炊飯器を使って!一日でできる『おからで作る味噌』。麹の特性&発酵のメカニズムを知ることで失敗なく作れます!!

大豆の代わりに、おからでお味噌を作れることをご存知ですか?私は10年以上手作りしているのですが、年に一回の大仕事だったんです。

炊飯器で発酵させる方法を知ってからグッと味噌づくりが身近になったのですが、おからを使うことでさらに時短に!!欲しい分だけを欲しいときに気軽に作れるのでオススメです。

数々の発酵食品を生み出し、日本の発酵文化を支えている麹。その特性を知れば、失敗が減ったり、今回のように応用をきかすこともできます。ぜひ今回の記事を参考にして、麹菌と仲良しになってくださいね。



なぜお味噌が一日で出来ちゃうの?


通常は、数ヶ月から一年間熟成させて完成する味噌。どうやって一日でできるのか、不思議ではありませんか?そのヒミツは炊飯器を使って作ること。麹菌の適温に合わせて発酵を促進するから、早く仕上げることができるんです。

一日でできる『おからで作る味噌』。材料は大おからと豆乳、米麹と塩の4つ。作り方は次の3ステップです。

〇おからと豆乳を混ぜ
〇米麹と塩を加えて
〇発酵させるだけ!!

レシピについては『一日でできる『おからで作る味噌』の作り方。簡単!早い!3ステップでできちゃいます!!』をご覧ください。

大豆で作る味噌は、 ①大豆を一晩水に漬けておき、②それをコトコトやわらかくなるまで煮て、③ブレンダーやフードプロセッサ―を使ってペースト状につぶす…という行程を経て作ります。おからで作ると、3つの工程のかわりにおからと豆乳を混ぜるだけ。グッと時短に!!

通常の味噌作りと異なる点は、短期間で発酵させるために米麹の量が多いこと。そのため、よりマイルドな仕上がりとなります。また、発酵時間が短いので出来上がりはさっぱりとした白味噌です。発酵時間を延長することで、熟成味噌に近づけることができます。


私が味噌を手作りする理由とは?

私が味噌を手作りし始めた理由は次の2点から。

①原材料にこだわることが出来る。
②作る過程が目に見える。

市販の味噌は大量生産のために遺伝子組み換えや農薬などの心配があったので、国産の大豆を買って作りたかったんです。おからは、地元の豆腐屋さんから。安心して使うことができるうえ、とてもおいしいです。

塩についてもこだわることができます。私が選んだのは、食塩ではなくミネラル分の多い塩。水も水道水ではなく、浄水を使っています。もちろん、化学調味料や保存料も無添加。安心していただくことができますね。

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麹ってなに?


味噌や甘酒など、伝統的な発酵食品に使われている麹。その働きなどについて、詳しく見ていきましょう。


麹ってなに?

麹とは、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を繁殖させたもの。米麹は、蒸したお米に麹菌を種付けして作られています。麹菌は「ニホンコウジカビ」という菌(カビの一種)。日本特有のもので、国菌に指定されています。


麹菌の役割って?

発酵食品を作る上で欠かせない麹菌。その働きは以下の通りです。

①酵素を生成する。 
②酵母や乳酸菌に必要な栄養源を供給する。


①酵素を生成する

麹菌は、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼなど30種類以上の酵素を生成します。酵素には食物に含まれる栄養素を分解して、消化・吸収を助ける役割があります。

〇アミラーゼ  
デンプンをブドウ糖に分解する
〇プロテアーゼ 
タンパク質をアミノ酸に分解する

麹菌はなぜ酵素を生成するの?

麹菌は、デンプンやタンパク質をそのままの状態で利用することができません。吸収するためには、いったん分解する必要があります。そのために酵素を体外に分泌するんです。

酵素の特徴とは?

酵素のほとんどはタンパク質でできています。ヒトの体内には、約5,000種類もの酵素があると言われています。

なぜなら、酵素はそれぞれある特定の反応しか触媒することができないからです。デンプンを分解する酵素は、タンパク質や脂質を分解することができません。

②酵母や乳酸菌に必要な栄養源を供給する

麹菌は代謝の過程で、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、イノシトールなどのビタミン類を生成します。また、麹の酵素はオリゴ糖を生み出します。

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麹が作り出す発酵食品とは?


