少なくなる
〇大量出血する
〇不正出血する
更年期障害って?
更年期障害とは?
一言でいうと、女性ホルモンの分泌量が低下することによって起こる、カラダに現れる様々な不調のこと。
男性の更年期とは?
睾丸ホルモンであるテストステロンの減少が原因ですが、女性に比べると分泌量の変化が緩やかなため、症状も軽い方が多いです。
更年期障害はなぜ起こるの?
女性ホルモンは、脳の視床下部が卵巣に指令を出すことで分泌されます。女性ホルモンである エストロゲンが不足すると脳が分泌を促しますが、卵巣の機能が低下しているとその指令にこたえることができません。
指令を出したにも関わらずエストロゲンが不足した状態が続くと、脳は混乱してコントロール機能がうまく働かなくなり、自律神経が乱れます。その結果、様々な不調が引き起こされてしまうのです。
視床下部の働きとは?
〇ホルモンの分泌をコントロール
〇自律神経をコントロールする
自律神経は、体温調節や呼吸、消化機能の調節、精神活動などを司っている
女性ホルモン減少以外の原因
更年期障害の直接的な原因は女性ホルモンの低下ですが、その他にもいくつかの因子が関与しています。
①女性ホルモンの低下
②身体的な因子
③心理的な因子
④社会的な因子
②身体的な因子としては加齢や運動の有無、③心理的な因子としてはその人の性格やストレス、④社会的な因子としては人間関係などが挙げられます。これらが複雑に絡み合って更年期障害を引き起こすのです。
更年期障害は重い人と軽い人がいるのはなぜ?
更年期障害が重い人と軽い人がいます。この違いはいったい何でしょうか?それは、上に挙げた因子の影響によるものです。女性ホルモンの低下に加えて、それぞれの因子の強弱によって更年期障害が重くなったり軽くなったりすると言われています。
更年期障害の症状とは?
更年期障害には様々な症状があり、次のように分類されます。どの症状があらわれるか、どのような強さであらわれるかは、人それぞれ。個人差があります。
①精神神経系の症状
②血管運動神経系の症状
③皮膚・分泌系の症状
④消化器系の症状
⑤運動器官系の症状
⑥泌尿器・生殖系の症状
①精神神経系の症状
精神神経系の具体的な症状は次の通りです。
〇頭痛
〇めまい
〇耳鳴り
〇不眠
〇情緒不安定
〇イライラ
〇意欲の低下
〇うつ
エストロゲンの減少によって自律神経が乱れて不調になり、それが原因で気持ちが沈みがちに。また、更年期を迎える50代前後は子育てが一段落して喪失感を感じたり、ご主人との関係性や親の介護で悩んだりという時期でもあります。精神神経系で起こる症状は、このような心理的因子や社会的因子が関与していることが多いです。
②血管運動神経系の症状
血管運動神経系の具体的な症状は次の通りです。
〇ホットフラッシュ
(ほてり・のぼせ・発汗)
〇動機・息切れ
〇手足の冷え
〇むくみ
血管運動神経系の症状は、エストロゲンの減少によって自律神経が乱れ、血管の収縮や拡張のコントロールがうまくいかなくなることで起こります。
③皮膚・分泌系の症状
皮膚・分泌系の具体的な症状は次の通りです。
〇のどの渇き
〇ドライマウス
〇ドライアイ
〇皮膚や粘膜の乾燥
エストロゲンは、 皮膚や粘膜を保護し、潤いを保つ働きがあります。エストロゲンの減少に伴って保水力が低下して乾燥しやすくなることが主な原因です。
④消化器系の症状
消化器系の具体的な症状は次の通りです。
〇吐き気
〇下痢・便秘
〇胃もたれ・胸やけ
〇食欲不振、
〇腹部膨張感
〇のどのつかえ
腸のぜん動運動は、自律神経によってコントロールされています。エストロゲンが減って自律神経が乱れることで便秘や下痢を引き起こすのです。
⑤運動器系の症状
運動器系の具体的な症状は次の通りです。
〇肩こり・腰痛・ 背筋痛
〇関節痛
〇しびれ
〇手指の痛み
エストロゲンが減ることで、筋肉や関節の軟骨が衰えます。関節内の水分が減少したり、血液の循環が悪くなったりすることで症状があらわれることも。
⑥泌尿器・生殖器系の症状
泌尿器・生殖器系の具体的な症状は次の通りです。
〇月経異常
〇尿失禁
〇頻尿
〇性交痛
〇外陰部のかゆみ
加齢によって膀胱や尿道を支える骨盤底筋の筋力が衰えたこと、 膀胱や膣の働きをサポートしているエストロゲンが減少したことなどが原因です。
更年期以降に高まるリスク
女性ホルモンであるエストロゲンは、月経をコントロールする働きのほかに、心血管系、骨、脂質代謝、皮膚、泌尿生殖器、脳の機能などに関わっています。その量は、閉経後3年ほどで閉経前の1/10程度に減少してしまうと言われています。
更年期障害の症状のほか、エストロゲンが失われることによってリスクが高くなる病気を挙げましょう。
①コレステロールの上昇
②血圧の上昇
③骨粗しょう症
④肥満
①コレステロールの上昇
更年期あたりから総コレステロールと 悪玉(LDL)コレステロール が急激に上昇、 善玉(HDL)コレステロールが低下するという傾向が顕著となり、脂質異常を指摘される方が多くいます。
エストロゲンには、悪玉(LDL)コレステロールの生成を抑制したり、余分な悪玉コレステロールを肝臓に回収することを促す作用があるからです。
②血圧の上昇
更年期あたりから高血圧になる方が多く、40代で9.5%、50代で33.8%と、急激に増加するというデータがあります。これはエストロゲンの減少によって血管の柔軟性がなくなること、自律神経の乱れから血圧を上昇させる交感神経が優位になり過ぎることなどが原因です。
高血圧とは?
