経皮吸収とは?知っておきたい「経皮毒」。経皮吸収率やメカニズム、日用品の選び方、気をつけたい合成化学物質もお伝えします!!
「経皮吸収」という言葉を聞いたことがありますか?最近は「食」に対する意識が高まり、添加物や保存料などを気にする方が増えました。
経皮吸収とは、皮膚から物質を取り込むこと。有害物資が口から入る「経口吸収」は8%、皮膚から入る「経皮吸収」は7%。実はさほど変わりません。
ところが、口から摂るものに比べると気にする方はまだまだ少なくて、無防備なことが多いんです。 知らないうちにカラダに有害物質が入っているとしたら?
今回は「経皮吸収」について詳しく見ていくので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
- 1.経皮吸収とは?
- 2.経皮毒って?
- 3.経皮毒についてもっと詳しく!!
- 4.経皮毒がおよぼす悪影響って?
- 5.有害な成分とは?
- 6.まとめ
- 7.おわりに
経皮吸収とは?
私たちは、次の3つの方法で物質を体内に取り入れています。
①経口吸収
口から食べ物を取り入れる
②経気道吸収
呼吸により取り入れられる
③経皮吸収
皮膚から吸収される
経皮吸収とは?
物質が皮膚を通して体内に吸収されること。皮膚から吸収されたものは、角質層(表皮)から真皮へと浸透していきます。経皮吸収には次の2つの経路があります。
①経附属器官経路
②経角層経路
「① 経附属器官経路」はさらに、次の2通りがあります。
〇毛穴(毛嚢)から吸収
〇汗腺から吸収
「② 経角層経路」にも、次の2通りがあります。
〇細胞間経路(細胞と細胞の間を通って吸収)
〇細胞内経路(細胞内を通過して吸収)
カラダの部位によって違う吸収率
経皮吸収率は、カラダの部位によって異なります。腕の吸収率を1とした場合の数値は次の通り。デリケートゾーンの吸収率の高さが際立っていることが分かります。
足の裏 0.14
手の掌 0.83
背中 1.7
頭部 3.5
脇の下 3.7
おでこ 6.0
頬 13.0
男性の陰嚢 42.0
女性の陰部 50.0
温度による経皮吸収量
経皮からの吸収量は、温度によっても変わります。皮膚温度が10度から37度に上がると、吸収量は10倍になると言われています。
経皮毒って?
経皮毒とは?
経皮毒とは、皮膚からの経皮吸収によって有害な化学物質を体内に取り入れてしまうこと。
有害化学物質が体内に侵入するルート
口から入る「経口吸収」が8%
皮膚から入る「経皮吸収」が7%
有害な化学物質が吸収されてしまう理由って?
人間の皮膚は、外側から「表皮、真皮、皮下組織」の3つの層でできています。表皮の一番外側には角質層があり、皮脂膜で覆われています。
角質層や皮脂膜にはバリア機能があって、 有害化学物質やウイルス、細菌などが侵入するのを防ぎます。それなのになぜ、有害な化学物質は吸収されてしまうのでしょうか?答えは2つあります。順番にみてみましょう。
①有害な化学物質のなかに、皮脂膜を溶かしてしまうものがあるから
②有害な化学物質のなかに、分子量が小さいものがあるから
①有害な化学物質のなかに、皮脂膜を溶かしてしまうものがあるから
石油などを原料にして作られた化学物質のなかには、皮脂膜を溶かしてしまうものがあります。皮膚のバリア機能が働かなくなり、体内に入り込んでしまうのです。
② 有害な化学物質のなかに、分子量が小さいものがあるから
皮膚の角質層は、分子量が大きいものはブロックできるのですが、小さいものは通してしまうんです。分子量が200以下の有害物質だと、血管のなかにまで浸透してしまうことも。
ちなみに自然界に存在するものは分子量が大きいため、角質層を通過できないと言われています。
皮膚の場所によってブロックできる物質の大きさ
〇表皮
分子量3000以上の物質をブロック
〇真皮
分子量800以上の物質をブロック
〇血管
分子量300以上の物質をブロック
経皮吸収する経路によって通過できる物質の大きさ
〇経附属器官経路(毛穴や汗腺からの吸収)
分子量1000以下を通過
〇細胞間経路(細胞と細胞の間を通って吸収)
分子量500以下を通過
〇細胞内経路(細胞内を通過して吸収)
分子量500以下を通過
経皮毒についてもっと詳しく!!