発酵ってなに?

微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。


味噌ができるまで(麹菌、乳酸菌、酵母の働き)

麹菌が作り出す酵素は、大豆のタンパク質や米のデンプンを分解して、ブドウ糖、ペプチド、アミノ酸に変えていきます。

乳酸菌がブドウ糖をエサにどんどん増殖し、乳酸をつくり出します。乳酸によってpHが下がり、酵母にとって生育しやすい環境になります。

酵母がブドウ糖やアミノ酸をアルコールや有機酸に変えながら、ゆっくりと時間をかけて味噌特有の風味を醸していきます。


発酵によって得られるメリットって?

①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。

①消化・吸収がよくなる

麹菌が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。

②うまみが加わる

酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。

③栄養価が加わる

先ほども書きましたが、麹菌は代謝の過程でビタミン類を生成します。また、麹の酵素はオリゴ糖を生み出します。特に豊富に含まれるビタミンB群は、血行と代謝をアップさせてくれます。また、オリゴ糖は腸内細菌である善玉菌のエサとなって繁殖を助けます。

ビタミンB群の効果

〇疲労回復効果 
ビタミンB1
〇成長を促進する効果 
ビタミンB2、ビタミンB6
〇粘膜や皮膚を健康に保つ効果 
ナイアシン
〇エネルギーを生成する効果  
パントテン酸
〇女性の健康を保つ効果 
葉酸
〇血糖値を下げる効果 
ビオチン

④保存性がよくなる

本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。

発酵と腐敗のメカニズムは同じ?!

発酵も腐敗もその仕組みは同じ。与える影響によって呼び方が異なるだけなんです。
〇発酵 微生物が人間に有益な物質をつくりだすこと。
〇腐敗 微生物が人間に有害な物質をつくりだすこと。


腸内環境を整えることで得られる6つの効果・効能

発酵食品は腸内環境を整えてくれます。腸には栄養素の消化吸収機能に加え、免疫機能があります。「腸活」が流行っている理由として、次の6つの効果・効能が期待できます。

①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和

①便秘解消

発酵菌は腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増えにくい環境に整えます。また、腸のぜん動運動を促し、排便回数や排便量などを改善します。

②肌荒れ&ニキビ改善

肌荒れやニキビは、悪玉菌が産生する有害物質が原因。発酵菌は悪玉菌を減らし、腸の内容物が腐敗するのを防ぎます。

③免疫力の向上

発酵菌は、免疫細胞の一種である「NK細胞」や「マクロファージ」を活性化させます。免疫力が上がると、風邪やインフルエンザ、発がんリスクの低減などが期待されます。

④アレルギー改善

アレルギー症状は、液性免疫(Th2)が暴走すると起こります。Th2は悪玉菌が増えると優位になるため、発酵菌で腸内環境を整えることが大切です。

⑤ダイエット効果

悪玉菌が増えると、腐敗物が血液に溶け出して血行を悪化させ、消化吸収の機能を妨げます。腸内環境を整え、基礎代謝を上げます。

⑥ストレス緩和

幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の約90%が腸に存在しています。セロトニンが増えると、精神状態が安定します。逆に不足すると、慢性的ストレスや疲労、意欲低下、うつ症状、不安感やイライラ感の原因となります。

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麹と温度との関係について


麹菌が活性化したり、死滅したりする温度があります。麹菌が生成する酵素にも、作用するのに最適な温度があります。麹を使って発酵食品を作っていると、よくいただく質問が温度に関するもの。その疑問にお答えしますね。


麹菌の適温は?

味噌を作るときは50~60度を保って発酵させますが、これは発酵を促進するために最適な温度が60度前後だからです。一方、麹菌の増殖に適した温度は25~30度。繁殖が止まるのは45度、そして50度前後で死滅します。なんだか矛盾を感じませんか?

