子宮筋腫とは?原因や症状って?悪性に変化するの?手術は必要?
子宮筋腫が良性だと分かっていても「腫瘍」と聞くと、ドキッとしませんか?実は、女性の4人に1人がもっていると言われているんです。
罹患率の高い子宮筋腫。一体どのようなもので、どのような配慮が必要なのでしょうか?今回は、子宮筋腫について分かりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の目次
- 1.子宮筋腫とは?
- 2.子宮筋腫の3つのタイプ
- 3.診断方法は?
- 4.どのような治療法がありますか?
- 5.予防について
- 6.まとめ
- 8.おわりに
子宮筋腫とは?
子宮筋腫とは?
子宮筋腫は、子宮の筋肉が異常増殖したもの。子宮壁にできる良性の腫瘍で、実は詳しい原因は分かっていないんです。卵巣から分泌されるエストロゲンによって大きくなると言われています。
複数個できることが多く、数や大きさはさまざま。閉経すると小さくなります。生理がある女性の4~5人に1人(20~30%)の割合でみられる罹患率の高い疾患です。
子宮筋腫と子宮肉腫との違い
子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、子宮肉腫は悪性の腫瘍、つまり癌です。 大きな筋腫の約0.5%が子宮肉腫といわれています。
子宮筋腫が悪性化する確率は低いのですが、まれに子宮筋腫だと思っていたものが子宮肉腫だったということがあります。
両者共通の症状を示すことが多いため、判別することが難しい場合も。採取した細胞を顕微鏡でみる病理学的検査で判断することが多いです。
子宮の3つの癌について
〇子宮頸癌
子宮頸部にできるもの
〇子宮体癌
子宮体部にできるもの
〇子宮肉腫
子宮平滑筋や脂肪などから発生する悪性腫瘍
子宮筋腫になるとどうなるの?
子宮筋腫になると、主に次のような症状がみられます。子宮筋腫のある部位や大きさ、個数などによって症状の強さに違いがあります。
①月経痛
②過多月経
③貧血
④不正出血
⑤便秘
⑥頻尿
⑦腰痛
⑤その他
①月経痛
子宮筋腫によって子宮内膜が引き伸ばされると月経量が多くなり、体外に排出するために過度の収縮が起こります。これが痛みの原因となります。
月経とは?
子宮は月に一度、卵巣から卵子を排卵します。その際、精子を受け入れるために子宮内膜を厚くして準備をします。妊娠に至らなかった際、いらなくなった子宮内膜がはがれて体外に排出されます。
②過多月経
③貧血
④不正出血
出血量が増えたり、月経期間が長くなったりすると過多月経の可能性が。一回の生理期間で150ml以上の出血があったり、8日以上終わらなかったりする場合が当てはまります。レバーのような血の塊が出るのも特徴です。
過多月経になると、鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。不正出血がある方も。
⑤便秘
筋腫が大きくなって直腸が圧迫されて便秘になることがあります。
⑥頻尿
筋腫が大きくなって膀胱が圧迫され、頻尿になることがあります。
⑦腰痛
筋腫が大きくなって骨盤が圧迫され、腰痛が出ることがあります。
⑧その他
筋腫で小腸や大腸などが圧迫され、おなかの膨満感があったり、おならが出やすかったりします。また、不妊や習慣流産の原因になることもあります。
子宮筋腫の3つのタイプ
子宮筋腫は次の3タイプに分けられます。大きさやできる場所によって症状が違ってきます。
①粘膜下筋腫
(子宮の内側)
②筋層内筋腫
(子宮の筋肉の中)
③漿膜下筋腫
(子宮の外側)
①粘膜下筋腫 (子宮の内側)
子宮の内側に向けて発育する筋腫。5~10%を占めており、最も強く症状が出るため手術を選択するケースが多くみられます。
過多月経になりやすく、貧血に悩む方も。月経時以外の不正出血が起こったり、受精卵が着床しにくく不妊症の原因になったり、流産・早産につながりやすくなったりします。
②筋層内筋腫 (子宮の筋肉の中)
平滑筋という、子宮壁を構成する筋層内にできる筋腫。子宮筋腫のうち最も多く、約70%を占めています。多発しやすいのも特徴。小さいものであればほとんど症状が出ないのですが、大きくなると経血が増えたり不妊の原因につながったりします。
③漿膜下筋腫 (子宮の外側)
子宮壁の外側にでき、外に向かって発育する筋腫。 10~20%を占めており、無症状の場合が多く、巨大化するまで気づかないことがあります。
大きくなると子宮から突出してしまうことも。膀胱などの多臓器を圧迫してしまうことで頻尿などの症状を引き起こしたりする原因になってしまいます。
診断方法は?
