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更年期とは?②更年期障害にならない人、なりやすい人がいるのはなぜ?症状を改善するための方法って?

年齢を重ねるにつれ、更年期のことを考えて憂鬱になる方は多いと思います。更年期障害は女性ホルモンの分泌が減少することによって引き起こされるカラダの不調。

実はホルモンが足りなくなったことだけでなく、生活習慣やその人の性格など、色々な要因が絡みあって症状が出ているんです。更年期障害の軽い人、重い人がいるのはそのことが理由です。

更年期障害の治療について、まとめました。薬物療法を上手に取り入れながら、食生活や運動習慣、物事の捉え方など。症状を軽くするためにできることを始めてみませんか?

更年期と更年期障害


更年期って?

閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間。言い換えると、閉経前後5年の期間を指します。一般的に50歳前後で閉経を迎える方が多いです。


更年期障害とは?

次に挙げる原因によって引き起こされる、カラダに現れる様々な不調のこと。 直接的な原因は「①女性ホルモンの分泌量の低下」ですが、その他の因子が複雑に絡み合っています。

①女性ホルモンの低下
②身体的な因子
③心理的な因子
④社会的な因子

女性ホルモンは、脳の視床下部が卵巣に指令を出すことで分泌されます。女性ホルモンである エストロゲンが不足すると脳が分泌を促しますが、卵巣の機能が低下しているとその指令にこたえることができません。

指令を出したにも関わらずエストロゲンが不足した状態が続くと、脳は混乱してコントロール機能がうまく働かなくなり、自律神経が乱れます。その結果、様々な不調が引き起こされてしまうのです。

その他、②身体的な因子としては加齢や運動の有無、③心理的な因子としてはその人の性格やストレス、④社会的な因子としては人間関係などが挙げられます。

更年期障害についての詳細については、こちらの記事でさらに詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください↓↓

更年期とは?①更年期障害ってどんな症状?女性ホルモン「エストロゲン」が減るとどうなるの?



更年期障害の治療とは?


更年期に起こる症状に対して用いられる治療法は、大きく次の3つがあります。順番に見ていきましょう。

①薬物療法
②生活習慣の改善
③カウンセリング・心理療法



治療方法① 薬物療法


更年期症状がつらい場合、婦人科を受診します。生活習慣の改善や心理療法を試み、それでも改善しない症状に対して薬物療法を行います。薬物療法には、エストロゲンの減少を補うホルモン補充療法や漢方療法などがあります。

〇ホルモン補充療法(HRT)
〇漢方薬による治療
〇抗うつ薬・抗不安薬による治療


ホルモン補充療法(HRT)

更年期になると卵巣の機能が低下し、エストロゲンが減少します。エストロゲンの不足は、更年期障害を引き起こす原因に。ホルモン補充療法(HPT)は、薬によってエストロゲンを補充する治療法で、保険適用で受けることができます。

飲み薬(内服薬)、貼り薬(パッチ)、塗り薬(ゲル製剤)などいくつかのタイプがあり、 含有されているホルモンの量がそれぞれ異なります。 ほてり、のぼせ、発汗、動悸、息切れなどの自律神経に関する症状の改善に特に効果を発揮します。

ホルモン補充療法(HRT) には、エストロゲン (卵胞ホルモン) 製剤だけを補う単独療法、エストロゲン製剤とプロゲスチン(黄体ホルモン)製剤を併用して行う療法とがあります。

併用する理由は、エストロゲンだけの補充だと胸の張りがあるなど不快感が出るからです。ただ、併用することでわずかですが、乳がん発症リスクが生じると言われています。


漢方薬による治療

更年期の三大処方と言われているのは、「当帰芍薬散」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸」の3つです。更年期障害は様々な因子が絡み合って起きるので、どの薬が効くかは、その人によって違います。

漢方薬は西洋医学で処方される鎮痛剤や抗炎症剤のように症状を抑えるというよりは、その人がもつ免疫力や自然治癒量を高めるという働きをします。

ホルモン補充療法(HRT)との併用も可能なので、症状に合わせて医師と相談しながら選んでいくことになります。


抗うつ薬・抗不安薬による治療

更年期と心身症は密接なかかわりがあると言われています。ホルモンの低下による更年期障害に加え、50歳前後は忙しかった子育て期が一段落し、第二の人生と向き合うときでもあるからです。

気分の落ち込み、イライラ、情緒不安定などの精神的な症状が強い場合は、抗うつ薬や抗不安薬、催眠鎮静薬といった向精神薬が用いられることもあります。


その他

更年期障害にプラセンタ注射が有効であると言われています。プラセンタとは胎盤のこと。 胎盤は、おなかの赤ちゃんに栄養素や酸素を運ぶ役割をもち、タンパク質やアミノ酸、核酸、ビタミンなどが豊富に含まれています。

医療用に使われているプラセンタ注射薬のうち、厚生労働省で医薬品として認されているのは、メルスモンとラエンネックという2つの製剤。いずれも日本国内の産婦人科で健康な母親から正常分娩で生まれた胎盤を使用して作られたものです。