50~60度では麹菌そのものは生きていくことができません。発酵とは、麹菌が発酵の過程で作り出す酵素の働きを利用したものなんです。

いわゆる『死菌』にも役割があります!!

「生きた菌を腸に届けたい」と考える方が多いのですが、麹菌を口から摂取した場合、胃酸で溶けると言われています。

そもそも発酵食品が体に良いのは「発酵の過程で有益な成分が生成されていたり、消化しにくい物質が消化されやすくなるから」。生きた菌が腸に届かなくても、ちゃんと効果・効能を得ています。

しかも死菌は、腸に棲みついている乳酸菌のエサになり、腸内環境のバランスを善玉菌優位にします。さらに免疫を高める効果も。死菌にもちゃんと役割がありますので、さほど気にする必要はありません。


酵素の適温は?

麹菌が作り出す酵素。多くの酵素は60~70度で失活します。活動が止まるとデンプンを分解してくれなくなるので糖ができず、甘くなりません。逆に50度以下でも、酵素の働きは鈍くなってしまいます。

酵素が活発に活動する温度は50~60度。つまり温度が高すぎても低すぎても、NGだということ。「じょうずに発酵してくれなかった…」という方は、この温度調整に失敗したからなんです。

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まとめ


  • なぜ一日でお味噌ができるの?
    炊飯器を使って作るから。麹菌の適温に合わせて発酵を促進するため、早く仕上げることができる。
  • 一日で出来る『おからで作る味噌』の作り方って?
    〇材料はおからと豆乳、米麹と塩の4つ。
    〇手順は次の3ステップ。
    ①おからと豆乳を混ぜて
    ②米麹と塩を混ぜて加え
    ③発酵させるだけ!!
  • 麹とは?
    米、麦、大豆などの穀物に麹菌を繁殖させたもの。
  • 麹の役割って?
    酵素を生成する。 
    ②酵母や乳酸菌に必要な栄養源を供給する。
  • 発酵ってなに?
    微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
  • 発酵によって得られるメリットって?
    ①消化・吸収がよくなる。
    ②うまみが加わる。
    ③栄養価が加わる。
    ④保存性がよくなる。
  • 腸内環境を整えることで得られる効果・効能
    ①便秘解消
    ②肌荒れ&ニキビ改善
    ③免疫力の向上
    ④アレルギー改善
    ⑤ダイエット効果
    ⑥ストレス緩和
  • 麹と温度との関係について
    〇麹菌が生成する酵素が活発に活動する温度は50~60度。じょうずに発酵を進めるには、この温度を保つことが必要。
    〇一定の温度で麹菌は死滅する。死菌にも役割があるため、発酵食品を加熱することについて、さほど気にする必要はない。



おわりに


おからでお味噌が作れるということをご存知でしたか?通常だと、①大豆を一晩水に漬けておき、②それをコトコトやわらかくなるまで煮て、③ブレンダーやフードプロセッサ―を使ってペースト状につぶす…という行程を経て作ります。おからで作ると、3つの工程のかわりにおからと豆乳を混ぜるだけ。グッと時短ができるんです。

しかも、炊飯器を使って発酵させるので、24時間~36時間ほどで発酵完了。驚くほどあっという間に完成します。私は10年以上自家製味噌を作っています。以前は1年に一度、寒い季節にまとめて作っていました。ところが、一年分をまかなうだけの量を一度に作ることが出来ず…市販の味噌と半々で食べていたんです。

これらの方法にたどり着いてからは、欲しいときに欲しい分だけ作ることが出来るので、一気に悩み解決!!保存しておくスペースも取らないし、カビに悩まされることもありません。熟成具合も、保温時間によって調整することができます。

まろやかでさっぱりした白味噌が好みであれば、発酵時間を短めに。深みのある熟成された味噌が良ければ、味見をしながら保温時間を延長します。

手作りの味噌は、塩の量も調整することができるので、最初は分量の通りに作ってみて、次回から自分好みの味を探してみるのも楽しいです。

使うおから、豆乳、米麹、水や塩にこだわることができるのも手作りならでは。材料や作る過程が目に見えるので安心していただくことができますね。ぜひ手前味噌を作ってみてくださいね!!

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