睡眠③寝不足は太る?!睡眠とダイエットとの関係とは?
ダイエットと聞いて、まず思い浮かぶのは食事制限や運動だと思いますが、最近注目されているのが睡眠です。何をしてもなかなか痩せない…と悩んでいる方は、ぜひ睡眠を見直してみましょう。
夜更かしをしたり、寝ても疲れがとれていなかったりということはありませんか?「寝不足だと太りやすい」と言われるのはなぜでしょうか?睡眠とダイエットについてまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
- 1.睡眠とダイエットとの関係とは?
- 2.〇睡眠と成長ホルモン
- 3.〇睡眠とコルチゾール
- 4.〇睡眠とグレリン&レプチン
- 5.睡眠不足と腸内環境
- 6.質の良い睡眠をとるには?
- 7.まとめ
- 8.おわりに
睡眠とダイエットとの関係とは?
睡眠不足と肥満率
ダイエットと聞いて、まず思い浮かぶのが運動や食事療法ではないでしょうか。実は、睡眠もダイエットと深い関係があります。運動や食事に気をつけていても、なかなか痩せないんです…という方は、実は睡眠に問題があるのかもしれません。
アメリカのコロンビア大学が2005年に発表した研究では、睡眠時間が4時間以下の人は、7時間の人と比べて肥満率が73%も高いという結果が出ています。ちなみに睡眠時間が5時間の人でも、7時間の人と比べると肥満率は50%でした。つまり、睡眠時間が不足していると太りやすいということなんです。
大きく関係している4つのホルモン
なぜ睡眠不足だと肥満率が上がるのでしょうか?その理由は次に挙げる4つのホルモンが大きく関係しています。順番に見ていきましょう。
〇成長ホルモン
〇コルチゾール
〇グレリン
〇レプチン
〇睡眠と成長ホルモン
質の良い睡眠をとることで分泌される成長ホルモンは、ダイエットにとって必要不可欠。その理由は成長ホルモンに次の2つの働きがあるからです。
①基礎代謝を上げる
②中性脂肪を分解する
①基礎代謝を上げる
使いきれずに余ったカロリーは、身体に体脂肪として蓄えられます。痩せるためには「消費カロリー>摂取カロリー」の状態にしなければなりません。
1日のエネルギー消費量は、食事誘発性熱代謝量が約10%、活動代謝量が約30%、基礎代謝量が約60%。 消費カロリーの6割以上を基礎代謝が占めています。
基礎代謝とは、生命を維持していくために必要な最低限のエネルギーのこと。呼吸をしたり、血液を循環させたり、体温を一定に保ったり、内臓を動かしたりするために使われ、何もせず横になっていても消費されます。寝ている間に消費されるカロリーは約300kcalで、 約40分間のランニングに相当します。
成長ホルモンは睡眠中に分泌されますが、寝不足になると分泌量が減って新陳代謝がうまくいかず、基礎代謝が低下してしまいます。睡眠が足りていないと、消費カロリーは約100 kcalにまで下がると言われているのです。
②中性脂肪を分解する働き
私たちが摂りこんだ食べものは、生命を維持するためのエネルギーになりますが、消費しきれないと脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられます。成長ホルモンには、脂肪燃焼を促進する働きがあります。
成長ホルモンは中性脂肪を遊離脂肪酸に分解します。遊離脂肪酸は、運動をすると全身の筋肉で分解されてエネルギーとして使われるのです。
成長ホルモンの分泌を促進するには?
