砂糖不使用!!栗で作る『発酵あんこ』。どんな栄養が含まれているの?発酵のチカラって?
以前から発酵あんこを作っていました。実家から大量の栗が送られてきて、ふと思いついて、あずきの代わりに使ってみることに。これが、大正解だったんです!!
秋の味覚として大人気の栗。コクと甘みがベストマッチでした。しかも、もともと栄養価が高いうえに、米麹と発酵のチカラが加わるので、さらに効果・効能がアップ!!今回は
〇栗と米麹の栄養について
〇発酵させることでどんな魅力が加わるのか
について、見ていきたいと思います。
この記事の目次
- 1.『発酵栗あんこ』ってなに?
- 2.栗の栄養って?
- 3.麹の栄養って?
- 4.さらに加わる発酵パワー!!
- 5.まとめ
- 6.おわりに
『発酵栗あんこ』ってなに?
『発酵栗あんこ』を知らないという方も多いと思います。まずは簡単に説明しましょう。
『発酵栗あんこ』ってなに?
発酵栗あんこは、栗に米麹を加えて発酵させたノンシュガーのあんこ。材料は、この2つだけ。作り方も次の2ステップ。とてもシンプルなんです。
〇茹でた栗に米麹と水か煮汁を加え
〇発酵させるだけ!!
市販のあんこはお砂糖たっぷり。それに比べて発酵栗あんこは砂糖不使用なのが嬉しいですね。発酵食品を手作りすると聞くとハードルが高そうですが、ポイントをおさえれば簡単にできますよ。
詳しい作り方については「砂糖不使用!!ノンシュガーの『発酵栗あんこ』。材料は栗と米麹だけ!!作り方をご紹介します」をご覧ください。
炊飯器を使ったレシピをご紹介しているので、参考にしてくださいね。
砂糖不使用の『発酵栗あんこ』が甘くなるメカニズムって?
『発酵栗あんこ』が砂糖不使用なのに甘いのは、麹菌が栗に含まれるでんぷんを分解して糖にするから。甘酒と同じメカニズムです。
『発酵』とは?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
『発酵栗あんこ』の効果・効能って?
発酵栗あんこの効果・効能には、主に次の11個が挙げられます。こんなにたくさんの「カラダに良いコト」があるなんて、嬉しくなりますね。
これらは、材料である栗に含まれる栄養素と、発酵のチカラから得られるものです。
①免疫力アップ
②むくみ防止
③血中コレステロール値を下げる
④便秘改善
⑤疲労回復
⑥美肌・美白効果
⑦老化防止
⑧がん予防
⑨アレルギーの緩和
⑩高血圧や動脈硬化の予防
⑪貧血防止
栗の栄養って?
栗に含まれる特徴的な栄養は、次の通り。
①ビタミンC
②ビタミンB1
③カリウム
④食物繊維
⑤ミネラル(亜鉛)
さらに渋皮は、ポリフェノールの一種であるタンニン・プロアントシアニジンを多く含んでいます。
①ビタミンC
栗は、100gあたり33mgのビタミンCを含んでいます。なんと、みかんとほぼ同じ、リンゴの8倍もの含有量なんです!!
ビタミンCは熱に弱く、加熱すると壊れてしまいます。ところが、栗に含まれているビタミンCはでんぷん質に包まれているため、加熱しても壊れにくい特徴があります。
また、ビタミンCは水溶性。水に溶けだしてしまいますが、発酵栗あんこを作る過程で栗のゆで汁も使うため、溶け出した分も逃さずに摂取することができます。
ビタミンCの主な働きは次の通り。
〇コラーゲンを生成する。
〇メラニンを抑制する。
〇血管や皮膚、粘膜などを強くする。
〇白血球のはたらきを助ける。
ビタミンCは美肌、美白にとって大切な栄養素。美容効果が高いんです。また、粘膜を強くしたり白血球のはたらきを助けたりするので、免疫力アップには欠かせません。
ビタミンCは体内で作ることができないビタミン。意識的に摂ることが必要です。
②ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質の代謝に関わる補酵素。糖質を燃やしてエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。疲労回復効果があります。
栗も米麹も、炭水化物の割合が多い食品。だからこそ、糖質の代謝に関わるビタミンB1が含まれているのは嬉しいですね。
③カリウム
栗は、100gあたり420mgのカリウムを含んでいます。ちなみにバナナは360mg。実は栗の方が多いんです。
カリウムはミネラルのひとつ。カラダの余分な水分を排出するため、むくみ防止に効果的。また、塩分(ナトリウム)も体外に排出するので、血圧を下げる効果もあります。
④食物繊維
栗は、100グラムあたり4.2gの食物繊維を含んでいます。さつまいもが2.3gなので、いかに多いかがお分かりいただけると思います。
食物繊維は、整腸作用や血中のコレステロール値を下げる働きがあります。栗に含まれる食物繊維は、ほとんどが「不溶性=水に溶けにくい性質」のもの。
胃や腸の中で水分を含んで膨らみ、その動きを活発にさせるので、便秘解消につながります。
⑤ミネラル(亜鉛)
栗には、微量ミネラルと言われる亜鉛が豊富に含まれています。欠乏すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振、免疫機能の低下などを引き起こすことがあります。
体内で作ることができないため、食物から摂取することが必要な栄養素です。
微量ミネラルとは?
