砂糖①砂糖は体になぜ悪いの?一日の摂取量とは?砂糖の種類って?
一般的に砂糖はカラダに良くないと言われていますが、その理由をご存知ですか?日本はスイーツ王国と言われていて、日々の生活で摂取することが多い砂糖。一方で、担っている役割もあります。
正しい知識を知って、上手に付き合っていきたいですね。今回は、砂糖について分かりやすくまとめました。ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
- 1.砂糖ってなに?
- 2.砂糖は製法によって2種類に分けられます
- 3.砂糖はカラダに悪いの?
- 4.砂糖の摂取量って?
- 5.砂糖にも働きがあります
- 6.甘味料の種類って?
- 7.まとめ
- 8.おわりに
砂糖ってなに?
砂糖とは?
砂糖とは、植物から取り出されたショ糖(スクロース)を主成分とする甘味料。原材料となる植物は、サトウキビ、甜菜、ヤシ、カエデなどです。
ショ糖って?
ショ糖は、単糖類であるブドウ糖と果糖が1つずつ結合した二糖類。単糖類と二糖類については以下の通り。単糖類と二糖類をまとめて糖類と呼びます。
単糖類
〇それ以上分解されない最小の糖類
〇ブドウ糖や果糖など
〇吸収がとても早く、エネルギーになりやすい
〇血糖値が上がりやすい
二糖類
〇2つの単糖が結合した糖類
〇ショ糖や麦芽糖など
〇吸収に時間がかかる(分解して単糖類にしないと吸収できないため)
砂糖は製法によって2種類に分けられます
ショ糖はあらゆる植物に存在していますが、特にサトウキビや甜菜に多く含まれています。砂糖の原材料には、この2つの植物が多く使用されています。製法によって次の2種類に分けられます。
①分蜜糖
②含蜜糖
①分蜜糖
原料であるサトウキビや甜菜を絞った汁から糖蜜を分離させたもの。遠心分離機を用いて結晶と糖液に分離して、結晶を取り出します。精製糖とも呼ばれており、ミネラルはほとんど含んでいません。
上白糖、グラニュー糖、三温糖、中ざら糖、白ざら糖、角砂糖、氷砂糖、液糖の8種類があります。粒子の大きさや形状などに違いがあり、その特徴ごとに料理によって使い分けます。
白い砂糖と茶色い砂糖の違いって?
白い砂糖は漂白しているのではありません。不純な成分を除去して砂糖の結晶のみを取り出しているため、無色透明の結晶が光を乱反射して白く見えているのです。
三温糖が茶色いのは、白砂糖をつくって残った糖液を再び煮詰めて結晶を取り出すという工程を繰り返していった結果、糖が分解して茶色になったから。茶色いからカラダに良さそうだと思っている方がいますが、実は白砂糖と同じ精製糖です。
②含蜜糖
糖液と結晶を分離せずに作った砂糖。糖液を濃縮して結晶と糖蜜を一緒に固めたもの。ミネラルが含まれています。黒糖、加工黒糖、和三盆、赤糖の4種類があります。
カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラルや、ビタミンB6などが最も多く含まれているのは黒糖。ショ糖以外の成分は15%ほどです。
砂糖はカラダに悪いの?