より多くの成長ホルモンを分泌するにはどうしたらいいのでしょうか?一日に分泌される成長ホルモンの7~8割が、深い睡眠時に出ます。
深い眠りは入眠後3時間。特に入眠後3~60分で訪れる最初のノンレム睡眠時に最も多く分泌されると言われています。眠りについて3時間以内に起きてしまうと、成長ホルモンの分泌は止まってしまうため、注意が必要です。
ついやりがちなのは、寝る前にトイレを済ませなかったために夜中に起きてしまう、ソファーなどでうたた寝をしてしまって途中でベッドに移動する、電気がつけっ放しだったことに気付いて消すために起きる…など。このようなことがないように、眠り始めの3時間にしっかり寝れる配慮をしましょう。
〇睡眠とコルチゾール
コルチゾールは、別名ストレスホルモンと呼ばれています。コルチゾールが増えると基礎代謝が低下するため、ダイエットの際には注意が必要。
コルチゾールの分泌は、睡眠時に抑制されます。増えすぎを抑えるためには、しっかりと睡眠をとることが大切なのです。
〇睡眠とグレリン&レプチン
食欲を調整するホルモン『グレリンとレプチン』
成長ホルモンやコルチゾールと並んでダイエットに大きく影響を与えるのが、食欲を調整するグレリンとレプチン。グレリンは食欲を高めるホルモン、レプチンは食欲を抑えるホルモンです。
〇グレリン
食欲を高めるホルモン
〇レプチン
食欲を抑えるホルモン
これらのホルモンも、睡眠と深い関係があります。睡眠が不足するとホルモンバランスが崩れ、グレリンの分泌が増えてレプチンの分泌が抑制されます。つまり、睡眠不足になると食欲が増してしまうのです。
2004年に米スタンフォード大学が行った調査では、8時間睡眠の人に比べて5時間睡眠の人は、グレリンの量が約15%多く、レプチンの量が約15%低いという実験結果が出ました。
睡眠時間が短いということは、起きている時間が長いということ。活動に必要なエネルギーを確保するために、グレリンを増やして食欲を高めようとします。
寝不足だと、通常よりも食欲が25%も増進するというデータがあります。しかも、高カロリーで高脂質のものが食べたくなるのです。睡眠が足りていないと脳がジャンクフードを求めるという研究結果も出ているので、注意が必要です。
睡眠不足と腸内環境
ダイエットと腸内環境との関係とは?
最近流行っている腸活は、ダイエットにも有効だと言われています。ダイエット効果を得るために、なぜ腸内環境を整える必要があるのでしょうか?その答えは
①便秘をすると、食べ物のカスが皮下脂肪として蓄えられてしまうから
②胃腸が弱ると、基礎代謝が低下してしまうから
③腸内環境が乱れると、必要な栄養を吸収できないから
④腸内環境が悪化すると、自律神経が乱れるから
⑤腸内環境が整うとストレスが緩和されるから
① 便秘をすると、 食べ物のカスが皮下脂肪として蓄えられてしまうから
便が排出されずに腸内に留まっていると、吸収されなかった脂肪分や糖分が水分と一緒に体内へ再吸収されてしまいます。それが皮下脂肪として蓄えられてしまうんです。
② 胃腸が弱ると 基礎代謝が低下してしまうから
胃腸の働きが鈍くなったり腸内フローラが乱れたりすると、基礎代謝が落ちてしまいます。摂取したカロリーを消化することができないので、肥満につながります。
③腸内環境が乱れると、必要な栄養を吸収できないから
悪玉菌が増加することによって腸内環境のバランスがくずれてしまうと、ダイエットに効果的な栄養素をうまく吸収できなくなってしまいます。
④ 腸内環境が悪化すると、自律神経が乱れるから
自律神経は、体の器官の働きを調節する重要な神経。交感神経と副交感神経が交互に活発化することでバランスを保っています。そのバランスが乱れて交感神経が強く作用し続けると、代謝が落ちてしまいます。 自律神経と腸は密接な関係にあると言われています。自律神経を整えるには、腸をきれいにしておかなければなりません。
⑤腸内環境が整うとストレスが緩和されるから
ダイエットとストレスとの関係は、多くの人が知るところですね。ストレスがたまるほどドカ食いに走ったり、甘いものが欲しくなったり。
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の約90%が腸に存在しています。セロトニンが増えると、精神状態が安定します。逆に不足すると、慢性的ストレスや疲労、意欲低下、うつ症状、不安感やイライラ感の原因となるんです。
寝不足は腸内環境を悪化させる?
寝不足だと腸内環境が悪化すると言われていますが、その理由は次の通りです。
①自律神経が乱れるから
②短鎖脂肪酸が低下するから
①自律神経が乱れるから
腸のぜん動運動をコントロールしているのは自律神経です。ぜん動運動がうまく働かないと便秘になり、悪玉菌が増えて滞留物が腐敗し、有毒ガスを発生させて腸内環境が悪化します。寝不足が続くと体内時計が狂うため、自律神経も乱れてしまうのです。
ぜん動運動とは?
筋肉の収縮によって腸内の内容物を肛門の方へ押し出していく運動のこと
②短鎖脂肪酸が低下するから
また、睡眠不足が腸内細菌叢の破綻や短鎖脂肪酸の低下に関係していることが、最近の研究で明らかにされました。
短鎖脂肪酸とは?
腸内細菌が食物繊維などをエサにして生み出す成分。脂肪の蓄積を防ぎ、代謝を上げる働きがあります。
質の良い睡眠をとるには?
最適な睡眠時間とは?