更年期障害と診断された45~59歳の女性は、保健適用対象となります。



治療方法② 生活習慣の改善


更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が主な原因ですが、それ以外にも様々な因子が影響を与えています。その原因を緩和する方法の一つが生活習慣の改善。

食事療法や運動療法がこれに当たります。症状を軽くするためには、日常生活の積み重ねが大切だということなんです。

〇食事療法
〇運動療法
〇温活


食事療法

更年期障害に効果のある栄養素は次の通りです。食事療法は薬物療法ではないので即効性はありませんが、日々の積み重ねがカラダを作っていきます。ぜひ参考にしてください。

〇イソフラボン
〇エクオール
〇ビタミン
〇カルシウム
〇コラーゲン
〇オメガ3脂肪酸

〇イソフラボン

更年期障害はエストロゲンの減少が主な原因ですが、残念ながらエストロゲンを増やす食材はないと言われています。

一方、大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと同じような働きをしてくれます。不足しているエストロゲンを、イソフラボンが補ってくれたら心強いですね。大豆製品の1日の摂取目安を挙げておきます。

1日の摂取目安

〇豆腐 300g(1丁)
〇納豆 1パック
〇厚揚げ 1/2個
〇油揚げ 1/2枚
〇おから 100g
〇豆乳 200ml
〇きな粉 6g(大さじ1)

〇エクオール

大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されると、エクオールという成分になります。大豆イソフラボンよりも強く作用するとされ、注目されているんです。

ところが、エクオールを体内で生成できない人がいることが分かりました。エクオールを作る腸内細菌はラクトコッカス20-92という乳酸菌などで、15種類ほど。それらを持っていない人がいるんです。

エクオールを生成してくれる腸内細菌の保有率は、大豆をよく食べる日本や中国などの国では約50%、大豆を食べる習慣がない欧米では約20~30%と言われています。自宅検査キット(採尿)で調べることができます。

エクオールはサプリメントもあります。HRTや漢方薬などと同時に使うことも可能です。

日本の若者は…

昔に比べて大豆製品を食べる量が減り、エクオールを生成する腸内細菌の保有率は約30%に減少しているそうです。

〇エストロゲン

植物性エストロゲンは、更年期症状を緩和すると言われています。大豆・ナッツ・果物・オーツ麦・大麦・マメ科植物などの食べ物に多く含まれています。

〇ビタミン

ビタミンEは副腎と卵巣に特に多く存在しており、 ホルモンの分泌を整える成分。カロテノイドやビタミンCと一緒に摂取しましょう。ビタミンE は活性酸素を除去すると酸化する性質があります。カロテノイドやビタミンC はそれを元に戻してくれる働きがあるんです。

ビタミンEを多く含む食材は、緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、ピーマン、トマト、にんじん、かぼちゃ、アボカドなど)、ナッツ類(アーモンドなど)。脂溶性なので、炒め物などにして油と混ぜることで吸収力が高まります。

更年期の際に起こる骨粗しょう症。骨を強化するために欠かせないのはカルシウムです。カルシウムが小腸で吸収するのを助けるのがビタミンD。さらにカルシウムの血中濃度を一定に保つ働きも。カルシウムと一緒に摂取することが進められています。ビタミンDは食材からの摂取だけでなく、身体が日光に当たることでも作られます。

骨粗しょう症については、こちらの記事に詳しくまとめてありますので、参考にしてください↓↓

骨粗しょう症とは?手遅れにならないために。原因・症状・検査・治療・予防などを分かりやすくまとめました!

カルシウム

更年期にエストロゲンが急激に減少すると骨がどんどん溶けて骨密度が低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。骨の健康維持のためには、カルシウムを摂りましょう。カルシウムはイライラを軽減する働きもあるため、更年期障害の一つである精神的な不調にも効果があります。

カルシウム摂取の必要量は更年期以降の女性で650mg/日といわれています。さらに骨粗しょう症を治療・予防のためには、700~800mg/日の摂取が勧められています。

カルシウムを多く含む食材としては、牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品、海藻類など。先ほども書きましたが、ビタミンDと一緒に摂ることをおすすめします。

コラーゲン

エストロゲンはコラーゲンや水分量を増やす働きがあり、肌の若さを保っています。更年期になるとエストロゲンの減少によってコラーゲンも不足しがちに。その結果、乾燥などの肌トラブルを引き起こしやすくなります。

コラーゲンはアミノ酸から作られるため、その元となるたんぱく質を適量とるとよいでしょう。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、更年期のうつ気分やホットフラッシュなどの症状に効果的。DHAやEPAはサーモンやイワシ・サバなどの青魚に、αリノレン酸はえごま油やアマニ油、ナッツ類に多く含まれます。

避けた方がいいもの

逆に更年期の女性にとって避けたい食べ物があります。それがカフェインやアルコール類。 睡眠の質を下げたり、ホットフラッシュを引き起こす原因になるからです。

また、菓子パンやケーキなどの糖質を多く含む加工食品や精製された砂糖、辛いものも、ホットフラッシュなどの更年期障害の症状を助長すると言われています。


運動療法

適度な運動習慣のある女性は、更年期障害が軽いと言われています。最も効果的だと言われているのは有酸素運動。 1日あたり30~60分 、1週間に3~4回が望ましいとされています。とはいえ、若い頃と違って毎日継続して運動するのはなかなかハードルが高いのではないでしょうか?