私たちの体に必須とされるミネラルは16種類あり、大きく分けて主要ミネラルと微量ミネラルがあります。
主要ミネラル:1日の摂取量がおよそ100mg以上
微量ミネラル:1日の摂取量がおよそ100mp未満
微量ミネラルは、わずかな量でも私たちの体の機能を正常に働かせるのに大きな役割を担っています。
渋皮に含まれるタンニン
渋皮にはポリフェノールの一種であるタンニンが多く含まれており、強い抗酸化作用があります。老化防止やガン予防に有効です。
抗酸化作用ってなに?
抗酸化作用とは、活性酸素を抑制する働きのこと。活性酸素は、呼吸によって取り込んだ酸素の一部が変化したものです。
活性酸素は、細胞を酸化させます。カラダが酸化すると、カラダや血管の老化、シミやシワなどの肌トラブル、生活習慣病やがんなどにつながりやすくなります。
酸化の例としては、釘が酸化して茶色く錆びたり、リンゴが酸化して茶色く変色して腐る現象が分かりやすいです。
また、アレルギー症状を緩和する働きもあります。栗に含まれるタンニンは、食物繊維と一緒に作用して炎症を抑えてくれるんです。
麹の栄養って?
米麹に含まれる栄養素は?
米麹100gに含まれる栄養は
〇糖質 57.8g
〇食物繊維 1.4g
〇たんぱく質 5.8g
ビタミン(葉酸・ナイアシン・ビタミンB2など)や、ミネラル(モリブデン・マンガン・銅など)が豊富です。
栄養を生成する麹菌
麹菌は代謝の過程で、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、イノシトールなどのビタミン類を生成します。また、麹の酵素はオリゴ糖を生み出します。
特に豊富に含まれるビタミンB群は、血行と代謝をアップさせてくれます。また、オリゴ糖は腸内細菌である善玉菌のエサとなって繁殖を助けます。
ビタミンB群の効果
〇疲労回復効果
ビタミンB1
〇成長を促進する効果
ビタミンB2、ビタミンB6
〇粘膜や皮膚を健康に保つ効果
ナイアシン
〇エネルギーを生成する効果
パントテン酸
〇女性の健康を保つ効果
葉酸
〇血糖値を下げる効果
ビオチン
酵素を生成する麹菌
麹菌は、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼなど30種類以上の酵素を生成します。酵素には食物に含まれる栄養素を分解して、消化・吸収を助ける役割があります。
〇アミラーゼ
デンプンをブドウ糖に分解する
〇プロテアーゼ
タンパク質をアミノ酸に分解する
麹菌はなぜ酵素を生成するの?
麹菌は、デンプンやタンパク質をそのままの状態で利用することができません。吸収するためには、いったん分解する必要があります。そのために酵素を体外に分泌するんです。
酵素の特徴とは?
酵素のほとんどはタンパク質でできています。ヒトの体内には、約5,000種類もの酵素があると言われています。
なぜなら、酵素はそれぞれある特定の反応しか触媒することができないからです。デンプンを分解する酵素は、タンパク質や脂質を分解することができません。
さらに加わる発酵パワー!!
発酵ってなに?
微生物(酵母・カビ・細菌など)の働きによって、有機物(タンパク質・デンプン・糖など)が分解され、別の物質に変化すること。
『発酵栗あんこ』が砂糖不使用なのに甘いのは、麹菌が栗に含まれるでんぷんを分解してブドウ糖にするから。甘酒と同じメカニズムです。
発酵によって得られるメリットって?
