砂糖不使用!!サツマイモを使った『発酵あんこ』。酸っぱいのはなぜ?どうしたらいいの?理由と対処方法をご紹介します!!
発酵サツマイモあんこは、ふかしたサツマイモに米麹を加えて発酵させたもの。あずきで作る発酵あんこがメディアで紹介され、カラダに良い作用をもたらすとして注目を浴びました。
腸活という言葉が聞かれるようになり、発酵食品の効果が期待されています。さらに砂糖がカラダに与える影響も知られるようになり、健康への関心が高まるとともに、「ノンシュガーの発酵あんこが人気になるわ…」という声が聞かれるように。
そんな発酵サツマイモあんこ。本来は甘くておいしいのですが、酸っぱくなってしまうことがあります。せっかく作ったのに、残念ですよね。今回は、その理由と対処方法を発酵のメカニズムから紐解いていきましょう。
この記事の目次
『発酵サツマイモあんこ』ってなに?
『発酵サツマイモあんこ』ってなに?
発酵サツマイモあんこは、ふかしたサツマイモに米麹を加えて発酵させたノンシュガーのあんこ。材料はサツマイモと米麹と水の3つ。作り方も次の3ステップ。とてもシンプルなんです。
〇サツマイモをふかして
〇米麹と水を加えて
〇発酵させるだけ!!
市販のあんこはお砂糖たっぷり。それに比べて砂糖不使用なのは嬉しいですね。発酵食品を手作りすると聞くとハードルが高そうですが、ポイントをおさえれば簡単にできますよ。
詳しい作り方については「砂糖不使用!!サツマイモを使った『発酵あんこ』の作り方。早い&簡単&らくちん♪洗いものは必要最低限!!炊飯器だけでできるんです」をご覧ください。
炊飯器を使ったレシピをご紹介しているので、参考にしてくださいね。
砂糖不使用の『発酵サツマイモあんこ』が甘くなるメカニズムって?
『発酵サツマイモあんこ』が砂糖不使用なのに甘いのは、麹菌がサツマイモに含まれるでんぷんを分解して糖にするから。甘酒と同じメカニズムです。
『発酵』とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
『発酵サツマイモあんこ』の効果・効能って?
発酵サツマイモあんこの効果・効能には、主に次の11個が挙げられます。こんなにたくさんの「カラダに良いコト」があるなんて、嬉しくなりますね。
これらは、材料であるサツマイモに含まれる栄養素と、発酵のチカラから得られるものです。
①美肌効果
②整腸作用
③デトックス作用
④脳のエネルギー源を作る
⑤むくみ解消
⑥抗酸化作用
⑦血糖値の上昇をコントロールする
⑧生活習慣病の予防
⑨便秘改善
⑩免疫力の向上
⑪ストレス緩和
発酵のメカニズムって?
発酵サツマイモあんこが酸っぱくなった理由を理解するためには、発酵のメカニズムを知ることが必要です。簡単に説明しますね。
発酵ってなに?
発酵とは、微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
発酵によって得られるメリットって?
①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。
砂糖不使用の『発酵サツマイモあんこ』が甘くなるメカニズムとは?
『発酵サツマイモあんこ』が砂糖不使用なのに甘いのは、米麹に含まれる麹菌が栗に含まれるでんぷんを分解して糖にするから。甘酒と同じメカニズムです。
発酵には種類があります
発酵を促す微生物は大きく分けると次の3つです。
①カビ
②酵母
③細菌
①カビ
「カビ」は微生物群の一種で、菌類の姿を示す俗称。専門的には「真菌」や「菌類」と呼ばれており、数万種以上が生息しているといわれています。糸状の細胞を伸ばして広がり、胞子を飛ばして拡散します。
カビは、カラダに良いものと悪いものがあります。発酵サツマイモあんこで使っている麹菌もカビの一種なんです。
代表的なカラダに有益なカビって?
〇コウジカビ
味噌や醤油、甘酒などをつくる。
〇アオカビ
チーズなどをつくる。抗生物質である「ペニシリン」の材料になる。
②酵母
酵母は、植物や樹液、野菜や果物の表面、空気中など、自然界のあらゆるものに生息している微生物。食べ物に含まれる糖をアルコールと炭酸ガスに分解する働きをもっています。
③細菌
細菌は単細胞の微生物で、カビ菌、酵母と比べて最も小さな微生物。細胞分裂を繰り返して増えます。発酵に関わる代表的な細菌には、つぎのものが挙げられます。
〇乳酸菌
糖類を分解して乳酸を主に生成します。
〇酢酸菌
アルコールを酢酸に変えます。
〇納豆菌
増殖するときに大豆のたんぱく質を分解し、吸収しやすくします。その過程でビタミンやナットウキナーゼなどの酵素を作り出し、栄養価を高めます。
温度と深いつながりがある微生物たち
発酵食品を作っていると、微生物たちの働きは環境の影響をたくさん受けていることに気がつきます。その中でも特に重要なのが温度。温度管理によって、じょうずに仕上がるかどうかが決まります。
なぜなら、微生物たちには「適温」があるから。それぞれに、活発に働く温度、活動を休止する温度、死滅してしまう温度があるんです。発酵栗あんこが酸っぱくなってしまった原因に大きく関わっています。
なぜ『発酵サツマイモあんこ』は酸っぱくなってしまったの?