カラダのどこに溜まるの?
化学物質の多くは脂溶性。油に溶けやすい性質があります。脂肪の多い組織に多く溜まるため、以下の部位に蓄積しやすいんです。
〇皮下脂肪
〇内臓脂肪
〇脳
〇精巣・卵巣・乳房
経皮吸収された化学物質は、皮下脂肪に蓄積されるか血液などでカラダ全体に運ばれます。皮下脂肪や内臓脂肪だけでなく、60%が油脂でできている脳や子宮、前立腺に溜まりやすいというのが特徴です。
排出されにくい経皮毒
口から吸収されたものは90%が排毒されますが、皮膚から吸収されたものは 10日経っても 10%しか排出されません。
経口吸収された化学物質は、消化・分解する器官を経て排出されます。一方、経皮吸収された化学物質は 消化・分解する器官を通らないため、そのまま体内に蓄積します。
経口吸収された成分は肝臓で分解されて腸へ排泄されるか、腎臓を通って90%が排泄されます。
各国の規制はどうなっているの?
合成化学物質のうち、危険であると認められている種類は各国によって開きがあります。比べてみると、日本は諸外国よりも小さい数字であると言えるでしょう。
〇日本 約100種類
〇アメリカ 約800種類
〇EU 約4000種類
子どもにも影響が?
経皮毒は、子宮に蓄積されやすいと言われています。妊娠期間中に母親の羊水や胎盤から胎児に移行していくと言われています。
専門家の中には、最近の子どもたちのアレルギーや免疫力の低下などへの影響を示唆する声もあります。
経皮毒が及ぼす悪影響って?
経皮毒が関わっているとされる症状には、どういったものがあるのでしょうか?主な症状を挙げます。
①皮膚トラブル
②アレルギー症状
③婦人科系の病気
④脳の病気
⑤ホルモンへの影響
③皮膚トラブル
経皮吸収は肌から化学物質を吸収するので、まず皮膚トラブルとして症状が出ることが多いです。肌荒れ、湿疹、頭皮のかゆみ、薄毛などが当てはまります。
②アレルギー症状
経皮吸収によって取り込まれた毒性に対して、体内の抗体物質が過剰に反応することが原因です。アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそくなどが挙げられます。
③婦人科系の病気
経皮毒の吸収率が高いデリケートゾーン。膣から入った化学物質は、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮がん、乳がん、不妊症など婦人科系の病気に関与していると言われています。
男性でいえば、精子の減少との関係が問題視されています。
④脳の病気
脂肪の塊である脳も、脂溶性の化学物質が溜まりやすい場所なんです。症状としては、認知症やアルツハイマーなどが考えられます。
子どもたちに見られる落ち着きのなさや、キレやすさなどとも関係があるのではないかと言われています。
⑤ホルモンへの影響
環境ホルモンは、別名「内分泌撹乱ホルモン」とも呼ばれています。合成化学物質などに含まれていますが、体内のホルモンと似た働きをするため、環境ホルモンと名づけられました。
経皮吸収によって侵入し、内部の正常なホルモンである「内分泌ホルモン」を混乱させ、不妊や知能の発達、行動、免疫、肥満など、様々な不調を引き起こすんです。
有害な成分とは?
気をつけるべき化学物質は?
危険だと言われている成分を挙げました。一度に体内に吸収される量が少なかったとしても、日々の積み重ねでカラダに蓄積していきます。
特に皮膚から取り入れられた成分の排出量は少ないので、気づくと溜まっていた…ということになりかねません。お使いの日用品の中にこれらの物質が含まれているかどうか、チェックしてみてください。
〇合成界面活性剤
・ノニルフェノール
・ラウリル硫酸ナトリウムなど
〇乳化剤
・ポリエチレングリコール
・プロピレングリコール
・ジエタノールアミン
・トリエタノールアミンなど
〇酸化防止剤
・ブチルヒドロキシアニソールなど
〇保存料
・パラベンなど
〇着色料
・タール色素
〇紫外線吸収剤
・オキシベンゾンなど
〇染毛料
パラフェニレンジアミンなど
その他
〇ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)
〇直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)
〇アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)
〇アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS)
〇アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム(aASF)
〇アルキル硫酸エステルナトリウム(AE)
〇ポリオキシエチレンアルキルエーテル(POER)
気をつけるべき日用品は?
