子宮内膜症とは?検査方法や症状、原因などを詳しく説明します!!
私は20代の頃、子宮内膜症と診断され、治療を受けたことがあります。妊娠しずらいとも言われていましたが、無事に二児の母になることができました。
最近、若い子たちの子宮トラブルが増えています。子宮内膜症もその一つ。子宮内膜症とはどのような疾患なのでしょうか?原因は?予防することはできるのでしょうか?今回は子宮内膜症について書きたいと思います。
この記事の目次
- 1.子宮内膜症とは?
- 2.子宮内膜症になると?
- 3.子宮内膜症のサインとは?
- 4.子宮内膜症の原因と予防について
- 5.子宮内膜症の診断
- 6.子宮内膜症の治療法
- 7.まとめ
- 8.おわりに
子宮内膜症とは?
子宮内膜症とは?
子宮の内側を覆っている子宮内膜、もしくはそれに似た組織が、子宮の内側以外の場所にできてしまう病気。腹膜、卵巣、卵管、腸などに発生し、発育します。
20~40代で発症することが多く、そのピークは30~34歳。10代後半からも起こることがあります。月経がある女性の約1割が子宮内膜症であると言われていて、決して珍しい疾患ではありません。
子宮内膜
子宮の内壁の最も表面部分です。卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンによって増殖し、妊娠する準備をしています。妊娠に至らない場合、子宮から剥がれて出血。月に1回の生理として体外に排出されます。
チョコレート嚢胞って?
子宮内膜症は子宮内膜と同じく、月経のときに出血が起こります。通常の月経は血液を外に出しますが、子宮内膜症はそれが出来ないため、卵巣やそのほかの部位にたまってしまいます。
卵巣に子宮内膜症ができ、古い血がたまって卵巣がふくれると、炎症や周囲組織との癒着を起こします。この状態が「卵巣チョコレート嚢胞」です。出血した血液が変色してチョコレート色に見えることから、このように呼ばれています。
子宮内膜症になると?
子宮内膜症でみられる症状って?
子宮内膜症になると、次のような症状があらわれます。
〇月経痛
〇腰痛
〇性交痛
〇排便痛
〇過多月経
〇月経痛
子宮内膜症になった女性のおよそ9割が月経痛があるというデータがあります。もともと月経痛もちの方が、子宮内膜症になることでさらに痛みが増したという報告も。
さらに約7割の女性が、月経時でなくても下腹部に痛みを感じると訴えています。これは、発生した周辺組織で癒着や剥離が発生するためです。
〇腰痛
約6割の方が子宮内膜症が原因の腰痛に悩まされています。これは炎症や癒着から来る痛み。安静にしていても症状が軽減しない場合は、子宮内膜症が原因の可能性があります。
〇性交痛
約5割の方が、子宮内膜症による性交痛があると訴えています。これは子宮や卵巣、腸、膀胱などに癒着があることが原因です。
〇排便痛
約6割の方が、子宮内膜症による排便痛があるといいます。子宮内膜症が直腸付近にあったり、周りに癒着が起きている場合、肛門の奥に痛みを感じます。
〇過多月経
子宮や卵巣に起こる炎症や癒着が強くなると、子宮が収縮しにくくなり、出血量が多くなったり、月経の期間が長くなったりすることが多いです。
高まる卵巣がんのリスク
卵巣チョコレート嚢胞は普通の卵巣組織より23倍も癌化しやすいと言われています。 特に直径が10cm以上あるものはリスクが高いです。また、 がんの合併率は年齢とともに高くなり、40歳代で4%。
チョコレート嚢胞の直径が10㎝以上であったり、急激に大きくなっている場合、40歳以上の方は注意が必要です。
不妊の原因にも
子宮内膜症による不妊は約4割だというデータがあります。子宮内膜症の方全員が妊娠できないというわけではないのですが、影響を及ぼしていることは事実。
その理由は、子宮内膜症による癒着で卵管や卵巣、子宮、腸管などが閉鎖し、精子や受精卵が通過しずらいことです。
また、チョコレート嚢胞がある場合も、妊娠しずらいと言われています。大きくなるほどそのリスクは高まってしまうんです。
子宮内膜症で不妊に悩む方の中には、まったく痛みを感じないという方も。妊娠しずらいと感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
子宮内膜症のサインとは?
子宮内膜症のサインは月経痛です。「毎月同じ感じだから」と、ついつい放ってしまいがち。寝込んでしまうほどの痛みや吐き気があったり、以前よりも痛みが増していたり、薬が効かなかったりなどの症状がみられる場合は子宮内膜症の可能性があるので、医療機関を受診しましょう。
子宮内膜症の原因と予防について
子宮内膜症の原因とは?