発酵サツマイモあんこは、なぜ酸っぱくなってしまったのでしょうか?「腐ったのかな?」と思いましたが、乳酸菌のしわざだったんです。詳しくみていきましょう。
乳酸菌の特徴って?
乳酸菌は、糖を分解して乳酸を生成します。酸味が生じるのが特徴です。乳酸発酵と言えば、ヨーグルト。酸っぱい食品ですね。
発酵サツマイモあんこが酸っぱくなった理由って?
発酵サツマイモあんこの材料は、サツマイモと米麹。発酵に関わっているのは、麹菌ですよね。それなのに「なぜ乳酸菌?」と思いませんか?実は発酵サツマイモあんこには、微量ながら乳酸菌が含まれています。
私は、出来あがった発酵サツマイモあんこを冷蔵保存しています。常温保存だと、過発酵になって風味が落ちてしまうのと、カビが発生する可能性が高いからです。
乳酸菌は麹菌に比べて低温に強いため、冷蔵庫のなかで長期間保管していると優位に働いてしまうんです。
つまり、低い温度で休んでいる麹菌にかわって乳酸菌が働いて発酵を進め、結果として酸味が増す…ということなんですね。
発酵のメカニズムでお話しした「微生物と温度との関係」が大きく影響しています。
乳酸菌にもたくさんの種類があります
乳酸菌の名称は、「属・種・株」の順に表記されており、その特徴ごとに26属、381種、50亜種に分けられています。その種類は多種多様で、正式に認められている種類は250種以上。 それ以外にも数千種類あるといわれ、その性質や形はさまざまです。
『発酵サツマイモあんこ』を酸っぱくさせないためには?
乳酸菌の働きをストップさせる
一般的に、乳酸菌が活発に増える至適温度は20~45℃と言われています。乳酸菌の種類は多種多様で、かなり広い温度帯で生育が可能です。
種類によって生育する温度が違います!!
〇高温性乳酸菌
約45℃で生育する
〇中温性乳酸菌
約25 ~ 37℃で生育する
〇低温性乳酸菌
10℃以下でも生育する。
ちなみに麴菌は、一番繁殖しやすい温度帯は30~35℃。これより低いと、酵素の働きが鈍くなり、繁殖は進みません。
冷凍保存しましょう!!
発酵サツマイモあんこを酸っぱくさせないための解決策。それはズバリ、冷凍庫で保存すること!!
発酵サツマイモあんこを長めに保存する場合は、冷凍庫に入れましょう。私はチャック付きの保存用袋に入れて冷凍しています。
うすめに広げて入れておくと、欲しい分だけパキパキ折って使うことができるので、オススメです!!食べるときは自然解凍がベスト。
冷蔵庫の各部屋の温度って?
〇冷蔵室 約0℃~6℃
〇野菜室 約3℃~9℃
〇冷凍室 約-22℃~-16℃
〇瞬冷凍室 約-18℃~-5℃
※各メーカーによって若干の差がありますので、お手元の取扱説明書でご確認ください。
写真はあずきで作った発酵あんこです。
まとめ
- 『発酵サツマイモあんこ』ってなに?
ふかしたサツマイモに米麹を加えて発酵させたノンシュガーのあんこ。サツマイモのデンプンを麹菌が分解してブドウ糖に変えることで甘くなる。 - なぜ『発酵サツマイモあんこ』は酸っぱくなってしまったの?
発酵サツマイモあんこに微量ながら含まれている乳酸菌は、麹菌に比べて低温に強いため、冷蔵庫のなかで長期間保管している間に優位に働いてしまったから。 - 『発酵サツマイモあんこ』を酸っぱくさせないためには?
長期保存になるならば、冷凍庫で保存する。
おわりに
わが家の畑で、サツマイモがたくさん獲れました。甘みがあってホクホクしたサツマイモを食べていた時に、「これで発酵あんこを作ったらおいしそう!!」と閃いたんです。
いつも作っている発酵あんこ。サツマイモバージョンは、大正解でした!!あずきよりもクセがなくて食べやすいうえ、甘さも十分。とてもおいしいんです。
サツマイモは、もともととても栄養価の高い食品。それをさらに発酵させることで得られるメリットは大きいです!!栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめ。
そんな発酵サツマイモあんこ。せっかく作ったのに、時間が経つにつれて酸っぱくなってしまった…ということがありました。今回はそんな私の経験をふまえて、その理由と対処方法についてお伝えしましたがいかがでしたか?
「発酵生活はハードルが高いわ…」と思われがちですが、ポイントさえおさえれば誰でも作ることができます。ぜひ今回の記事を参考にして、チャレンジしてください!!
この記事へのコメントはありません。