更年期に運動をすることの目的は更年期障害の症状を軽減すること。つまり、ストレス解消や睡眠の質を上げるという観点で捉えると、無理をせず、継続できそうな範囲から始めると良いでしょう。

ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガ、サイクリング、ストレッチ、ラジオ体操など、まずは心地よく取り組めそうなものを選びます。運動を続けるうちに習慣化してくるので、少しずつ強度や回数を増やしていけば大丈夫です。

日常生活のなかで運動を意識するだけでも違います。家事をしながら軽く体操やストレッチをする、歩いて買い物に行く、通勤時に階段を使ったり、一駅手前で電車を降りて歩いたりなどの工夫をしてみましょう。


温活

顔がほってったり、のぼせたりするホットフラッシュは更年期障害の一つ。これはカラダの熱が均一ではないことが原因です。

カラダの芯が冷えて血行が悪くなっている状態なので、温めて血流を良くすることで改善が期待できます。ホットフラッシュだからといって薄着になったり冷たい飲み物や食べ物を摂ったりするのは逆効果。

シャワーでなく湯船につかる、足浴をする、湯たんぽで温める、よもぎ蒸しをする、カラダを温める食材を摂る、温かい飲みものを飲むなど温活を意識してみましょう。

「温活」については、こちらの記事に詳しくまとめてありますので、参考にしてください↓↓

体温と健康。冷え症が与える影響とは?温活ってどうすればいいの?



治療方法③ カウンセリング・心理療法


カウンセリングは、婦人科や心療内科で受けることができます。心とカラダは密接につながっており、心が沈み、つらい経験をする方が多いんです。更年期までは考えられなかったような精神状態になることも。

こういう状態のときは、自分一人では解決が難しい場合もあります。同じ悩みを抱えている方は多いです。一人で抱え込まずに、遠慮なく専門家に頼りましょう。




更年期障害の予防のために


これまでお話してきたように、更年期でも更年期障害の症状が軽い人と重い人がいます。ホルモンの減少に加えて、ストレス、生活習慣や性格など、いくつかの因子の違いからくるもの。

更年期に向けて気を付けたいことを挙げておきますので、できることから取り入れてみてください。

①ストレス耐性を上げる
②禁煙
③血流を良くする
④良質な睡眠をとる
⑤栄養バランスの良い食事
⑥運動の習慣をつける
⑦適正体重を維持する
⑧楽しいことをみつける
⑨基礎体温をつける
⑩定期的に婦人科検診を受ける
⑪信頼できるかかりつけ医をみつける

過度のストレスや喫煙は、卵子のもとになる細胞「原子卵胞」の数や質を低下させます。また、卵巣は血流が悪いと働きが悪くなります。

生活習慣を整えることは、自律神経が正常に働くために大切です。




まとめ


  • 更年期とは?
    〇 閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間
    (閉経前後5年の期間)
  • 更年期障害とは?
    女性ホルモンの分泌量が低下することによって起こる、カラダに現れる様々な不調のこと
  • 更年期障害の原因
    ①女性ホルモンの低下
    ②身体的な因子
    ③心理的な因子
    ④社会的な因子
  • 更年期障害の3つの治療方法
    ①薬物療法
    ②生活習慣の改善
    ③カウンセリング・心理療法
  • 治療方法①薬物療法
    〇ホルモン補充療法(HRT)
    〇漢方薬による治療
    〇抗うつ薬・抗不安薬による治療
  • 治療方法② 生活習慣の改善
    〇食事療法
    〇運動療法
    〇温活
  • 治療方法③ カウンセリング・心理療法
  • 更年期障害の予防のために
    ①ストレス耐性を上げる
    ②禁煙
    ③血流を良くする
    ④良質な睡眠をとる
    ⑤栄養バランスの良い食事
    ⑥運動の習慣をつける
    ⑦適正体重を維持する
    ⑧楽しいことをみつける
    ⑨基礎体温をつける
    ⑩定期的に婦人科検診を受ける
    ⑪信頼できるかかりつけ医をみつける



おわりに


誰もが通る更年期。先輩方からカラダにも心にも不調をきたすという話を聞くにつれ、憂鬱になる方もいるのではないでしょうか?

一方で、なんとなくは分かっていても、カラダの中で何が起こっているのか、詳しく理解している方は意外と少ないようです。

更年期障害は人によって症状が様々で、出方にも個人差があります。なぜそのような違いが出るのでしょうか?更年期障害を少しでも緩和するためにはどうしたらいいのでしょうか?心構えとして、あらかじめ知識を知っておくことはとても大切。ぜひ今回の記事を参考にしてくださいね。

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