一般的に、砂糖には良いイメージがありません。過剰摂取はカラダや脳に影響を与えると言われているからです。どのようなデメリットがあるのか、みてみましょう。
①肥満(体重、体脂肪の増加)
②血糖値を上昇させる
③虫歯の原因となる
④身体のビタミンやミネラルを奪う
⑤腸内環境を悪化させる
⑥依存性がある
⑦がんのリスクが高まる
⑧うつ病になりやすい
⑨認知症になりやすい
⑩免疫力が低下する
⑪老化につながる
⑫低体温につながる
① 肥満(体重、体脂肪の増加)
肥満は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の要因となります。これらが悪化すると、動脈硬化につながります。特に、内臓脂肪は糖分から作られるので要注意です。
②血糖値を上昇させる
血糖値が急上昇するとインスリンが大量に放出されてブドウ糖が脂肪に変わり、蓄積されます。また、血液が濃くなって脱水状態になります。さらに糖尿病や心筋梗塞、肝硬変といった病気にかかりやすくなります。
③虫歯の原因となる
虫歯菌は、砂糖を栄養源として増殖します。
④身体のビタミンやミネラルを奪う
砂糖を消化するためには大量の ビタミンB群やカルシウムを使います。それらの栄養素が不足すると、精神不安定になったり、疲労感を感じたり、集中力が欠けたりと、メンタル面に大きな影響を及ぼすと言われています。
⑤腸内環境を悪化させる
腸内環境を整えることで得られるメリットはたくさんあります。免疫細胞の7割が腸で作られるため、免疫力向上と密接な関係があります。美肌やダイエット効果、精神的安定にも大きな影響を及ぼします。
⑥依存性がある
砂糖は「マイルドドラッグ」と呼ばれ、薬物やアルコール並の中毒性・依存性があるといわれています。その理由は2つあります。
砂糖を過剰摂取するとインスリンが大量に分泌されて低血糖状態となり、空腹感を感じます。お腹が空いているわけでもないのに繰り返し砂糖(甘いもの)を食べたくなるんです。
また、砂糖は幸福感や癒やしを感じさせるドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなど脳内神経伝達物質の分泌を促します。「糖質を食べると、幸せが感じられる」という快感を脳が感じ続けることで、クセになってしまいます。
⑦がんのリスクが高まる
糖分を過剰に摂取する人はがんリスクが上がるという研究結果があります。また、がん細胞は糖分をエサとして増殖します。
⑧うつ病になりやすい
砂糖の過剰摂取は、うつ病のリスクを23%高めるというデータがあります。砂糖を摂り過ぎて高血糖になると、うつ病の原因だと考えられている脳の炎症へのリスクが高まります。
⑨認知症になりやすい
加齢により、糖分の代謝能力が衰えます。この状態で糖分を摂り過ぎると血糖値が上昇し、認知症の原因物質であるアミロイドβが体内に蓄積します。インスリンの働きが悪くなるのでアミロイドβを分解する力が弱まり、認知症のリスクが高まるのです。
⑩免疫力が低下する
砂糖を100g摂取すると、白血球の効力が40%落ちると言われています。白血球が異物と戦うとき、ビタミンCが必要です。砂糖を摂取するとビタミンCが減り、砂糖の成分に置き換わってしまうことが理由だと言われています。
また、砂糖の摂り過ぎは腸内環境を悪化させます。腸内には免疫機能の約70%が腸に集まっているため、腸内環境が乱れることで免疫力も低下してしまうのです。
⑪老化につながる
糖質とタンパク質が結びつくとAGEsという老化物質を生成し、ば老化スピードを早めます。
⑫低体温につながる
砂糖を食べると、体温が低下します。糖分を消化するためにビタミンやミネラルを大量に消費して、ブドウ糖がエネルギーに変換されにくくなり低体温に。
砂糖の摂取量って?
砂糖の摂取量
WHO(世界保健機関)は、1日の砂糖摂取量の目安について次のように提唱しています(2015年3月)。
「1日に摂る総エネルギー量の5%未満に抑えるべき」
具体的には、平均的な成人で25g程度(ティースプーン6杯分、 スティックシュガー8本分 )です。ふだんのお料理に入れる砂糖、お菓子やスイーツ。
それだけでなく、市販されている食品には砂糖が使われているものがたくさんあります。「こんなものにも?」という意外な商品に入っていることも。あっという間に過剰摂取になってしまうので、ふだんから意識することが大切なんです。
「無糖」「ノンシュガー」は無糖ではない?
実は、100グラムあたりに含まれる糖分が0.5グラム未満であれば、「無糖」「ノンシュガー」と表示することができます。安心して食べすぎると知らない間に過剰摂取になってしまうので、注意しましょう!!
砂糖ってどのくらい含まれているの?
お菓子作りや煮物など、ふだんの料理に砂糖を使います。砂糖の大さじ、小さじは何グラムなのでしょうか?