①消化・吸収がよくなる。
②うまみが加わる。
③栄養価が加わる。
④保存性がよくなる。
①消化・吸収がよくなる
麹菌が生成した酵素は、栄養素を分解します。ある程度分解された状態で摂取されるため、体内での消化・吸収がしやすくなります。
②うまみが加わる
酵素で分解生成されたさまざまな成分は、香りや味を出し、もともとの食材を変身させます。
③栄養価が加わる
先ほども書きましたが、麹菌は代謝の過程でビタミン類を生成します。また、麹の酵素はオリゴ糖を生み出します。
④保存性がよくなる
本物の発酵食品は、理論上では「腐らない」と言われています。なぜかというと、発酵菌と腐敗菌では発酵菌のほうが強く、発酵菌でいっぱいになっているところには腐敗菌が入るこむ余地がないからです。これを「菌の拮抗作用」と呼びます。
腸内環境を整えることで得られる6つの効果・効能
発酵食品は腸内環境を整えてくれます。腸には栄養素の消化吸収機能に加え、免疫機能があります。「腸活」が流行っている理由として、次の6つの効果・効能が期待できます。
①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和
①便秘解消
乳酸菌は腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増えにくい環境に整えます。また、腸のぜん動運動を促し、排便回数や排便量などを改善します。
②肌荒れ&ニキビ改善
肌荒れやニキビは、悪玉菌が産生する有害物質が原因。乳酸菌は悪玉菌を減らし、腸の内容物が腐敗するのを防ぎます。
③免疫力の向上
乳酸菌は、免疫細胞の一種である「NK細胞」や「マクロファージ」を活性化させます。免疫力が上がると、風邪やインフルエンザ、発がんリスクの低減などが期待されます。
④アレルギー改善
アレルギー症状は、液性免疫(Th2)が暴走すると起こります。Th2は悪玉菌が増えると優位になるため、乳酸菌で腸内環境を整えることが大切です。
⑤ダイエット効果
悪玉菌が増えると、腐敗物が血液に溶け出して血行を悪化させ、消化吸収の機能を妨げます。腸内環境を整え、基礎代謝を上げます。
⑥ストレス緩和
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の約90%が腸に存在しています。セロトニンが増えると、精神状態が安定します。逆に不足すると、慢性的ストレスや疲労、意欲低下、うつ症状、不安感やイライラ感の原因となります。
まとめ
- 『発酵栗あんこ』ってなに?
茹でた栗に米麹を加えて発酵させた、ノンシュガーのあんこ。栗のデンプンを麹菌が分解して糖に変えることで、甘くなる。 - 『発酵栗あんこ』の作り方って?
〇材料は栗と米麹の2つ。
〇手順は次の3ステップ。
①茹でた栗に米麹と水か煮汁を加え
②発酵させるだけ!! - 『発酵栗あんこ』の効果・効能って?
①免疫力アップ
②むくみ防止
③血中コレステロール値を下げる
④便秘改善
⑤疲労回復
⑥美肌・美白効果
⑦老化防止
⑧がん予防
⑨アレルギーの緩和
⑩高血圧や動脈硬化の予防
⑪貧血防止 - 栗に含まれる栄養素って?
①ビタミンC
②ビタミンB1
③カリウム
④食物繊維
⑤ミネラル(亜鉛) - 米麹の栄養は?
〇糖質 57.8g
〇食物繊維 1.4g
〇たんぱく質 5.8g
ビタミン(葉酸・ナイアシン・ビタミンB2など)や、ミネラル(モリブデン・マンガン・銅など)が豊富。
アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼなど30種類以上の酵素を生成する。 - 腸内環境を整えることで得られる効果・効能とは?
①便秘解消
②肌荒れ&ニキビ改善
③免疫力の向上
④アレルギー改善
⑤ダイエット効果
⑥ストレス緩和
おわりに
実家から毎年送られてくる大量の栗。ありがたいのですが、いつも使い切れなくて。いつもあずきを使って発酵あんこを作っているのですが、あずきの代わりに栗でもできないかと試してみたところ、大正解でした!!
クセがなくて食べやすいうえ、優しい甘さ。とてもおいしいんです。お砂糖を使っていないから、ヘルシーなのも嬉しいポイント。
栗は、もともととても栄養価の高い食品。それをさらに発酵させることで得られるメリットは大きいです!!
栄養価が高まり、効果・効能が増え、保存性が良くなり、そして何よりも旨みが増します。まさに良いことづくめ。
健康維持に欠かせない栄養素もいっぱい詰まっているので、ぜひ手作りしてみてくださいね!!
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