ダイエットに大きな影響を与える睡眠。現代人の大きな課題の一つとして、寝不足が挙げられています。睡眠の質を高めるには、どうしたらいいのでしょうか?
実は、最適な睡眠時間は人それぞれ。 年齢や性差、一人ひとりの体質、季節などによって違ってきます。「〇〇時間寝るのが正解」という決まりはなく、寝過ぎも逆効果の場合があります。
睡眠が足りているかどうかは、日中に眠気で困っていないか?疲れを感じていないか?の2点で判断するといいでしょう。
ちなみに、一般的に言われている理想的な睡眠時間は以下の通り。高齢者は逆に8時間を超えないように注意が必要だそうです。
〇成人 6~7時間
〇小学生 9~12時間
〇中高校生 8~10時間
自分の睡眠時間が足りているかどうかの調べ方など、詳しくは『睡眠①平均&理想の睡眠は何時間?短すぎても長すぎても健康を害してしまうんです!!』にまとめましたので、参考にしてください。
睡眠の質を上げるために改善するべきNG行動5選
睡眠の質を下げる行動には、次の5点が挙げられます。誰もが心当たりがあることばかりではないでしょうか?一気に変えることは難しくても、少しずつ改善していけたらいいですね。
〇入眠前にスマートフォンをみる
〇入眠前にカフェインを摂取する
〇入眠前にアルコールを飲む
〇入眠前にタバコを吸う
〇入眠前に食事をする
睡眠の質を上げる方法11選
『睡眠の質を下げる行動5選』に留意するほか、睡眠の質を上げるための生活習慣をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
〇毎日同じ時間に起きる
〇起床後に太陽の光を浴びる
〇朝食をとる
〇日中活動的に過ごす
〇適度な運動をする
〇昼寝は早めの時間で30分以内に
〇夕方以降の昼寝を避ける
〇就寝の1~2時間前にお風呂に入る
〇寝室を適温にする
〇寝室を暗くする
〇寝具や寝間着にこだわる
睡眠にはメカニズムがあります。睡眠のメカニズムを知ることで、避けるべきこと、取り組むべきポイントが分かります。 詳しくは『睡眠②健康、美容、ダイエットに効果的!!睡眠の質を上げる方法11選&改善するべきNG行動5選』を参考にしてください。
まとめ
■ 睡睡眠不足だと太る?
睡眠時間が4時間以下の人は、7時間の人と比べて肥満率が73%も高い
■ 大きく関係している4つのホルモン
〇成長ホルモン
〇コレチゾール
〇グレリン
〇レプチン
■ダイエットに有効な成長ホルモンの2つの働き
①基礎代謝を上げる
②中性脂肪を分解する
■成長ホルモンが最も多く分泌されるのは?
〇入眠後3~60分で訪れる最初のノンレム睡眠時
〇 3時間以内に起きてしまうと分泌が止まる
■コルチゾールについて
〇コルチゾールが増えると基礎代謝が低下する
〇睡眠時に分泌が抑制される
■ 食欲を調整するホルモン『グレリンとレプチン』とは?
〇睡眠が不足すると、食欲を高めるグレリンの分泌が増えて食欲を抑えるレプチンの分泌が抑制される
■腸内環境とダイエットとの関係とは?
①便秘をすると、食べ物のカスが皮下脂肪として蓄えられてしまうから
②胃腸が弱ると、基礎代謝が低下してしまうから
③腸内環境が乱れると、必要な栄養を吸収できないから
④腸内環境が悪化すると、自律神経が乱れるから
⑤腸内環境が整うとストレスが緩和されるから
■寝不足で腸内環境が乱れる2つの理由
①自律神経が乱れるから
②短鎖脂肪酸が低下するから
■ 睡眠の質を上げるために改善するべきNG行動5選
〇入眠前にスマートフォンをみる
〇入眠前にカフェインを摂取する
〇入眠前にアルコールを飲む
〇入眠前にタバコを吸う
〇入眠前に食事をする
■ 睡眠の質を上げる方法11選
〇毎日同じ時間に起きる
〇起床後に太陽の光を浴びる
〇朝食をとる
〇日中活動的に過ごす
〇適度な運動をする
〇昼寝は早めの時間で30分以内に
〇夕方以降の昼寝を避ける
〇就寝の1~2時間前にお風呂に入る
〇寝室を適温にする
〇寝室を暗くする
〇寝具や寝間着にこだわる
おわりに
私たちにとって必要不可欠な睡眠。知っているようで知らないことも多いのではないでしょうか?良質な睡眠は健康維持に留まらず、ダイエットにとっても欠かせません。今回はダイエットとの関係についてまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。
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