大さじ
〇上白糖 9g
〇きび砂糖 9g
〇甜菜糖 9g
〇黒糖 9g
〇グラニュー糖 13g
小さじ
〇上白糖 3g
〇きび砂糖 3g
〇甜菜糖 3g
〇黒糖 3g
〇グラニュー糖 4g
市販のジュースやお菓子にはどのくらいの砂糖が含まれているのでしょうか?
〇炭酸系のジュース(500ml)
約50~57g
〇スポーツドリンク (500ml)
約20~30g
〇果汁入りジュース (500ml)
約52g
〇コーヒー (500ml)
微糖 約12g
ラテ 約26g
〇紅茶 (500ml)
ストレート 約20g
レモン 約35g
ミルク 約38g
〇野菜ジュース(200ml)
約16~21g
何気なく飲んでいるジュースには、驚くほどの砂糖が含まれています。ペットボトル1本を飲むと、成人の一日の推奨摂取量25gを軽く上回ってしまうんです。一見カラダによさそうな野菜ジュースにおいても、紙パックを1つ(200ml)飲むだけで、相当量の砂糖を摂取していることが分かります。
〇チョコレート1枚(60g)
約26 g
〇クッキー3枚
約12g
〇飴玉1個
約4g
〇どら焼き(100g)
約30g
〇菓子パン(80g)
約20g
〇ショートケーキ(100g)
約30g
〇アイスクリーム(100g)
約20g
〇プリン(100g)
約16g
この量をみると、お菓子とジュースをおやつとして一緒に食べると、ものすごい量の砂糖を摂ることになるんだということが分かります。
砂糖にも働きがあります
一般的にカラダに悪影響を及ぼすというイメージがある砂糖ですが、担っている役割もあります。
①食品を防腐する
②食品をやわらかくする
③泡立ちを保持する
④発酵を促進する
⑤食品を造形する
⑥でんぷんの老化を防止する
⑦タンパク質の熱凝固に影響する
⑧油の酸化を防止する
⑨エネルギー源となる
⑩薬膳としての効果
①食品を防腐する
カビや細菌などの微生物は、増殖するときに水が必要です。食品の水分を砂糖が抱え込むことで、微生物が水分を利用しにくくなり、腐りにくくなります。
②食品をやわらかくする
砂糖には、食品に含まれている水分を奪い取ったり保持したりする働きがあります。これを親水性といいます。砂糖はタンパク質と水分を結び付ける作用があります。 砂糖が肉や卵の組織の間に入り込み、水分を引き付けてタンパク質と結びつけることで、やわらかくしているのです。
③泡立ちを保持する
卵白を泡立ててつくるメレンゲやホイップクリーム。砂糖が卵白のタンパク質の水分を抱え込むことで、泡が安定します。また、泡同士のくっつきを抑えてきめ細かい状態を保つことができます。
④発酵を促進する
パン生地がふくらむのは、酵母(イースト)の発酵によるもの。糖質を栄養として発酵し、炭酸ガスとアルコールを生成することでパンが膨らみます。
⑤食品を造形する
砂糖には食品の物性を変える効果があり、食品加工に利用されています。 加える砂糖の量によって粘りや硬さを調整したり、かさやボリューム感を出したりします。
具体例としては、小麦粉に加える砂糖の量によって生地の粘りや硬さが変わる、果物に砂糖を加えて加熱するとゼリー状に変化するなどが挙げられます。
⑥でんぷんの老化を防止する
ごはんや餅などを放置しておくと、でんぷんが老化することにより硬くなります、酢飯や大福などが時間が経っても柔らかい状態を保っているのは、砂糖がでんぷんに含まれる水分を引きつけて蒸発しずらくしているからです。
⑦タンパク質の熱凝固に影響する
卵の白身を加熱すると白く固まりますが、これはタンパク質が加熱によって固まるという性質によるもの。これを熱凝固性と言います。
砂糖には熱凝固性を左右する働きがあります。カスタードプリンは、砂糖を加えることで牛乳や卵の熱凝固温度が上がって固まりにくくなり、やわらかでなめらかな食感になるのです。
⑧油の酸化を防止する