私たちの周りは、合成化学物資を使った製品があふれかえっています。経皮毒という観点から、気をつけたい主な日用品は次の通りです。
〇化粧品
〇日焼け止め
〇ハンドクリーム
〇シャンプー・リンス
〇入浴剤
〇歯磨き粉
〇整髪剤
〇カラーリング剤
〇洗濯洗剤・柔軟剤
〇食器用洗剤
〇生理用ナプキン・タンポンなど
入浴で使う日用品について
特に注意したいのが、お風呂で使用している日用品。化学物質を吸収する皮膚面積が大きいうえ、高い吸収率であるデリケートゾーンからも入りやすいからです。さらに、体温が上がることで吸収率もアップします。
シャンプーやリンスの主成分は界面活性剤であり、香料も含まれます。リンスにはさらに柔軟剤や帯電防止用の化学物質も。ラウリル硫酸系、ラウレス硫酸系、スルホン酸Na、ポリソルベート、パレスには特に注意しましょう。
入浴剤にはプロピレングリコール(PG)が入っているものが多く、分子量が小さいために吸収されやすいです。防腐剤のサリチル酸、パラベン、合成着色料、合成香料などは、アレルギーを誘発させます。
直接肌に触れる衣類や生理用ナプキン
常に皮膚に触れている衣類。洗濯洗剤はどのような基準で選ばれていますか?以前は、白さや香りで購入していました。
洗濯ものを白く洗い上げるには、漂白剤や蛍光増泊剤が使われています。消臭タイプには抗菌剤が、柔軟剤には陽イオン界面活性剤が使用されています。
また、カラダのなかで最も経皮吸収率が高いデリケートゾーン。直接触れる下着や生理用ナプキンについても配慮するべきでしょう。
ナプキンには、血液を吸収・凝固するための高分子ポリマーや塩素漂白剤などが用いられています。
まとめ
- 経皮吸収とは?
物質が皮膚を通して体内に吸収されること - 経皮吸収の2つの経路
①経附属器官経路
②経角層経路 - 「① 経附属器官経路」はさらに、次の2通りがある
〇毛穴(毛嚢)から吸収
〇汗腺から吸収 - 「② 経角層経路」にも、次の2通りがある
〇細胞間経路(細胞と細胞の間を通って吸収)
〇細胞内経路(細胞内を通過して吸収) - カラダの部位によって吸収率が違う
- 温度によっても吸収は変わる
- 経皮毒とは?
皮膚からの経皮吸収によって有害な化学物質を体内に取り入れてしまうこと - 化学物質に肌のバリア機能が効かない理由とは?
①有害な化学物質のなかに、皮脂膜を溶かしてしまうものがあるから
②有害な化学物質のなかに、分子量が小さいものがあるから - 有害物質はどこに溜まるの?
〇皮下脂肪
〇内臓脂肪
〇脳
〇精巣・卵巣・乳房 - 経皮毒は消化器官を通らないため排出されにくい
- 日本は欧米に比べると、有害化学物質の規制がゆるやか
- 経皮毒がカラダに及ぼす悪影響とは?
①皮膚トラブル
②アレルギー症状
③婦人科系の病気
④脳の病気
⑤ホルモンへの影響
おわりに
経皮吸収が経口吸収とほぼ同じ割合だと知り、日用品を見直すようになりました。今、私たちの身の回りにあるものには、ほぼ合成化学物質が使われています。
成分表をみても、「意味が分からない」という方も多いのではないでしょうか?一回にとり入れる量が少なかったとしても、毎日の積み重ねによって、気づいたら大きな影響を与えていた…ということもあり得るでしょう。
実際に色々な影響が懸念されています。私は特に、入浴の際に使う日用品や吸収率の高いデリケートゾーンで使う日用品に配慮しています。今回の記事がお役に立つと嬉しいです。
この記事へのコメントはありません。