診断方法は次の3通り。子宮筋腫の数や大きさ、状態などによって①→②→③と進むことが多いです。
①婦人科診察
②超音波検査
③ MRI検査
①婦人科診察
一般的な婦人科の診察。問診や内診を行います。内診台を利用して、子宮やその周辺の状態を視診や触診、腟鏡診などによって診察します。
②超音波検査
腟の中やおなかの上から超音波プローブ(探触子)を当てて検査を行います。腟内に細長いプローブを入れる経腟法は、小さな筋腫や粘膜下子宮筋腫の診断に適しています。直径10cm以上の大きな筋腫は、おなかの上に プローブを当てる経腹法で行うことがあります。
③MRI検査
MRI検査は、強力な磁石と電波で磁場を発生させたトンネル状の装置に入り、体の断面を画像化します。超音波検査より精度が高く、より正確な情報を得ることができます。
子宮筋腫と判別が難しい子宮肉腫が疑われる場合などに行われます。さらに詳しく検査する場合は、造影剤を使用することもあります。所要時間は20~30分程度です。
どのような治療法がありますか?
治療方法は、筋腫の場所や大きさ、数、年齢などを複合的に考えて選択します。子宮を残すことを第一に考えられます。
①経過観察
②薬物療法
③手術療法
①経過観察
子宮筋腫が悪性化する割合は0.5%以下だと言われていて、小さくて無症状であれば治療の必要はありません。年に1回程度検査を受け、筋腫が大きくなっていないかなどの変化を調べます。
②薬物療法
子宮筋腫を根本的に治す薬はありません。月経痛などの症状を軽くする対処療法的な薬や、筋腫を小さくする薬などがあります。
筋腫を小さくする方法は、偽閉経療法と呼ばれています。薬物によって排卵を抑制し、女性ホルモンの分泌を止めて無月経の状態にするもの。毎日の点鼻薬か、4週間に1回の注射薬かの2種類があります。
治療中は筋腫の大きさが半分近くになりますが、治療を中止すると元の大きさに戻ってしまうのが特徴です。また、女性ホルモンの分泌を抑えるために年期のような症状が出たり、骨量が減少すなどの副作用があり、半年以上使用することができません。
これらの理由から、薬物療法は長期的な治療というよりも一時的な目的として使われることが多いです。
①術前投与
〇手術前の貧血治療として
〇内視鏡で手術を行えるよう、筋腫を小さくするため
②投げ込み投与
〇閉経までのつなぎとして
③手術療法
症状が辛い場合は、いずれかの手術療法を選択します。
①筋腫核出手術
②子宮全摘出手術
①筋腫核出手術
子宮筋腫だけを取り除く手術。小さな筋腫を取り切れないなど再発の可能性があります。妊娠を望んでいる場合はこちらを選択することになります。
開腹手術か内視鏡下手術を選択します。 内視鏡下手術 には、腹腔鏡下手術と子宮鏡下手術とがあります。筋腫が大きい場合や複数の筋腫がある場合には、開腹手術を検討します。
②子宮全摘出手術
子宮をすべて摘出する手術。子宮を全摘出するため、再発することはありません。異常が見られなければ卵巣は摘出しないので、ホルモンバランスが崩れることもありません。
東洋医学では
子宮筋腫を小さくするツボ施術や針灸治療が有効であると言われています。
予防について
子宮筋腫ができる原因や有効な予防法は、十分に解明されていません。ストレスなどの環境要因、瘀血や冷えなどの体質や遺伝が発症に影響しているという医学的根拠は示されていないと言われていますが、なんらかの関係性があるのでは?という説もあります。
まとめ
- 子宮筋腫とは?
〇子宮の筋肉が異常増殖したもの
〇子宮壁にできる良性の腫瘍
〇詳しいことは分かっていない
〇罹患率の高い疾患
〇悪性に変化する可能性は低い
〇悪性腫瘍である子宮肉腫と判別が難しい - 子宮筋腫の症状
①月経痛
②過多月経
③貧血
④不正出血
⑤便秘
⑥頻尿
⑦腰痛 - 子宮筋腫の3つのタイプとは?
①粘膜下筋腫(子宮の内側)
②筋層内筋腫(子宮の筋肉の中)
③漿膜下筋腫(子宮の外側) - 3つの診断方法
①婦人科診察
②超音波検査
③ MRI検査 - 3つの治療法について
①経過観察
②薬物療法
③手術療法
おわりに
子宮筋腫は良性の腫瘍です。腫瘍と聞くと、いずれ癌に発展するのでは?と不安に思う方が多いようです。悪性に変化する可能性は低いものの、過多月経や貧血、生理痛などの症状で苦しむケーズがあったりします。
子宮筋腫は痛みなどの自覚症状がないため、発見が遅れがち。悪性腫瘍である子宮肉腫と症状が似ているので、定期健診を受けたり、早めに婦人科を受診することをおススメします。
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