実は子宮内膜症の原因には諸説あり、はっきりと特定されていません。有力視されているのは、子宮内膜移植説。月経の際に卵管から膣方向に向かうはずの血液が逆流してしまい、そのまま留まるというもの。
子宮内膜が付着して生育すると子宮内膜症になるという説です。これは生理的な現象で、9割の女性にみられます。
月経の回数が多いほど子宮内膜症の発生率が高まるのは、この説と関係がありそうです。早い時期に初潮がきた、妊娠回数が少ない、月経周期が短いなどの理由で月経の回数が多い人ほど、子宮内膜症を発症しやすいと言われています。
その他の説としては、腹膜が何らかのきっかけで子宮内膜に変化して子宮内膜症が発症するという、 体腔上皮化生説があります。
子宮内膜症の予防について
子宮内膜症に予防のための方法はあるのでしょうか?残念ながら原因が特定できていないため、予防策についても、今のところ分かっていません。だからこそ定期的に検診を受けたり、先ほど挙げた現象がみられたら早めに婦人科を受診するようにしましょう。
子宮内膜症の診断
子宮内膜症かどうかについては、次に挙げる方法で診断を確定します。
〇問診
〇内診
〇超音波検査
〇CT、MRI
〇血液検査
〇腹腔鏡検査
内診では、子宮の後方(ダグラス窩)のしこりの有無や卵巣の腫れなどを調べます。超音波検査は、主に経膣で行われ、子宮や卵巣の様子をみます。
子宮筋層の状態や卵巣チョコレート嚢胞があるかないか、その大きさなどを確認して、さらに詳しく調べる必要がある場合はCTやMRIを使用して画像診断をします。症状が重い場合は、腹腔鏡検査を行います。
血液検査でわかること
子宮内膜症があると、血液中のCA-125という腫瘍マーカーが高くなります。
子宮内膜症の治療法
子宮内膜症の治療には、次の2つの方法があります。卵巣にチョコレート嚢胞があるかないか、不妊の訴えがあるかどうかで薬物療法か手術療法を選択します。
①薬物療法
②手術療法
①薬物療法
薬物療法は次のような場合に行われます。
〇卵巣チョコレート嚢胞がない場合
〇卵巣チョコレート嚢胞はあるが、直径4cm以下の場合
〇不妊の症状がない場合
薬物療法は大きく分けると次の2つの方法があります。
〇痛みを抑えるための対処療法
〇ホルモン療法
痛みを抑えるための対処療法では、主に解熱鎮痛剤や漢方薬などが用いられます。 月経痛に有効ですが、病気そのものの進行を防ぐ作用はありません。
症状が進行した場合は、ホルモン療法に切り替えます。ホルモン療法には次のような方法があります。
〇GnRH作動薬またはダナゾールという薬を用いて、卵巣ホルモンを閉経の状態にする
〇ピルを用いて妊娠した状態にする
GnRH作動薬は卵巣ホルモン分泌を抑えて閉経に似た状態にします。生理が止まり、排卵も起こりません。副作用として、のぼせ、ほてり、頭痛などの更年期症状が出ます。また、骨密度が低下して骨粗しょう症のリスクが高まるため、通常4~6ヶ月しか投与できません。
そのため、漸減療法が行われることがあります。GnRH作動薬の量を半分から3分の1にして、子宮内膜症を長期にわたりコントロールしていく方法です。
ピルは、GnRH作動薬ほど効果が安定していませんが、骨密度低下への影響が少ないため、長期間の投与が可能です。健康保険の適用もあります。副作用として血栓症や肝機能障害などがあるため、喫煙者や高血圧の方は注意が必要です。
②手術
薬物療法で子宮内膜症がコントロールできなくなった場合や、チョコレート嚢胞があって4㎝以上の大きさであったり、年齢が40歳以上の場合は、手術療法を検討します。手術には次の2通りがあります。
〇保存療法
〇根治治療
保存療法は卵巣を残す方法、根治手術は子宮卵巣を摘出する方法です。保存療法は腹腔鏡手術が主。病巣のみを切除または焼いて処置するので妊娠することが可能です。ただし再発の可能性があるため、薬物療法を続けることも検討しなければなりません。
根治手術は子宮卵巣を摘出するため、妊娠を希望しない方が対象です。再発の心配はなくなりますが、術後は閉経状態になるため、更年期症状や骨粗しょう症などのリスクは高まります。
まとめ
- 子宮内膜症とは?
子宮の内側を覆っている子宮内膜、もしくはそれに似た組織が、子宮の内側以外の場所にできてしまう病気 - 卵巣チョコレート嚢胞とは?
卵巣に子宮内膜症ができ、古い血がたまって卵巣がふくれて炎症や周囲組織との癒着を起こした状態 - 子宮内膜症でみられる症状
〇月経痛
〇腰痛
〇性交痛
〇排便痛
〇過多月経 - 子宮内膜症による高まるリスク
〇癌
〇不妊 - 子宮内膜症のサインは月経痛
- 子宮内膜症の原因と予防方法は特定されていない
有力な説は、 子宮内膜移植説。 - 子宮内膜症の診断とは?
〇問診
〇内診
〇超音波検査
〇CT、MRI
〇血液検査
〇腹腔鏡検査 - 子宮内膜症の治療方法
①薬物療法
〇痛みを抑えるための対処療法
〇ホルモン療法
②手術
〇保存療法
〇根治治療
おわりに
子宮内膜症は女性の1割の方がかかると言われ、決して珍しい病気ではありません。ところが、重い月経痛や経血が多量である過多月経はとてもつらいです。また、発癌や不妊のリスクもあります。
子宮内膜症のサインは月経痛。症状がある場合は放っておかずに医療機関を受診することをおすすめします。また、定期健診を受けて早期発見につなげましょう。
この記事へのコメントはありません。