最高血圧/最低血圧のどちらか一方、あるいは両方が140/90mmHg以上
(日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2019より)
③骨粗しょう症
50歳以上の女性の約24%が骨粗しょう症になるというデータがあります。エストロゲンには骨の形成を促し、骨の吸収(古い骨を壊す)を抑える働きがあるからです。
骨粗しょう症になると、脊椎の圧迫骨折や大腿骨頚部骨折のリスクが高まり、寝たきりや認知症につながりやすくなります。
④肥満
更年期以降、太りやすく痩せにくくなったという声をよく聞きます。若い頃に成功経験があるダイエット方法を試しても、効果が出なくなることが多いです。
これは、脂肪を燃やす働きがあるエストロゲンが減少することが原因です。脂質の代謝や筋肉量がグッと落ちるので、脂肪が燃焼されず、蓄積されやすくなるのです。
更年期障害の治療とは?
更年期に起こる症状に対して用いられる治療法は、大きく次の3つがあります。
①薬物療法
②生活習慣の改善
③カウンセリング・心理療法
①薬物療法
更年期症状がつらい場合、婦人科を受診します。薬物療法には、エストロゲンの減少を補うホルモン補充療法や漢方療法などがあります。
〇ホルモン補充療法(HRT)
〇漢方薬による治療
〇抗うつ薬・抗不安薬による治療
②生活習慣の改善
更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が主な原因ですが、それ以外にも様々な因子が影響を与えています。その原因を緩和する方法の一つが生活習慣の改善。
食事療法や運動療法がこれに当たります。症状を軽くするためには、日常生活の積み重ねが大切だということなんです。
〇食事療法
〇運動療法
③カウンセリング・心理療法
カウンセリングは、婦人科や心療内科で受けることができます。心とカラダは密接につながっており、心が沈み、つらい経験をする方が多いんです。更年期までは考えられなかったような精神状態になることも。一人で抱え込まずに、専門家に頼りましょう。
まとめ
- 更年期とは?
〇 閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間
(閉経前後5年の期間) - 閉経とは?
月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としている - 閉経が近くなると?
〇生理の周期が短くなる
〇生理の周期が長くなる
〇だらだらと出血が続く
〇経血量が少なくなる
〇大量出血する
〇不正出血する - 更年期障害とは?
女性ホルモンの分泌量が低下することによって起こる、カラダに現れる様々な不調のこと - 更年期障害はなぜ起こるの?
視床下部が卵巣にエストロゲンの分泌指令を出したにも関わらず不足した状態が続くと、脳が混乱してコントロール機能がうまく働かなくなって自律神経が乱れるから - 更年期障害の原因
①女性ホルモンの低下
②身体的な因子
③心理的な因子
④社会的な因子 - 更年期障害の症状とは?
①精神神経系の症状
②血管運動神経系の症状
③皮膚・分泌系の症状
④消化器系の症状
⑤運動器官系の症状
⑥泌尿器・生殖系の症状 - 更年期以降に高まるリスク
①コレステロールの上昇
②血圧の上昇
③骨粗しょう症
④肥満 - 更年期障害の3つの治療方法
①薬物療法
②生活習慣の改善
③カウンセリング・心理療法
おわりに
誰もが通る更年期。先輩方からカラダにも心にも不調をきたすという話を聞くにつれ、憂鬱になる方もいるのではないでしょうか?
一方で、なんとなくは分かっていても、カラダの中で何が起こっているのか、詳しく理解している方は意外と少ないようです。
更年期障害は人によって症状が様々で、出方にも個人差があります。なぜそのような違いが出るのでしょうか?今回は、更年期、更年期障害について詳しくみてきました。心構えとして、あらかじめ知識を知っておくことはとても大切。ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。
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