油の酸化は、油と空気中の酸素が結びつくことで起こります。砂糖を加えることで、油に含まれる水分が砂糖と結びついて酸化しずらくなるんです。
クッキーやケーキは、バターの中の水分が砂糖と結びついて酸素が入り込む隙間を少なくすることで、風味や香りを守っています。
⑨エネルギー源となる
ショ糖は体内でブドウ糖と果糖に分解されます。腸で吸収されたあと肝臓へ送られ、血液中に放出されてエネルギーとして利用されます。
残ったブドウ糖は肝臓へ戻り、肝臓内や筋肉組織にグリコーゲンとして貯蔵されて、血液中のブドウ糖が不足すると再びブドウ糖に分解されて利用されます。脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源とし、眠っているときにもブドウ糖を消費し続けています。
⑩薬膳としての効果
白い砂糖は気を補い、倦怠感や息切れの改善に効果があります。脾の働きを良くして、虚弱体質の改善にも良いといわれます。潤いを保つ効果によりのどの渇きや、乾いた咳を抑える効果もあります。黒砂糖は不正出血や貧血、産後の体力回復に良いといわれます。血行を良くしてお腹を温め、月経のトラブルにも効果があります。風邪の初期症状や下痢、沈んだ気分を穏やかにする効果も期待できます。
甘味料の種類って?
分類すると…
砂糖以外の甘味料にはどのようなものがあるのでしょうか?甘味料を分類すると、大きく次の2つに分けられます。
①糖質系甘味料
②非糖質系甘味料
①糖質系甘味料
〇砂糖、でん粉由来の糖
ブドウ糖、果糖、異性化糖など
〇その他の糖
乳糖、オリゴ糖など
〇糖アルコール
ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴など
糖アルコールは、糖質に水素を添加(還元)し、化学的に安定させたもの。天然にも種々の糖アルコールが存在していますが、一般的には工業的に酵素反応などによって生産されています。
②非糖質系甘味料
〇天然甘味料
ステビアの、甘草(グリチルリチン)、羅漢果など
〇合成甘味料
アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウムなど
天然甘味料は、植物の葉や果実などに含まれている甘味成分を抽出したもの。合成甘味料は、化学合成により作られる高甘味度甘味料で、低カロリー甘味料として使用される。食品衛生法に基づく指定添加物です。
甘味料の選び方については、こちらにまとめましたので、参考にしてください↓↓
まとめ
- 砂糖とは
植物から取り出されたショ糖(スクロース)を主成分とする甘味料 - ショ糖とは
単糖類であるブドウ糖と果糖が1つずつ結合した二糖類 - 製法による分類
①分蜜糖
原料であるサトウキビや甜菜を絞った汁から糖蜜を分離させたもの
②含蜜糖
糖液と結晶を分離せずに作った砂糖 - 砂糖を過剰摂取すると?
①肥満(体重、体脂肪の増加)
②血糖値を上昇させる
③虫歯の原因となる
④身体のビタミンやミネラルを奪う
⑤腸内環境を悪化させる
⑥依存性がある - WHOによる摂取目安
1日に摂る総エネルギー量の5%未満に抑えるべき - 砂糖の役割とは?
①食品を防腐する
②食品をやわらかくする
③泡立ちを保持する
④発酵を促進する
⑤食品を造形する
⑥でんぷんの老化を防止する
⑦タンパク質の熱凝固に影響する
⑧油の酸化を防止する
⑨エネルギー源となる
⑩薬膳としての効果 - 砂糖以外の甘味料は?
①糖質系甘味料
②非糖質系甘味料
おわりに
カラダに悪いというイメージがありますが、実は砂糖にも役割があります。今回は砂糖について詳しくまとめました。
そもそも砂糖にはどのような種類があるのか?推奨される摂取量とは?砂糖を摂るとどのような影響があるのか?など、砂糖を選ぶ際の参考にしてください。
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